クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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財宝を狙う者たち上陸! 地下洞窟を目指せ

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 顔は分からないが、少なくとも十人ほどが交戦状態だった。
 この無人島にこんな人数の人間がいたとは……。

 恐らく片方はプロ集団。
 明らかに装備が違いすぎる。

 撃たれている方は二人らしい。……って二人!?


「これ以上は危険か。ていうか、この戦闘はいったい何なんだ」
「さあ、分かりません。ですが……この島の情報は世間に知られていますからね。財宝を狙った組織が上陸していたのかも」


 地上にいるのは危険……ということか。
 さっさと地下へ潜った方が良さそうだな。

 巻き込まれないよう、俺と北上はこの場を後にした。


 * * *


 再び洞窟へ戻った。
 天音たちは奥へ向かったようだ。
 俺と北上も洞窟の奥へ向かう。

「さっきの戦場だけどさ、マーカスさんもいたのかな」
「マーカスが組織的に動いていたとすれば……ありえそうですね」

 ということは、五人以上いた方か。
 プロ集団がマーカスの組織したものだとすれば……納得がいく。

 だとすれば、かなり危険な相手だ。

 もし敵対することになれば……相手はガチの軍人だ。勝てる見込みはかなり低い。

 どのみち逃げ場はないんだ。
 死に物狂いでがんばるしかない。


 洞窟の奥へ辿り着くと警戒している天音たちを発見した。


「早坂くん! 待っていたよぉ!」
「おう、天音。みんなも」


 とりあえず、無事らしい。
 さて、そうなると……ここも危険。地上が戦場となった以上、留まるのはリスクが高すぎる。


「ねえ、ねえ。外で何があったん?」
「良い質問だ、大伊さん。浜辺では戦闘があった」

「せ、戦闘!? ガチのヤツ?」
「ああ、ガチのだ。銃器が使われていたし、あれは殺し合いだった。財宝を狙ってプロ集団が上陸したんだ」


 皆がざわつく。
 プロ集団と聞いて不安が広がった。だけど、事実だ。嘘をついても仕方ないし、いざという時に心構えがないとな。


「うそでしょ……」


 ビビって顔を青くする草埜は、頭を抱えていた。こんなつもりはなかったと、言いたげな表情だ。
 気持ちは分かるけど、俺はちょっと覚悟していたんだよな。

 あれだけ連日、大々的にニュースになれば、きっといつか財宝を狙う連中が現れると思っていた。それは見事に的中したわけだ。

 だが、現れたのは本物の軍人だ。

 分が悪すぎる。

 こっちは高校生で素人だぞ。
 敵うはずもない。

 だけど。

 地図を持っているのは俺だ。
 俺の脳内に唯一手掛かりがあるんだ。

 だから俺と皆の命だけは保証できる。これが俺の唯一の武器だ。


「ここもいずれ人が来ると思う。その前に地下へ」
「でも、どうやって?」

 今度は琴吹が手を挙げた。

「前に田中とアキラってヤツが地下洞窟を探索していたんだ。この島の地下は迷宮なんだ。そのどこかにお宝は眠っているはず」

「そうなんだ。行き方は?」

「俺の脳内地図によれば……森ではなく、前に琴吹さんが隠れていた『トーチカ』なんだよ」

 情報を伝えると、俺以外の全員が……特に琴吹が仰天していた。

「う、うそ!? あのトーチカがお宝の在り処なの?」
「多分だけど、あのトーチカのどこかに地下へ繋がる通路があるんだよ」

 なぜか知らんが、偶然トーチカが建ってしまったけどな。
 果たして地下へ行けるどうか。

 まずはあの場所へ向かい、調査してみよう。


「だけどさ、戦闘が起きてるんでしょ? 行けるの?」
「心配するな、大伊さん。トーチカの場所は正反対だ。このまま出られるよ」


 この通路は本当は埋めるつもりだった。だけど、あの橘川や倉島との対決でその必要もなくなっていた。だから、開通はしたままだった。


「急ぎましょう、早坂くん。モタモタしているとプロ集団に目をつけられるかも」


 北上の言う通りだ。
 先を急ぐ。


 * * *


 ナイトビジョンを頼りに暗闇を進む。
 なんとかプロ集団と遭遇することなく、トーチカに辿り着いた。

 ここも久しぶりだな。

 この場所では琴吹と出会った。

「おぉ、あんまり変わっていないや!」

 懐かしいのか、琴吹が嬉しそうにしていた。ただ、ここカビ臭いんだけどね。

 中へ入って懐中電灯を点灯した。
 なるべく下に向けて光を漏らさないよう意識する。


「……以前来た時には異変は感じられなかった」
「そうだね、早坂くん。私も散々調べたけど、なにもなかったよ」

 そうか、琴吹も調査済みだったか。
 普通に考えたら、この床のあたりなのだが……コンクリで覆われているだけだ。剥がそうにもなぁ。

 となると爆薬を使うしかない。


「使いますか」
「察しがいいな、北上さん」
「ええ、こんなこともあろうかと……父の知り合いの建設会社から拝領した『ダイナマイト』を持参していますからね」


 万が一も考えて、北上にはダイナマイトを持ってきて貰っていた。洞窟が塞がっている場合もあるし、あと敵を倒すのにも使えるからな。……なんてな。

 あくまで岩を粉砕する為の使用だけどさ。


「床を爆破してみよう。セット頼めるか、北上さん」
「ええ。扱い方は心得ております。ただし、物凄い音がしますし……彼等にも伝わるでしょうね」

「そこが問題だ。バレずに地下へ潜りたいんだがなあ」

「難しいでしょうね。というか、ここで本当に合っているんです?」
「ああ、地図の本当の位置はここだ。間違いない」
「分かりました。ならば、爆破するしか」

 爆破を考えたその時。
 草埜が手を挙げた。

「爆破だとトーチカごと吹っ飛ぶでしょうが。なら、ツルハシを使うべきじゃない?」
「ああ、そうか! その手があった」

 草埜には道具類を持たせていたんだった。忘れていたよ。
 ツルハシならコンクリを静かに破砕できるぞ。

 ……よし、やるか。
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