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軍人を倒し、金銀財宝を運び出せ
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銃声の方へ視線を向けると、そこには――。
「な、なんでお前がここにいるんだ……千年世!」
あの小柄の可愛い女子は間違いない。
アメリカ製ボルト社のボルト・アナコンダを器用にホルスターに仕舞う千年世は、まるで西部劇さながらのハードボイルドだった。
「意外だったかな。お待たせ、みんな」
「いや、だから……なんで?」
「早坂くんたちのバイタルは、本州でモニターしてるってリコが言っていたでしょ。それが途絶えたからさ。だから助けにきた」
「どうやって?」
「細かいことは割愛するけどね……」
千年世によると、俺たちの乗ったプライベートジェットの貨物室に忍び込んでいたらしい。
落下時にパラシュートで島に降下したのだとか。んな、無茶な。
ていうか、いつのまに忍び込んでいたんだよ。
「ち、千年世ちゃん、よく無事だったね」
「いえ、これくらいあの訓練に比べればたいしたことないですよ~」
千年世は、天音に微笑んで俺の方へ――いや、マーカスを見下した。改めてアナコンダを取り出し、何度も撃ち続けた。
「ちょ……千年世、やりすぎだ」
「ちゃんと仕留めておかないと厄介だからね。それが北上さんからの教えだもん」
そりゃそうだが……まったく、北上から軍事訓練を受けてから、みんなたくましくなりすぎだ。
なんであれ、助かったが。
「北上さんが肩を撃たれた。安静にさせないと……天音、処置できるか?」
「うん、一応北上さんから教えて貰っているから」
包帯やガーゼを取り出す天音は、北上の治療に当たった。
俺はその間にマーカスの懐をまさぐった。
なにか情報はないか。
……あった。スマホだ。
幸い、指紋認証だ。マーカスの指を借りて俺はスマホのロックを解除した。
中身を見ていくが……当然、英語だ。
「どう? 早坂くん」
「楓。マーカスのスマホなんだが、俺は英語が苦手でね」
「なるほどね。じゃあ、貸してごらん」
「英語、読めるのか?」
「当然。これでも英語は得意なんだよ」
助かった。翻訳は楓に任せよう。
「スケジュールとかSNSを探れないか」
「おっけー」
スマホを器用にタップしていく楓。すると、なにやら引っ掛かる情報があったようだ。
「どうだ?」
「ホワイトウォーターの情報だね。作戦内容が綴られているみたい」
「マジか! 教えてくれ、その作戦とやらを」
「うん。この情報によると“宝島上陸作戦”が書かれてる。北上さんと早坂くんを誘導し、宝の在り処を探り出すってさ。財宝発見後、早坂くんたちを殺害とも書かれてる」
……そういう計画だったのか。
俺たちを最初から騙していたんだ。
最後には俺たちを抹殺する気でいたとか……最低だ。
「千年世、他に情報は?」
「あとはチームだね。マーカス、アレックス、オーウェン、ジェイク、ダリウスの五名」
ということは昨晩の五人の方は、ホワイトウォーターの軍人だったか。
「じゃあ、二人の方は……誰だったんだ?」
「二人? ああ、昨晩の戦闘を見ていたんだ」
「千年世、知ってるのか」
「うん。その二人って星と月ちゃんだね」
「もしかして織田姉妹か。双子の!」
「そそ。なぜかいたんだよね。ビックリしちゃった」
そうか、あの双子もいたんだな。
まさか軍人相手に戦闘していたとか……嘘だろ。何者だよ、あの二人。ていうか、無事なんだろうな。
「二人は平気か?」
「大丈夫だよ。二人とも逃げて別の場所にいるから」
そうか、また会えそうだな。あの双子とは、あれっきりだったからもう少し話してみたいと思っていたところだった。
それから北上の応急処置は終わった。
容体も安定しているようだ。
「北上さん、気分はどうだ?」
「……弾は貫通しています。それに、天音さんの処置が上手かったので、なんとか」
「そうか。無茶はしないでくれよ」
「はい、しばらくは御迷惑おかけします」
「いや、いいんだ。いつも守って貰ってばかりだから、今度は俺が北上さんを守るよ」
「なんと頼もしい」
嬉しそうに微笑むと、北上は気絶した。無茶しやがって。
「ねえ、早坂くん。財宝を今のうちに回収しないと」
「そうだな、天音。しかし、これほどの数だからな……全部は無理だ」
どうしたものかと悩んでいると、千年世がこう言った。
「大丈夫です。星ちゃんと月ちゃんを待機させてありますし、船もあるんです」
「おぉ、そうだったか。千年世がいて良かったよ」
「えへへ。もっと褒めてください」
「ああ、あとでいっぱい褒めてやる」
マーカスが掘ったという出入口を利用し、財宝を運ぶしかないな。
俺たちは可能な限り財宝を袋に詰めまくっていった。
……重ッ。
ていうか、袋でも入りきらないほどだ。
「まずい、これってもっと人手が欲しいんじゃない?」
草埜の言う通りだ。
土嚢袋程度の袋では、限界がありすぎた。全てを回収するのにも一週間は掛かるだろう。それほど金貨や銀貨は大量だ。
それだけじゃない。聖杯みたいな器や金の延べ棒、宝石類も大量だ。
「となると、残りの四人の軍人を排除しないと安全に運べないわけか」
「しょ、正気なの、早坂くん!!」
叫ぶ楓は、青ざめていた。
「どうせ襲われるんだ。こっちから動かないと」
「相手はプロなんだよ!? どう戦うっていうのさ」
「大丈夫だ。マーカスは倒せたんだ。ヤツから奪ったUZIIとか手榴弾もあるし……心もとないけど」
「それか罠を作るしかないんじゃない?」
「それだな」
罠を張り巡らせて叩き潰すしかない。
「まった。こんなこともあろうかと、銃を持ってきたよ」
「千年世……準備良すぎだろ。どこで手に入れた?」
「飛行機の中にあったよ。このアナコンダも荷物から拝借したの」
そういうことだったのか。
あのプライベートジェット機の中に武器が隠されていたんだ。
千年世からボルト・キングコブラを受け取った。
懐かしいな、この銃。
マーカスは、リボルバーの収集趣味でもあったのかな。
人数分のハンドガンを配布し、ホルスターに収めた。
「けど、マーカス以外はM4カービンやAK47を所持しているようだ」
「どうして分かるの?」
天音が質問をぶつけてきた。
「昨日の偵察さ。銃声で分かった。俺はよく動画サイトとかでミリタリーチャンネルを視聴していたから、確実だ」
しかし、なぜマーカスはUZIIだったんだろうな。好き好んで使っていたんだろうか。小型で軽量だから持ち運びしやすいのは分かるけど。
「じゃ、決定だね。財宝を無事に運ぶために軍人たちと戦う」
腹を決めたのか、大伊がそう決意を固めていた。続くように、天音や楓、草埜も奮起した。それから、北上も弱々しく。
「決まりだ。千年世、外にいる織田姉妹にも連絡取れるか?」
「うん、このトランシーバーでね!」
おぉ、懐かしい。
まだ壊れていなかったんだな、トランシーバー。
「な、なんでお前がここにいるんだ……千年世!」
あの小柄の可愛い女子は間違いない。
アメリカ製ボルト社のボルト・アナコンダを器用にホルスターに仕舞う千年世は、まるで西部劇さながらのハードボイルドだった。
「意外だったかな。お待たせ、みんな」
「いや、だから……なんで?」
「早坂くんたちのバイタルは、本州でモニターしてるってリコが言っていたでしょ。それが途絶えたからさ。だから助けにきた」
「どうやって?」
「細かいことは割愛するけどね……」
千年世によると、俺たちの乗ったプライベートジェットの貨物室に忍び込んでいたらしい。
落下時にパラシュートで島に降下したのだとか。んな、無茶な。
ていうか、いつのまに忍び込んでいたんだよ。
「ち、千年世ちゃん、よく無事だったね」
「いえ、これくらいあの訓練に比べればたいしたことないですよ~」
千年世は、天音に微笑んで俺の方へ――いや、マーカスを見下した。改めてアナコンダを取り出し、何度も撃ち続けた。
「ちょ……千年世、やりすぎだ」
「ちゃんと仕留めておかないと厄介だからね。それが北上さんからの教えだもん」
そりゃそうだが……まったく、北上から軍事訓練を受けてから、みんなたくましくなりすぎだ。
なんであれ、助かったが。
「北上さんが肩を撃たれた。安静にさせないと……天音、処置できるか?」
「うん、一応北上さんから教えて貰っているから」
包帯やガーゼを取り出す天音は、北上の治療に当たった。
俺はその間にマーカスの懐をまさぐった。
なにか情報はないか。
……あった。スマホだ。
幸い、指紋認証だ。マーカスの指を借りて俺はスマホのロックを解除した。
中身を見ていくが……当然、英語だ。
「どう? 早坂くん」
「楓。マーカスのスマホなんだが、俺は英語が苦手でね」
「なるほどね。じゃあ、貸してごらん」
「英語、読めるのか?」
「当然。これでも英語は得意なんだよ」
助かった。翻訳は楓に任せよう。
「スケジュールとかSNSを探れないか」
「おっけー」
スマホを器用にタップしていく楓。すると、なにやら引っ掛かる情報があったようだ。
「どうだ?」
「ホワイトウォーターの情報だね。作戦内容が綴られているみたい」
「マジか! 教えてくれ、その作戦とやらを」
「うん。この情報によると“宝島上陸作戦”が書かれてる。北上さんと早坂くんを誘導し、宝の在り処を探り出すってさ。財宝発見後、早坂くんたちを殺害とも書かれてる」
……そういう計画だったのか。
俺たちを最初から騙していたんだ。
最後には俺たちを抹殺する気でいたとか……最低だ。
「千年世、他に情報は?」
「あとはチームだね。マーカス、アレックス、オーウェン、ジェイク、ダリウスの五名」
ということは昨晩の五人の方は、ホワイトウォーターの軍人だったか。
「じゃあ、二人の方は……誰だったんだ?」
「二人? ああ、昨晩の戦闘を見ていたんだ」
「千年世、知ってるのか」
「うん。その二人って星と月ちゃんだね」
「もしかして織田姉妹か。双子の!」
「そそ。なぜかいたんだよね。ビックリしちゃった」
そうか、あの双子もいたんだな。
まさか軍人相手に戦闘していたとか……嘘だろ。何者だよ、あの二人。ていうか、無事なんだろうな。
「二人は平気か?」
「大丈夫だよ。二人とも逃げて別の場所にいるから」
そうか、また会えそうだな。あの双子とは、あれっきりだったからもう少し話してみたいと思っていたところだった。
それから北上の応急処置は終わった。
容体も安定しているようだ。
「北上さん、気分はどうだ?」
「……弾は貫通しています。それに、天音さんの処置が上手かったので、なんとか」
「そうか。無茶はしないでくれよ」
「はい、しばらくは御迷惑おかけします」
「いや、いいんだ。いつも守って貰ってばかりだから、今度は俺が北上さんを守るよ」
「なんと頼もしい」
嬉しそうに微笑むと、北上は気絶した。無茶しやがって。
「ねえ、早坂くん。財宝を今のうちに回収しないと」
「そうだな、天音。しかし、これほどの数だからな……全部は無理だ」
どうしたものかと悩んでいると、千年世がこう言った。
「大丈夫です。星ちゃんと月ちゃんを待機させてありますし、船もあるんです」
「おぉ、そうだったか。千年世がいて良かったよ」
「えへへ。もっと褒めてください」
「ああ、あとでいっぱい褒めてやる」
マーカスが掘ったという出入口を利用し、財宝を運ぶしかないな。
俺たちは可能な限り財宝を袋に詰めまくっていった。
……重ッ。
ていうか、袋でも入りきらないほどだ。
「まずい、これってもっと人手が欲しいんじゃない?」
草埜の言う通りだ。
土嚢袋程度の袋では、限界がありすぎた。全てを回収するのにも一週間は掛かるだろう。それほど金貨や銀貨は大量だ。
それだけじゃない。聖杯みたいな器や金の延べ棒、宝石類も大量だ。
「となると、残りの四人の軍人を排除しないと安全に運べないわけか」
「しょ、正気なの、早坂くん!!」
叫ぶ楓は、青ざめていた。
「どうせ襲われるんだ。こっちから動かないと」
「相手はプロなんだよ!? どう戦うっていうのさ」
「大丈夫だ。マーカスは倒せたんだ。ヤツから奪ったUZIIとか手榴弾もあるし……心もとないけど」
「それか罠を作るしかないんじゃない?」
「それだな」
罠を張り巡らせて叩き潰すしかない。
「まった。こんなこともあろうかと、銃を持ってきたよ」
「千年世……準備良すぎだろ。どこで手に入れた?」
「飛行機の中にあったよ。このアナコンダも荷物から拝借したの」
そういうことだったのか。
あのプライベートジェット機の中に武器が隠されていたんだ。
千年世からボルト・キングコブラを受け取った。
懐かしいな、この銃。
マーカスは、リボルバーの収集趣味でもあったのかな。
人数分のハンドガンを配布し、ホルスターに収めた。
「けど、マーカス以外はM4カービンやAK47を所持しているようだ」
「どうして分かるの?」
天音が質問をぶつけてきた。
「昨日の偵察さ。銃声で分かった。俺はよく動画サイトとかでミリタリーチャンネルを視聴していたから、確実だ」
しかし、なぜマーカスはUZIIだったんだろうな。好き好んで使っていたんだろうか。小型で軽量だから持ち運びしやすいのは分かるけど。
「じゃ、決定だね。財宝を無事に運ぶために軍人たちと戦う」
腹を決めたのか、大伊がそう決意を固めていた。続くように、天音や楓、草埜も奮起した。それから、北上も弱々しく。
「決まりだ。千年世、外にいる織田姉妹にも連絡取れるか?」
「うん、このトランシーバーでね!」
おぉ、懐かしい。
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