クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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秘境駅地獄の旅

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 ――無事に新幹線へ乗車。
 指定席へ座り、ようやく一息つけた。あれから駅周辺の事件をスマホで追ってみたが、情報はなかった。まだないのか、それとも報道規制か。

 かなり騒然となっていたから、周囲の一般人からカメラを向けられていた気配もなかったし……映像が出回ることもないだろうけど。


「……なんだか怖いね」

 隣の席の天音は、ややうつむいていた。そうだな、あれだけの組織が一堂に会するなんて……ハッキリ言って正気の沙汰ではない。
 まさに、この世の混沌を垣間見た。

 警察に、暴力団に……そして、裏社会の覇者である八咫烏。それらが集結して殺し合うなんて。正直勝手に戦ってくれって感じなんだが、ヤツ等の目標はあくまで俺たち。
 宝島の財宝というよりは、金欲しさだろうか。

 なんにせよ、長野で全てが明らかになる――そんな気がしていた。

 ・
 ・
 ・

 北上さんたちから連絡が入った。桃枝によると、向こうは一本早い時間で新幹線に乗っていたようだった。姿が見えないと思ったら、そういうことだったか。
 ならば、どこかで落ち合いたいところだが……このまま長野で合流になりそうだな。多分、どこで降りれば、またヤツ等に襲われる可能性がある。
 なら、一直線に向かった方が安全だ。

 俺の考えが伝わったかのように、北上さんからも『現地で会いましょう』と返信がきた。ならば、しばらくは長旅だ。

 約三時間乗り続け、気づけば『京都』に到着。久しぶりの京都だな。


「おー、京都だね~」


 と、身を乗り出して窓から外を眺める桃枝。
 大きな駅がそこにはある。
 しかし、目的地はここではない。以前、京都を歩き回ったが、結局有力な手掛かりは得られなかった。思えば、あれは情報攪乱かくらんの為に散りばめられたものだったのかもしれない。簡単に特定されないように。

 さて、このまま名古屋まで向かう。
 北上さんたちによると“地獄の飯田線”から長野へ向かうとのこと。

 なぜ、地獄なんだ……?

 俺はこの時、知る由もなかった。
 まさか片道、約七時間も掛かるということを……。


 ◆


 名古屋駅に到着。
 そこから更に豊橋駅へ。飯田線を走る電車へ乗る。

 始発は豊橋駅、終点は辰野駅たつのえきという場所。


「あ~、飯田線かぁ」
「桃枝、知ってるのか」
「うん、ここって秘境駅が続くから“地獄”って言われてるよ。到着までめっちゃ長いし、確か約七時間くらいじゃないっけ」

「「な、七時間!?」」

 俺も天音も同時に驚いた。まてまて、そんな掛かるのかよ。しかも、北上さんたちは既に先に行ったようだし。いくら、組織の目を掻い潜る為とはいえ……やりすぎだろう。

 めっちゃ長旅じゃねえか。
 つか、もう時間的に無理じゃないか。


「早坂くん、北上さんたちは行けるところまで行くみたい」
「マジかよ。俺たちも可能な限り移動するか」
「でも、かなり田舎が続くみたいだから……泊まる場所ないかも?」
「……下手すりゃ野宿か」

 とはいえ、まったく宿泊施設がないというわけでもないだろう。


「あ、まって。今から乗れば『飯田駅』まではいけるかも!」

 と、桃枝が朗報を知らせてくれた。詳細を見せてもらうと、飯田駅周辺なら大きな街もあるし、お店もたくさんあるようだった。なんだ、スゲェ田舎ってワケでもないんだな。
 なら、俺たちも可能な限り移動するか。

 そんなわけで、飯田駅まで向かうことにした。
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