クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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7月5日の大災難

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 木下刑事の一軒家は、意外にもまだ築二年足らずのようで新築のニオイがした。
 本来なら奥さんと娘さんがいるようだが、安全に配慮して実家に避難させているらしい。
 さすがというか、徹底しているな。

 俺たちと関わるということは、かなりのリスクを背負っているということだ。

 八咫烏、櫛家、警察、世界各国の諜報機関、ストラトフォーなどなど……とにかく狙われまくっている俺たち。


『――ええ、では次の都市伝説ニュースです。20XX年、7月5日に大災難が起きると……』

 タブレットで都市伝説系のチャンネルをぼうっと見つめる桃枝。


「てっちゃん。このニュース、最近話題だよね」


 もちろん、俺も知っている。

 その昔、大地震を“予知夢”で当てたというオカルト界隈で伝説となった人だ。そのせいか、初版のコミックスが高騰して、一時期は数十万の値段がついたらしい。
 現在は『わたしが見た未来 完全版』という漫画を出版しているようだった。

 漫画家先生の見た夢はいくつか的中しており、話題沸騰中だ。

 そして、今年も“大災難”が起こるのではないかと予言がある。

 大地震なのか、それとも大津波なのか。


「――って、今はそれどころじゃないだろう。桃枝」
「そうだけどさ~。だって、みんな買い出し行っちゃったし」


 俺と桃枝は、リビングでくつろいでいた。
 天音や北上さんは、食料調達へ向かった。
 木下刑事は車の運転で同行。
 本物の刑事がいるなら安心だろう。一応、銃も所持しているし。

 なので、珍しく俺は桃枝と二人きりとなっていた。


「それ、本当に信じているのか?」
「だってさ、昔の大地震も的中させているんだよ? すごくなーい?」

「たまたまじゃねーの。ほら、ノストラダムスの大予言……だっけ。あれだって外れたわけだろ」

「1999年のアレね。確かに、人類は滅亡しなかったよね」


 今回も滅亡なんてないんじゃないかなぁ――とは、言いつつも俺もちょっとだけ興味があった。
 オカルトは割と好物なのだ。


「ま~、こういうのは趣味程度で楽しむのが一番だ」
「そだね。でも、宇宙人はいると思う!」


 真顔で桃枝は言った。
 なるほど、オカルトマニアだったのか。

 桃枝の影響で俺も都市伝説チャンネルを暇つぶしに閲覧。

 すると、その中に『八咫烏』の名前も出てきた。

 ……そういえば、都市伝説界隈でも有名なんだよな。
 もしかして、有名なインフルエンサーに聞いてみたら、表には出ない情報を持っているかもしれないな。


「なあ、桃枝」
「なぁに?」

「都市伝説系インフルエンサーの知り合いはいないのか?」
「んー? それなら、この見てる人そうだよ」

 タブレットの映像に移っている二人組。
 コンビで都市伝説を解説している有名人だ。

 チャンネル名は『ケムッキーちゃんねる』というそうだ。


「そのメガネのイケメンか?」
「うん。ケムッキーさんね、DMできるよ」
「マジかよ。すげえな」

「なにか聞きたいの?」
「ああ、八咫烏についてな」

「なるほどねー! その手があったかー」


 ここは桃枝の力を借りてみるか。もしかしたら、重要な手掛かりを得られるかもしれない。


「じゃあ、頼む」
「うん、任せて」


 直後、天音たちが帰ってきた。
 みんな袋を両手に抱えて。

 大荷物だな、みんな。


「ただいまー、早坂くん」
「買いすぎだろう、天音」

「今晩は、無事生還記念に鍋パーティだよっ」

「おー! いいね!」


 そうだな。せっかくみんなと合流できたんだ。少しくらい羽目を外してもバチは当たらないよな。

 今夜が楽しみだな……!
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