232 / 287
懐かしき仲間との合流と対馬大脱出
しおりを挟む
公安警察と名乗る男三人から銃口を向けられていた。
俺は正直、公安を舐めていた。
まさかこんなにも迅速に対応してくるとは予想外すぎる。いくらなんでも早すぎる。まるでこっちの位置が最初から分かっていたみたいじゃないか。
「武器を捨てろ。両手を頭の後ろに」
公安の男の一人がそう警告してきたので、俺たちは素直に従った。
「どうします、哲くん。今ならまだ……」
北上さんが小声で指示を求めてきたが、俺は止めた。今この状況で反撃は厳しすぎる。相手はプロ三人。しかも公安だからな……撃ってくる可能性が非常に高い。
安易に戦えば死を招くだろうと俺は結論に至った。
だから今は様子を見ることにした。
「今は従うんだ。大丈夫、きっとチャンスはある」
「……分かりました」
抵抗しない意思を公安に示すと、三人の男たちは銃を向けながらこちらへ慎重に歩いてくる。……当然、逮捕されるんだよな。
天音に頼んで優秀な弁護士を雇ってもらうしかないかな。
などと考えていると――。
「があッ!?」
「ぐぅ……!」
「うぁッ!!」
公安の男たちが一斉に倒れていた。よく見ると彼らは足を撃たれていた。……誰が撃った? しかも銃声がほとんどしなかったぞ。消音装置か!
「みなさん、早く船へ!!」
この声はどこかで聞き覚えがある。
ま、まさか……駆けつけてくれたのか!
「よかった。間に合ったみたい」
「桃枝。まさか“仲間”を呼んでくれたのか!」
「うん、他のメンバーの面倒を見てくれている大伊さんを悪いんだけど呼び寄せた」
大伊 千夜。宝島で一緒に生還した女子だ。とても、たくましくその美形で凛々しい顔立ちを忘れられるはずがなかった。
そうか、桃枝が連絡を取ってくれていたんだな。
茂みの中から大伊さんが現れ、俺は懐かしい顔に感激した。まさか対馬に来てくれていたとは――!!
「大伊さん!」
「超久しぶり、早坂くん! なんか危ないって桃枝から聞いたからさ。来ちゃったよ」
サイレンサー付きのハンドガンを手にする大伊さん。変わらないなぁ。当時のままで勇ましい。
しかも訓練を積んだのか、あの時よりも銃の扱いが上手くなっていた。北上さんの仕業だなこれは。
「ありがとう、助かった!」
大伊さんのおかげで船へ乗り込むことができた。
俺、北上さん、天音、桃枝、千年世、艾、リコ、月と星と雷、大伊さん、そして遠見先生と伊良部さん。なかなかの大所帯になってしまったが、無事に乗船できた。
伊良部さんの操舵で漁船は海上を進む。
そんな中で北上さんは、大伊さんとの再会を喜んでいた。
「お久しぶりです、大伊さん」
「久しぶり、北上さん。元気そうだね」
この二人、妙に仲が良いんだよな。
なんだか積もる話もあるようだし、そっとしておくか。
「ねえ、早坂くん」
「ん、どうした天音」
「大伊さん来てくれるなんてビックリだね」
「ああ。大伊さんは宝島での後遺症に悩まされている仲間を支援していた」
入院組……つまり大塚さん、八重樫、ほっきー、篠山さん、野茂さんたちのことだ。彼女たちは負傷したり精神的に不安定になったりして入院しているのだ。
たまに状況を大伊さんに聞かされていたが、まさかここで本人が登場するとは思いもしなかった。
みんなのお見舞いも行きたいと思っていた。
丁度いい機会かもしれないな。
「待って。やば」
震える手でタブレットをこちらに向ける桃枝。その画面には早くも『対馬』のことが配信されていた。……も、もうかよ。
「桃枝、それ」
「うん。銃撃事件があったって……公安三名が負傷と書かれているね」
「いくらなんでもニュースの配信が早すぎる。エシュロンか?」
「……かもね。八咫烏のヤツ等が軍事衛星とかも利用しているのかな」
不安気に空を見つめる桃枝。こうなったら、桃枝には引き続きハッキングを続けてもらうしかない。エシュロンを止めるんだ。……そんなことが可能か分からんけど。やれることはやっていこう。
「エシュロンを停止できないか?」
「う~~ん。軍のシステムを相手にすることになるからねー…。てか、八咫烏がまだエシュロンを使っているか分からないよ。それに近いことはやってるかもね」
「やっぱり、まずは八咫烏の関係者を探るしかないか」
「それがいいね! じゃ、京都行こっか」
「え、京都?」
「うん。京都の鴨神社。そこが怪しいんだよね~」
どのみち今の状態では海外へ飛ぶことは難しい。この船は燃料的に厳しいようだし。今は八咫烏の追跡を逃れる方が優先だ。
桃枝は俺の知らないところで八咫烏のことについて調べてくれていたようだ。ならば、そこへ向かうか。少しでも手掛かりを探す。
俺は正直、公安を舐めていた。
まさかこんなにも迅速に対応してくるとは予想外すぎる。いくらなんでも早すぎる。まるでこっちの位置が最初から分かっていたみたいじゃないか。
「武器を捨てろ。両手を頭の後ろに」
公安の男の一人がそう警告してきたので、俺たちは素直に従った。
「どうします、哲くん。今ならまだ……」
北上さんが小声で指示を求めてきたが、俺は止めた。今この状況で反撃は厳しすぎる。相手はプロ三人。しかも公安だからな……撃ってくる可能性が非常に高い。
安易に戦えば死を招くだろうと俺は結論に至った。
だから今は様子を見ることにした。
「今は従うんだ。大丈夫、きっとチャンスはある」
「……分かりました」
抵抗しない意思を公安に示すと、三人の男たちは銃を向けながらこちらへ慎重に歩いてくる。……当然、逮捕されるんだよな。
天音に頼んで優秀な弁護士を雇ってもらうしかないかな。
などと考えていると――。
「があッ!?」
「ぐぅ……!」
「うぁッ!!」
公安の男たちが一斉に倒れていた。よく見ると彼らは足を撃たれていた。……誰が撃った? しかも銃声がほとんどしなかったぞ。消音装置か!
「みなさん、早く船へ!!」
この声はどこかで聞き覚えがある。
ま、まさか……駆けつけてくれたのか!
「よかった。間に合ったみたい」
「桃枝。まさか“仲間”を呼んでくれたのか!」
「うん、他のメンバーの面倒を見てくれている大伊さんを悪いんだけど呼び寄せた」
大伊 千夜。宝島で一緒に生還した女子だ。とても、たくましくその美形で凛々しい顔立ちを忘れられるはずがなかった。
そうか、桃枝が連絡を取ってくれていたんだな。
茂みの中から大伊さんが現れ、俺は懐かしい顔に感激した。まさか対馬に来てくれていたとは――!!
「大伊さん!」
「超久しぶり、早坂くん! なんか危ないって桃枝から聞いたからさ。来ちゃったよ」
サイレンサー付きのハンドガンを手にする大伊さん。変わらないなぁ。当時のままで勇ましい。
しかも訓練を積んだのか、あの時よりも銃の扱いが上手くなっていた。北上さんの仕業だなこれは。
「ありがとう、助かった!」
大伊さんのおかげで船へ乗り込むことができた。
俺、北上さん、天音、桃枝、千年世、艾、リコ、月と星と雷、大伊さん、そして遠見先生と伊良部さん。なかなかの大所帯になってしまったが、無事に乗船できた。
伊良部さんの操舵で漁船は海上を進む。
そんな中で北上さんは、大伊さんとの再会を喜んでいた。
「お久しぶりです、大伊さん」
「久しぶり、北上さん。元気そうだね」
この二人、妙に仲が良いんだよな。
なんだか積もる話もあるようだし、そっとしておくか。
「ねえ、早坂くん」
「ん、どうした天音」
「大伊さん来てくれるなんてビックリだね」
「ああ。大伊さんは宝島での後遺症に悩まされている仲間を支援していた」
入院組……つまり大塚さん、八重樫、ほっきー、篠山さん、野茂さんたちのことだ。彼女たちは負傷したり精神的に不安定になったりして入院しているのだ。
たまに状況を大伊さんに聞かされていたが、まさかここで本人が登場するとは思いもしなかった。
みんなのお見舞いも行きたいと思っていた。
丁度いい機会かもしれないな。
「待って。やば」
震える手でタブレットをこちらに向ける桃枝。その画面には早くも『対馬』のことが配信されていた。……も、もうかよ。
「桃枝、それ」
「うん。銃撃事件があったって……公安三名が負傷と書かれているね」
「いくらなんでもニュースの配信が早すぎる。エシュロンか?」
「……かもね。八咫烏のヤツ等が軍事衛星とかも利用しているのかな」
不安気に空を見つめる桃枝。こうなったら、桃枝には引き続きハッキングを続けてもらうしかない。エシュロンを止めるんだ。……そんなことが可能か分からんけど。やれることはやっていこう。
「エシュロンを停止できないか?」
「う~~ん。軍のシステムを相手にすることになるからねー…。てか、八咫烏がまだエシュロンを使っているか分からないよ。それに近いことはやってるかもね」
「やっぱり、まずは八咫烏の関係者を探るしかないか」
「それがいいね! じゃ、京都行こっか」
「え、京都?」
「うん。京都の鴨神社。そこが怪しいんだよね~」
どのみち今の状態では海外へ飛ぶことは難しい。この船は燃料的に厳しいようだし。今は八咫烏の追跡を逃れる方が優先だ。
桃枝は俺の知らないところで八咫烏のことについて調べてくれていたようだ。ならば、そこへ向かうか。少しでも手掛かりを探す。
13
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる