クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

文字の大きさ
107 / 287

美少女二人に挟まれた俺

しおりを挟む
 捕虜によれば、ラウルという男は週に一度だけ顔を出すようだった。つまり、次に現れるのは一週間後か……。
 だが、一時撤退みたいなことを言っていたようだし、またいつ現れるかは不明だ。

 それまでは、島で生活して待っているしかなさそうだ。

 新たな仲間、アベリアとトム。
 そして、捕虜の男との奇妙な島生活が始まった――。


 * * *


 ――三日後。


 洞窟生活を止め、テロ組織が使っていた小屋を発見。そこを拠点としていた。
 小屋には武器や弾薬、食べ物、生活用品が揃っていた。

 無線もあれば嬉しかったが、連絡手段はなかった。

 今のところラウルがやってくる気配はない。
 そのせいか、みんなこの生活に慣れ始めていた。


 俺はいつものように島の見回りへ。


 今日は千年世が一緒について来てくれた。それとアベリアも。彼女はこの島に興味があるらしく、見て回りたいという。

「良い天気ですね~。海も透き通っていて綺麗です」
「そうだな、千年世。おっと、足元に気を付けろよ~」
「はい、ありがとうございますっ」


 ゴツゴツした岩場を降りていく。
 この先はまだ調べていない場所だ。
 なにがあるか分からない。


「この島って広いですね。ずっと食人族が住んでいたんですよね」

 アベリアは足を滑らせないよう、慎重に下りながらも話題を俺に振ってきた。

「俺もまさか北センチネル島がこんなに広いとは思わなかったよ。というか、こんな場所まで流されていたとは思いもよらなかった」

「ええ。当時の飛行機がこんなところを通るなんて……」

 マレーシアに逸れすぎているし、意図的な何かを感じるな。きっと誰かの……。

 岩から飛び降りると、そこから先に小さな岩が。しばらくは岩が続くらしい。その先に何か見えていた。なんだあの塔のようなもの。

 登ったり、飛び越えたりして何とか先が見えてきた。


「ここは……」
「こんなところに監視塔のようなものがありますね」
「テロ組織の作った物かな」
「っぽいですね」

 千年世の言う通り、監視塔だとしたら……食人族とか島を監視してたのか?

 近づいてみるか。

 監視塔らしき建物は『灯台』のような形をしていた。

 出入口を調べてみると、一応セキュリティが必要だった。


 123
 456
 789


 う~ん……適当に押しても無理だろうな。
 悩んでいるとアベリアがポチポチとパスワードを入力してしまった。おいおい……。


「123456789っと」


 当然、扉なんて開くわけ――『ガシャン』――えッ!?


 開いちゃったぞおおおおおお!?


「馬鹿な! アベリア……知っていたのか?」
「うそー! 適当ですよ!?」


 パスワードを『password』と登録しているようなものだぞ。バカすぎるって。
 そういえば、最も酷いパスワードランキングで上位に入るのが『123456789』だとか『password』なんだよな。
 覚えるの面倒だから気持ちは分からないでもないけど、侵入されるだろうが!
 おかげで監視塔に入れるけど……いいのかなぁ。

 まあいいか、相手はテロ組織だし。

 中へ入ると、どうやら風力発電とソーラー発電によって電気を確保しているようだった。

「凄いな。ここは他の小屋とは違って頑丈だし、自然にも強そうだ」
「もしかしたら、拠点にもなっているかもですね」


 千年世は鋭いな。
 多分、その通りだろう。
 ここはあのラウルという男が指示を出して作らせた拠点であり、監視塔なのだ。でも、今は誰もいない。

 階段を上がっていくと、中間あたりに小さな部屋があった。


「わあ、ここ寝室ですね」


 アベリアが指をさす方向には、船舶に備え付けられているほどの寝室があった。二段ベッドで窮屈そうだが、ベッドがあるだけマシだな。

「へえ、布団は普通に良いな。ふかふかで」
「ここを乗っ取ってもいいかもですね」

 俺の腕を引っ張る千年世。
 そのままベッドへ腰掛けた。

「ちょ、ちょっと千年世さん! なにを!」

 当然この状況にアベリアが焦る。
 俺も焦っているけどな……。


「なにって早坂くんを誘惑しているんです」
「んなッ!?」

「邪魔者はいませんし、ここでしちゃいましょうか」
「ち、千年世!?」

 いきなり押し倒され、俺はビックリした。千年世がこんな積極的だなんて。


「ちょ、ちょ、ちょ! 千年世さん!!」
「なんですか、アベリアさん。貴女も混ざりたいんです?」
「ま、混ざるとか! あのですね、私たちは調査に来たんですよ。そ、そんなハレンチなことダメです!」

「アベリアさんは分かっていないですね。あの小屋に戻れば、師匠や天音さんがいて早坂くんとイチャイチャできないんです。今しかチャンスがないんですよ」

「だからって!」


 アベリアが慌てている間にも、千年世は俺の服を脱がしていく。……まったく、えっちな娘に育ってしまって……けしからん。


「千年世。アベリアさんが困ってるって」
「でも……。私、早坂くんのこと……好きだから……やるなら今かなって」
「気持ちはとても嬉しい。今は頭を撫でてやるから、それで我慢してくれ」

 俺は千年世の栗色の髪を撫でた。
 嬉しそうに目を細めて俺に身を預けてくれる。

 隣で呆然となるアベリア。
 ですよねー。

 なんだか気まずい視線だ。

 だが。


「……ず、ずるいです。千年世さんばかりずるいですよ!」


 なんとアベリアもくっついてきた。


 マジか!?
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?

さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。 しかしあっさりと玉砕。 クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。 しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。 そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが…… 病み上がりなんで、こんなのです。 プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...