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重大な秘密
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「教えてくれ、北上さん」
「……はい。ヴァレンティンは私の母を殺した男です」
「な、なんだって……!?」
外の様子をうかがいながら、けれど北上さんは肩を落とした。
微かに瞳に動揺と悲しみが。
こんな彼女を見るのは初めてだ。
「彼は、当時ロシアの軍人で高い地位にいたようです。ですが、アメリカ軍人であった父に作戦の妨害を受けて失脚……。だから、強い恨みを持ち、母を狙ったようです」
「その作戦って……?」
「ある国の代理戦争ですよ。ロシアもアメリカも裏で介入していたんです。その時の作戦の一部ですね。詳しいことは軍事機密に抵触するので言えませんが」
やはり北上さんは軍人の家系なんだな。分かってはいたけど。
つまり、彼女はかなり前から、この島に上陸している指揮官であるヴァレンティンという男を知っていた……というわけか。
もっと早く話して欲しかった気もするけれど、でも、母親が殺されていると聞くと……思い出したくない過去だったのだろう。
「そうだったのか。北上さんは、ヴァレンティンに恨みがあるんだな」
「……実を言えばそうなります。でも、みんなを危険には晒したくありません。あたし一人の行動で迷惑をかけたくはない」
きっと本当は今すぐにでも一人で行動を起こし、ヴァレンティンを暗殺しに行きたいんだろうな。だが、その衝動を抑えて俺たちと共にしてくれている。それは巻き込めないという気持ちの表れだろうな。
「ヤツが現れたのなら容赦なく反撃していいさ」
「ありがとうございます。その時はあたしに任せてください」
「ああ。俺も一緒に戦うさ」
「……哲くん。嬉しいです。あなたは本当に勇敢だ」
普段は見せないような柔らかい笑みを浮かべる北上さん。笑えば可愛いんだよな、この人。
けれど、その笑えなくなってしまった原因がヴァレンティンではないかと俺は推察した。アイツが北上さんの人生を狂わせた。そうに違いない。
「いや。それより、ヴァレンティンのことをもっと教えてくれ。なにか情報があるんだろ?」
「分かりました。彼はもともとロシアの上級指揮官であり中将でした。とても野心家であり、狂暴だと有名でした。しかし、先ほども話した通り……とある作戦で大失態を犯します。その結果、彼は表舞台から姿を消しました」
それからヴァレンティンは“裏組織”を任され、それが秘密警察というわけらしい。
子供のころから大統領を夢見て活動を続けていたらしいが、失脚が原因で叶わずにいたわけだ。だが、裏組織をうまく軌道に乗せ、ついには暗躍を始めた。
俺たちが宝島から生還して、それが知れ渡るとヴァレンティンは組織を動かして……ついに襲い掛かってきたというわけだ。
「だけど、それだけでここまで派手に戦う意味も分からんな」
「おそらく、ヴァレンティンは大統領になる為にまずは数百億にもなる財宝を奪って、莫大な富を得ようとしたのでしょう。我々のような学生から奪うなんて容易いと、そう考えた。しかし、ここまで反撃され、今は相当焦っているはずです」
つまり、やつは富を権力を得るためにこんなことを……!
馬鹿げている。
日本の領空侵犯や領海侵犯、明らかな戦争行為を仕掛けて……タダでは済まないぞ。さすがの日本政府も抗議では済まない。重い腰を上げて自衛権を行使するだろう。
「なあ、こんなガチ戦争になっているのに、なんで政府は動かないんだ?」
「その件にも覚えがあります」
「え……」
「これよりは歩いて話します。警戒しながら進みますよ」
「……わ、分かった」
まだ何かあるというのか。
ヴァレンティンに関する何かが。
それとも日本のことか……?
「……はい。ヴァレンティンは私の母を殺した男です」
「な、なんだって……!?」
外の様子をうかがいながら、けれど北上さんは肩を落とした。
微かに瞳に動揺と悲しみが。
こんな彼女を見るのは初めてだ。
「彼は、当時ロシアの軍人で高い地位にいたようです。ですが、アメリカ軍人であった父に作戦の妨害を受けて失脚……。だから、強い恨みを持ち、母を狙ったようです」
「その作戦って……?」
「ある国の代理戦争ですよ。ロシアもアメリカも裏で介入していたんです。その時の作戦の一部ですね。詳しいことは軍事機密に抵触するので言えませんが」
やはり北上さんは軍人の家系なんだな。分かってはいたけど。
つまり、彼女はかなり前から、この島に上陸している指揮官であるヴァレンティンという男を知っていた……というわけか。
もっと早く話して欲しかった気もするけれど、でも、母親が殺されていると聞くと……思い出したくない過去だったのだろう。
「そうだったのか。北上さんは、ヴァレンティンに恨みがあるんだな」
「……実を言えばそうなります。でも、みんなを危険には晒したくありません。あたし一人の行動で迷惑をかけたくはない」
きっと本当は今すぐにでも一人で行動を起こし、ヴァレンティンを暗殺しに行きたいんだろうな。だが、その衝動を抑えて俺たちと共にしてくれている。それは巻き込めないという気持ちの表れだろうな。
「ヤツが現れたのなら容赦なく反撃していいさ」
「ありがとうございます。その時はあたしに任せてください」
「ああ。俺も一緒に戦うさ」
「……哲くん。嬉しいです。あなたは本当に勇敢だ」
普段は見せないような柔らかい笑みを浮かべる北上さん。笑えば可愛いんだよな、この人。
けれど、その笑えなくなってしまった原因がヴァレンティンではないかと俺は推察した。アイツが北上さんの人生を狂わせた。そうに違いない。
「いや。それより、ヴァレンティンのことをもっと教えてくれ。なにか情報があるんだろ?」
「分かりました。彼はもともとロシアの上級指揮官であり中将でした。とても野心家であり、狂暴だと有名でした。しかし、先ほども話した通り……とある作戦で大失態を犯します。その結果、彼は表舞台から姿を消しました」
それからヴァレンティンは“裏組織”を任され、それが秘密警察というわけらしい。
子供のころから大統領を夢見て活動を続けていたらしいが、失脚が原因で叶わずにいたわけだ。だが、裏組織をうまく軌道に乗せ、ついには暗躍を始めた。
俺たちが宝島から生還して、それが知れ渡るとヴァレンティンは組織を動かして……ついに襲い掛かってきたというわけだ。
「だけど、それだけでここまで派手に戦う意味も分からんな」
「おそらく、ヴァレンティンは大統領になる為にまずは数百億にもなる財宝を奪って、莫大な富を得ようとしたのでしょう。我々のような学生から奪うなんて容易いと、そう考えた。しかし、ここまで反撃され、今は相当焦っているはずです」
つまり、やつは富を権力を得るためにこんなことを……!
馬鹿げている。
日本の領空侵犯や領海侵犯、明らかな戦争行為を仕掛けて……タダでは済まないぞ。さすがの日本政府も抗議では済まない。重い腰を上げて自衛権を行使するだろう。
「なあ、こんなガチ戦争になっているのに、なんで政府は動かないんだ?」
「その件にも覚えがあります」
「え……」
「これよりは歩いて話します。警戒しながら進みますよ」
「……わ、分かった」
まだ何かあるというのか。
ヴァレンティンに関する何かが。
それとも日本のことか……?
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