クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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財宝の現金化60%超え

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 秋ごろなせいか、エアコンは必要なく、むしろ寒いくらいだった。
 千年世の体温のおかげで快適に寝られた。


 ……翌日。


 ルーフ内に陽射しが入ってきて、俺は目覚めた。
 千年世は――まだ寝ている。

 そっとルーフから下りて俺はメインルームへ。

 すると、すでに天音は起床していた。

「おはよう、天音」
「お、おはよう、早坂くん」

 なにやらギコチナイというか、気まずい。
 昨晩は千年世と寝たからだろうけれど……むぅ。

「天音、怒ってるよな」
「お、怒ってないもん!」
「いや、怒ってるだろ」
「ばかばかばか!」

 そんな涙目になって頬を膨らませて言われても迫力がないというか、可愛すぎる。
 けどここは天音の機嫌を直してやろう。

「落ち着け、天音。二人きりでちょっと散歩しよう」
「ほ、本当に?」
「ああ、この島のことをまだ分かっていないし、少しは視察しておかないとな」
「それならいいよ。じゃあ、絶対に二人きりね」
「なら直ぐ出よう」

 準備をして、すぐにキャンピングカーを飛び出た。
 外は日が昇り、少し熱を感じた。
 でも、風が心地よい。
 これなら汗を掻く心配はなさそうだ。

 しばらくすると天音が合流してきた。

「お待たせ~」
「おう、って……天音、着替えたのか」
「うん、お気に入りのワンピにしてみた」

 おぉ、花柄のワンピースとは、こりゃ可愛いな。

「似合ってるよ、天音」
「嬉しい、ありがと」

 上機嫌になりつつ、天音は俺と手を繋いでくれた。
 そのまま散歩へ。

 島の道路はガタガタしていて歩きにくい。これはどうにかしないとな。

「こっちの方へ行ってみよう」
「なんだか森だね」
「ほとんど手が加えられていないから、自然のままだ」
「港に駐留すると狙われるし、こっちへ移動したいよね」
「うむ、そうだな。早めに工事して道を切り開こう」

 ずっと港では目立つし、いざ戦闘になったら逃げ場がない。避難用の場所もいくつか作っておかないと。
 更に先へ進むと、もう道はなかった。

 やはり、ほとんど放置されている。

「眺めは最高だね」
「戦闘さえなければ快適に暮らせて良さそうだな」

 その後、あっちこっち回って視察を終えた。
 天音との散歩を楽しみ、キャンピングカーへ戻った。
 すると、北上さんやリコたちが朝食を作っていた。


「おかえりなさい、啓くん」
「おっす、北上さん」
「天音さんとどこへ行っていたのですか?」
「ちょっと島の様子をね。ぱっと見てきたけど、このままでは奥へ行けない」
「なるほど、工事が必要そうですね」
「早めに道を作っておきたい。あと避難所だ」
「分かりました。櫛家にも相談しておきましょう」
「助かる」

 草木がびっしり生えているし、まずは草刈りからしないとな。
 島を眺めているとリコがコーヒーを差し出してくれた。

「はい、てっちゃん」
「ありがと、リコ。――うん、うまい」
「良かった~。あたしが淹れたんだよ~」

 へえ、美味いな。
 寝起きで鈍っていた思考が正常になりつつある。やはり、コーヒーを飲まないとはじまらない。

 それから俺は桃枝の方へ声を掛けた。

「で、状況は?」
「財宝の売却は60%まで進んだよ」
「マジかよ。い、いつの間にそんなに進んでいたんだ……!?」
「いや~、ほら、最近“金”が高騰してるじゃん。需要上がっちゃって」
「なるほどねえ」

 ゴールドラッシュってやつかね。
 桃枝によれば、どうやら世界的な金高騰により、砂金を取りに川へ行く人が急増しているのだとか。

 俺たちは財宝の中に金を大量に見つけた。

 今の相場で売ればかなり高く売れるというわけだ。
 しかもほとんどが金だったからな。

 あとは宝石類か。


「全部現金化できれば、ロシア人に狙われても大丈夫だね」
「どうかな。今度は金を寄越せに変わるだけだと思う」
「変わらないか~」
「ああ、この島もあくまでヤツ等と戦うための主戦場だ」


 そう、きっと俺たちを狙いにくる。対決の日は近いと睨んでいる。その為にも備えておかねば。
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