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火起こしと怪雨ファフロツキーズ
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まず最優先すべきは食料確保だ。
餓死だけは避けたいからな……。
天音はともかくとして、古森刑事もついてくる。まだ俺の監視のつもりなのか――それとも、単に一人で行動するのは心細いのだろうか。まあ、前者だろうな。
この無人島は狭いので、資源は期待できない。
だが多少の植物が生えていたりするし、海には魚もいる。絶望的ではないな。
そして、幸いなことにズボンのサイドポケットに『マルチツール』があった。
いざという時の為に常に持ち歩いていたんだ。
ナイフにノコギリ、缶切り、ハサミ、ヤスリ、プラスドライバーなどかなり機能的。
「あ、早坂くん、それ……」
「ああ。仕込んでいたのを思い出してね」
「よかった。少しは希望が見えてきたね」
「そういうことだ。マルチツールがあれば火も起こせる」
「本当に!?」
時間は掛かるが火を起こすことも可能だ。
それは後にして、まずは食べられそうな植物を探す。イワタバコでもあれば生で食えて便利なんだがな~。
もしくはタンポポでもいい。
なにかないものかと歩き回るが、トゲトゲのヤツや雑草しかなかった。……そう簡単には見つからないか。
小動物の気配もないし。
鳥がいないこともないが、空を自由に飛び回っている。あれを打ち落とすのは至難の業。銃でもあれば別だが……。
あ、まてよ。
古森刑事なら銃を持っているかも。合法的に所持できるのだからな。
視線を向けると察したのか、首を横に振った。
「拳銃なら流されたわ」
「え……でも普通、ピストルランヤードをつけているものでは?」
「刑事はそんなものつけないから」
言われてみればそうだ。刑事ドラマでも吊り紐はついていないな。
そうか、せめて銃があれば食料の確保はしやすかったんだがな。
それにしても、北上さんたちの姿も見えないとか……別の島に流されたのだろうか。
などと草木が生い茂った場所で思案していると天音が立ち止まっていた。
なんだか顔色を青くして。
「…………っ」
「どうした、天音」
「ア、アレ……」
開けた場所に出ると急に空から『魚』が降ってきた。
――へ?
ドボドボと異様な音と共に叩きつけられる小魚たち。な、なんだこりゃああ――!?
「え、え……?」
さすがの古森刑事も驚愕していた。
空から小魚が降ってくる?
ありえねぇだろ……そう思ったが、この現象に俺は覚えがあった。
ファフロツキーズ。
怪雨とも言うらしく、昔から確認されている現象らしい。
強烈な風で巻き上げられた魚や物体が降ってくるってヤツだ。
つまり、この場合は“竜巻”だろう。
海では度々発生しているから、グラム数しかない軽量な小魚が巻き込まれたんだろうな。結果、魚の雨が降ったというわけだ。
世界各国でそれなりに確認されている現象だ。日本でも見られるとはな。
「これはある意味では天の恵みだ。小魚でも腹の足しにはなる。拾うぞ」
小さくても食えはする。俺は地面に落ちている小魚を拾っていく。
……よし、これで少しは食料を確保できた。
適当な葉っぱ(大サイズ)に乗せた。結構な量を確保できたな。まだ地面に落ちているが、大体がダメージが大きい。食えそうにない。
とりあえず、食えそうなのはそのまま踊り食いしても問題なさそうだが、軽く焼くか茹でる方がいいだろうな。
寄生虫とか怖いしな。
少し離れた場所に緊急の拠点を作り、その場で火を起こすことにした。
よーし、さっそくマルチツールの出番だ。
まずはノコギリで頑丈な枝を二本確保。
ついでに火口となる植物も手に入れた。
ナイフで枝の先端を整え、もう一本の枝は平らに削る。穴を作り、そこに枝をあてがう。
「早坂くん、それって」
「これは錐揉式っていう火起こしの方法さ」
「へえ~! あの手で擦るヤツだね」
原始的だが、だらこそサバイバルでは有効な手段だ。
他にも紐錐式、弓錐式、舞錐式など手段があるが……この辺りは紐が必要なので無理だ。
俺はさっそく手を使い、回転を加えていく。
汗を描きながら必死に火種を作る。
この作業がしんどいが火の為だ。調理だけでなく灯りとしても使えるからな。火は偉大だ。
段々と煙が出てきた。よし、そろそろだ。
火種を火口へ移し、優しく息を吹きかけていく。少ししたら軽く振って火を起こす。ぼうっと燃えて火を起こすことに成功した。
「す、すご……枝だけで火をつけるなんて」
古森刑事は俺の火起こしに素直な感想を漏らしていた。
攻撃的な一面ばかり見ていたが、こうしている分には普通だな。
さて、あとは小魚を焼いていくだけだ。
小さな枝に括り付け、炙っていく。
餓死だけは避けたいからな……。
天音はともかくとして、古森刑事もついてくる。まだ俺の監視のつもりなのか――それとも、単に一人で行動するのは心細いのだろうか。まあ、前者だろうな。
この無人島は狭いので、資源は期待できない。
だが多少の植物が生えていたりするし、海には魚もいる。絶望的ではないな。
そして、幸いなことにズボンのサイドポケットに『マルチツール』があった。
いざという時の為に常に持ち歩いていたんだ。
ナイフにノコギリ、缶切り、ハサミ、ヤスリ、プラスドライバーなどかなり機能的。
「あ、早坂くん、それ……」
「ああ。仕込んでいたのを思い出してね」
「よかった。少しは希望が見えてきたね」
「そういうことだ。マルチツールがあれば火も起こせる」
「本当に!?」
時間は掛かるが火を起こすことも可能だ。
それは後にして、まずは食べられそうな植物を探す。イワタバコでもあれば生で食えて便利なんだがな~。
もしくはタンポポでもいい。
なにかないものかと歩き回るが、トゲトゲのヤツや雑草しかなかった。……そう簡単には見つからないか。
小動物の気配もないし。
鳥がいないこともないが、空を自由に飛び回っている。あれを打ち落とすのは至難の業。銃でもあれば別だが……。
あ、まてよ。
古森刑事なら銃を持っているかも。合法的に所持できるのだからな。
視線を向けると察したのか、首を横に振った。
「拳銃なら流されたわ」
「え……でも普通、ピストルランヤードをつけているものでは?」
「刑事はそんなものつけないから」
言われてみればそうだ。刑事ドラマでも吊り紐はついていないな。
そうか、せめて銃があれば食料の確保はしやすかったんだがな。
それにしても、北上さんたちの姿も見えないとか……別の島に流されたのだろうか。
などと草木が生い茂った場所で思案していると天音が立ち止まっていた。
なんだか顔色を青くして。
「…………っ」
「どうした、天音」
「ア、アレ……」
開けた場所に出ると急に空から『魚』が降ってきた。
――へ?
ドボドボと異様な音と共に叩きつけられる小魚たち。な、なんだこりゃああ――!?
「え、え……?」
さすがの古森刑事も驚愕していた。
空から小魚が降ってくる?
ありえねぇだろ……そう思ったが、この現象に俺は覚えがあった。
ファフロツキーズ。
怪雨とも言うらしく、昔から確認されている現象らしい。
強烈な風で巻き上げられた魚や物体が降ってくるってヤツだ。
つまり、この場合は“竜巻”だろう。
海では度々発生しているから、グラム数しかない軽量な小魚が巻き込まれたんだろうな。結果、魚の雨が降ったというわけだ。
世界各国でそれなりに確認されている現象だ。日本でも見られるとはな。
「これはある意味では天の恵みだ。小魚でも腹の足しにはなる。拾うぞ」
小さくても食えはする。俺は地面に落ちている小魚を拾っていく。
……よし、これで少しは食料を確保できた。
適当な葉っぱ(大サイズ)に乗せた。結構な量を確保できたな。まだ地面に落ちているが、大体がダメージが大きい。食えそうにない。
とりあえず、食えそうなのはそのまま踊り食いしても問題なさそうだが、軽く焼くか茹でる方がいいだろうな。
寄生虫とか怖いしな。
少し離れた場所に緊急の拠点を作り、その場で火を起こすことにした。
よーし、さっそくマルチツールの出番だ。
まずはノコギリで頑丈な枝を二本確保。
ついでに火口となる植物も手に入れた。
ナイフで枝の先端を整え、もう一本の枝は平らに削る。穴を作り、そこに枝をあてがう。
「早坂くん、それって」
「これは錐揉式っていう火起こしの方法さ」
「へえ~! あの手で擦るヤツだね」
原始的だが、だらこそサバイバルでは有効な手段だ。
他にも紐錐式、弓錐式、舞錐式など手段があるが……この辺りは紐が必要なので無理だ。
俺はさっそく手を使い、回転を加えていく。
汗を描きながら必死に火種を作る。
この作業がしんどいが火の為だ。調理だけでなく灯りとしても使えるからな。火は偉大だ。
段々と煙が出てきた。よし、そろそろだ。
火種を火口へ移し、優しく息を吹きかけていく。少ししたら軽く振って火を起こす。ぼうっと燃えて火を起こすことに成功した。
「す、すご……枝だけで火をつけるなんて」
古森刑事は俺の火起こしに素直な感想を漏らしていた。
攻撃的な一面ばかり見ていたが、こうしている分には普通だな。
さて、あとは小魚を焼いていくだけだ。
小さな枝に括り付け、炙っていく。
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