クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

文字の大きさ
83 / 287

洞窟脱出! チェーンソー男のDIY

しおりを挟む
 俺はアキラの元へ向かった。
 しかし、岩陰にはヤツの姿はなかった。

 しまった、逃げたのか……!


「アキラってヤツ、どこにもいないよ!?」


 天音も一緒になって探してくれる。どこだ、どこへ行った!? あの足では、そう遠くへは逃げられないはずだけど……。

 楓もキョロキョロと周囲を探してくれているが――だめか。


「見失った。まあいい、あの傷なら助からないだろ」
「探さなくていいの?」
「血を流していたし、勝手に自滅するんじゃないか」
「そうだね、結構な傷だったし」

 周囲を警戒しつつも、楓は納得してくれた。

「天音もそれでいいか」
「発見したら対処するしかないね」
「今はそうしよう。それより、ロープだ」


 地上の森から垂れているロープ。これを登れば出られる。ちゃんと固定されているかチェックすると、無事だった。登れそうだな。

 よし、試しに地上へ上がってみるか。

「の、登るの?」
「確認するだけ。天音たちはそこにいてくれ」
「分かった」

 俺はロープに掴まって、どんどん上がっていく。洞窟からは約五メートルってところかな。転落すれば骨折はするだろう。気を付けていかないと。

 でも、一度登っているから、あの時の要領でいけば――よし。

 十分も掛からず地上へ出られた。

 久しぶりに緑を見た。

 周囲は静かで自然の音しかしない。……人の気配はないな。こっちはまだバレていないらしい。

 あの田中とアキラがいたけど、アイツ等がいただけかな。

 しかし、ロープで上り下りが大変すぎるな。
 自作してハシゴを作る必要がありそうだ。となれば、俺がやるしかないか。

 洞窟の中で見守る天音と楓。
 俺は二人に対し「ハシゴを作るから、待っていてくれ」と伝えた。

「え、でもっ……」
「天音、安心しろ。楓が守ってくれるさ。そうだろう?」

 話を振ると楓は、胸を張って応えてくれた。

「もちろんだよ。天音さんの護衛は任せてちょうだい! アキラが現れたら瞬殺してやるさ」

 なんと頼もしい。
 ……さて、俺はハシゴを自作する。

 まずは丸太を集めていく。
 できれば、五メートルを超えるものがいいが、そんな都合の良い長さのものはないだろうな。

 木を切り倒すしかないか。
 この森の木々は五メートルを優に超える高さだ。

 一本図太いのを倒せれば吊り橋になるな。


 あの洞窟は少し傾斜になっているから、図太い木を斜めにぶっ刺せば上り下りが可能になるだろう。そのプランでいくか!


 となれば、あとは木をどうやって切断するか。


 斧があればいいのだが、生憎、銃と爆弾しかない。……爆弾か。これでいけるが、軍人たちに勘付かれる可能性があるな。爆弾は使えないか……。

 いやだが、手っ取り早くいくならC4か手榴弾でドカンとやるのがいいだろう。

 どうにかして使えないものか。


 悩んだ挙句――爆弾の使用はやめた。リスクが高すぎるな。なるべく音を出さずに木を切り倒したい。


 そうなると斧とかナタが欲しい。
 飛行機へ行ってみるか。


 俺は森の中を突き進み、飛行機の墜落した現場へ向かった。道はそれとなく覚えている。ここから十分ほど歩いた場所だ。

 茂みを進んでいくと、プライベートジェットの残骸が見えてきた。


 ここだ。


 なにか装備が残っていないかと地面を探す。
 ん~…ゴミしかないな。


 探すこと五分。
 飛行機の荷室らしき場所を見つけ、持ち出せなかった装備があった。
 おぉ、残っていたんだな。

 斧もあった。
 薪割り用のヤツだ。だが、それよりも、もっと良いものを見つけた。


「マジか。チェーンソーあるじゃん。気づかなかったな」


 恐らく、マーカスの持ち物だろうな。
 俺はチェーンソーを持ち、再び洞窟前へ戻った。


 さっそく、スーパーキコリタイムだ。


 良さげな木を見繕い、俺はチェーンソーを起動した。ぶるんぶるんと激しくチェーンが回転する。

 俺の知識によれば『追い口切り』という方法がある。まず、受け口に三角形の切り込みを入れるんだよな。で、追い口に更に切り込みを入れると、受け口側に木が倒れるってわけだ。


 まずは受け口に三角形を作る。


 俺は慎重にチェンソーで切り込んでいく。……よし、上出来。上手くいった。あとは追い口から切り込んでいけば、木は倒れる。

 スッとスライドさせていくと――。


『メキメキメキ…………バタン』


 と、大木が見事に倒れた。
 おぉ、ちょっと感動した。
 林業もいけるかもな、俺。


 あとは大木を洞窟へ差し込むだけだ。重労働だが、押していくしかない。だが、普通に押していたら大変なので、木の下に丸太を敷いていく。それをローラーコンベアのイメージで並べていった。

 こうすれば、比較的楽に大木を運べるというわけだ。


 三十分ほどで仕事を終え、あとは押していく!


 気合を入れて俺は大木を流した。
 ローラーコンベアの丸太が見事に功を奏して、簡単に進んでくれた。あっさり洞窟まで運搬でき、あとはぶっ刺すだけ。

 気合で洞窟へ落とした。


『ズドン……!』


 少し音が響いて、下にいた天音と楓が何事かと顔を出した。


「よう、二人とも。これで上り下りが楽になったぞ」


「え、ええ!? 早坂くん、凄すぎない!?」
「こんな大木をよく切り落とせましたね……ていうか、運べましたね」


 二人ともビックリして俺を見ていた。
 ふっふふ。
 もっと褒めてくれ!

「ああ、ちょっとチェーンソー男になっていた」
「ま、まさかぁ~」
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?

さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。 しかしあっさりと玉砕。 クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。 しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。 そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが…… 病み上がりなんで、こんなのです。 プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...