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カラスの招待
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【辰野駅】
次の日の朝。すぐに移動を開始して『辰野駅』に到着。
事前に連絡してあったので、北上さんたちとは無事に合流できるはずだ。
駅に到着すると、すぐに彼女たちの姿が見えた。
北上さんだ!
「哲くん!」
「北上さん! みんなも!」
リコ、艾、千年世も無事だ! よかった、これで全員そろったぞ。
安心して合流しようとした瞬間、北上さんが叫んだ。
「逃げて!!」
「!?」
気づけば、周囲には黒ずくめの男たちが現れた。……なんだ、この黒子のような格好をした集団は! 十人以上はいるぞ!
『…………!』
お、おい、ウソだろう!
辰野駅に到着して早々に敵に捕捉されるとは……バカな! 俺たちの位置情報が洩れているのか……!
やはりエシュロンか。
なにかしらの方法によって俺たちは監視されている――というわけか。
「やっとここまで来たのに……!」
そうつぶやく桃枝。確かにな、結局、俺たちは逃げれないってことなんだな。やっぱり、海外へ逃げるしか選択肢はないようだ。
早々に八咫烏をぶっ潰して海外移住をしよう。
だが、今はこの状況を打破せねばならない。
…………どうする?
閃光弾の在庫はない。
「動くな」
「……!」
「貴様が早坂だな」
「なぜ、俺の名を」
「お前はやりすぎたのだ。我々の界隈ではすっかり有名なのだよ」
黒子の中でも別格というか、顔を覆っている布に文様が入っている人物だ。これは『烏』の文様か……。コイツがリーダーか何かだろうか。
明らかに雰囲気というか、異様というか……。
その気配は、北上さんも感じているようで、いつも以上に警戒していた。……おい、マジか。北上さんがこんなに顔を青くするなんて、今までにないことだ。
「……で、俺たちをどうする気だ?」
「もちろん、我々の本拠地へ招待する」
「なに……!?」
「どうせお前たちの目的は『八咫烏』なのだろう」
「……そ、それは」
「もう全てお見通しなのだよ。この長野に来た時点でな」
なるほど、バレバレだったってわけか……。俺たちが乗り込んで戦争を仕掛けようとしていることも。
みんなの安全を考えるのなら、このまま大人しく着いていくしかなそうだな。
「どうすりゃいい」
「こんなこともあろうかと、バスを用意してある。お前たち全員、来てもらう」
わざわざ本拠地に招待してくれとはな。だが、絶望的な状況でもある。それは北上さんがよく理解しているようで、今にでも銃を抜きそうな顔つきをしていた。
「…………っ」
「ま、まて。北上さん」
「なぜ止めるのです。敵は隠れている気配も合わせて……ざっと二十人。こちらは、七人。なので、あたしが五人を抹殺し、哲くんと千年世は三人を、天音さんたちは二人ずつ排除すればいい」
「んな無茶な! しかも、それだと一人残るだろ?」
「一人は尋問するんですよ。情報を引き出すためにね」
いやいや、どっちにしろ無茶だ。
北上さんは本当に五人倒しそうだけど、俺たちはそこまでの技量がない。下手すりゃ、こっちに被害が出てしまうだろう。
リスクは犯せないな。
「あのさ……絆」
「なんです、リコ」
「さすがに不可能だって。あたしだって命が惜しいからさ、今は従うしかないんじゃない。それに目的の場所へ行けるんだし」
「そ、それは……そうですが」
リコの説得により、北上さんは態度を軟化させた。冷静に考えれば当然ではあるが。
そんなわけで、俺たちは黒子についていき――駅前に止まっているバスに乗り込むことに。
……なんだ、観光バスなのか。
「安心しろ、貸切バスだ」
つか、黒子の人数が三人に減っている。てか、目立つし……周囲から何事かとジロジロ見られてるぞ。
しかし、ドラマか何かの撮影だと思われているのか、それほど大事にはなっていない。日本人の平和ボケがこんなところでも発動している。
どう見たってヤベェ集団だろうが。
だがしかし、日本でまさか紛争が起きてるとは思わない。そりゃこうなる。
「早坂くん、大丈夫なのかな」
「安心しろ、天音。俺がなんとかする」
こんな時の為に、手は打ってあるのだからな……!
★次回より最終章・完全完結編となります!
次の日の朝。すぐに移動を開始して『辰野駅』に到着。
事前に連絡してあったので、北上さんたちとは無事に合流できるはずだ。
駅に到着すると、すぐに彼女たちの姿が見えた。
北上さんだ!
「哲くん!」
「北上さん! みんなも!」
リコ、艾、千年世も無事だ! よかった、これで全員そろったぞ。
安心して合流しようとした瞬間、北上さんが叫んだ。
「逃げて!!」
「!?」
気づけば、周囲には黒ずくめの男たちが現れた。……なんだ、この黒子のような格好をした集団は! 十人以上はいるぞ!
『…………!』
お、おい、ウソだろう!
辰野駅に到着して早々に敵に捕捉されるとは……バカな! 俺たちの位置情報が洩れているのか……!
やはりエシュロンか。
なにかしらの方法によって俺たちは監視されている――というわけか。
「やっとここまで来たのに……!」
そうつぶやく桃枝。確かにな、結局、俺たちは逃げれないってことなんだな。やっぱり、海外へ逃げるしか選択肢はないようだ。
早々に八咫烏をぶっ潰して海外移住をしよう。
だが、今はこの状況を打破せねばならない。
…………どうする?
閃光弾の在庫はない。
「動くな」
「……!」
「貴様が早坂だな」
「なぜ、俺の名を」
「お前はやりすぎたのだ。我々の界隈ではすっかり有名なのだよ」
黒子の中でも別格というか、顔を覆っている布に文様が入っている人物だ。これは『烏』の文様か……。コイツがリーダーか何かだろうか。
明らかに雰囲気というか、異様というか……。
その気配は、北上さんも感じているようで、いつも以上に警戒していた。……おい、マジか。北上さんがこんなに顔を青くするなんて、今までにないことだ。
「……で、俺たちをどうする気だ?」
「もちろん、我々の本拠地へ招待する」
「なに……!?」
「どうせお前たちの目的は『八咫烏』なのだろう」
「……そ、それは」
「もう全てお見通しなのだよ。この長野に来た時点でな」
なるほど、バレバレだったってわけか……。俺たちが乗り込んで戦争を仕掛けようとしていることも。
みんなの安全を考えるのなら、このまま大人しく着いていくしかなそうだな。
「どうすりゃいい」
「こんなこともあろうかと、バスを用意してある。お前たち全員、来てもらう」
わざわざ本拠地に招待してくれとはな。だが、絶望的な状況でもある。それは北上さんがよく理解しているようで、今にでも銃を抜きそうな顔つきをしていた。
「…………っ」
「ま、まて。北上さん」
「なぜ止めるのです。敵は隠れている気配も合わせて……ざっと二十人。こちらは、七人。なので、あたしが五人を抹殺し、哲くんと千年世は三人を、天音さんたちは二人ずつ排除すればいい」
「んな無茶な! しかも、それだと一人残るだろ?」
「一人は尋問するんですよ。情報を引き出すためにね」
いやいや、どっちにしろ無茶だ。
北上さんは本当に五人倒しそうだけど、俺たちはそこまでの技量がない。下手すりゃ、こっちに被害が出てしまうだろう。
リスクは犯せないな。
「あのさ……絆」
「なんです、リコ」
「さすがに不可能だって。あたしだって命が惜しいからさ、今は従うしかないんじゃない。それに目的の場所へ行けるんだし」
「そ、それは……そうですが」
リコの説得により、北上さんは態度を軟化させた。冷静に考えれば当然ではあるが。
そんなわけで、俺たちは黒子についていき――駅前に止まっているバスに乗り込むことに。
……なんだ、観光バスなのか。
「安心しろ、貸切バスだ」
つか、黒子の人数が三人に減っている。てか、目立つし……周囲から何事かとジロジロ見られてるぞ。
しかし、ドラマか何かの撮影だと思われているのか、それほど大事にはなっていない。日本人の平和ボケがこんなところでも発動している。
どう見たってヤベェ集団だろうが。
だがしかし、日本でまさか紛争が起きてるとは思わない。そりゃこうなる。
「早坂くん、大丈夫なのかな」
「安心しろ、天音。俺がなんとかする」
こんな時の為に、手は打ってあるのだからな……!
★次回より最終章・完全完結編となります!
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