クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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謎の無人島

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 今夜は最高の日になるだろう――そう勝手に思っていた。
 そう、それは俺の思い込み・・・・だった。

 運命とは実に残酷だ。
 ああ……そうか、日本はもう安全ではなかったのだ。


『ドドドドドドドドドドドドドド……!!!』


 ロシアのヘリ『Mi-24』による機銃掃射が襲い掛かってきた。窓は全て破損し、俺は天音を庇って身を潜めた。

「そんな馬鹿な……なぜココが!!」
「わ、わたしが有名人だから?」
「ああ……そうだった。天音がアイドルだってこと忘れていたよ。もしかして、ロシア人共は天音のことを調べ上げたのか……?」

 やがてヘリから人影が。
 ロープを伝って複数人がマンションに乗り込んできた。……クソっ、こっちは武器をひとつも持っていないぞ。
 さすがに、リスクを考えると地元に持ってくるわけにはいかなかったからな。

 逃げようとするが、複数の人影が迫ってきた。


「……お前たちは逃げられない」


 む……日本語だと?
 いや、少し訛りがある。


「何者だ……」
「死にたくなければ我々について来てもらう」

 俺と天音は目隠しをされた。
 そのままヘリに押し込められ――どこかへ連れていかれた。


 ◆ ◆ ◆


 ヘリはどこへ向かっている……?
 随分と飛行を続けているように思える。

「ねえ、早坂くん。わたしたち、どうなるの?」
「分からん。コイツ等の目的も不明だ。でも、きっと財宝狙いだろう。ロシア人共は、ずっと俺たちを追ってきていたからな」
「だよね。せっかく高校生活に戻れると思ったのに……」

 どうやら、俺たちは普通の高校生活は送れないらしい。
 こういう運命にあるんだな。

 だけど諦めたわけじゃない。
 まだ命を取られたわけでもない。

 生きている限り、希望を失うわけにはいかない。
 まだ財宝だって全て換金できていないからな。

 しばらくしてヘリはどこに降りたようだ。いったい、どこなんだ……?

 降りろと指示があって、俺たちは目隠しされたままヘリを降りた。連行され、どこかへ向かう。

 それにしても潮の香りがするな。……海が近いのか。


「よし、目隠しを取れ」


 何者かが部下に命令し、俺と天音の目隠しを剥ぎ取った。すると自分たちのいる場所に驚かされた。

 な、なんだこの廃墟は!!


「…………こ、ここは」
「ようこそ、我が『端島はしま』へ!」


 仮面をした男は、そう場所を明かした。端島……? 端島だって!? 馬鹿な!!


「ぐ、軍艦島……」
「ほう。さすがに日本人、詳しいようだな。そう、端島といえば軍艦島。今や無人島・・・である」
「ふざけんな。勝手に所有物にしてんじゃねえよ!」
「なぁに、こんな夜の時間帯では誰も来やしない」


 まさか軍艦島に連れて来られるとは思わなかった。しかし、なぜここなんだ。なにもないぞ。あるとすれば歴史の痕跡くらいだ。

「軍艦島に連れてきてどうする気だ」
「慌てるな少年。話はこれからだ」
「話だと?」
「我々と君なら協力できると思うだがな」
「協力だって? 財宝狙いだろうが」
「話が早くて助かる。そうだ、宝島に残っている財宝がどこに眠っているか教えてもらおうか」
「悪いが、宝島にはもう何も残っちゃいない」

 俺がそう明かすと仮面の男は天音に銃を向けた。コイツ!

「この少女の命がどうなってもいいのか?」
「本当だ! 行ったところで無駄だ。それに、世界中から人間が殺到している。あったとしても、もうとっくに持って行かれているさ」

「なるほど。ならば、お前達が手に入れた財宝を貰うしかないようだな」

 最初からそのつもりのクセに。
 しかしどうしたものか……。
 天音を人質に取られ、しかも仮面をかぶった男達が複数人。多分、五人はいる。こんな孤島では逃げる場所もほとんどないぞ。

 どうするべきか……!
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