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新無人島生活
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翌日、財宝がこの島に届いた。
天音の知り合いである建設会社が見事に運んできてくれた。当然、謝礼もかなり払ったようだ。天音に任せてしまったが、その分は現金化ができたら上乗せしようと思う。
それから、財宝は海外オークションやダークネットを活用して現金化を図った。
しかし、予想通り限界があった。
リビングで唸る桃枝の声が室内に響く。
「う~~~~~~~~~ん……」
「どうした、桃枝」
「いやぁ、やっと三億円は売り上げたけどねー」
「凄いじゃないか!」
「いや、ここから難航していてさ。買い手がなかなかつかない」
どうやら、そう簡単に全部売りさばくことは出来ないらしい。詳しく聞くと、海外の取引所に動きがあったらしく、どこかの大手企業と揉めているのだとか。
俺たちの出している商品がニセモノじゃないかと疑われているのだとか。
そんな馬鹿な。
あれは本物で間違いない。
実際、鑑定士にも見てもらっているし。
「困ったな」
「幸いにも売りやすい金とか宝石類はお金にできたよ」
そうだな、特に『金』は高需要。近年はどんどん高騰しているし。
「引き続き取引可能な相手を見つけてくれ、桃枝」
「了解」
俺はリビングを出て庭へ向かった。
外へ出ると――やっぱりね。
北上さんとリコが畑を耕していた。
「やってるね、お二人さん」
振り向く北上さんは「啓くん、お待ちしておりました」と言いながらも土質を調べていた。プロみたいだな。
隣でリコも「おっす、てっちゃん」と気さくに笑う。
どうやら二人とも畑仕事に没頭しているようだ。
なにを作っているんだろう?
視線を向けているとリコが答えてくれた。
「今、ジャガイモを作ろうかなって思ってさ」
「いいね。ジャガイモは万能だ。火星サバイバルでも重宝されていたからな」
「か、火星!?」
「……すまん、映画のネタさ」
「そうなんだ。今度教えてよ!」
「ああ、いいぞ。配信サイトにあると思うし」
それにしても、北上さんはガチでやっとるな。
今は肥料を撒いたりなど本格的にやり始めている。そのうち、ニワトリとか動物も飼うことになりそうだな。
「ニワトリも飼いますよ」
「そうかそうか――って、勝手に人の心を読むな!」
「顔にそう書いてありましたから」
「そんな馬鹿な。まあ、ニワトリはうるさいからなぁ」
「卵を入手できますから」
「それはそうだな。手配しておく?」
「お願いしますね」
邪魔しちゃ悪そうだな。
俺は庭を去り、今度は浜辺へ向かった。
今日も晴天で青く透き通るような海がまぶしい。
歩いていると人の気配を感じた。
あれ、誰かいるな。
む?
視線を海へ向けると、そこには水着姿の天音と千年世がいた。そうか、泳いでいたのか。
「お~い、危険な生物に気を付けろよー!」
「あ、早坂くん! うん、さっき北上さんが排除してくれたから大丈夫~」
「いざとなれば私が対応しますよ~」
なるほどね、北上さんが既に動いてくれていたか。それに、千年世もいるし大丈夫だな。心配はいらない。
しかし、気持ちよさそうだ。
俺も泳ごうかな。
そう思ってぼうっと突っ立っていると天音と千年世が近づいてきた。
二人とも花柄の可愛いビキニだなぁ。
「ねえ、早坂くんも一緒に泳ご」
「そうです、そうです。私たちと――いえ、私と泳ぎましょう」
俺の腕を引っ張る千年世。
それに対し、天音がムッとして対抗するように俺の腕を引っ張る。
……ちょ、え。
なんか二人とも力強くない……?
てか、この状況昔にもあったような。
『ググ……ググググ。……ググググググググ……ビキビキビキ……!!!』
俺の両腕が引き千切れる勢いで引っ張れる。
「ちょ! 天音、千年世!! 俺の腕が、腕があああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「千年世ちゃん、放してよ!!」
「天音さんこそ何で引っ張るんですか!!」
そうだ、思い出した。無人島にいる時にもこんなことがあった。あの時は地獄を彷徨ったんだった。まずいまずい。今度こそ地獄に落ちるって!
「まてまて、ケンカするな! ストップ! すとーーーぷ!」
俺がストップを言うと、二人とも力を弱めた。
……ふぅ、危なかった。
同じ轍を踏むところだったぞ。
なんとか乗り切って汗を拭う俺。
「ごめんね、早坂くん……」
「私もつい……ごめんなさいです」
二人とも反省しているようだし、許してあげよう。それに、俺のことを思ってのこと。好意は十分に伝わっている。
「分かればいいんだ。楽しく遊ぼう」
「うん、そういう早坂くんの寛容なところが好き」
「私もです。だから、みんな仲良くなれるのかもですねっ」
天音も千年世も仲直り(?)して、俺に抱きついてきた。……ヨシとしよう。
天音の知り合いである建設会社が見事に運んできてくれた。当然、謝礼もかなり払ったようだ。天音に任せてしまったが、その分は現金化ができたら上乗せしようと思う。
それから、財宝は海外オークションやダークネットを活用して現金化を図った。
しかし、予想通り限界があった。
リビングで唸る桃枝の声が室内に響く。
「う~~~~~~~~~ん……」
「どうした、桃枝」
「いやぁ、やっと三億円は売り上げたけどねー」
「凄いじゃないか!」
「いや、ここから難航していてさ。買い手がなかなかつかない」
どうやら、そう簡単に全部売りさばくことは出来ないらしい。詳しく聞くと、海外の取引所に動きがあったらしく、どこかの大手企業と揉めているのだとか。
俺たちの出している商品がニセモノじゃないかと疑われているのだとか。
そんな馬鹿な。
あれは本物で間違いない。
実際、鑑定士にも見てもらっているし。
「困ったな」
「幸いにも売りやすい金とか宝石類はお金にできたよ」
そうだな、特に『金』は高需要。近年はどんどん高騰しているし。
「引き続き取引可能な相手を見つけてくれ、桃枝」
「了解」
俺はリビングを出て庭へ向かった。
外へ出ると――やっぱりね。
北上さんとリコが畑を耕していた。
「やってるね、お二人さん」
振り向く北上さんは「啓くん、お待ちしておりました」と言いながらも土質を調べていた。プロみたいだな。
隣でリコも「おっす、てっちゃん」と気さくに笑う。
どうやら二人とも畑仕事に没頭しているようだ。
なにを作っているんだろう?
視線を向けているとリコが答えてくれた。
「今、ジャガイモを作ろうかなって思ってさ」
「いいね。ジャガイモは万能だ。火星サバイバルでも重宝されていたからな」
「か、火星!?」
「……すまん、映画のネタさ」
「そうなんだ。今度教えてよ!」
「ああ、いいぞ。配信サイトにあると思うし」
それにしても、北上さんはガチでやっとるな。
今は肥料を撒いたりなど本格的にやり始めている。そのうち、ニワトリとか動物も飼うことになりそうだな。
「ニワトリも飼いますよ」
「そうかそうか――って、勝手に人の心を読むな!」
「顔にそう書いてありましたから」
「そんな馬鹿な。まあ、ニワトリはうるさいからなぁ」
「卵を入手できますから」
「それはそうだな。手配しておく?」
「お願いしますね」
邪魔しちゃ悪そうだな。
俺は庭を去り、今度は浜辺へ向かった。
今日も晴天で青く透き通るような海がまぶしい。
歩いていると人の気配を感じた。
あれ、誰かいるな。
む?
視線を海へ向けると、そこには水着姿の天音と千年世がいた。そうか、泳いでいたのか。
「お~い、危険な生物に気を付けろよー!」
「あ、早坂くん! うん、さっき北上さんが排除してくれたから大丈夫~」
「いざとなれば私が対応しますよ~」
なるほどね、北上さんが既に動いてくれていたか。それに、千年世もいるし大丈夫だな。心配はいらない。
しかし、気持ちよさそうだ。
俺も泳ごうかな。
そう思ってぼうっと突っ立っていると天音と千年世が近づいてきた。
二人とも花柄の可愛いビキニだなぁ。
「ねえ、早坂くんも一緒に泳ご」
「そうです、そうです。私たちと――いえ、私と泳ぎましょう」
俺の腕を引っ張る千年世。
それに対し、天音がムッとして対抗するように俺の腕を引っ張る。
……ちょ、え。
なんか二人とも力強くない……?
てか、この状況昔にもあったような。
『ググ……ググググ。……ググググググググ……ビキビキビキ……!!!』
俺の両腕が引き千切れる勢いで引っ張れる。
「ちょ! 天音、千年世!! 俺の腕が、腕があああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「千年世ちゃん、放してよ!!」
「天音さんこそ何で引っ張るんですか!!」
そうだ、思い出した。無人島にいる時にもこんなことがあった。あの時は地獄を彷徨ったんだった。まずいまずい。今度こそ地獄に落ちるって!
「まてまて、ケンカするな! ストップ! すとーーーぷ!」
俺がストップを言うと、二人とも力を弱めた。
……ふぅ、危なかった。
同じ轍を踏むところだったぞ。
なんとか乗り切って汗を拭う俺。
「ごめんね、早坂くん……」
「私もつい……ごめんなさいです」
二人とも反省しているようだし、許してあげよう。それに、俺のことを思ってのこと。好意は十分に伝わっている。
「分かればいいんだ。楽しく遊ぼう」
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