186 / 287
神造島生活、一週間目
しおりを挟む
※神造島・早坂視点
神造島生活をはじめ、一週間が経過した。
あれから道を切り開いたり、道路を舗装したり……森林伐採を行ったり、頑丈なコンクリートの壁を作ったり、ドラム缶風呂を作ったり、トイレを設置したり。
さらにソーラーパネルを設置しまくって電気を確保。
北上さんは塹壕まで作り始めちゃって、本格的な戦場フィールドも整いつつあった。
数々のトラップを仕掛け、地雷原まで出来上がった。迂闊につっこめば体が吹っ飛ぶ。
「……ふぅ。少しは島が住みやすくなったな」
俺は畑を耕していた。
元園芸部の艾の要望だ。
花だけでなく、野菜を作ったりするらしい。自給自足までし始めちゃったのである。
「ごめんね、早坂くん。手伝わせちゃって」
「いいよ、艾。こういう趣味も必要だ」
少しは体を動かさないと鈍るってもんだ。
それに労働も悪くない。
艾は本格的な作業服に身を包み、苗を植えたりしていた。やはり、園芸部員だけあって手際が良い。しかも、農業もやれるときた。
ジャガイモやキュウリ、ナスやトマトなどなど作り始めた。
いざ島が孤立しても、やっていけるな。
「ねえ、てっちゃーん!」
「ん? リコか」
振り向くと麦わら帽子をかぶったリコが元気よく走ってきていた。
「見て見て、魚釣れたよ!」
「おぉ、デカいな」
リコは最近、釣りにハマっているらしい。
ミミズをエサにしているようだが、よく触れられるな。ギャル女子にしては珍しいタイプだ。
「五十センチだってさ」
「大物じゃないか! てか、いつの間に釣竿を……」
「神造島へ来る前に買っておいたんだ。キャンピングカーにいくつか積んであるよ」
「へえ、俺もやってみようかな」
「無人島の頃と違って、高性能な電動リールだよ」
「マジかよ。電動とか三万以上するだろうに」
「うん、高いって聞いた。でも楽じゃん」
そりゃそうだが、高級装備で整えてあるなぁ。まあいいか、楽だし。
俺も釣りに参加することにした。
整備した小規模の港には、リコの他にも桃枝もいた。この二人、仲良いな。
「あ、てっちゃん~!」
「桃枝も釣りか」
「そそー! リコちゃんに連れられてさ~。ここ、ほのぼの出来て最高だよ」
確かに、穏やかな海が広がり、潮風も心地よい。
絶好の釣り日和な気配を漂わせていた。
なるほど、大物が釣れそうな気配がある。実際、リコが釣れているし、今日はいけるかもな。
「俺の釣竿もある?」
「もちろん。これを使って」
「ありがと」
電動リール付きの竿を受け取り、俺はさっそくエサをつけて遠投した。
「うまいね」
「昔から釣りは好きだからね」
それにしても、リコがどんどん釣っているな。才能ありすぎだろ。
「また釣れちゃった!」
「リコ、上手すぎだろ」
「えへへ~。なんか今日は調子良いんだよね!」
俺と桃枝はぜんぜん掛からないぞ。
場所のせいなのかなぁ……。
ほとんど離れてはいないけどな。
「うーん……てっちゃん。釣れないねぇ……」
「そうだな、桃枝。けど、こうしてボ~っと釣りを楽しむのも醍醐味だぞ」
「そういうものなの~?」
「そういうものなの」
俺は静かに釣りを楽しんでいくが――桃枝はノートパソコンで世界情勢を調べながら釣りをしていた。
「ところでさ~」
「どうした、桃枝」
「てっちゃんって、今は誰が好きなの?」
「――ブッ!? いきなりなにを言うんだ!?」
「これだけ女子がいるんだから、もう誰かと手を繋いだりしてるでしょ?」
いや、それ以上なんだが。
「今更なにを言っている。桃枝は欲求不満なのか」
「…………ちょ! ハッキリと!」
赤面する桃枝は、ノートパソコンを落としそうになっていた。あぶねっ!
「大切なパソコンを海に落とすところだったぞ」
「う、うん……ありがとね、てっちゃん。そ、その……手が触れてる」
「き、気にすんな。これくらい」
「……てっちゃんしか男の子いないんだもん」
「へ」
「今夜……どうかな」
「桃枝、お前……大胆だな」
「女の子だって、そういう気分になることあるし……」
桃枝から誘われるなんて珍しいことがあるものだ。しかし、断る理由もない。
「良いんだな?」
「うん、いいよ。その代わり、伴侶に……」
「んな!? 伴侶って夫婦じゃねぇか!!」
「いいじゃん。てっちゃん、北上さんを愛人にするんでしょ!?」
「なんで知ってんだよ!?」
「私は天才ハッカーなので!」
どういうことだよ!
そんな情報がネットに出回っているのか!? いや、絶対に関係ないな。どこで漏れたのやら。まあ普通に盗み聞きされていたんだろうな。
神造島生活をはじめ、一週間が経過した。
あれから道を切り開いたり、道路を舗装したり……森林伐採を行ったり、頑丈なコンクリートの壁を作ったり、ドラム缶風呂を作ったり、トイレを設置したり。
さらにソーラーパネルを設置しまくって電気を確保。
北上さんは塹壕まで作り始めちゃって、本格的な戦場フィールドも整いつつあった。
数々のトラップを仕掛け、地雷原まで出来上がった。迂闊につっこめば体が吹っ飛ぶ。
「……ふぅ。少しは島が住みやすくなったな」
俺は畑を耕していた。
元園芸部の艾の要望だ。
花だけでなく、野菜を作ったりするらしい。自給自足までし始めちゃったのである。
「ごめんね、早坂くん。手伝わせちゃって」
「いいよ、艾。こういう趣味も必要だ」
少しは体を動かさないと鈍るってもんだ。
それに労働も悪くない。
艾は本格的な作業服に身を包み、苗を植えたりしていた。やはり、園芸部員だけあって手際が良い。しかも、農業もやれるときた。
ジャガイモやキュウリ、ナスやトマトなどなど作り始めた。
いざ島が孤立しても、やっていけるな。
「ねえ、てっちゃーん!」
「ん? リコか」
振り向くと麦わら帽子をかぶったリコが元気よく走ってきていた。
「見て見て、魚釣れたよ!」
「おぉ、デカいな」
リコは最近、釣りにハマっているらしい。
ミミズをエサにしているようだが、よく触れられるな。ギャル女子にしては珍しいタイプだ。
「五十センチだってさ」
「大物じゃないか! てか、いつの間に釣竿を……」
「神造島へ来る前に買っておいたんだ。キャンピングカーにいくつか積んであるよ」
「へえ、俺もやってみようかな」
「無人島の頃と違って、高性能な電動リールだよ」
「マジかよ。電動とか三万以上するだろうに」
「うん、高いって聞いた。でも楽じゃん」
そりゃそうだが、高級装備で整えてあるなぁ。まあいいか、楽だし。
俺も釣りに参加することにした。
整備した小規模の港には、リコの他にも桃枝もいた。この二人、仲良いな。
「あ、てっちゃん~!」
「桃枝も釣りか」
「そそー! リコちゃんに連れられてさ~。ここ、ほのぼの出来て最高だよ」
確かに、穏やかな海が広がり、潮風も心地よい。
絶好の釣り日和な気配を漂わせていた。
なるほど、大物が釣れそうな気配がある。実際、リコが釣れているし、今日はいけるかもな。
「俺の釣竿もある?」
「もちろん。これを使って」
「ありがと」
電動リール付きの竿を受け取り、俺はさっそくエサをつけて遠投した。
「うまいね」
「昔から釣りは好きだからね」
それにしても、リコがどんどん釣っているな。才能ありすぎだろ。
「また釣れちゃった!」
「リコ、上手すぎだろ」
「えへへ~。なんか今日は調子良いんだよね!」
俺と桃枝はぜんぜん掛からないぞ。
場所のせいなのかなぁ……。
ほとんど離れてはいないけどな。
「うーん……てっちゃん。釣れないねぇ……」
「そうだな、桃枝。けど、こうしてボ~っと釣りを楽しむのも醍醐味だぞ」
「そういうものなの~?」
「そういうものなの」
俺は静かに釣りを楽しんでいくが――桃枝はノートパソコンで世界情勢を調べながら釣りをしていた。
「ところでさ~」
「どうした、桃枝」
「てっちゃんって、今は誰が好きなの?」
「――ブッ!? いきなりなにを言うんだ!?」
「これだけ女子がいるんだから、もう誰かと手を繋いだりしてるでしょ?」
いや、それ以上なんだが。
「今更なにを言っている。桃枝は欲求不満なのか」
「…………ちょ! ハッキリと!」
赤面する桃枝は、ノートパソコンを落としそうになっていた。あぶねっ!
「大切なパソコンを海に落とすところだったぞ」
「う、うん……ありがとね、てっちゃん。そ、その……手が触れてる」
「き、気にすんな。これくらい」
「……てっちゃんしか男の子いないんだもん」
「へ」
「今夜……どうかな」
「桃枝、お前……大胆だな」
「女の子だって、そういう気分になることあるし……」
桃枝から誘われるなんて珍しいことがあるものだ。しかし、断る理由もない。
「良いんだな?」
「うん、いいよ。その代わり、伴侶に……」
「んな!? 伴侶って夫婦じゃねぇか!!」
「いいじゃん。てっちゃん、北上さんを愛人にするんでしょ!?」
「なんで知ってんだよ!?」
「私は天才ハッカーなので!」
どういうことだよ!
そんな情報がネットに出回っているのか!? いや、絶対に関係ないな。どこで漏れたのやら。まあ普通に盗み聞きされていたんだろうな。
7
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる