クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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もみ消された事件

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 長い長い移動を続け、とうとう【飯田駅】に到着。あまりに変わらぬ風景に、ほとんどの時間を睡眠に使っていた気がする。

 天音と桃枝もずっと夢の中だった。
 そりゃそうだよな。

 流れる風景が山や田んぼばかりではな。最初は少し新鮮味もあったけど、十分もすれば飽きた。結果、やることもなく寝るしかなかった。

 ――そうして、俺たちはギリギリのところで飯田駅に到着。

 なんとか20時に到着した。
 移動中にホテルも予約を入れたので、スムーズにチェックインできるはず。


「ん~、さすがに体が鈍った」
「そうだね、早坂くん。わたしも足腰が痛いよ」


 駅前に出ると、天音はぐっと体を伸ばす。……その、なんだ。胸が凄いことになっているが、言わないでおくか。
 頷いていると桃枝は疲弊ひへいしていた。


「うへー…疲れた」
「そうだな、桃枝。飯田線が地獄と言われる理由が分かったよ」
「この先まだまだあるからね」

 考えただけで恐ろしい。
 田舎の光景が永遠と続くと思うとゲンナリだ。だけど、飯田市は結構発展しているし、普通の街並みだ。

 駅前には飯屋もあるし、泊まる場所も普通にはある。不便はなさそうだ。


「よーし、先に飯にするか。近場にラーメン店とかあるし」

 俺がそう提案すると天音は「いいね!」と手を鳴らす。桃枝も「賛成~」と短く返事をした。決まりだ。


 ◆


「――ふぅ」

 適当に入ったラーメン店だったのだが、美味すぎだ。知らぬ土地で食うラーメンってなんでこんなに美味いんだろうなぁ。

 天音も桃枝も満足してくれたようで、ご機嫌だ。


「あ、そういえば」
「どうした、天音」
「北上さんから連絡入ってたよ」

「マジか!」

「うん。向こうは『赤木駅』にいるって」
「赤木駅?」


 調べてみると、辰野駅に割と近かった。もうそんなところまで移動していたのか。……俺たちは銃撃戦してたし、それくらいの差が出てもおかしくはないけど。
 でもそうか、向こうで合流できそうだな。

 夜の街中を歩き、ホテルへ。

 チェックインを済ませ、指定の部屋へ向かった。
 幸い、みんな三階となった。これならいつでも駆けつけられる。


「じゃ、またあとでね、早坂くん」
「おう」


 手を振って天音は自分の部屋へ向かった。桃枝は残った。


「てっちゃん、ウチの部屋来る~?」
「なんで? 作りは同じだろう」
「そうじゃなくて~、溜まってるなら相手してあげよっか!」

 頬を赤くして、にまっと笑う桃枝。そっちかよ!
 そりゃ助かるけど――って、そうじゃない。

 今日はもう疲れたから無理だ。それに、ネットニュースも気になるし。

 博多駅で起きた事件。あれを調べねば。


「遠慮しておく。明日は早いからな」
「そっかー。シたくなったら、いつでも言ってね」
「おまっ」


 小悪魔っぽい表情のまま桃枝は部屋へ向かった。……やれやれ。

 高鳴る心臓を押さえつつ、俺も部屋。
 扉の前でカードキーをかざすとガチャっと音が鳴って開錠。中へ入り、部屋の明かりをつけてまずは室内を吟味。

 うん、普通だ。どこにでもあるビジネスホテルって感じで、特徴はない。シンプルでいいけど。

 さっそくテレビをつけ、俺はベッドへ身を預けた。

 ……今日のニュースはやってなさそうだな。あれだけの事件なのに取り上げられないとはな。
 ネットニュースにもなっていなかった。

 そんなことありえるのか?

 八咫烏や警察がもみ消しているのか。
 だとすれば、とんでもなく恐ろしい事態だ。

 明日は早起きして、直ぐに辰野駅へ向かう。北上さんたちはそこで待ってくれるらしいし、これでいよいよ、目的地へ入る。
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