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再び沖縄へ
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この独特な凛とした声は忘れはしない。
背後には対馬で俺たちを捕まえようとした女刑事の古森 碧海が立っていた。
なぜここに!
あの時は北上さんの説得のおかげで撃退できた。しかし今回は様子が違うように思えた。
「……な、なんです?」
「誰よりも先にあなたたちを捕まえることにした」
「なに?」
「あなた方は未成年だけど少年院に送ることは可能。まだ若いんだから更生できるわ」
以前よりも厳しい口調で古森という刑事は言った。
まるで俺たちのことを調べ尽くしたみたいな言い方だ。いや、多分あれからいろいろ調査したのだろう。
「俺たちは止まりませんよ」
「止まらないって、どこへ行くつもりなの? 国内にいる限り、いろんな組織から命を狙われるでしょう」
「だからだ。だからこそ海外へ向かう」
「国外逃亡なんて……! なら、余計に止めなきゃいけない」
いきなり拳銃を向けられ、俺は少し焦った。こんな場所で堂々と向けてくるとは――。
幸いにも、俺以外のみんなは船へ向かった。
今ここは乗船場から少し離れた人気のない場所。誰かに見られる心配はないが……。 こうなったら強行突破するしかないか。
そう思案していると北上さんが俺の存在に気づいた。
「どうしたのですか――って」
「すまん、また女刑事に捕まってね」
「対馬の時の……」
良かった。北上さんに気づいてもらえた。
「あの時はどうも。木下のことで困惑したけど、もう関係ない。私は、私の正義を貫き通すことにした」
予想外なことに、俺は“人質”にされてしまった。……おい、ウソだろ! この女刑事、俺の背中に銃をつきつけがやった。北上さんを脅す気かよ。
「…………!」
そのことに気づいた北上さんは唇を噛む。この前とは違い、魔法の言葉も通用しない。つか、そもそもなんでここが分かったんだよ。
ずっと、つけていたのか……?
なんにせよ、この女刑事をなんとかしないと……!
どうする。
銃を奪って反撃するか? いや、大事になってしまうな。
黙って従う? それはないな。
北上さんになんとかしてもらう? ありっちゃありだが、流血沙汰な未来しか見えないな。
なら、説得するしかないか!
「待ってくれ、古森さん」
「……?」
「真実を知りたいなら、俺たちについてくればいい。今の日本がどんだけヤバいことになっているか知るべきだ」
「対馬で起きた事件と関連があるの?」
「ああ。日本を裏で操る組織が復活を目論んでいる。そいつらを捕まえる方がよっぽど有意義だと思うけどな」
悩んでいるのか銃口が微かに揺れたような気がした。もう一息かな。
「あなたはいったい何を知っているの……」
「今は『八咫烏』ということしか分からない」
「……八咫烏。そんな組織、聞いたことがない」
「だろうな。襲われるまでは俺も知らなかったし」
そう話すと古森は俺から離れた。銃口をこちらに向けたままだが。
「分かった。その組織を調べる」
「見逃してくれるのか?」
「違う。遠くからあなたたちの動向を見張る。その組織が現れるのを待つわ」
「残念だけど、これから沖縄なんだ。そこからアメリカへ行く予定なんでね。途中までになるぞ」
「……船でいくつもり?」
「詳しくは話せないよ」
「いいわ。どこまでもついていく」
地獄の果てまで一緒に落ちてやるみたいな勢いで、古森は同行を決めた。なんでそこまで俺たちを追いかけるかね。メリットないと思うんだけど。
万が一、逮捕されたところで『少年法』に守られ特に大きな罪にはならんだろう。それに、天音の力で超有能な弁護士がつくことになっている。――そういう手筈にもなっていたりする。
そもそも、ずっと日本にいるつもりはない。それはみんなも同意見だった。
日本の世間に迷惑をかけるくらいなら、独立して海外でなんとかするさ。
そんなわけで、まさかの古森刑事も乗船することになった。言っていた通り、遠くから監視すると言い、マジで離れた場所にいた。
「なんか遅れていたけど……どうしたの?」
船へ乗り込むと天音が首をかしげていた。
「いや、なんでもないよ。それより、これから沖縄だな」
「うん。久しぶりだね~。何事もなくアメリカへ行けるといいね」
「そうだな。祈っていてくれ」
刑事の目があるが、途中までだ。在日米軍基地へ乗り込めばオサラバ。そこまでの付き合いさ。
背後には対馬で俺たちを捕まえようとした女刑事の古森 碧海が立っていた。
なぜここに!
あの時は北上さんの説得のおかげで撃退できた。しかし今回は様子が違うように思えた。
「……な、なんです?」
「誰よりも先にあなたたちを捕まえることにした」
「なに?」
「あなた方は未成年だけど少年院に送ることは可能。まだ若いんだから更生できるわ」
以前よりも厳しい口調で古森という刑事は言った。
まるで俺たちのことを調べ尽くしたみたいな言い方だ。いや、多分あれからいろいろ調査したのだろう。
「俺たちは止まりませんよ」
「止まらないって、どこへ行くつもりなの? 国内にいる限り、いろんな組織から命を狙われるでしょう」
「だからだ。だからこそ海外へ向かう」
「国外逃亡なんて……! なら、余計に止めなきゃいけない」
いきなり拳銃を向けられ、俺は少し焦った。こんな場所で堂々と向けてくるとは――。
幸いにも、俺以外のみんなは船へ向かった。
今ここは乗船場から少し離れた人気のない場所。誰かに見られる心配はないが……。 こうなったら強行突破するしかないか。
そう思案していると北上さんが俺の存在に気づいた。
「どうしたのですか――って」
「すまん、また女刑事に捕まってね」
「対馬の時の……」
良かった。北上さんに気づいてもらえた。
「あの時はどうも。木下のことで困惑したけど、もう関係ない。私は、私の正義を貫き通すことにした」
予想外なことに、俺は“人質”にされてしまった。……おい、ウソだろ! この女刑事、俺の背中に銃をつきつけがやった。北上さんを脅す気かよ。
「…………!」
そのことに気づいた北上さんは唇を噛む。この前とは違い、魔法の言葉も通用しない。つか、そもそもなんでここが分かったんだよ。
ずっと、つけていたのか……?
なんにせよ、この女刑事をなんとかしないと……!
どうする。
銃を奪って反撃するか? いや、大事になってしまうな。
黙って従う? それはないな。
北上さんになんとかしてもらう? ありっちゃありだが、流血沙汰な未来しか見えないな。
なら、説得するしかないか!
「待ってくれ、古森さん」
「……?」
「真実を知りたいなら、俺たちについてくればいい。今の日本がどんだけヤバいことになっているか知るべきだ」
「対馬で起きた事件と関連があるの?」
「ああ。日本を裏で操る組織が復活を目論んでいる。そいつらを捕まえる方がよっぽど有意義だと思うけどな」
悩んでいるのか銃口が微かに揺れたような気がした。もう一息かな。
「あなたはいったい何を知っているの……」
「今は『八咫烏』ということしか分からない」
「……八咫烏。そんな組織、聞いたことがない」
「だろうな。襲われるまでは俺も知らなかったし」
そう話すと古森は俺から離れた。銃口をこちらに向けたままだが。
「分かった。その組織を調べる」
「見逃してくれるのか?」
「違う。遠くからあなたたちの動向を見張る。その組織が現れるのを待つわ」
「残念だけど、これから沖縄なんだ。そこからアメリカへ行く予定なんでね。途中までになるぞ」
「……船でいくつもり?」
「詳しくは話せないよ」
「いいわ。どこまでもついていく」
地獄の果てまで一緒に落ちてやるみたいな勢いで、古森は同行を決めた。なんでそこまで俺たちを追いかけるかね。メリットないと思うんだけど。
万が一、逮捕されたところで『少年法』に守られ特に大きな罪にはならんだろう。それに、天音の力で超有能な弁護士がつくことになっている。――そういう手筈にもなっていたりする。
そもそも、ずっと日本にいるつもりはない。それはみんなも同意見だった。
日本の世間に迷惑をかけるくらいなら、独立して海外でなんとかするさ。
そんなわけで、まさかの古森刑事も乗船することになった。言っていた通り、遠くから監視すると言い、マジで離れた場所にいた。
「なんか遅れていたけど……どうしたの?」
船へ乗り込むと天音が首をかしげていた。
「いや、なんでもないよ。それより、これから沖縄だな」
「うん。久しぶりだね~。何事もなくアメリカへ行けるといいね」
「そうだな。祈っていてくれ」
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