66 / 287
無人島、再び
しおりを挟む
ガタガタと揺れる飛行機。
かなり不安定だが……大丈夫なのだろうか。
隣に座る北上なんか、珍しく震えているし。
「ちょ、大丈夫か。北上さん」
「…………っ」
「お、おいおい。そんな顔するなんて珍しすぎだろう。無人島では自信満々だったじゃないか」
「じ、実は……飛行機はちょっと苦手でして」
「そうだったのか。知らなかったぞ」
俺の手を握ってくる北上さんは、なんだか気弱で今にも泣きそうだった。こんな風に怯えることなんてあったんだな。
珍しい光景を見つつも、俺も内心では少し不安があった。
このプライベートジェット、実はオンボロなんじゃないだろうな。
空は青い。
特に悪天候という心配はなさそうだが。
「乱気流とかじゃないよね」
後ろの席の天音がそうつぶやく。
ああ、飛行機にとっては天敵だ。
乱気流に巻き込まれれば、飛行機は操縦不能に陥ることもある。下手すりゃ、墜落だってありえる。
だけど、こんな場所で?
いや、ありえるのか。
「晴天乱気流かもね……」
「琴吹さん、詳しいね」
「まあね。それより今は祈った方がいいかも」
確かにな。それに、雲行きがいきなり怪しくなってきたぞ。ま、まさか……嵐じゃないだろうな。
今日の天気は『晴れ』だったはず。
ちゃんとネットとか気象情報も得ていたのだが。
だが、飛行機が進む方向は黒い雲に覆われていた。……嘘だろ。
俺は立ち上がって操縦室へ向かい、マーカスに聞いてみた。
「マーカスさん、天候が悪化していますよ。どうします?」
「計画に変更はないよ、ハヤサカ。君たちを無事に送り届けてみせる」
カッコイイ言い方をしているが、本当に大丈夫なのだろうか。
機体がグラグラ揺れ始めているし、なんか信用できなくなってきたぞ。
「ところで、島まであとどれくらいです?」
「飛ばしてきたからな。あと十五分というところだ」
早いな。もうそんな近いのか。
飛行機だから当然かな。
俺は席へ戻り、みんなにそのことを知らせた。
「そろそろ着くらしい」
「もうなんだ。意外と早いんだね」
とはいえ、飛び立ってから一時間以上は経過していた。ぼちぼちなのは確かだろう。
到着に備えていると、周囲が真っ暗になっていた。
「ちょ……ねえ、これヤバくない!?」
大伊が不安気に外を見つめる。
外は嵐になっていた。
強い雨が窓を叩く。
強風のせいで機体は酷く揺れていて……気分が悪くなってきた。乗り物酔いってレベルじゃないぞ、これは。
ジェットコースターだ。
「……北上さん、これはどうなっている! 天気は良いはずでは」
「そ、そうですね。調べた時は間違いなく晴天でした。なのに、なぜ」
やがて、機体は上下に激しく揺れた。
「うわ!!」「きゃ!!」「……くっ」「ちょ……マジ!?」「し、死ぬでしょ、これ!!」「……ひぃっ」
これ、下手すりゃ墜落するだろ。
もういい、お宝よりも命の方が大切だ。
俺は再びマーカスのところへ向かった。
「マーカスさん! 引き返せないのか!」
「残念だが、もう島の目の前でね。強行突破する」
「な、なんだってええええええええええ!?」
ギュゥゥゥン……と、恐ろしい轟音を鳴り響かせ、プライベートジェットが降下していく。そんな乱暴な!!
「まずい、肝心なことを忘れていた」
「え!? 肝心なこと!?」
「この島には滑走路がねぇ!!」
「ちょ……え、え、ええッ!? マーカスさん、プライベートジェットってそのまま降りれないの?」
「無理だ。十分な道がないと止まれないんだ。ヘリコプターじゃないんだぞ」
「どうするんです!?」
「仕方ない、森へ突っ込む」
あの俺たちがよく道として使っていた森か。
って、マジかよ!!
それって墜落じゃないか!!
「せめて砂浜は!?」
「高波で危険すぎる。それよりは森へ突っ込んだ方が生存率が高いだろう」
なんでそんな落ち着いているんだ、この人。
「どうすればいい!」
「ハヤサカたちは席に座り、ベルトを締め……姿勢を低くしているんだ。いいな」
「わ、分かったよ、マーカスさん」
俺は言われた通り、みんなにも指示を出した。
それからだった、プライベートジェットは森へ突っ込んで……バラバラに吹っ飛んだんだ。
激しい衝撃で俺は意識を失った。
* * *
ある日の帰り道。
女の子が狙われていた。
その子はウィンターダフネのアイドルで……みんなの憧れだった。
天音 愛のことは、俺は知っていた。
知っていたけど、知らない振りをしていた。
人気故に、ストーカーも多いことも知っていた。
「おい、お前……やめろ」
「あぁ!? なんだ、てめぇ」
これが最初で最後のケンカだった。
俺はサバイバル術で鍛えた肉体で、そのストーカーをぶちのめした。思えば、そいつは倉島だった。
なんで忘れていたんだろうな。
そうだ、倉島は天音を盗撮しまくっていた異常者だ。
多分あれからだろうな、倉島が狂ったのは。
幸いなことに、俺は殺されなかったけど船を転覆させるという恐ろしい計画を倉島は立てたんだ。
「――ありがとう」
覚えている。
天音の声だ。
俺は一度だけ、天音に会っていたんだ。
それも隣の席になる前の一年前に。
あぁ、だから天音は俺のこと知っていたし、好きになってくれたんだ。
思い出した。
思い出したよ。
……意識を取り戻すと、頬が冷たかった。そういえば、もう冬前だ。今はそれなりに寒いんだよな。
目を開けると、目の前は炎に包まれていた。
プライベートジェットは真っ二つに割れ、無惨な姿に。
よく生きていたな、俺。
他のみんなは!?
真っ二つになった機体は木々の間に引っ掛かったらしく、それで助かったようだ。運が良かったな。
下手すりゃ即死だったぞ。
森の奥の方に天音と北上の姿があった。
「二人とも! ケガは!?」
「……うぅ、早坂くん」
「天音、痛いところはあるか」
「へ、平気。なんとか生きてる」
「良かった」
北上も無事みたいな。
他のみんなの姿はない。
この分だと、マーカスは……怪しいかもしれない。いや、嘆くのはみんなの無事を確認してからだ。
俺は天音と北上を安全な場所に移し、残りの大伊と琴吹、草埜、そしてマーカスを探しに出た。
くそ、どうしてこう島に近づくと不幸な目に遭いやすいんだよ。
それから、マーカス以外の大伊、琴吹、草埜を発見。みんな無事だった。よく無事だった。重傷者はおらず、軽傷だけ。
装備や食料も無事だった。
着陸が酷かったものの、なんとかなったな。
でも、これではもう帰れないじゃないか……!
本州にいるリコたちに連絡を取るしかないな。
かなり不安定だが……大丈夫なのだろうか。
隣に座る北上なんか、珍しく震えているし。
「ちょ、大丈夫か。北上さん」
「…………っ」
「お、おいおい。そんな顔するなんて珍しすぎだろう。無人島では自信満々だったじゃないか」
「じ、実は……飛行機はちょっと苦手でして」
「そうだったのか。知らなかったぞ」
俺の手を握ってくる北上さんは、なんだか気弱で今にも泣きそうだった。こんな風に怯えることなんてあったんだな。
珍しい光景を見つつも、俺も内心では少し不安があった。
このプライベートジェット、実はオンボロなんじゃないだろうな。
空は青い。
特に悪天候という心配はなさそうだが。
「乱気流とかじゃないよね」
後ろの席の天音がそうつぶやく。
ああ、飛行機にとっては天敵だ。
乱気流に巻き込まれれば、飛行機は操縦不能に陥ることもある。下手すりゃ、墜落だってありえる。
だけど、こんな場所で?
いや、ありえるのか。
「晴天乱気流かもね……」
「琴吹さん、詳しいね」
「まあね。それより今は祈った方がいいかも」
確かにな。それに、雲行きがいきなり怪しくなってきたぞ。ま、まさか……嵐じゃないだろうな。
今日の天気は『晴れ』だったはず。
ちゃんとネットとか気象情報も得ていたのだが。
だが、飛行機が進む方向は黒い雲に覆われていた。……嘘だろ。
俺は立ち上がって操縦室へ向かい、マーカスに聞いてみた。
「マーカスさん、天候が悪化していますよ。どうします?」
「計画に変更はないよ、ハヤサカ。君たちを無事に送り届けてみせる」
カッコイイ言い方をしているが、本当に大丈夫なのだろうか。
機体がグラグラ揺れ始めているし、なんか信用できなくなってきたぞ。
「ところで、島まであとどれくらいです?」
「飛ばしてきたからな。あと十五分というところだ」
早いな。もうそんな近いのか。
飛行機だから当然かな。
俺は席へ戻り、みんなにそのことを知らせた。
「そろそろ着くらしい」
「もうなんだ。意外と早いんだね」
とはいえ、飛び立ってから一時間以上は経過していた。ぼちぼちなのは確かだろう。
到着に備えていると、周囲が真っ暗になっていた。
「ちょ……ねえ、これヤバくない!?」
大伊が不安気に外を見つめる。
外は嵐になっていた。
強い雨が窓を叩く。
強風のせいで機体は酷く揺れていて……気分が悪くなってきた。乗り物酔いってレベルじゃないぞ、これは。
ジェットコースターだ。
「……北上さん、これはどうなっている! 天気は良いはずでは」
「そ、そうですね。調べた時は間違いなく晴天でした。なのに、なぜ」
やがて、機体は上下に激しく揺れた。
「うわ!!」「きゃ!!」「……くっ」「ちょ……マジ!?」「し、死ぬでしょ、これ!!」「……ひぃっ」
これ、下手すりゃ墜落するだろ。
もういい、お宝よりも命の方が大切だ。
俺は再びマーカスのところへ向かった。
「マーカスさん! 引き返せないのか!」
「残念だが、もう島の目の前でね。強行突破する」
「な、なんだってええええええええええ!?」
ギュゥゥゥン……と、恐ろしい轟音を鳴り響かせ、プライベートジェットが降下していく。そんな乱暴な!!
「まずい、肝心なことを忘れていた」
「え!? 肝心なこと!?」
「この島には滑走路がねぇ!!」
「ちょ……え、え、ええッ!? マーカスさん、プライベートジェットってそのまま降りれないの?」
「無理だ。十分な道がないと止まれないんだ。ヘリコプターじゃないんだぞ」
「どうするんです!?」
「仕方ない、森へ突っ込む」
あの俺たちがよく道として使っていた森か。
って、マジかよ!!
それって墜落じゃないか!!
「せめて砂浜は!?」
「高波で危険すぎる。それよりは森へ突っ込んだ方が生存率が高いだろう」
なんでそんな落ち着いているんだ、この人。
「どうすればいい!」
「ハヤサカたちは席に座り、ベルトを締め……姿勢を低くしているんだ。いいな」
「わ、分かったよ、マーカスさん」
俺は言われた通り、みんなにも指示を出した。
それからだった、プライベートジェットは森へ突っ込んで……バラバラに吹っ飛んだんだ。
激しい衝撃で俺は意識を失った。
* * *
ある日の帰り道。
女の子が狙われていた。
その子はウィンターダフネのアイドルで……みんなの憧れだった。
天音 愛のことは、俺は知っていた。
知っていたけど、知らない振りをしていた。
人気故に、ストーカーも多いことも知っていた。
「おい、お前……やめろ」
「あぁ!? なんだ、てめぇ」
これが最初で最後のケンカだった。
俺はサバイバル術で鍛えた肉体で、そのストーカーをぶちのめした。思えば、そいつは倉島だった。
なんで忘れていたんだろうな。
そうだ、倉島は天音を盗撮しまくっていた異常者だ。
多分あれからだろうな、倉島が狂ったのは。
幸いなことに、俺は殺されなかったけど船を転覆させるという恐ろしい計画を倉島は立てたんだ。
「――ありがとう」
覚えている。
天音の声だ。
俺は一度だけ、天音に会っていたんだ。
それも隣の席になる前の一年前に。
あぁ、だから天音は俺のこと知っていたし、好きになってくれたんだ。
思い出した。
思い出したよ。
……意識を取り戻すと、頬が冷たかった。そういえば、もう冬前だ。今はそれなりに寒いんだよな。
目を開けると、目の前は炎に包まれていた。
プライベートジェットは真っ二つに割れ、無惨な姿に。
よく生きていたな、俺。
他のみんなは!?
真っ二つになった機体は木々の間に引っ掛かったらしく、それで助かったようだ。運が良かったな。
下手すりゃ即死だったぞ。
森の奥の方に天音と北上の姿があった。
「二人とも! ケガは!?」
「……うぅ、早坂くん」
「天音、痛いところはあるか」
「へ、平気。なんとか生きてる」
「良かった」
北上も無事みたいな。
他のみんなの姿はない。
この分だと、マーカスは……怪しいかもしれない。いや、嘆くのはみんなの無事を確認してからだ。
俺は天音と北上を安全な場所に移し、残りの大伊と琴吹、草埜、そしてマーカスを探しに出た。
くそ、どうしてこう島に近づくと不幸な目に遭いやすいんだよ。
それから、マーカス以外の大伊、琴吹、草埜を発見。みんな無事だった。よく無事だった。重傷者はおらず、軽傷だけ。
装備や食料も無事だった。
着陸が酷かったものの、なんとかなったな。
でも、これではもう帰れないじゃないか……!
本州にいるリコたちに連絡を取るしかないな。
20
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる