287 / 287
裏の支配者『八咫烏』
しおりを挟む
地下の更に地下には、謎の空間があって……大仏までありやがった。
いったい全体どうなっているんだ、ここは。
少なくとも、かなりの奥深くまできたはず。
そんなところに、こんなモノがあるなんて……地下帝国でも築いているのか?
「現人神……いったい、何者なんだ」
「それは会えば分かること」
黒子のリーダーに連れられていく俺。
この先に『八咫烏』のボスがいるということか。
しばらく通路を歩き、ようやく広い空間に出た。薄暗くて、けれど和風な感じは変わらない。
地下の中なのに、日本庭園が続く。
よくもまぁここまで再現したものだ。
莫大な金が掛かっていそうだなと俺は思った。
「……でけぇ門だ」
「この先に“あのお方”はおられる」
「そうかよ。あんたも来るのか?」
「そんな恐れ多いことができるか。お前、一人でいくのだ」
「なんだって……?」
そんなことしていいのか。いざとなれば、俺は一人でも戦うけどな。
「ひとつ忠告しておくが、戦おうなど思わないことだ。いや、それは無理なんだがな」
門が自動的に開くと、奥の部屋が現れた。まるで玉座だな。
これまた薄暗い部屋に入った。
ここが……八咫烏のボス部屋ってところか。
てっきり、東京か京都辺りにあると思っていたのだが、まさか長野とは……そう勘づかれない為でもあるんだろうけど。
そうして俺は一人で奥へ向かった。
真ん中あたりまで歩くと――突然、頭上から何か降ってきやがった。
『――ガシャン』
金属音が響き、俺は焦った。
こ、これは……!
牢屋!?
「くそっ、なんだこれは!」
――そうか、さっき男が言っていたのはこのことか。
戦うのは無理とは、この牢屋が降ってくるから無駄だということか。最初から俺を閉じ込める気だったのか。
さすがに用心はしていたわけか。
気づけば、あの男の気配は消えていた。
他の黒子たちもいない。
あるのは異様な気配だけ。
ま、まさか『現人神』か。
奥にポツンとある玉座。その後方から現れる影。
全身が黒い布で覆われており、顔すら分からない。目元がこちらを向いているくらいだ。
なんだアレは。
あんなのが八咫烏の現人神? ボス?
ふざけんな。
『…………』
「あんたが八咫烏のボスか?」
「そうとも。私が八咫烏を統べる存在である」
……この声、女? いや、分からん。男っぽさもある。声だけでは判断がつかない。あの黒い布を引きはがして正体を突き止めないと。
だが、こんな牢屋の中では無理だ。手が届かない。
「へえ。それで……日本を乗っ取る気か? クーデターでも起こす気か?」
「その必要はない。日本は既に我々の手中にあるのだから」
一字一句丁寧に言葉を話す八咫烏の主。
ずっと昔から裏で操っているってことか……。よく聞かされる都市伝説の噂は本当だったのか。
桃枝から進められて動画を見るようにしていたが――ケムッキーさんの情報は本当ってことか。スゲェな、あの人。
つまり『裏天皇』ってことだ。
ならば、俺がこのクソ組織をぶっ潰すしかないか。あるいは日本を脱出して……海外へ移住するか。選択肢はいくらでもある。
なら、俺がやるべきことは決まっている。
……“作戦”をここで発動する。
いったい全体どうなっているんだ、ここは。
少なくとも、かなりの奥深くまできたはず。
そんなところに、こんなモノがあるなんて……地下帝国でも築いているのか?
「現人神……いったい、何者なんだ」
「それは会えば分かること」
黒子のリーダーに連れられていく俺。
この先に『八咫烏』のボスがいるということか。
しばらく通路を歩き、ようやく広い空間に出た。薄暗くて、けれど和風な感じは変わらない。
地下の中なのに、日本庭園が続く。
よくもまぁここまで再現したものだ。
莫大な金が掛かっていそうだなと俺は思った。
「……でけぇ門だ」
「この先に“あのお方”はおられる」
「そうかよ。あんたも来るのか?」
「そんな恐れ多いことができるか。お前、一人でいくのだ」
「なんだって……?」
そんなことしていいのか。いざとなれば、俺は一人でも戦うけどな。
「ひとつ忠告しておくが、戦おうなど思わないことだ。いや、それは無理なんだがな」
門が自動的に開くと、奥の部屋が現れた。まるで玉座だな。
これまた薄暗い部屋に入った。
ここが……八咫烏のボス部屋ってところか。
てっきり、東京か京都辺りにあると思っていたのだが、まさか長野とは……そう勘づかれない為でもあるんだろうけど。
そうして俺は一人で奥へ向かった。
真ん中あたりまで歩くと――突然、頭上から何か降ってきやがった。
『――ガシャン』
金属音が響き、俺は焦った。
こ、これは……!
牢屋!?
「くそっ、なんだこれは!」
――そうか、さっき男が言っていたのはこのことか。
戦うのは無理とは、この牢屋が降ってくるから無駄だということか。最初から俺を閉じ込める気だったのか。
さすがに用心はしていたわけか。
気づけば、あの男の気配は消えていた。
他の黒子たちもいない。
あるのは異様な気配だけ。
ま、まさか『現人神』か。
奥にポツンとある玉座。その後方から現れる影。
全身が黒い布で覆われており、顔すら分からない。目元がこちらを向いているくらいだ。
なんだアレは。
あんなのが八咫烏の現人神? ボス?
ふざけんな。
『…………』
「あんたが八咫烏のボスか?」
「そうとも。私が八咫烏を統べる存在である」
……この声、女? いや、分からん。男っぽさもある。声だけでは判断がつかない。あの黒い布を引きはがして正体を突き止めないと。
だが、こんな牢屋の中では無理だ。手が届かない。
「へえ。それで……日本を乗っ取る気か? クーデターでも起こす気か?」
「その必要はない。日本は既に我々の手中にあるのだから」
一字一句丁寧に言葉を話す八咫烏の主。
ずっと昔から裏で操っているってことか……。よく聞かされる都市伝説の噂は本当だったのか。
桃枝から進められて動画を見るようにしていたが――ケムッキーさんの情報は本当ってことか。スゲェな、あの人。
つまり『裏天皇』ってことだ。
ならば、俺がこのクソ組織をぶっ潰すしかないか。あるいは日本を脱出して……海外へ移住するか。選択肢はいくらでもある。
なら、俺がやるべきことは決まっている。
……“作戦”をここで発動する。
2
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(13件)
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
俺も無人島に流されたい人生だった。
退会済ユーザのコメントです
退会済ユーザのコメントです