99 / 287
戦士の帰還 精密射撃の嵐
しおりを挟む
食人族たちが、さっきのテロ組織の男達を調理していた。
なんちゅう光景だ。
最悪だァ……。
俺たちも、あんな風に食べられるのか!?
やべぇ、やべぇぞ!!
なにか良い脱出方法がないかと模索するが……なかった。万事休す!
「どうしたもんかね……。このままだとヤツ等の胃袋の中だ」
「ちょっと、早坂くん! 酷い事と言わないで!」
滝のように涙を流す天音は、気が狂っていた。いかんな。
「ナイフはありますが」
「そうだった! 北上さん、ナイフがあるじゃないか!」
「ただ、牢全体を覆うトゲが危険すぎて大怪我する恐れが」
「マジかよぉ……」
やはり、千年世に期待するしかないかな。今頃は縄を脱出している頃だと信じたい。少なくともテロ組織の脅威は消え去ったのだから。
――それにしても。
テロ組織の男がバリバリ食われてる。うおぇ……。
さすがの北上さんも目を背けている。天音は頭を抱えて完全に沈黙。
「……エグすぎる」
「啓くん、よく平気ですね……」
「まあ、俺はグロ耐性が無駄にあるからな。自慢じゃないが、グロ映画や映像なんて何千、何万と見てきた男だ。これくらいはギリ耐えられる」
とはいえ、リアルを目の当たりにすると足くらいは震えたが。
それから時間は経過していく……。
捕まってから半日が経過して、日が落ちてきた。
食人族は夕飯の準備を始めていた。
包丁を研ぎながら、こちらを見ている。……怖ェ。てか、なんか選ばられている気が。
どうやら、天音か北上さんどちらを食うかで揉めているようだ。
「ねえ、早坂くん……まさか」
「察しがいいな、天音。そうだ。ヤツ等は、天音か北上さん、どちらを夕飯にするかで揉めているようだ。良かったな」
「良くないよ!? てか、食べられちゃう!!」
「叫ぶな、天音。奴等を怒らせるだけだ」
「…………うぅ。だって、だってぇ……」
「気持ちはよく分かる。今は、千年世を信じよう」
しかし、千年世が現れる気配はなかった。
それどころか、夕飯が天音に決まってしまったようだ。
「え、え、ええ~~~!? わ、わたしなんて食べても美味しくないよ!! てか、助けてよ!!」
抵抗しようにも向こうは毒矢を向けてきた。……くそ、これでは瞬殺されるのがオチだ。
どうする……どうする。
俺の命に代えても天音を守るしかないか!!
だが、北上さんを巻きこむ可能性もある。
「北上さん、一か八か」
「動かないでください」
「だが!! 天音が食われるぞ!!」
「分かっています。いざとなれば、食人族を抹殺しますから」
「今がそのタイミングじゃないのか!?」
「まあ、待ってください」
何を待てばいいんだ。
千年世は来ないし……期待できない。
俺が動くしかないだろう。
けれど、天音が連れて行かれてしまった。
「天音!!」
「早坂くん……きゃっ」
しばられて連行されていく。
少し離れた場所でロープでグルグル巻きにされてしまった。それから食人族達が儀式を始めた。二十人ほど集まって……いよいよってことか。
「天音! 直ぐ助けに行くからな!」
「う、うん……信じてるからね」
俺は強引にでも牢を抜けようと格子に手を伸ばそうとするが、北上さんに遮られた。
「触れてはいけません」
「天音が殺されようとしているんだ! 見過ごせるわけないだろ」
「そのトゲは恐らく毒。罠なんです」
「な、なんだって……」
「白い液体の出る植物は、大抵毒なんですよ」
「じゃあ、ナイフでなんとかしてくれよ」
「分かりました。襲われるリスクも高いですが、やってみます」
「急いでくれ!」
北上さんは、ヤツ等が儀式に集中していることを確認し、ナイフで格子を切っていく。木製で良かったな。だけど、トゲに気を付けないと。
もうすぐで格子が切り落とせそうになった、その時。
食人族が槍を天音に向けた。
ま、まさか!!
「いやあああああああッ!!」
「天音ええええええええ!!」
叫ぶと同時に『ダンッ!』、『ダンッ!』と聞きなれない鈍い音がした。こ、これは……銃撃じゃないか!?
弾丸らしきものが食人族に命中して、次々に倒れていく。
一気に五人ほどが殺害された。
いったい、誰が!?
「お待たせしました、みなさん! 準備と場所に特定に時間が掛かってしまいました」
「千年世!!」
そうか、来てくれたか!
迷彩服姿の千年世がテロ組織から鹵獲したアサルトライフル『AK-47』で応戦していた。一人、また一人と仕留めていく。
な、なんて正確な射撃なんだ。
ほとんど一発でヘッドショットを決めていた。
反動の大きいアサルトライフルでこの精密射撃……どんだけ訓練を積んだんだ!
なんちゅう光景だ。
最悪だァ……。
俺たちも、あんな風に食べられるのか!?
やべぇ、やべぇぞ!!
なにか良い脱出方法がないかと模索するが……なかった。万事休す!
「どうしたもんかね……。このままだとヤツ等の胃袋の中だ」
「ちょっと、早坂くん! 酷い事と言わないで!」
滝のように涙を流す天音は、気が狂っていた。いかんな。
「ナイフはありますが」
「そうだった! 北上さん、ナイフがあるじゃないか!」
「ただ、牢全体を覆うトゲが危険すぎて大怪我する恐れが」
「マジかよぉ……」
やはり、千年世に期待するしかないかな。今頃は縄を脱出している頃だと信じたい。少なくともテロ組織の脅威は消え去ったのだから。
――それにしても。
テロ組織の男がバリバリ食われてる。うおぇ……。
さすがの北上さんも目を背けている。天音は頭を抱えて完全に沈黙。
「……エグすぎる」
「啓くん、よく平気ですね……」
「まあ、俺はグロ耐性が無駄にあるからな。自慢じゃないが、グロ映画や映像なんて何千、何万と見てきた男だ。これくらいはギリ耐えられる」
とはいえ、リアルを目の当たりにすると足くらいは震えたが。
それから時間は経過していく……。
捕まってから半日が経過して、日が落ちてきた。
食人族は夕飯の準備を始めていた。
包丁を研ぎながら、こちらを見ている。……怖ェ。てか、なんか選ばられている気が。
どうやら、天音か北上さんどちらを食うかで揉めているようだ。
「ねえ、早坂くん……まさか」
「察しがいいな、天音。そうだ。ヤツ等は、天音か北上さん、どちらを夕飯にするかで揉めているようだ。良かったな」
「良くないよ!? てか、食べられちゃう!!」
「叫ぶな、天音。奴等を怒らせるだけだ」
「…………うぅ。だって、だってぇ……」
「気持ちはよく分かる。今は、千年世を信じよう」
しかし、千年世が現れる気配はなかった。
それどころか、夕飯が天音に決まってしまったようだ。
「え、え、ええ~~~!? わ、わたしなんて食べても美味しくないよ!! てか、助けてよ!!」
抵抗しようにも向こうは毒矢を向けてきた。……くそ、これでは瞬殺されるのがオチだ。
どうする……どうする。
俺の命に代えても天音を守るしかないか!!
だが、北上さんを巻きこむ可能性もある。
「北上さん、一か八か」
「動かないでください」
「だが!! 天音が食われるぞ!!」
「分かっています。いざとなれば、食人族を抹殺しますから」
「今がそのタイミングじゃないのか!?」
「まあ、待ってください」
何を待てばいいんだ。
千年世は来ないし……期待できない。
俺が動くしかないだろう。
けれど、天音が連れて行かれてしまった。
「天音!!」
「早坂くん……きゃっ」
しばられて連行されていく。
少し離れた場所でロープでグルグル巻きにされてしまった。それから食人族達が儀式を始めた。二十人ほど集まって……いよいよってことか。
「天音! 直ぐ助けに行くからな!」
「う、うん……信じてるからね」
俺は強引にでも牢を抜けようと格子に手を伸ばそうとするが、北上さんに遮られた。
「触れてはいけません」
「天音が殺されようとしているんだ! 見過ごせるわけないだろ」
「そのトゲは恐らく毒。罠なんです」
「な、なんだって……」
「白い液体の出る植物は、大抵毒なんですよ」
「じゃあ、ナイフでなんとかしてくれよ」
「分かりました。襲われるリスクも高いですが、やってみます」
「急いでくれ!」
北上さんは、ヤツ等が儀式に集中していることを確認し、ナイフで格子を切っていく。木製で良かったな。だけど、トゲに気を付けないと。
もうすぐで格子が切り落とせそうになった、その時。
食人族が槍を天音に向けた。
ま、まさか!!
「いやあああああああッ!!」
「天音ええええええええ!!」
叫ぶと同時に『ダンッ!』、『ダンッ!』と聞きなれない鈍い音がした。こ、これは……銃撃じゃないか!?
弾丸らしきものが食人族に命中して、次々に倒れていく。
一気に五人ほどが殺害された。
いったい、誰が!?
「お待たせしました、みなさん! 準備と場所に特定に時間が掛かってしまいました」
「千年世!!」
そうか、来てくれたか!
迷彩服姿の千年世がテロ組織から鹵獲したアサルトライフル『AK-47』で応戦していた。一人、また一人と仕留めていく。
な、なんて正確な射撃なんだ。
ほとんど一発でヘッドショットを決めていた。
反動の大きいアサルトライフルでこの精密射撃……どんだけ訓練を積んだんだ!
22
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる