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混沌に満ちた世界
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振り向くと、そこには見知らぬ男性が立っていた。
いったい、誰なんだ……このスーツの男。
いや、隣の女性には見覚えどころか――なぜ、古森さんがここに……?
「…………」
古森さんは複雑そうな表情でこちらを見つめる。
となると、この男も刑事か。
くそっ、まさか裏切り……いや、もともと古森さんは刑事として俺たちを追っていた。職務を全うしていただけだ。
それに、あの心苦しそうな顔を見れば、古森さんが裏切ったとは言い切れない。やむを得ずってところかな。そう思いたい。
「我々がなぜ来たか、分かるね? 署まで来てもらおうか」
と、男は不敵に笑いながらもスーツを僅かに開かせて見せた。一瞬だが、拳銃が見えた。刑事だから当然装備しているだろうが……なるほど、逆らえば容赦はしないって警告のつもりらしい。
もちろん、俺は――。
「お断りします」
逮捕状があるわけでもなさそうだし、拒絶した。任意同行なら拒否できるはずだ。
「……だろうな。なら、連れの少女の足を撃つ」
冷酷無慈悲な口調で男刑事は言い放つ。……俺は一瞬、冗談か何かかと思った。だが、男の目つきは本気だった。
ウ、ウソだろ……こんな人通りの多い場所で銃をぶっぱなすとかありえない。そもそも、警告射撃なしで足を撃つとか……正気の沙汰ではない。
「……な、に?」
「聞こえなかったか? 拒否すればお前の仲間を撃つと言った」
「ふざけるな! 刑事だろうが、それは犯罪だろう!」
「さあ、どうだろうな。私は刑事である前に……“烏”だからな」
「――なッ」
烏? コイツ、今……“烏”と言ったか?
まさか『八咫烏』のことか!?
だとすれば、この男は危険すぎる。
いや、コイツから情報を引き出せるかもしれない。
ここで戦うか……?
「早坂くん、どうするの……?」
「てっちゃん、早くみんなと合流しないと……」
天音も桃枝も心配そうにしているが、だが、この男を何とかせねば。
多分、警察もそろそろ駆けつけてくる頃合いか。
その前に対処しなければ!
ベルトに引っ掛けてある緊急用の閃光手榴弾を使うか、それとも唐辛子スプレーを使うか……?
「おっと、動くな! 少しでも動けば撃つ」
「……くっ」
撃たれる前に反撃するしかない――!
俺はやる。
この場を凌がねば未来はないのだから。
きっと古森さんは俺たちの邪魔はしないはず。頼むから、この男の味方にだけはならないで欲しい。
それでも敵対するのなら……その時は仕方ない。
だから、俺は超スピードでスタングレネードを抜き、男に向けて投げつけようとした――が。
『ドン、ドンッ!』
銃声がして、俺は立ち止まった。
う、撃たれた……のか?
いや、違う!
これは正面からではない。背後からだ。
「うぎゃっ! てっちゃん、別の方角から敵襲! なんかヤクザっぽいのがいるよ!!」
振り向くと、四人の厳つい男たちが拳銃をこちらに向けていた。あ、あれは……多分、櫛家の連中だ! そうか、ついにここまで追ってきたか!
「おのれ、こんな時に!!」
男刑事もさすがに焦っていた。ちょうど近場にあった一般人の車に隠れやり過ごす。ちょ、まて! こんな駅に近い場所で銃撃戦とか! まあ、福岡なら驚かないが!
「村石刑事、ヤツ等は“櫛家”で間違いありません」
「そうだな、古森。お前は早坂たちを連れて署へ向かえ」
「し、しかし……」
「これは命令だ。さっさと行くんだ。どのみち警察が駆けつけてくる」
なるほど、男刑事の名前は“村石”というのか。
村石の言う通り、パトカーのサイレンが響き渡っていた。物凄い数がこちらに向かってきているようだった。
これで一安心かと思えば、そうでもなかった。
更に別の方角から弾が飛んできた。ちょ、おい……弾丸が俺の頬をかすめていったぞ……!! あっぶねえな!
「ちょ、早坂くん! 今度は駅とは反対方向の道に謎の黒装束の集団が……」
天音の言う通りだった。あれは以前にも見かけた気がする。そうだ、八咫烏らしき忍者。多分そうだ……!
奴らも銃を使ってこちらを狙っていた。
「カ、カオスすぎるよぅ」
桃枝は身を低くしながらも、軽くパニックに陥っていた。
まさか警察だけでなく、櫛家や八咫烏も集結するとは――どうなってんだよ、この場所は!
なんとか逃げたいところだが、逃げられるのかこれは……?
いったい、誰なんだ……このスーツの男。
いや、隣の女性には見覚えどころか――なぜ、古森さんがここに……?
「…………」
古森さんは複雑そうな表情でこちらを見つめる。
となると、この男も刑事か。
くそっ、まさか裏切り……いや、もともと古森さんは刑事として俺たちを追っていた。職務を全うしていただけだ。
それに、あの心苦しそうな顔を見れば、古森さんが裏切ったとは言い切れない。やむを得ずってところかな。そう思いたい。
「我々がなぜ来たか、分かるね? 署まで来てもらおうか」
と、男は不敵に笑いながらもスーツを僅かに開かせて見せた。一瞬だが、拳銃が見えた。刑事だから当然装備しているだろうが……なるほど、逆らえば容赦はしないって警告のつもりらしい。
もちろん、俺は――。
「お断りします」
逮捕状があるわけでもなさそうだし、拒絶した。任意同行なら拒否できるはずだ。
「……だろうな。なら、連れの少女の足を撃つ」
冷酷無慈悲な口調で男刑事は言い放つ。……俺は一瞬、冗談か何かかと思った。だが、男の目つきは本気だった。
ウ、ウソだろ……こんな人通りの多い場所で銃をぶっぱなすとかありえない。そもそも、警告射撃なしで足を撃つとか……正気の沙汰ではない。
「……な、に?」
「聞こえなかったか? 拒否すればお前の仲間を撃つと言った」
「ふざけるな! 刑事だろうが、それは犯罪だろう!」
「さあ、どうだろうな。私は刑事である前に……“烏”だからな」
「――なッ」
烏? コイツ、今……“烏”と言ったか?
まさか『八咫烏』のことか!?
だとすれば、この男は危険すぎる。
いや、コイツから情報を引き出せるかもしれない。
ここで戦うか……?
「早坂くん、どうするの……?」
「てっちゃん、早くみんなと合流しないと……」
天音も桃枝も心配そうにしているが、だが、この男を何とかせねば。
多分、警察もそろそろ駆けつけてくる頃合いか。
その前に対処しなければ!
ベルトに引っ掛けてある緊急用の閃光手榴弾を使うか、それとも唐辛子スプレーを使うか……?
「おっと、動くな! 少しでも動けば撃つ」
「……くっ」
撃たれる前に反撃するしかない――!
俺はやる。
この場を凌がねば未来はないのだから。
きっと古森さんは俺たちの邪魔はしないはず。頼むから、この男の味方にだけはならないで欲しい。
それでも敵対するのなら……その時は仕方ない。
だから、俺は超スピードでスタングレネードを抜き、男に向けて投げつけようとした――が。
『ドン、ドンッ!』
銃声がして、俺は立ち止まった。
う、撃たれた……のか?
いや、違う!
これは正面からではない。背後からだ。
「うぎゃっ! てっちゃん、別の方角から敵襲! なんかヤクザっぽいのがいるよ!!」
振り向くと、四人の厳つい男たちが拳銃をこちらに向けていた。あ、あれは……多分、櫛家の連中だ! そうか、ついにここまで追ってきたか!
「おのれ、こんな時に!!」
男刑事もさすがに焦っていた。ちょうど近場にあった一般人の車に隠れやり過ごす。ちょ、まて! こんな駅に近い場所で銃撃戦とか! まあ、福岡なら驚かないが!
「村石刑事、ヤツ等は“櫛家”で間違いありません」
「そうだな、古森。お前は早坂たちを連れて署へ向かえ」
「し、しかし……」
「これは命令だ。さっさと行くんだ。どのみち警察が駆けつけてくる」
なるほど、男刑事の名前は“村石”というのか。
村石の言う通り、パトカーのサイレンが響き渡っていた。物凄い数がこちらに向かってきているようだった。
これで一安心かと思えば、そうでもなかった。
更に別の方角から弾が飛んできた。ちょ、おい……弾丸が俺の頬をかすめていったぞ……!! あっぶねえな!
「ちょ、早坂くん! 今度は駅とは反対方向の道に謎の黒装束の集団が……」
天音の言う通りだった。あれは以前にも見かけた気がする。そうだ、八咫烏らしき忍者。多分そうだ……!
奴らも銃を使ってこちらを狙っていた。
「カ、カオスすぎるよぅ」
桃枝は身を低くしながらも、軽くパニックに陥っていた。
まさか警察だけでなく、櫛家や八咫烏も集結するとは――どうなってんだよ、この場所は!
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