129 / 287
あぶない露天風呂
しおりを挟む
再びリビングへ戻り、全員と話し合うことに。
「これから、残りの財宝を売りさばいていこうと思う。と、言っても天音と織田姉妹の力を借りるしかないんだが」
ある程度の財宝は天音の傘下である建設会社に任せてある。うまく海外に流し、オークションなどで売ってはいる。
とはいえ、細かいものは中々面倒だ。
「金貨など小さなものは東南アジアで売りさばくのがいいでしょうね」
「さすが詳しいな、北上さん」
「グループに別れ、船で向かいましょう」
「いや、まて。船には嫌な思い出しかない」
「と、言われましても……他の手段が」
北上さんは、それしかないと言うが俺には他に手段があると思った。出来るかどうか分からんが……言ってみる価値はあるだろう。
「こっちから出向く必要はない。逆に沖縄に来てもらうんだよ」
俺がそう提案すると、天音が手を叩いた。
「なるほど、それなら移動のリスクも少ないし、安全だね」
「そうだろう。買取業者に依頼すると出張サービスみたいなのがあるだろ。あれみたいに来てもらうのさ」
金銀財宝が欲しい人間なんて金持ちくらいだ。沖縄に足を運んでくれる人間もいるはず。なんと言っても、キャプテン・キッドの財宝なんだからな。
「売る業者も絞った方がいいかもね」
足を組んで、まるで俺に見せつけるようにするリコ。……ふぅむ、良い眺めだ。
「三社くらいにするか」
「じゃあ、私が信頼できそうな業者を見つけるよ」
手を上げる桃枝。
そうだな、彼女なら見つけてくれる。
まずは秘密裏に買い取ってくれる業者を探そう。
* * *
この民家には部屋が六つある。
一階にリビングを含めた三部屋。
二階にも三部屋といった具合だ。
思ったよりは広い。
リビングをミーティングルームとし、桃枝とリコが常駐することに。負傷している艾は一階の寝室で寝ている。
俺は二階の部屋を貰った。
天音と北上さん、それに千年世、織田姉妹も同じく二階。
階段を上がり、二階へ向かう。
ギシギシと軋み、底が抜けるんじゃないかと俺はヒヤヒヤした。
幸い、事故ることなく部屋に辿り着いた。
扉を開けると、そこには清潔感のある旅館風和室があった。
「こりゃいいな。広いし」
「うん、いいね!」
「これなら二人でも平気ですね。
天音も北上さんも当然のように俺の部屋に入ってくる。
って、まて!?
「ま、まさか……」
「え? わたしは早坂くんと」
「天音さんと同じく、あたしも啓くんと一緒です」
「ですよねえ」
まあいいか。今更別々って言うのも逆に違和感がある。この二人が側にいてくれる方が安心だし、俺の精神にも良い。
なので断ることはしなかった。
しかし、困ったことに織田姉妹も入ってきた。
「「わたしたちも一緒です」」
……なんてこった。美少女四人と同じ部屋で暮らせって? そりゃ嬉しいけど、眠れない夜になりそうだ。
「えっ、月ちゃんと星ちゃんも!?」
「はい、天音さん。わたしと星もです」
「で、でも……さすがに早坂くん合わせて五人は狭いと思う」
その通り、窮屈すぎる。
俺は嬉しいけど生活する上ではちょっと不便だ。
ということで、俺は当事者として意見した。
「天音の言う通りだ。さすがに狭い」
「分かりました。では、この襖をこうして外せば……」
星が襖を取り外してしまった。彼女たちの管理する家だし、問題はないか。おかげで空間が一気に広まった。
そうか、この部屋と隣の部屋は繋がっていたんだ。
これなら広くて十人は余裕で寝られる。
「じゃあ、これでいっか。天音も北上さんもいいかい?」
二人ともうなずいて納得してくれた。
結局俺は眠れない夜を過ごすことになりそうだな。
今晩は、さすがに料理をしている暇もなく、レトルトカレーで晩御飯を済ませた。
スマホでネットを巡回すると“沖縄”で何やら事件が相次いでいると騒ぎがあった。とはいえ、沖縄は度々事件が起きているし、ヤツ等が迫って来ているのか判断がつかなかった。
飯を食べ終え、俺はシャワーを浴びに風呂へ。
入ってみると、ガチの温泉だった。
露天風呂あるじゃん……。
ここまで風情良く改造してあるとは。
一人なのが寂しいが、仕方あるまい。
体を洗い、せっかくなので露天風呂に浸かってみた。……おぉ、いい湯だ。
地元では見れないような満天の星空もあるし、なんて最高なんだ。
ゆるりと浸かっていると、脱衣所が騒がしかった。
『……き、北上さん!!』
『天音さんこそ、なにを!!』
え……ええッ!?
『ちょっと、リコちゃん!!』
『千年世こそ!!』
まさか!?
『月も参ります』
『星も入ります』
って、全員かよ!!
バスタオルを巻いた女子たちが露天風呂に侵入してきた。――全員が入ってきて、俺は取り囲まれてしまった……!
結局こうなるのかよ!!
「これから、残りの財宝を売りさばいていこうと思う。と、言っても天音と織田姉妹の力を借りるしかないんだが」
ある程度の財宝は天音の傘下である建設会社に任せてある。うまく海外に流し、オークションなどで売ってはいる。
とはいえ、細かいものは中々面倒だ。
「金貨など小さなものは東南アジアで売りさばくのがいいでしょうね」
「さすが詳しいな、北上さん」
「グループに別れ、船で向かいましょう」
「いや、まて。船には嫌な思い出しかない」
「と、言われましても……他の手段が」
北上さんは、それしかないと言うが俺には他に手段があると思った。出来るかどうか分からんが……言ってみる価値はあるだろう。
「こっちから出向く必要はない。逆に沖縄に来てもらうんだよ」
俺がそう提案すると、天音が手を叩いた。
「なるほど、それなら移動のリスクも少ないし、安全だね」
「そうだろう。買取業者に依頼すると出張サービスみたいなのがあるだろ。あれみたいに来てもらうのさ」
金銀財宝が欲しい人間なんて金持ちくらいだ。沖縄に足を運んでくれる人間もいるはず。なんと言っても、キャプテン・キッドの財宝なんだからな。
「売る業者も絞った方がいいかもね」
足を組んで、まるで俺に見せつけるようにするリコ。……ふぅむ、良い眺めだ。
「三社くらいにするか」
「じゃあ、私が信頼できそうな業者を見つけるよ」
手を上げる桃枝。
そうだな、彼女なら見つけてくれる。
まずは秘密裏に買い取ってくれる業者を探そう。
* * *
この民家には部屋が六つある。
一階にリビングを含めた三部屋。
二階にも三部屋といった具合だ。
思ったよりは広い。
リビングをミーティングルームとし、桃枝とリコが常駐することに。負傷している艾は一階の寝室で寝ている。
俺は二階の部屋を貰った。
天音と北上さん、それに千年世、織田姉妹も同じく二階。
階段を上がり、二階へ向かう。
ギシギシと軋み、底が抜けるんじゃないかと俺はヒヤヒヤした。
幸い、事故ることなく部屋に辿り着いた。
扉を開けると、そこには清潔感のある旅館風和室があった。
「こりゃいいな。広いし」
「うん、いいね!」
「これなら二人でも平気ですね。
天音も北上さんも当然のように俺の部屋に入ってくる。
って、まて!?
「ま、まさか……」
「え? わたしは早坂くんと」
「天音さんと同じく、あたしも啓くんと一緒です」
「ですよねえ」
まあいいか。今更別々って言うのも逆に違和感がある。この二人が側にいてくれる方が安心だし、俺の精神にも良い。
なので断ることはしなかった。
しかし、困ったことに織田姉妹も入ってきた。
「「わたしたちも一緒です」」
……なんてこった。美少女四人と同じ部屋で暮らせって? そりゃ嬉しいけど、眠れない夜になりそうだ。
「えっ、月ちゃんと星ちゃんも!?」
「はい、天音さん。わたしと星もです」
「で、でも……さすがに早坂くん合わせて五人は狭いと思う」
その通り、窮屈すぎる。
俺は嬉しいけど生活する上ではちょっと不便だ。
ということで、俺は当事者として意見した。
「天音の言う通りだ。さすがに狭い」
「分かりました。では、この襖をこうして外せば……」
星が襖を取り外してしまった。彼女たちの管理する家だし、問題はないか。おかげで空間が一気に広まった。
そうか、この部屋と隣の部屋は繋がっていたんだ。
これなら広くて十人は余裕で寝られる。
「じゃあ、これでいっか。天音も北上さんもいいかい?」
二人ともうなずいて納得してくれた。
結局俺は眠れない夜を過ごすことになりそうだな。
今晩は、さすがに料理をしている暇もなく、レトルトカレーで晩御飯を済ませた。
スマホでネットを巡回すると“沖縄”で何やら事件が相次いでいると騒ぎがあった。とはいえ、沖縄は度々事件が起きているし、ヤツ等が迫って来ているのか判断がつかなかった。
飯を食べ終え、俺はシャワーを浴びに風呂へ。
入ってみると、ガチの温泉だった。
露天風呂あるじゃん……。
ここまで風情良く改造してあるとは。
一人なのが寂しいが、仕方あるまい。
体を洗い、せっかくなので露天風呂に浸かってみた。……おぉ、いい湯だ。
地元では見れないような満天の星空もあるし、なんて最高なんだ。
ゆるりと浸かっていると、脱衣所が騒がしかった。
『……き、北上さん!!』
『天音さんこそ、なにを!!』
え……ええッ!?
『ちょっと、リコちゃん!!』
『千年世こそ!!』
まさか!?
『月も参ります』
『星も入ります』
って、全員かよ!!
バスタオルを巻いた女子たちが露天風呂に侵入してきた。――全員が入ってきて、俺は取り囲まれてしまった……!
結局こうなるのかよ!!
10
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる