クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

文字の大きさ
28 / 287

便利なアイテム大量ゲット! スマホの充電も可能になった

しおりを挟む
 森の方がガサガサしていた。
 もしかして……動物か? と身構えていると、それは天音たちだった。

 そういえば、風呂(海水浴)へ行ってくると言っていたっけ。

「ただいまー!」
「な、なんだ。天音か」
「ん? どうしたの?」

 北上から告白されていたなんて言えるはずもない。
 悟られるわけにはいかないので、俺は気持ちを即座に切り替え話題を変えた。

「い、いや……なんでもないよ。それより、体はスッキリしたか」
「うん。この通り、服装も変わったよ」

 よく見ると、天音たちはジャージに着替えていた。うちの学校のヤツじゃん。


「そのジャージ、どうしたんだ!?」


 聞き返すと、ほっきーが答えてくれた。


「浜にスクールバッグが複数流れ着いていたんです。中を見たら、ジャージとか下着などの着替え、筆記用具や裁縫セット、救急セット……お菓子とか、その他にも漫画や小説、便利な道具らしきものも色々出てきました」

「おぉ!! 他の生徒の持ち物か。ありがたく使わせてもらおう」


 さっそく見せてもらうと、スクールバッグは全部で七つもあった。まるで七つ揃ったらどんな願いでも叶うアレみたいだな。

 生活レベルがグンと上がる予感!

 暇つぶしになりそうな漫画とか小説もあるとか……こりゃいい。

 他にも細かいアイテムがあるようだ。あとで精査しよう。


「へえ、いいな。ジャージは余ってないの? 俺ずっと学生服でさ……いい加減にラフな格好したかったんだよ」

「早坂くんの分もありますよぉ」


 ほっきーが取り出してくれた。

 ズボンの方に『天音』の文字が刺繍ししゅうされている。
 ……あれ、これは……天音さんのでは。

「なあ、天音」
「な、なによ……」

 顔を赤くしてモジモジする天音……って、まてよ。よぉぉぉく見たら、天音が着てるジャージって、俺のだ!!

 ズボンに『早坂』の苗字が刻まれている。

 ……マジっすか。

「それ俺のジャージ……」
「う、うるさいな。いいでしょ、別に」

 すっごく恥ずかしそうに天音は視線を外す。……つまり、俺は天音のジャージ着ろと。そう解釈してよろしいのだろうか。

 多分良いんだろうな。

 でも、サイズ合うのかな……。

 天音の体型かなり細いし、困ったぞ。
 ……まあ、多少伸び縮みするし、なんとかなるかな。

「じゃあ、遠慮なくジャージを借りるよ」
「大丈夫よ。早坂くん、太ってないし、イケるって」
「キツかったら交換してくれよ」
「その時考えるよ」

 他にも何かないかとバッグを漁ってみる。
 すると千年世がニヤッと笑っていた。
 なんだ、この小悪魔スマイル。

「早坂くん、良いモノ見つけましたよ~」
「ほぉ? 言ってみろ」

「じゃーん! モバイルバッテリーです! ちゃんとケーブルもあるんです」
「おぉ! すげえ! 誰の持ち物か分からないけど、しかもソーラー&LED付きのモバイルバッテリーか。こりゃいいッ! 最強のアイテムだ」


 これがあればスマホの充電ができるぞ。
 しかもソーラー付き。
 小型なので発電能力はそれほどないにしても、太陽光を使ってモバイルバッテリー自身を充電できる。

 容量は『15000mAh』もある。
 満タンなら、スマホを4,5回はフル充電できるぞ。

 なんて神器だ!


「え~、ほんと! わたしも充電したい」
「そうか、天音のアイフォンは無事だもんな。先に充電する?」
「ううん。早坂くんがお先にどうぞ。ライトいっぱい使って残量ないもんね」

 そうなんだよね。
 俺は今まで散々ライトとして代用してきた。

 おかげで電池残量は30%を切っていた。いよいよ電池切れも覚悟していたのだが、ここで最強のアイテムが登場してしまった。

 モバイルバッテリーがあれば、悩む必要もないな。

「悪いな、天音」
「いいよ、いいよ」


 獲得アイテムの件は、いったん後にした。

 先に飯だな。

 今日は、リコが採ってきたらしい怪しいキノコを……え?


「キノコぉ!?」


 リコが採りだしたのは“卵の形”をした白いキノコだった。

 俺はそれを見てゾッとした。

 俺の無駄知識トリビアが直ぐにそれを『タマゴタケモドキ』だと認識したからだ。

 まさか、そんなモンがあったとは!!


「これ、卵みたいで可愛くない~?」
「ちょ、リコ! それは猛毒キノコ・・・・・だぞ」

「……へ。ええッ!? も、猛毒なの、これ!!」
「ああ……『タマゴタケ』の方なら食用なんだが、そっちは猛毒キノコ。間違いないよ」

「そんなぁ……」


 がっくしと項垂れるリコ。
 素人ではキノコの判別はまず不可能だ。大体食用は難しいから食わない方が安全だ。ほとんど毒キノコだからな。

 俺はその昔、炎のように燃える『カエンタケ』に魅了されて毒キノコを調べまくった時期がある。その時の知識が役立ったな。

 ……あぁ、でも『タマゴタケ』は一度食ってみたいな。美味くて料理にも使えるようだし。


「余りの魚と……蛇でも食べよう」
「へ、蛇は遠慮しておきます……」


 すっかり意気消沈したリコは、トボトボと歩いて焚火の前に座った。みんなも続くように向かう。


「俺はもったいないから蛇を食うよ」
「勇気ありますね、早坂くん」
「北上さん……良かったら食うかい」

「あたしは遠慮しておきますね」

 某先生風に言わんでも……。
 ええい、仕方ない。
 貴重な食糧だからな、俺が食うさ。

 これ以上は鮮度も下がっていく一方だ。俺は別の場所で蛇を捌き、肉に加工した。


「……こんなところか」


 肉になってしまえば、蛇とは分からない形状となった。
 枝を串代わりにし、ぶっ刺して串焼きにする。

 ――だが、女子たちが嫌がっているんだよね。


「……早坂くん、それ……」
「天音、そんな目で俺を見るな。俺だって勇気を出して捌いたんだぞ」
「ま、まあ……お肉になっちゃえば分からないけど、形の名残が……」

「魚だって内臓取ったりしないと食えないだろ。それと一緒だ」
「それもそうだけど、慣れの問題かな」

 魚はまだ普通に料理として出てくるから、違和感はない。けど、普段は蛇なんて食わないからなあ。ニョロニョロでキモいし。

 だが、自然と向き合うとは、こういうことなのだ。グロいだとかイチイチ気にしていたら、生き残れない。

 俺は、なるべく女子たちから距離を取り、蛇肉を焼いていく。

 じゅうじゅうと音を立て、良い感じに表面が焼けていく。おぉ、これなら直ぐ完成しそうだ。


「飲み物です、早坂くん」
「ありがとう、北上さん。木製のコップ、人数分作ったんだ」
「暇さえあれば作っていますので。水もだいぶ確保しやすくなりましたからね。もちろん、煮沸消毒済みです」

「ありがとう、助かるよ」


 礼を言うと、北上は顔を赤くしていた。
 見つめ合っていると天音が介入し、俺の袖を引っ張った。


「早坂くんは、わたしと一緒にいればいいの」
「ちょ、天音……」

「いいのいいの。ピッタリくっついて」
「……近すぎるって」

 肩と肩が触れ合っている距離だ。
 北上も肩をくっ付けてきた。

 俺、天音と北上に挟まれてしまった……。

 二人とも目線でバチバチしているなあ。頼むから、仲良くしてくれよ。


 俺は焼けた蛇を食べながら、そう思った。


 お、美味い……鶏のササミっぽいな。あっさりしていて美味しいじゃん。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?

さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。 しかしあっさりと玉砕。 クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。 しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。 そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが…… 病み上がりなんで、こんなのです。 プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...