クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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好きって言葉を

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 この場にいる食人族は全滅。
 千年世が牢を破壊してくれ、俺たちはようやく脱出が出来た。

「ありがとう、千年世!」
「当然のことです。それよりも早くこの場を離れましょう。仲間が来たら面倒ですから」

 その通りだ。
 他にも同じような村があるかもしれないし。

 この場を離れて、とにかく落ち着ける安全な場所を探した。

 こういう時は洞窟だろうか。

 二階建てアパートほどの山と崖になっている傾斜を発見。洞窟らしき穴を見つけた。


「あそこが良さそうだね」


 先を歩く千年世が積極的に進む。
 彼女は本当に変わったな。
 感心していると天音も同じ意見だったのか、耳打ちしてきた。


「千年世ちゃん、凄いね。ひとりであそこまでやるなんて」
「ああ、おかげで俺たちは脱出できた。感謝しないと」
「うん、そうだね」

 小さな洞窟に入り、中へ進んでいく。
 さすがに狭いだけあって暗いな。

 今回は懐中電灯もある。

 ライトをオンにして周囲を照らしてみる。
 すると蝙蝠コウモリが飛び出していった。


「……うわッ!」


 先頭の千年世が驚いて尻餅をついた。ああいうところが千年世っぽい。


「大丈夫か、千年世」
「あ……あはは。驚いちゃいました。手を貸していただき、ありがとうございます。早坂くん」


 俺は千年世を起き上がらせ、先へ進んだ。
 少し歩いて行き止まりと判明した。どうやら、たまたま出来た空洞らしい。

「ここなら一応安全でしょう」

 腰掛ける北上さんはいつのまにか『AK-47』を所持していた。いつの間に!

「それ、どうしたんだ?」
「千年世から貰ったんです。あのテロ組織の落とし物ですよ」
「なるほどな。俺と天音の分は?」
「残念ながら二丁しかなかったんです。千年世、話してあげてください」

 そうだ。そういえば、千年世はどうやって抜け出してきたんだ?

「説明しますね。テロ組織が部族に殺され、みなさんが連れ去られた後……私は小屋にひとりで取り残されていました。けれど、まだテロ組織の残党がいたんですよ」

「え、テロ組織の残党が?」

 俺もだが、天音も驚いていた。
 北上さんは冷静クールに話を聞いたまま。

「はい。どうやら、あの四人だけではなかったようです。恐らくですが、イスラム国はこの島を自分の領土にしようとしているのではないかと思うんです」

 その説明に北上さんが反応した。

「でしょうね。イスラム国はどこにでも潜んでいるテロ組織。かつてはフィリピンなどに侵攻したこともあったそうです。なので、こういう島を領土にしようと考えているのかもしれませんね」


 その可能性は十分にあるな。
 でなければ、こんな島に滞在するわけがない。となると、戦闘員ももっといるはず。

「まずいな。他に何人もいるのか。しかも食人族付きで」
「きっと彼らは食人族を掃討していたのでしょう。そこで、あたしたちが来てしまったので混乱に陥ってしまった」

 俺たちはとんでもない島に落ちたものだな。

「ねえ、ちょっとまって」
「どうした天音」
「それじゃ、飛行機が落ちたのもテロ組織の仕業なのかな……」
「かもな。アメリカのテロ事件もイスラム系の組織が関与していたらしいからな」

 ホント、困ったな。
 なんとかしてこの島から脱出しないと……。

「島は予想以上に危険なんだね」

 天音がぽつりとつぶやいてから、沈黙が続いた。
 武器があるとはいえ向こうの戦闘員と食人族の人数が分からない。下手に動けばまた捕まったり、殺されたりするだろう。

 しばらく動けないな。

 俺はスマホをポケットから取り出し、確認した。


 もちろん【圏外】でWi-Fiなんてあるわけなかった。さすがにこんな島ではな。前にみたいな通信衛星のスターゲイザーシステムもないだろうし。


「いったん休みましょう。幸い、この洞窟は見つかり辛い位置にありますし」


 北上さんの言う通りだ。
 どのみち、これ以上は動けない。
 しばらくは身を潜めていよう。


 * * *


 この小洞窟にの奥には池ほどの水溜りがあった。水分補給には困らないな。

 食料もリュックにかなりある。
 節約して一週間分はあるだろう。

 アイテムチェックを終えると、天音がソワソワしていた。


「どうした天音」
「……そ、その」
「ん? なんか顔が赤いぞ」

「…………うぅ」

「ま、まさか……漏れそうなのか!?」
「ちょ! ハッキリ言わないでよ……」


 宝島でもあった気がする。いや、あったな。


「今回は北上さんか千年世に頼め」
「当たり前よ。覗いたら許さないからねッ!」

 立ち上がる天音は、二人にお願いしていた。今回は千年世が付き添ってくれることになったようだ。
 千年世なら大丈夫だろ。

 二人が去ったタイミングで北上さんが這い寄ってきた。


「……啓くん」
「……な、なんだい、北上さん。近いよ」
「最近、言っていなかったので」

「な、なにを?」

「……好きって言葉を」

 大胆に抱きついてくる北上さん。俺の唇を奪おうと、数センチまで迫ってきた。吐息が掛かってくすぐったい……。

「そんな風にされると我慢できないぞ」
「いいですよ。しましょう」

 天音と千年世がいない間に、俺は北上さんとキスを楽しんだ。
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