クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

文字の大きさ
262 / 287

ホテル生活三日目

しおりを挟む
【ビジネスホテル生活:三日目】

 余裕の生活資金を手に入れ、ひとまず北上さんたちを探す日々。
 あれから、沖縄行き事故船のニュースも少し緩やかになっていた。
 行方不明者は依然として発見されていない。
 あの嵐が強すぎたんだ。

『――では、次のニュースです』

 ビジネスホテルのテレビでは、日本各地で起きている事件・事故を取り扱っている。船のニュースは以上か。

 俺は、ため息をつきながらもテレビの電源をオフに。

 そして、その直後には天音がお風呂から戻ってきた。バスタオルを巻き、火照った顔を見せていた。手足の素肌だけでなく、足腰が物凄く色っぽい。

 正直、そのまま立ち尽くされると俺の理性が三秒も立たずに吹っ飛ぶのだが……。


「どうだった?」


 天音は、なにか情報が入ったのかと俺に聞いてきた。


「んや、何にも」
「そっかー…。もう三日経ったね」

「ああ、行き詰ったとは思いたくないが」


 しかし、停滞していることは確かだ。それに、ずっとホテルに引きこもっているわけにもいかない。

 どうするか思案していると、部屋内に設置されている電話が鳴った。


「え……!」


 その聞きなれない音に天音がビクッと驚く。という俺も完全に油断していた。
 なぜ、フロントから電話が……?

 電話に出てみると、受付の女性の声が。


『もしもし、お客様』
「え、はい……なんでしょう?」

『お客様にお伺いしたいという“刑事”の方がおります。至急、フロントまでお越しくださいませ』

「な、なんだって……」


 電話は切れた。俺を呼んでいる刑事?
 まさか、古森じゃなかろうな。


「どうしたの、早坂くん……」
「んや、大丈夫だ。俺ひとりでフロントへ行ってくる。天音は、ここで着替えていてくれ」

「う、うん。気をつけてね」


 施錠をするように天音には言って、俺は部屋を出た。
 廊下を進み、一階のフロントへ。

 向かうと、そこには見覚えのある男性の姿が。

 ――って、まさか。


「木下さんか!」
「やあ、早坂くん。この前振り」


 北上さんの知り合いの刑事、木下さんだった。


「ここ、よく分かりましたね」
「なぁに、刑事の勘だよ」

「凄すぎますって」

「――というのは冗談で、刑事らしく聞き込みさ」
「マジっすか」


 そうだ、と木下さんは頷く。
 この周辺ではビジネスホテルの数も限られているうえ、刑事の権限というか……“調査”でと言って聞き回ってきたようだった。

 特徴だけで俺を探し当てたってことか。さすが刑事だな。


「古典的な手と、あと実は“通信傍受”さ」
「なッ……!?」

「犯罪捜査の場合なら問題ないのさ」
「犯罪捜査……」

「そうだ。最近、櫛家という暴力団が暴れ回っているからね」


 ――そういうことか。
 しかし、通信傍受となると……まるで通信傍受システム『エシュロン』みたいじゃないか。
 さすがに日本の警察が、そんな通信傍受システムを頼っているとは思えないが……しかし、近しいものを感じてしまうな。


「分かりました。木下さんを信じます」
「ありがとう。あと絆たちだが――」

「!? 彼女たちの居場所を知っているんですか!?」

「ああ、見つかったよ」
「マジっすか!」

「みんな無事だ。詳しいことは絆から聞くといい」
「………よかった」


 みんな無事なんだ!!
 やっぱり、どこかで生き延びていたんだな。

 これでやっと、みんな合流だ。

 さっそくこの事を天音にも共有しないと――!
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?

さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。 しかしあっさりと玉砕。 クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。 しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。 そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが…… 病み上がりなんで、こんなのです。 プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...