233 / 288
本当は独り占めしたい
しおりを挟む
漁船は九州を目指して真っ直ぐ進んでいるようだった。
しばらく掛かるということで、荒波に揉まれ無駄に揺れまくる漁船の中で座って待つしかなかった。
「船酔いキツイな」
「酔い止めをどうぞ、哲くん」
ポケットから薬を取り出す北上さん。水の入った軍用水筒を受け取り、俺は酔い止めを飲んだ。少しだけ気分が良くなったような気がする。
「助かったよ」
「いえいえ。あたしの飲みかけの水筒は遠慮なく飲み干してください」
こ、これ北上さんの飲みかけだったのかよっ。嬉しいけど、天音がすっごく膨れているんだよなぁ……。
「ねえ、早坂くん。わたしのペットボトルの水も飲んでいいからねっ」
まるで北上さんに対抗するかのように水の入ったペットボトルを俺に寄越す天音。これも飲みかけじゃないか……!
「ありがとう、めっちゃ嬉しいよ」
「あ……あとね、疲れているなら……わ、わ、わたしの胸とか揉んでもいいからねッ」
めちゃくちゃ恥ずかしそうに耳打ちしてくる天音。無茶しすぎだろう……! ありがたすぎる提案だが、みんなの前で天音の胸を揉むとかヘンタイすぎるって。
多分、天音は北上さんに対抗しているんだろうな。なんて可愛いヤツ。そんな天音の気持ちがたまらなく嬉しい。
しかし、北上さんは強かった。
「あっ……漁船が揺れて哲くんに抱きついちゃいました。ごめんなさい」
な、なんてわざとらしい!
漁船は少しだけ揺れたが、人が倒れるほどではなかったぞ。いやしかし、俺の右頬が天国なことになっていた。こ、これは間違いなく北上さんの豊満すぎる胸。
このままでいたい気持ちもあるが、天音が俺の腕を引っ張った。
「だめ! えっちなの禁止!」
「いや、天音。君もさっき俺を誘惑したような」
「なんのことかな!?」
誤魔化した……だと。明らかに苦しすぎるが――でも、俺は北上さんと天音に挟まれているだけで十分に幸せなんだけどな。酔いも解消されてきたし。
このままでは北上さんと天音でバトルが勃発しそうだったので、俺は二人をなだめた。
「北上さん、天音はケガをしているんだ。寛容に頼むよ」
「……そうでしたね。ごめんなさい」
「分かってくれればいいんだ」
「でも」
「え……」
「恋愛は別です。確かにあたしは哲くんのハーレムを容認していますが、基本的には独り占めしたいんです」
真面目なトーンで言われ、俺はドキリとした。そうか、北上さんは実は束縛したいタイプなのかもしれないな。どちらかといえば俺もそっちなのだが、無人島生活で趣向が変わってしまった。今や大勢の女の子に囲まれるこの状況が自然となっていた。
今度は天音の方をなだめる。
「天音、まだケガが治っていないんだ。無茶するなって」
「いつまでも、みんなの足を引っ張っている場合じゃないからね。大丈夫、わたしこれでも早坂くんを思う気持ちは人一倍強いと思ってるから。つまりね、めちゃくちゃ好きなの」
天音もまた真剣な表情でそう気持ちを打ち明けた。あの、天音さん、それ嬉しすぎるんですが!
今も変わらない気持ちで俺と接してくれているとは。もちろん、俺も天音のことは大好き。ケガが完治していて、なおかつ二人きりの空間だったのなら押し倒していただろうな。
とりあえず、二人の仲を取り持つことができた。戦争にならなくてホッとした。
船は『福岡県』を目指しているようだった。
伊良部さんによれば、通常のフェリーで片道一時間なので、漁船でも同じくらいの時間には着けるだろうとのことだった。
燃料は満タンにしていたようだし、なんとか無事に到着できそうだ。
揺られること一時間ちょっと。ついに『博多港』付近に到着した。だけど、真正面から入るわけにはいかない。
俺たちはお尋ね者だろうし、港にも公安警察が張っているかもしれない。そのリスクを考えた場合、福浜海岸から降りる方がいいと判断した。
「ちょっといいかな、早坂くん」
「どうしました、伊良部さん」
「もうすぐ福浜海岸に着く。あまり近づきすぎると座礁してしまうので防波堤あたりで君たちを降ろすよ」
「分かりました。お願いします」
「ああ、あと私は同行できない。対馬へ戻る気はないが、故郷である北海道へ帰ってカフェ1号店にこもるとするよ」
どうやら、伊良部さんはいくつものカフェを経営しているようだった。対馬は三号店であり、どのみち近いうちに閉店するつもりだったらしい。それが早まっただけの話で、帰るとのことだった。
ついに海岸に到着。
防波堤に横づけしてもらい、俺たちは飛び降りていく。
「ありがとうございました、伊良部さん」
「いや、面白い経験ができた。みんな、遠見先生……お元気で!」
明るい笑顔で伊良部さんは船を操作し、海岸から離れていく。北海道へ行く機会があれば改めてお礼を言いたいところだ。
だが、今は『京都』へ向かわねば!
福岡のどこかで車を入手、移動する。さて、どうしようか……?
しばらく掛かるということで、荒波に揉まれ無駄に揺れまくる漁船の中で座って待つしかなかった。
「船酔いキツイな」
「酔い止めをどうぞ、哲くん」
ポケットから薬を取り出す北上さん。水の入った軍用水筒を受け取り、俺は酔い止めを飲んだ。少しだけ気分が良くなったような気がする。
「助かったよ」
「いえいえ。あたしの飲みかけの水筒は遠慮なく飲み干してください」
こ、これ北上さんの飲みかけだったのかよっ。嬉しいけど、天音がすっごく膨れているんだよなぁ……。
「ねえ、早坂くん。わたしのペットボトルの水も飲んでいいからねっ」
まるで北上さんに対抗するかのように水の入ったペットボトルを俺に寄越す天音。これも飲みかけじゃないか……!
「ありがとう、めっちゃ嬉しいよ」
「あ……あとね、疲れているなら……わ、わ、わたしの胸とか揉んでもいいからねッ」
めちゃくちゃ恥ずかしそうに耳打ちしてくる天音。無茶しすぎだろう……! ありがたすぎる提案だが、みんなの前で天音の胸を揉むとかヘンタイすぎるって。
多分、天音は北上さんに対抗しているんだろうな。なんて可愛いヤツ。そんな天音の気持ちがたまらなく嬉しい。
しかし、北上さんは強かった。
「あっ……漁船が揺れて哲くんに抱きついちゃいました。ごめんなさい」
な、なんてわざとらしい!
漁船は少しだけ揺れたが、人が倒れるほどではなかったぞ。いやしかし、俺の右頬が天国なことになっていた。こ、これは間違いなく北上さんの豊満すぎる胸。
このままでいたい気持ちもあるが、天音が俺の腕を引っ張った。
「だめ! えっちなの禁止!」
「いや、天音。君もさっき俺を誘惑したような」
「なんのことかな!?」
誤魔化した……だと。明らかに苦しすぎるが――でも、俺は北上さんと天音に挟まれているだけで十分に幸せなんだけどな。酔いも解消されてきたし。
このままでは北上さんと天音でバトルが勃発しそうだったので、俺は二人をなだめた。
「北上さん、天音はケガをしているんだ。寛容に頼むよ」
「……そうでしたね。ごめんなさい」
「分かってくれればいいんだ」
「でも」
「え……」
「恋愛は別です。確かにあたしは哲くんのハーレムを容認していますが、基本的には独り占めしたいんです」
真面目なトーンで言われ、俺はドキリとした。そうか、北上さんは実は束縛したいタイプなのかもしれないな。どちらかといえば俺もそっちなのだが、無人島生活で趣向が変わってしまった。今や大勢の女の子に囲まれるこの状況が自然となっていた。
今度は天音の方をなだめる。
「天音、まだケガが治っていないんだ。無茶するなって」
「いつまでも、みんなの足を引っ張っている場合じゃないからね。大丈夫、わたしこれでも早坂くんを思う気持ちは人一倍強いと思ってるから。つまりね、めちゃくちゃ好きなの」
天音もまた真剣な表情でそう気持ちを打ち明けた。あの、天音さん、それ嬉しすぎるんですが!
今も変わらない気持ちで俺と接してくれているとは。もちろん、俺も天音のことは大好き。ケガが完治していて、なおかつ二人きりの空間だったのなら押し倒していただろうな。
とりあえず、二人の仲を取り持つことができた。戦争にならなくてホッとした。
船は『福岡県』を目指しているようだった。
伊良部さんによれば、通常のフェリーで片道一時間なので、漁船でも同じくらいの時間には着けるだろうとのことだった。
燃料は満タンにしていたようだし、なんとか無事に到着できそうだ。
揺られること一時間ちょっと。ついに『博多港』付近に到着した。だけど、真正面から入るわけにはいかない。
俺たちはお尋ね者だろうし、港にも公安警察が張っているかもしれない。そのリスクを考えた場合、福浜海岸から降りる方がいいと判断した。
「ちょっといいかな、早坂くん」
「どうしました、伊良部さん」
「もうすぐ福浜海岸に着く。あまり近づきすぎると座礁してしまうので防波堤あたりで君たちを降ろすよ」
「分かりました。お願いします」
「ああ、あと私は同行できない。対馬へ戻る気はないが、故郷である北海道へ帰ってカフェ1号店にこもるとするよ」
どうやら、伊良部さんはいくつものカフェを経営しているようだった。対馬は三号店であり、どのみち近いうちに閉店するつもりだったらしい。それが早まっただけの話で、帰るとのことだった。
ついに海岸に到着。
防波堤に横づけしてもらい、俺たちは飛び降りていく。
「ありがとうございました、伊良部さん」
「いや、面白い経験ができた。みんな、遠見先生……お元気で!」
明るい笑顔で伊良部さんは船を操作し、海岸から離れていく。北海道へ行く機会があれば改めてお礼を言いたいところだ。
だが、今は『京都』へ向かわねば!
福岡のどこかで車を入手、移動する。さて、どうしようか……?
13
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
先輩から恋人のふりをして欲しいと頼まれた件 ~明らかにふりではないけど毎日が最高に楽しい~
桜井正宗
青春
“恋人のふり”をして欲しい。
高校二年の愁(しゅう)は、先輩の『柚』からそう頼まれた。
見知らずの後輩である自分になぜと思った。
でも、ふりならいいかと快諾する。
すると、明らかに恋人のような毎日が始まっていった。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる