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広がる財宝の情報
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艾をソファへ寝かせ、しばらくして皆が帰ってきた。
「おはようございます、啓くん」
「おはよ、北上さん。みんなも」
挨拶を交わし、状況を聞いた。
どうやら、罠の再設置を済ませてきたようだ。
それと周囲に不審者はいなかったようだ。
この分なら襲われる心配もないか。
「引き続き、私は財宝の現金化を進めるねー!」
「頼んだよ、桃枝。金に換えてもっと安全な場所で暮らす為にも」
「そうだね。最近の日本は安全じゃないし……海外のどこかへ移住すべきだろうね」
ノートパソコンを開き、ウェブサイトを見せてくれる桃枝。そこにはニュースサイトの記事があり『探せ、財宝!』の文字がデカデカと。読み進めると『忽然と消えたキャプテン・キッドの財宝。世界中のあらゆる組織が宝島の財宝を狙っている』と書かれていた。
更には『近頃、日本の海域で不審船が出没していることに日本政府も懸念を表明。もしも財宝が実在するなら、その価値は数百億円にのぼるという。ある議員は財源にすべきと――』
まてまて、財宝の情報が洩れてる……!?
「どうしてまた宝島の話が取り上げられているんだ」
「昨晩になってから、海外から記事が上がったんだよ。日本は今朝だね」
海外から……?
なぜ日本からじゃないんだ。
そこがまずおかしい。
疑問を覚えていると北上さんが真剣な眼差しを向け、こう言った。
「ホワイトウォーターでしょうね」
「なっ……なんだって」
「組織が縮小しているとはいえ、秘密裏に活動しているのでしょう。これは彼らの作戦と思われます。あえて情報を流し、財宝のことを世間に知らしめて現金化できないよう妨害しているのかも」
なるほど……北上さんの説明に納得した。
となると昨晩の襲撃は間違いなくホワイトウォーターの連中。俺たちの財宝を狙ってきている。
久保に接触して俺たちを探し出した。
そして、襲い掛かってきたんだ。
「橘川と関係があったとはいえ、厄介な連中だな」
「数百億もの大金になるのです。必死にもなるでしょうね」
今後、また襲ってくる可能性もあるだろうな。
備えておくに越したことはない。
それと、この島に長期滞在は無理そうだな。一刻も早く金を作って移住せねば安寧は得られないだろう。
その為にも桃枝には財宝の取引を進めてもらわねば。俺もなにか出来ることはないかと考えていると、リコが声を上げた。
「た、大変だよ、てっちゃん」
「どうした、リコ」
「SNSで『財宝』だとか『宝島』だとかトレンド入りしてる」
「マジかよ!!」
スマホを取り出し、SNSを覗いてみると確かにトレンドは宝島関連で盛り上がっていた。……こ、これはマズいな。
ニュースサイトのせいで情報が拡散されてやがる。
くそう、ホワイトウォーターのヤツ等……やってくれたな。
「あ、あのぅ……」
今度は千年世が手を挙げた。
「千年世もなにか見つけたか?」
「はい。私たちの学校名が漏れています……」
「今度は学校まで! まずい、特定されかねんぞ」
かつての船舶乗っ取りが掘り起こされたのだろうな。あれは表向きには転覆だのタイタニックの再来だの言われているが、橘川による爆破テロ事件だけどな。
世間的には“不運な事故”と処理されていた。
なのにここに来て、また学校の名が上がるなんて……おかしい。
天音のお爺さんが警察のトップでもあったから、情報に規制をかけてもらった。だから、そこまで世間が大騒ぎになることはなかったのにな。
「どうして……」
天音も不安気に声を漏らす。
このままでは俺たちの存在が表に出てしまうかも。
まずいなと感じていると、月と星が俺の服を引っ張った。
「兄様、兄様」
「大変です」
「今度はなんだ……?」
「学校が近い内に集会を開くそうです。校長先生が今後の予定を話すのだとか」
星がスマホの通知画面を見せてくれた。その後、遅れて俺の方にも通知が届いた。マジじゃん……。
まさか宝島の件を話すとかじゃないだろうな。
こんな時に集会とか! ずっと閉鎖しておけよ。
しかも、保護者説明会もあるらしいし……面倒事ばかり増えやがる。
こうなると一度、地元へ戻る必要があるかもしれない。
学校の集会は――二週間後。
8月18日。
……自主退学も視野に入れるべきか。
「おはようございます、啓くん」
「おはよ、北上さん。みんなも」
挨拶を交わし、状況を聞いた。
どうやら、罠の再設置を済ませてきたようだ。
それと周囲に不審者はいなかったようだ。
この分なら襲われる心配もないか。
「引き続き、私は財宝の現金化を進めるねー!」
「頼んだよ、桃枝。金に換えてもっと安全な場所で暮らす為にも」
「そうだね。最近の日本は安全じゃないし……海外のどこかへ移住すべきだろうね」
ノートパソコンを開き、ウェブサイトを見せてくれる桃枝。そこにはニュースサイトの記事があり『探せ、財宝!』の文字がデカデカと。読み進めると『忽然と消えたキャプテン・キッドの財宝。世界中のあらゆる組織が宝島の財宝を狙っている』と書かれていた。
更には『近頃、日本の海域で不審船が出没していることに日本政府も懸念を表明。もしも財宝が実在するなら、その価値は数百億円にのぼるという。ある議員は財源にすべきと――』
まてまて、財宝の情報が洩れてる……!?
「どうしてまた宝島の話が取り上げられているんだ」
「昨晩になってから、海外から記事が上がったんだよ。日本は今朝だね」
海外から……?
なぜ日本からじゃないんだ。
そこがまずおかしい。
疑問を覚えていると北上さんが真剣な眼差しを向け、こう言った。
「ホワイトウォーターでしょうね」
「なっ……なんだって」
「組織が縮小しているとはいえ、秘密裏に活動しているのでしょう。これは彼らの作戦と思われます。あえて情報を流し、財宝のことを世間に知らしめて現金化できないよう妨害しているのかも」
なるほど……北上さんの説明に納得した。
となると昨晩の襲撃は間違いなくホワイトウォーターの連中。俺たちの財宝を狙ってきている。
久保に接触して俺たちを探し出した。
そして、襲い掛かってきたんだ。
「橘川と関係があったとはいえ、厄介な連中だな」
「数百億もの大金になるのです。必死にもなるでしょうね」
今後、また襲ってくる可能性もあるだろうな。
備えておくに越したことはない。
それと、この島に長期滞在は無理そうだな。一刻も早く金を作って移住せねば安寧は得られないだろう。
その為にも桃枝には財宝の取引を進めてもらわねば。俺もなにか出来ることはないかと考えていると、リコが声を上げた。
「た、大変だよ、てっちゃん」
「どうした、リコ」
「SNSで『財宝』だとか『宝島』だとかトレンド入りしてる」
「マジかよ!!」
スマホを取り出し、SNSを覗いてみると確かにトレンドは宝島関連で盛り上がっていた。……こ、これはマズいな。
ニュースサイトのせいで情報が拡散されてやがる。
くそう、ホワイトウォーターのヤツ等……やってくれたな。
「あ、あのぅ……」
今度は千年世が手を挙げた。
「千年世もなにか見つけたか?」
「はい。私たちの学校名が漏れています……」
「今度は学校まで! まずい、特定されかねんぞ」
かつての船舶乗っ取りが掘り起こされたのだろうな。あれは表向きには転覆だのタイタニックの再来だの言われているが、橘川による爆破テロ事件だけどな。
世間的には“不運な事故”と処理されていた。
なのにここに来て、また学校の名が上がるなんて……おかしい。
天音のお爺さんが警察のトップでもあったから、情報に規制をかけてもらった。だから、そこまで世間が大騒ぎになることはなかったのにな。
「どうして……」
天音も不安気に声を漏らす。
このままでは俺たちの存在が表に出てしまうかも。
まずいなと感じていると、月と星が俺の服を引っ張った。
「兄様、兄様」
「大変です」
「今度はなんだ……?」
「学校が近い内に集会を開くそうです。校長先生が今後の予定を話すのだとか」
星がスマホの通知画面を見せてくれた。その後、遅れて俺の方にも通知が届いた。マジじゃん……。
まさか宝島の件を話すとかじゃないだろうな。
こんな時に集会とか! ずっと閉鎖しておけよ。
しかも、保護者説明会もあるらしいし……面倒事ばかり増えやがる。
こうなると一度、地元へ戻る必要があるかもしれない。
学校の集会は――二週間後。
8月18日。
……自主退学も視野に入れるべきか。
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