クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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幸せをつかむ、その時まで

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 今度は、スイッチブレードを使い自爆特攻する。
 ――とはいえ、アメリカ製ではなくてパチモンに近いものだ。某戦場で使われていたものが偶然無傷で手に入ったらしい。つまり、アメリカのコピー製品というわけだ。
 しかし、限りなく本物に近く、それでいてコスパは良い。通常なら、三百万円以上はするだろうが、このコピー製品は一機で五十万円という破格。

 おかげで大量に仕入れることに成功した。

 送信機プロポを操作し、俺は無人航空機を飛ばす。スイッチブレード自体はいつでも飛ばせるように外に待機させていた。
 あとは飛ばすだけ。

 幸い、敵陣に近い。
 それほど飛行せずとも特攻できるはずだ。

 さっそく一機を飛ばし、目標を探す。
 敵の居場所は、通常ドローンで確認済み。GPSの座標を確認しながら、そこへ向かう。すると敵のいるポイントが見えてきた。

 目標を定め、俺はスイッチブレードを特攻させた。

 一気に急降下していき、敵陣営に激突。
 敵を切り裂き、爆発した。

「やりましたね、哲くん」
「ああ、北上さん。コピー製品のスイッチブレードだけど、普通に使えるな」

 これはある意味では“切り札”だった。だが、追い詰められ始めている今こそ使わねば。
 
「凄いね。これなら安全に敵を排除できるんだ」

 こんな武器があったのかと天音は驚いていた。
 今の時代の戦争はドローンが必須になっている。索敵や爆弾の投下、物資の投下、そして自爆特攻。
 コストはそれなりに掛かるものの、兵士が負傷したり命を落とすことはない。ドローンは画期的だ。


「敵はまだまだいる。この調子で減らす」


 引き続き俺はスイッチブレードを操り、敵を減らしていく。
 けれど敵はさらに増員。
 くそ、この神造島にどれだけ上陸したんだ。
 敵勢力は思った以上にいるのか……!


「まずいですね。敵の数が増えています」
「奴ら、ここまで兵士を確保していたとはな……」
「敵は非公式にせよ、秘密警察NKVDですからね。秘密裏に組織された特殊部隊なのでしょうが、数百人規模とは思いませんでしたね」

 北上さんは、敵が『中隊』規模ではないかと予測した。
 だとすれば、まだまだ敵が潜んでいる可能性があるな。

「どうする。スイッチブレードは残り少ないぞ」
「では残りはそのままに。いったん、桃枝たちと合流しましょう」
「そうだな。他の仲間が気になるな」

 特殊な暗号通信をして無事を確認しているが、敵がいつ突入してくるか分からない。そろそろ全員集まっておくか。

 残念ながらトンネルの道まで作っている余裕はなかったので、先へ進むことはできない。いったん外へ出てB地点へ向かう必要がある。

「あたしが先に出ます。哲くんと天音さんは援護を」

「「了解」」

 北上さんはボルトアクションライフル『DSR-1』のスコープを覗き、周囲の様子を伺う。
 ハンドサインで『前へ』と合図があったので、俺と天音はそのまま外へ。

 まだこの辺りに敵はいないらしい。
 だけど、木々が徹底的に燃やされてしまい遮蔽物がなにもなかった。こんな大炎上の戦場みたいな光景にしやがって……。
 てか、さすがに警察や自衛隊が気づきそうなものだけどな。
 しかし、不思議と騒ぎになる気配もなかった。……どうなっている?
 情報操作でもされているのか。それとも情報統制? なにかしらの隠蔽工作か?
 日本政府も財宝を狙っているからな。腐っていてもおかしくはないが。

 不安を抱えながら、B地点を目指した。


「ねえ、早坂くん」
「どうした、天音」
「この島から逃げなくて本当に大丈夫なの……?」
「逃げたところで俺たちに居場所はない。この日本にはね。でも、もうすぐ海外へ移住できる。それまでの我慢だ」

「そう、だよね……」


 確かに、敵は今までとは違う規模感だ。戦闘機や潜水艦など明らかにやりたい放題。だけど、日本政府はまるで気に留めていない。
 さすがに、おかしすぎる……!
 これはなにか陰謀めいたものを感じるぞ。

 急いでB地点へ向かう。
 敵に見つかることなく、なんとか到着した。

 岩陰のそばに小さなフタがある。
 それを外すと地下トンネルへの出入り口が現れた。


「ここです。哲くん、先に行ってください」
「おう」

 北上さんの指示に従い、俺は地下トンネルへ。
 一人ずつでないと入れない幅だ。……ギリギリすぎて窮屈だ。

 なんとか中へ入って、ほぼ匍匐前進ほふくぜんしんで進んでいくと、桃枝たちがいた。


「あれ、てっちゃん!」
「よう、桃枝。お、みんないるじゃん!」


 リコに万由里さん、千年世、艾とそろっていた。

 よかった、誰も欠けていない。

 しばらくして天音と北上さんもやってきた。


 俺たちは、まだまだ戦える。
 最後まで諦めない。
 幸せをつかむ、その時まで。
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