クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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夜襲作戦

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 拠点へ戻ると、そこには千年世が立っていた。

「ご無事でなによりです!」
「千年世もよくやった」

 千年世にケガはない。家も無事だった。
 となると、島に来たホワイトウォーターは壊滅したって認識で良さそうかな。

 家の中に戻り、みんなと合流を果たした。

「おかりなさい、早坂くん!」
「ただいま、天音。こっちは変わりないか?」
「うん、特に問題なし。そっちは?」
「こっちは敵を排除した。恐らく全員倒したはずだけどね」

 桃枝のドローン映像に視線を移す。
 そこにはオーハ島全体のマップが映し出されており、脅威はないとAIによって判定されていた。これならもう襲われる心配はない――はずだ。

 けれど、俺はなにか嫌な予感がしていた。
 気のせいだと思いたいけど。



 ◆◆◆ 奥武島 ◆◆◆


「やはりか」

 ホワイトウォーターのボスは、オーハ島で起きていた爆発と戦闘に納得していた。

「ボスの予想通りでした。彼等は武器を持ち、罠を張っていた」

 なぜか生存しているメイスが直ぐ隣の島を見て驚く。
 そのまた直ぐそばでロスも冷やっとしていた。

「ボスの指示通り、捕虜を使って様子を見る作戦が上手くとは」
「わざわざ本国から連れてきたからな」

 そう、オーハ島で死亡したのは捕虜だった。ボス、メイス、ロスは死んではいなかったのだ。
 ボスは、こうなることを予見して先に捕虜を使い様子を見たのだ。

「しかし、よく分かりましたね」

 驚くばかりのメイスは、戦闘準備をしながら感心していた。

「多くの激戦地を切り抜けてきたからな。その経験が私を強くした。いいか、メイス、ロス。十分後に我々が向かう。罠の位置は全て頭に叩き込んでおけ」

「「了解」」

 ホワイトウォーターの本当の夜襲がはじまろうとしていた――。



 ◆◆◆ オーハ島 ◆◆◆

 ホワイトウォータの撃退が終わった。
 だが、まだ残党がいるかも分からない。
 しばらくは見張りを交代で警戒することに。

 今日のところは様子見かな。

 俺は寝ずに一夜を明かすことにした。


 ――翌朝。


 無事に夜が明けた。
 あれから襲撃はなく、敵はあの三人組だけと理解した。これ以上はないと信じたい。

「眠いな……」

 一睡もせず、ネットや動画を見ながら時間を潰した。さすがに眠い。

「お疲れ様、早坂くん」
「おう、天音。夜明けのコーヒーありがと」

 天音からカップを受け取り、俺はコーヒーを飲んだ。脳が少し回復した。

「あれから何もなかったね」
「うん、ホワイトウォーターは壊滅したのかもしれないな」
「三人だけだったのかな」
「ネットで海外掲示板を調べていたんだが、ホワイトウォーターは縮小しているようでな。人数もかなり小規模になっているという。だから、そんなに人数はいないはず」

 日本へ大人数で来るほどアホではないだろうし。
 つまり三人あたりがベストなわけで、夜の人数からして間違いない。

「そっかぁ、じゃあ安心だね」
「ああ、また襲撃があっても俺がなんとかするさ」
「頼りにしてるよ、早坂くん」

 それから、俺は仮眠を取ることにした。朝になればもう大丈夫だ。
 そのままリビングで横になり――直ぐ眠った。


 …………。


 体を揺すられた。
 ふと目を開けると、そこにはよもぎの姿が。なんだか珍しい。

「おはよ、艾」
「おはよう。もう夕方だよ」
「なにっ、もうそんなに経ったか……。みんなは?」
「みんなは島を守るためにトラップ再設置とか、周辺に敵がいないか見回り中だよ」

 そうか。俺はあれから随分と眠っていたようだ。仮眠のつもりが完全に寝落ちしていた。けど、何事もないようで良かった。

 安堵していると艾が立ち上がった。

「ケガはもう平気か?」
「う~ん、まだ本調子ではないね。とりあえず、早坂くんにお礼の料理を作ってあげるよ」
「えっ、艾って料理できるんだな」
「ふふーん。これでも家庭的なんだよ」

 自信満々に腕を捲る艾。そういえば、彼女とはあんまり話すタイミングがなかった。これは良い機会かもしれないな。
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