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【番外編】 北上さんとキングコブラ
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倉島を倒して一日。
ヤツの回転式拳銃『キングコブラ』を手入れする北上さん。俺にはその光景が物騒に見えたが、頼りになるなとも感じた。
普通、女子高生が銃器の扱いなんて出来るわけがない。でも北上さんは軍隊の知識があるようだし、普通ではないのだろう。
「ただのサバゲー女子ではなかったな」
「いえ、あたしはただのサバゲーオタクですよ」
「分かりやすい嘘を。普通、ナイフで弾丸を切れないって」
「軌道さえちゃんと見ていれば可能ですよ」
いやいや、不可能だって。
それにしても、洞窟拠点から離れてこんな森の奥深くまで来てしまった。倉島や橘川の仲間がまだ潜んでいないかと見回りをしていたからだ。
もうこれ以上の敵はいないと信じたいが――倉島と橘川には散々苦しめられたからな。用心するに越したことはないのだ。
「大丈夫じゃないか? そろそろ戻ろうぜ」
「そうですね。これ以上進んでも日が暮れるだけですし――って、啓くん!!」
突然、北上さんが叫んで俺に覆いかぶさってきた。北上さんの巨乳に押しつぶされた俺は、そのまま地面に伏せるように叩きつけられてしまった。
「うわ!?」
幸い、柔らかい地面のおかげで怪我することはなかった。でも、後頭部に北上さんの胸が触れていた。……こ、これはどうして。
「そのまま伏せていて!」
「いきなりなんだよ……」
「シッ。静かに」
静かにって……頭の上に柔らかいものがあって、それどころじゃないのだが!
混乱していると森の奥から、只ならぬ気配があった。
『――――シャアァァァ』
あのニョロニョロ……まさかヘビか!
しかも、あの種類は……。
「北上さん、あれはどう見ても『キングコブラ』だ! あんなのこんな無人島に生息していないだろ! おかしいだろ!」
「落ち着いてください。あたしだってワケが分からないのですから」
どういうことだ。
キングコブラは普通、インドとかタイにいるヘビだぞ。日本にいたら大事件だぞ。
「象をも咬み殺す猛毒なんだよな」
「正解です、啓くん。成人男性二十名分の致死量に相当するとも言います。キングコブラに噛まれたら、まず助からない。しかも、あの個体は五メートル以上。図体が大きいです」
ニョロニョロと張ってくるキングコブラ。前にもヘビを相手にしたが、あの個体を優に超えるバケモノだ。こんなのがなぜ、こんな島に!
「逃げた方がいいんじゃないか」
「……逃げたいんですか」
「いや、逃げないと噛まれて危ないじゃん!?」
「啓くん、この状況を楽しんでくれてもいいのに」
「楽しめるかっ!!」
って、まさかこの密着状態のことか!?
そんな場合か!
死ぬぞ!!
「仕方ないですね。耳を塞いでいてください」
スチャっと銃の方の『キングコブラ』を構える北上さん。マジかよ。俺が下にいるっていうのに、撃つ気かよ!!
俺はなんとか両手で耳を塞いだ。
次の瞬間――。
『ズドオオオオオオオオオォォォ……!!』
凄まじい銃声が響いて俺は耳がキ~ンとなった。さ、さすがボルト社のキングコブラ。恐ろしい破壊音。これならあのヘビもお陀仏だ。
「どうだ? 北上さん!」
「あたしとしたことが、外してしまいました……」
「はぁ!? なにしてんだよぉ!?」
「その、胸元に啓くんがいると思うと緊張してしまって……てへっ」
「てへっ、じゃねぇ~~~~~~!!!」
気づけば、目の前にキングコブラがいた。
舌を出したり引っ込めたり、チリチリとさせて気色悪い。ちなみに、あれは方向を知る為の行動らしい。無駄知識だな。
俺は北上さんを抱きかかえて起き上がらせた。
「ちょっ! どこを触っているのです……」
「頬を赤らめている場合か! ちょっと離れていてくれ」
俺は隠し持っていたデザートイーグルで一発の弾丸を放った。最後の一発だったんだがな。
『ドゴオオオオオオオオオオオオオオオ……!!!!!』
一瞬で到達する弾丸は、キングコブラを仕留めた。今や動かなくなって絶命していた。
「啓くん! 怖かったです……」
大胆に抱きついてくる北上さんは、怯えて震えていた。
「ちょ、演技なら止せ! 北上さん、そういうキャラじゃないだろっ」
「酷いですよ~…。これでも、女の子なんですから」
一応、目尻に涙を溜めていた。
やれやれ、仕方ないな。
俺は抱きしめて慰めてやった。
北上さんは嬉しそうに抱きついてきて――笑っていた。
あぁ、やっぱり俺に抱きつきたかっただけじゃん。でもいいか、終わりよければ全て良しってヤツだ。
「帰ろうか」
「はい、啓くん。恋人繋ぎして帰りましょう」
手をぎゅっと握られてしまった。
北上さんは本当に不思議な人だ。
強くて、たまにか弱いところもあって……カッコよくて可愛いんだ。ミステリアスな彼女が好きだな。
ヤツの回転式拳銃『キングコブラ』を手入れする北上さん。俺にはその光景が物騒に見えたが、頼りになるなとも感じた。
普通、女子高生が銃器の扱いなんて出来るわけがない。でも北上さんは軍隊の知識があるようだし、普通ではないのだろう。
「ただのサバゲー女子ではなかったな」
「いえ、あたしはただのサバゲーオタクですよ」
「分かりやすい嘘を。普通、ナイフで弾丸を切れないって」
「軌道さえちゃんと見ていれば可能ですよ」
いやいや、不可能だって。
それにしても、洞窟拠点から離れてこんな森の奥深くまで来てしまった。倉島や橘川の仲間がまだ潜んでいないかと見回りをしていたからだ。
もうこれ以上の敵はいないと信じたいが――倉島と橘川には散々苦しめられたからな。用心するに越したことはないのだ。
「大丈夫じゃないか? そろそろ戻ろうぜ」
「そうですね。これ以上進んでも日が暮れるだけですし――って、啓くん!!」
突然、北上さんが叫んで俺に覆いかぶさってきた。北上さんの巨乳に押しつぶされた俺は、そのまま地面に伏せるように叩きつけられてしまった。
「うわ!?」
幸い、柔らかい地面のおかげで怪我することはなかった。でも、後頭部に北上さんの胸が触れていた。……こ、これはどうして。
「そのまま伏せていて!」
「いきなりなんだよ……」
「シッ。静かに」
静かにって……頭の上に柔らかいものがあって、それどころじゃないのだが!
混乱していると森の奥から、只ならぬ気配があった。
『――――シャアァァァ』
あのニョロニョロ……まさかヘビか!
しかも、あの種類は……。
「北上さん、あれはどう見ても『キングコブラ』だ! あんなのこんな無人島に生息していないだろ! おかしいだろ!」
「落ち着いてください。あたしだってワケが分からないのですから」
どういうことだ。
キングコブラは普通、インドとかタイにいるヘビだぞ。日本にいたら大事件だぞ。
「象をも咬み殺す猛毒なんだよな」
「正解です、啓くん。成人男性二十名分の致死量に相当するとも言います。キングコブラに噛まれたら、まず助からない。しかも、あの個体は五メートル以上。図体が大きいです」
ニョロニョロと張ってくるキングコブラ。前にもヘビを相手にしたが、あの個体を優に超えるバケモノだ。こんなのがなぜ、こんな島に!
「逃げた方がいいんじゃないか」
「……逃げたいんですか」
「いや、逃げないと噛まれて危ないじゃん!?」
「啓くん、この状況を楽しんでくれてもいいのに」
「楽しめるかっ!!」
って、まさかこの密着状態のことか!?
そんな場合か!
死ぬぞ!!
「仕方ないですね。耳を塞いでいてください」
スチャっと銃の方の『キングコブラ』を構える北上さん。マジかよ。俺が下にいるっていうのに、撃つ気かよ!!
俺はなんとか両手で耳を塞いだ。
次の瞬間――。
『ズドオオオオオオオオオォォォ……!!』
凄まじい銃声が響いて俺は耳がキ~ンとなった。さ、さすがボルト社のキングコブラ。恐ろしい破壊音。これならあのヘビもお陀仏だ。
「どうだ? 北上さん!」
「あたしとしたことが、外してしまいました……」
「はぁ!? なにしてんだよぉ!?」
「その、胸元に啓くんがいると思うと緊張してしまって……てへっ」
「てへっ、じゃねぇ~~~~~~!!!」
気づけば、目の前にキングコブラがいた。
舌を出したり引っ込めたり、チリチリとさせて気色悪い。ちなみに、あれは方向を知る為の行動らしい。無駄知識だな。
俺は北上さんを抱きかかえて起き上がらせた。
「ちょっ! どこを触っているのです……」
「頬を赤らめている場合か! ちょっと離れていてくれ」
俺は隠し持っていたデザートイーグルで一発の弾丸を放った。最後の一発だったんだがな。
『ドゴオオオオオオオオオオオオオオオ……!!!!!』
一瞬で到達する弾丸は、キングコブラを仕留めた。今や動かなくなって絶命していた。
「啓くん! 怖かったです……」
大胆に抱きついてくる北上さんは、怯えて震えていた。
「ちょ、演技なら止せ! 北上さん、そういうキャラじゃないだろっ」
「酷いですよ~…。これでも、女の子なんですから」
一応、目尻に涙を溜めていた。
やれやれ、仕方ないな。
俺は抱きしめて慰めてやった。
北上さんは嬉しそうに抱きついてきて――笑っていた。
あぁ、やっぱり俺に抱きつきたかっただけじゃん。でもいいか、終わりよければ全て良しってヤツだ。
「帰ろうか」
「はい、啓くん。恋人繋ぎして帰りましょう」
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