クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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『監視塔』生活開始!

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 監視塔を立ち去り、いったん俺たちの拠点へ戻った。
 随分と時間を食ってしまって日が傾いている。これ以上はみんなを心配させてしまう。
 それに、監視塔であったことを天音や北上さんたちに報告しないと。

 急いで戻ると、小屋は無事だった。

 良かった、異常はないようだ。


「おかえりなさい、啓くん」
「やあ、北上さん。見張りしてたんだ?」
「もちろんです。それに、啓くんが戻ってくる気配があったので」
「なるほど、そういうことか。とりあえず、収穫があったからみんなに報告したい」
「分かりました。全員に召集をかけますね」


 ――数分後。

 俺、天音、北上、千年世、アベリア、トム。そして、捕虜のアドハムが……って、コイツはいらないだろ!?

「捕虜の男……アドハムはいらんだろ」
「それが捕虜のアドハムは、協力姿勢を見せてくれているんです。もちろん、信用はできませんが……。トムによれば、彼は神に誓って裏切らないと」

「そんな安易な。絶対裏切るだろ」
「いや~、それが小屋を建ててくれたり、薪を拾ったり、いろいろしてくれるので今日はかなり助けられたのです」

 それは信用させる為にやっているだけじゃ……。まあいいか、裏切る素振りを見せれば、即刻処刑するしかないし。

 俺は、みんなに『監視塔』のこと話した。
 待機組だった全員がビックリしていた。

「早坂くん、監視塔があるって……」
「ああ、テロ組織の建てたものだ。間違いない」

 なにか考えているのか北上さんは怪しんでいた。

「妙ですね。こんな島にわざわざ監視塔だなんて……」
「ああ、テロ組織の目的がこの島の占領にしてはやりすぎ感はある。まあ、ヤツ等の本拠地なんだろう」

「そう考えるのが妥当そうですね。それで、今後はどうしましょうか?」
「監視塔を乗っ取ろうと思う」

「え……監視塔を、ですか?」

「ああ、どうせラウルってヤツが襲ってくるなら、その方がいいだろ」
「なるほど。あえて監視塔を占拠して迎え撃つのですね」
「武器も弾薬もあそこなら、たくさんあるしな」

 食料や安全な寝床、それにシャワーだってある。
 こんな不衛生な場所よりも、よっぽどいい。

「私は賛成ですね。師匠、早坂くんの作戦に乗りましょうよ」
「千年世さん……。仕方ないですね」

 決まりだ!
 この小屋拠点を放棄し、監視塔を奪う。

 そんなわけで、荷物をまとめて出発だ。


 * * *


 歩いて三十分。
 監視塔に到着した。

 敵の気配はまったくない。

「これなら、余裕で占拠できそうだな」
「でもさ、セキュリティが凄そうだよ?」
「天音、実はな千年世が全部突破してくれたんだよ」

「うそー! こんな何桁もありそうなのに……」

 俺の隣で照れる千年世。
 偶然とは全てのセキュリティを破ったからな。ハッカーよりも天才かもしれない。

 塔の中へ入り、北上さんが驚く。


「これほどとは……啓くん。これはアリですね」
「良かった。普通に生活できるしさ、それにリコの迎えも来るかもしれない」
「どういうことですか?」

 俺は、この監視塔に通信衛星・スターゲイザーがあることを話した。


「というわけで、ネットが使えるぞ」
「なんと!! それは朗報すぎます!」


 現代人にとってネットは必需品だ。
 なにより、連絡が取れるからな。

「リコたちが今、こっちに向かってくれているはず。俺たちはこの監視塔で島生活を続けるしかない。敵がきたら迎え撃つ……それだけだ」

「どうやら、もうその手しかないようですね」

「ああ、この北センチネル島はインドが立ち入りを禁止にしている島だ。迂闊にインド政府に連絡なんてすれば、逮捕されかねん。周辺国に助けを求めるのも無理だろう」

「その通りです。我々だけで脱出するしかありません」

 そんな話をしながらも、最上階の部屋に到着。

「わぁ、ここ凄い。快適じゃん」

 天音がテンションを上げて周囲を見渡す。

「シャワーもあるぞ」
「マジー! それは嬉しすぎる! 直ぐ入りたい」
「女子たちはそうるといい。俺は捕虜のアドハムを下の部屋に移動させる」
「分かった。気を付けてね」


 女性陣は交代でシャワーを浴びるようだ。なら、俺とトムは、アドハムを中間地点にある寝室へ放り込む。

「トム、俺たちはこっちだ」
「ワカッタ」

 アドハムを逃げられないよう、ロープできつく縛り、更に手錠もしておいた。コイツがいれば、とりあえず人質には使える……はずだ。一応、まだ貴重な情報源でもあるしな。

「……」


 アドハムは、トムに何か伝えていた。


「なんて言ってる?」
「オレハ、テイコウ、シナイッテ」

「……テロ組織のメンバーの言うことなんて信じられるかってーの。大人しくしていれば、酷いことはしない。そう伝えてくれ」

「オウ、マカセロ」


 トムはアラビア語を流暢りゅうちょうに話して、アドハムに伝えていた。本当にアラビア語に精通しているんだな、トムは。

 俺はアドハムを寝室に閉じ込めた。

 さて、上の階の……その扉の前で待機だな。

 それまではトムと話すことにしよう。
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