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無人島移住プラン
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櫛家での生活がはじまった。
一週間後の手続き完了までだ。
一日、二日……三日目を迎えた。生活は順調で自分の家のように住んでいた。特に敵襲もなく、むしろ平和な日々。
初日はいきなり奇襲を受けたが、あれ以降は気配がなかった。このまま何も起きなければいいのだが……。
――五日目。
これまで外出をしたり訓練をしたり、島でのプランを練ったりなど進めていった。
現在、櫛家の地下駐車場で作戦会議を練っていた。
ここには高級外車がズラリ。
こういう場所に隠してあるんだな。
しかもシェルターにもなっており、いざとなれば籠城できるようになっていた。
「櫛家凄すぎるだろ」
「啓くん、彼等は武装組織。これくらい普通です」
今後の作戦を練る北上さんは、そんな風に言いつつもコーヒーを味わっていた。天音や千年世、みんなも神造島でどう生活するか悩んでいた。
そんな中、艾が口を開く。
「あのさ、コンテナだとかプレハブだとか案があるけど、ちょっと難しくない?」
「艾、なにか懸案事項が?」
「どうやって輸送するの? 目立つし、戦闘機のミグだって飛来してくるかもなんでしょ? 爆撃されたら終わりじゃん」
「いや、それを言ったら、どこにいても同じだよ。海外の軍事基地にも同じことが言えてしまう」
「個人的にはテントとかでいいと思うけど。移動できるしさ」
「テント生活か。それも悪くないな」
「でしょ~!」
今までサバイバル生活をしてきたわけで、それなりに慣れている。けど、せっかくなら快適な生活を送れるようにしたいのだがな~。
なにか良い方法はないものか……。
再び悩んでいると、天音がノートパソコンで動画サイトを見ていた。車中泊系の動画か……。
む?
「天音、そういう車中泊とか好きなのか?」
「うん、パパの影響でね。昔、キャンピングカーで旅行に連れていってもらったことが――」
「!! 天音、それだ!!」
俺は飛び上がった。
天音の発言で俺は、ひらめいてしまった。
「え……? なにが!?」
「それだよそれ。車中泊だよ。キャンピングカーを家として使うんだよ」
俺がそう提案すると、千年世が慌てた。
「ちょ、ちょっと待って下さい。私たち、免許がありませんよ!?」
「そ、それは……」
やべ、そこまでは考えてなかった――つもりだったが、ちょうど万由里が会議室に入ってきた。
「失礼します、みなさま方」
「万由里さん!」
「今の話、聞かせていただきました。運転なら、わたしにお任せを」
「!? 万由里さん、運転できるの?」
「はい。わたしはこれでも二十歳。運転免許も持っています」
「なんだってぇ!?」
同年代かと勝手に思っていたけど、まさかの年上だったのかよ。どうりで大人びていると思った。
しかし、万由里さんひとりだけでは足りない。
「キャンピングカーは大型タイプで最大三~四人は寝られる。でも、この人数では三台は必要だ。運転手があと二人欲しいところか」
「兄様、兄様」
「どうした、星」
「わたしと月は引き続き財宝売却を進めたいので、こちらに残ります」
「ふむ……」
確かに、この二人が一番重要である。自由に動けるようにしておかないと、売却が進まない。
「となると、キャンピングカー二台でいけるかな」
「早坂くん、私も残ります」
「大塚さん……でも」
「いいんです。私は八重樫さんや大伊さんたちの方を手助けしてあげたいんです」
「そうだな、入院している仲間もいるし……そっちをサポートしてあげられる人がいた方がいいな」
「わがまま言ってしまってすみません」
「いや、いいんだ」
となると、俺と万由里さん含めてチームは八名となる。が、運転手が不足している。つけるとなると人数も増えるしなぁ……困ったぞい。
「仕方ありませんね、啓くん」
「北上さん、まさか」
「あたしが運転します」
「いや、けど無免では!?」
「国際免許証があるんですよ」
「んなっ!?」
「アメリカは十六歳から取得可能ですからね。ほら、証拠です」
スッと取り出す北上さん。
その手にはマジもんの国際免許証があった。
てか、この写真誰だよ……昔と今の北上さん、雰囲気違いすぎだろっ!
「まさか偽造じゃないだろうな」
「失礼な。これはあたし本人です」
「マジかよ」
どう見ても別人なんだけどなぁ……。
「しかし、これで実年齢がバレてしまいましたね」
「へ……どういう意味だ?」
「…………う、これは墓穴を掘ってしまいました」
顔を青くする北上さん。俺は意味が分からなかったが、千年世が説明してくれた。
「早坂くん、ジュネーブ条約で規定されているんですよ。日本で乗れる国際免許が取れるということは“十八歳以上”ということです」
「んな――!?」
マジか……そうだったのかよ。
って、そりゃそうだよな。
北上さんって、いくらなんでも経験値が高すぎるし。
「黙っていて申し訳ないです。今まで高校二年生でしたし、その……年上では変に見られるかと思い、十六歳ということにさせていただいておりました」
そんな理由があったとは。
けど、北上さんの本当の年齢が知れて良かった。
まあ今もこれからも、接し方が変わることはない。
今までと同じさ。
「もう今さら驚かないさ。じゃあ、運転はできるってことだね?」
「ええ、可能です。免許はないですが、飛行機やヘリ、戦闘機も飛ばせますよ~」
「そっちはヤバすぎるって」
とにかく、これで運転手はそろった。
北上さんと万由里さんにキャンピングカーを運転してもらう。そして、神造島の拠点とする。
一週間後の手続き完了までだ。
一日、二日……三日目を迎えた。生活は順調で自分の家のように住んでいた。特に敵襲もなく、むしろ平和な日々。
初日はいきなり奇襲を受けたが、あれ以降は気配がなかった。このまま何も起きなければいいのだが……。
――五日目。
これまで外出をしたり訓練をしたり、島でのプランを練ったりなど進めていった。
現在、櫛家の地下駐車場で作戦会議を練っていた。
ここには高級外車がズラリ。
こういう場所に隠してあるんだな。
しかもシェルターにもなっており、いざとなれば籠城できるようになっていた。
「櫛家凄すぎるだろ」
「啓くん、彼等は武装組織。これくらい普通です」
今後の作戦を練る北上さんは、そんな風に言いつつもコーヒーを味わっていた。天音や千年世、みんなも神造島でどう生活するか悩んでいた。
そんな中、艾が口を開く。
「あのさ、コンテナだとかプレハブだとか案があるけど、ちょっと難しくない?」
「艾、なにか懸案事項が?」
「どうやって輸送するの? 目立つし、戦闘機のミグだって飛来してくるかもなんでしょ? 爆撃されたら終わりじゃん」
「いや、それを言ったら、どこにいても同じだよ。海外の軍事基地にも同じことが言えてしまう」
「個人的にはテントとかでいいと思うけど。移動できるしさ」
「テント生活か。それも悪くないな」
「でしょ~!」
今までサバイバル生活をしてきたわけで、それなりに慣れている。けど、せっかくなら快適な生活を送れるようにしたいのだがな~。
なにか良い方法はないものか……。
再び悩んでいると、天音がノートパソコンで動画サイトを見ていた。車中泊系の動画か……。
む?
「天音、そういう車中泊とか好きなのか?」
「うん、パパの影響でね。昔、キャンピングカーで旅行に連れていってもらったことが――」
「!! 天音、それだ!!」
俺は飛び上がった。
天音の発言で俺は、ひらめいてしまった。
「え……? なにが!?」
「それだよそれ。車中泊だよ。キャンピングカーを家として使うんだよ」
俺がそう提案すると、千年世が慌てた。
「ちょ、ちょっと待って下さい。私たち、免許がありませんよ!?」
「そ、それは……」
やべ、そこまでは考えてなかった――つもりだったが、ちょうど万由里が会議室に入ってきた。
「失礼します、みなさま方」
「万由里さん!」
「今の話、聞かせていただきました。運転なら、わたしにお任せを」
「!? 万由里さん、運転できるの?」
「はい。わたしはこれでも二十歳。運転免許も持っています」
「なんだってぇ!?」
同年代かと勝手に思っていたけど、まさかの年上だったのかよ。どうりで大人びていると思った。
しかし、万由里さんひとりだけでは足りない。
「キャンピングカーは大型タイプで最大三~四人は寝られる。でも、この人数では三台は必要だ。運転手があと二人欲しいところか」
「兄様、兄様」
「どうした、星」
「わたしと月は引き続き財宝売却を進めたいので、こちらに残ります」
「ふむ……」
確かに、この二人が一番重要である。自由に動けるようにしておかないと、売却が進まない。
「となると、キャンピングカー二台でいけるかな」
「早坂くん、私も残ります」
「大塚さん……でも」
「いいんです。私は八重樫さんや大伊さんたちの方を手助けしてあげたいんです」
「そうだな、入院している仲間もいるし……そっちをサポートしてあげられる人がいた方がいいな」
「わがまま言ってしまってすみません」
「いや、いいんだ」
となると、俺と万由里さん含めてチームは八名となる。が、運転手が不足している。つけるとなると人数も増えるしなぁ……困ったぞい。
「仕方ありませんね、啓くん」
「北上さん、まさか」
「あたしが運転します」
「いや、けど無免では!?」
「国際免許証があるんですよ」
「んなっ!?」
「アメリカは十六歳から取得可能ですからね。ほら、証拠です」
スッと取り出す北上さん。
その手にはマジもんの国際免許証があった。
てか、この写真誰だよ……昔と今の北上さん、雰囲気違いすぎだろっ!
「まさか偽造じゃないだろうな」
「失礼な。これはあたし本人です」
「マジかよ」
どう見ても別人なんだけどなぁ……。
「しかし、これで実年齢がバレてしまいましたね」
「へ……どういう意味だ?」
「…………う、これは墓穴を掘ってしまいました」
顔を青くする北上さん。俺は意味が分からなかったが、千年世が説明してくれた。
「早坂くん、ジュネーブ条約で規定されているんですよ。日本で乗れる国際免許が取れるということは“十八歳以上”ということです」
「んな――!?」
マジか……そうだったのかよ。
って、そりゃそうだよな。
北上さんって、いくらなんでも経験値が高すぎるし。
「黙っていて申し訳ないです。今まで高校二年生でしたし、その……年上では変に見られるかと思い、十六歳ということにさせていただいておりました」
そんな理由があったとは。
けど、北上さんの本当の年齢が知れて良かった。
まあ今もこれからも、接し方が変わることはない。
今までと同じさ。
「もう今さら驚かないさ。じゃあ、運転はできるってことだね?」
「ええ、可能です。免許はないですが、飛行機やヘリ、戦闘機も飛ばせますよ~」
「そっちはヤバすぎるって」
とにかく、これで運転手はそろった。
北上さんと万由里さんにキャンピングカーを運転してもらう。そして、神造島の拠点とする。
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