クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

文字の大きさ
79 / 288

天音さんの治療技術とチーム再編成

しおりを挟む
 千年世と離れ、俺は北上の様子を見た。

「気分はどうだい、北上さん」
「大丈夫です。この程度では死にはしません」

 いつものクールな表情で言った。
 強がりなのか何なのか。今ぐらいは素直になってもいいと思うけど、これが彼女だ。

 だが、肩は血で滲んでいる。
 天音が包帯を巻いてくれてはいるが、それでもなかなかに痛々しい。感染症とか大丈夫かな。こんな洞窟だし。

「傷口は縫ったの?」
「ええ、天音さんには治療技術を磨いて貰ったので」
「へえ、天音ってそんな器用だったなんて」
「彼女はもともと看護師を目指していたようですよ。だから、腕はかなりのものです」

「天音が!? 現役アイドルなのに?」
「アイドル業は、親の関係者からのスカウトだそうで」

 マジか。そんな話は俺にはしてくれなかったけどなぁ。……いや、けど聞く限りコネっぽい感じだから、そう思われたくなかったのかな。

 ということは、アイドルのスカウトがなかったら、将来は看護師だったんだな。

 北上から聞く限り、かなり勉強していたようだ。
 だが、アイドルの話が来てからは歌や踊りを積極的に頑張るようになったようだな。今や、知名度抜群のウィンターダフネのメンバーの一人か。

 とはいえ、今は無人島事件の影響で活動は自粛中。

 このままフェードアウトするのではと、ネット界隈でも囁かれているほどだ。


「そうか。なら、北上さんの傷も癒えそうだな」
「大ケガも想定していたので医療品を持参しておいて良かったです」
「ていうかモルヒネなんてどこで入手したんだよ。普通、売ってないだろ」

「モルヒネはマーカスの所持品から拝借したんです。かなり前ですけどね」

 そういうことだったのか。
 やっと納得できた。

 そして、気づけばもう昼を過ぎていた。あれから結構時間が経ったな。

 腹も減ってきたが、食糧を節約しなければならない。
 こんな洞窟では食べられるものなんてないだろうからなぁ……。手持ちだけでがんばるしかない。

「水は大丈夫だな。よし、コーヒーでも作るか」
「いいね、私も手伝うよ~。みんなの分を作っておこ」
「じゃあ、インスタントコーヒーの用意を頼む」
「了解!」

 その間、俺はお湯を作る。
 リュックの中からキャンプ用ガスコンロを取り出した。スノーパーク製のお値段もする良品だ。高かったが、組み立ててガス缶をはめるだけでコンロになるシンプルでオシャレな製品だ。
 以前なら焚火をしていたところだが、こんなところでは薪なんて確保できない。

 漂流時代とは違い、装備が十分にあるから便利なアイテムをどんどん使っていこう。


 カップに水を注ぎ、あとは火をつけるだけ。ボタンをカチっとやるだけで一発で点火だ。なんて楽なんだ。


「おぉ~、ガスコンロいいねえ~」


 お風呂から戻ってきた楓が俺の隣に座った。……ボディソープの良い匂いがする。


「いいだろ、これ。軽量コンパクトで持ち運びしやすいから気に入っているんだ」
「良いコンロだね。コーヒー作ってるんだ?」

「ああ、千年世が全員分のコップを用意してくれている。しかもこれ、チタンマグなんだ」

「チタンマグ?」

 スノーパーク製のチタンマグ。一個三千円と値段はするが、軽量で頑丈。シングルタイプなので“直火”も出来る優れものだ。

 それを説明すると楓は「すごっ!」と驚いていた。

「ソロキャンとかしている人は、チタンマグを炙って自分色に染めている人もいる」
「はえ~、早坂くんって本当にいろいろ知っているんだね」

「そういう楓だって北上さんと同じ、サバゲ―女子じゃないか」
「いやいや、あのガチ勢の絆には負けるよ」

 今はまた眠っている北上。
 薬が効いているのだろうな。
 寝顔は最強に可愛い。

 こっそり写真撮っておけば良かったな。

「北上さんって絶対、軍人だよね」
「まず、お父さんが軍人だもんね。たまに海外で訓練を受けているようだし、射撃場で実銃を撃ったりもしているとか。動画を見せてもらったことあるよ」

 幼い頃から兵士として育てられてきたんだろうな。でなければ、あんな動きとか銃器の扱いなんて出来ないって。
 軍事関係なら、俺よりも詳しそうだし。

 本当、アメリカ軍からお呼びが掛かってもおかしくないぞ。


 話しているとコーヒーが沸騰した。
 これで一個目完成だ。


「はい、楓。熱いから気を付けて」
「ありがとう、早坂くん」


 俺は二個目のコーヒーも沸かしていく。作業を繰り返していると天音たちもお風呂から上がってきた。随分と掛かっていたな。


「お待たせ~」
「おう。こっちはコーヒー作ってた。昼はこれで我慢してくれ」

「わぁ、良い香り」
「インスタントコーヒーだけどな」

「ううん、とても贅沢だと思う。前なんてお茶を飲むのにも一苦労だったし」
「それもそうか」

 笑いながらも俺はコーヒーを振舞っていく。全員に配り終え、俺もコーヒーを味わっていく。

 まずは冷まして――それからゆっくりと口をつけていく。……う~ん、コクがあって味わい深い。インスタントなのに、高級豆のような感じさえある。


 まったりとした昼を楽しみ、休憩後……いよいよ、脱出する為の突破口を探しに行くことに。だが、北上がダウン中だ。眠っているので起こすわけにはいかない。



「俺、天音、楓にしようと思う」

「え~! 私はお留守番!?」
「分かってくれ、千年世。君は優れた能力を持っているから、みんなを守ってやってくれ」
「うぅ~、仕方ないかぁ。分かった。早坂くんの命令だから従う」


 それはありがたい。
 財宝部屋を任せ、俺チームは再び周囲を探索だ。


「がんばろうね、早坂くん」

「ああ、天音。楓も頼むよ」

「あいよ~。準備するねー」


 決まったところで、出発。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~

桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。 高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。 見知らずの後輩である自分になぜと思った。 でも、ふりならいいかと快諾する。 すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...