クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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鍋パーティとプラン変更

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 鍋パーティが始まった。
 リコの手際の良さのおかげで、鍋はあっという間に肉や野菜で盛り付けられていた。う~ん、いい匂いだ。

 ――それにしても。

 キッチンで北上さんと木下さんが話し込んでいるな。


「……ですから、ここも危険かと」
「そうだな。あらゆる組織が君たちを狙っている。……特に“八咫烏”はヤバすぎる。警察でも手に負えない」

「やはり――そうですか」

「ああ。日本の“闇”といっても過言ではない。彼らは容赦なく、君たちを消しにくる」

 なんて物騒な話をしているんだ。
 しかしまぁ……やっぱり、狙われまくっているな。
 そりゃ、財宝というか大金が欲しくてたまらないのだろうな。


「……ところで、ルナヒカリ、それにいかずちは?」
「三人も無事だ。君たちと京都で別れてから、ずっと身を潜めていたようだ」


 ――!

 そ、そうだった……いろいろありすぎて、すっかり忘れていたよ、あの兄妹のこと。
 財宝の売買を月と星に任せっきりだったな。
 でも、おかげで全てを売りさばいた。

 そろそろ合流したいところだ。


「どこにいるんですか?」
「今は織田家にいる。セキュリティは万全だし、大丈夫だろ」


 そや、織田家は大富豪なんだっけ。それも失念していた。
 なら、木下さんの言う通りきっと大丈夫だ。

 うんうんと納得していると、千年世が俺の手を引っ張っていた。顔を赤くして。


「あ、あの……」
「どうした、千年世」

「もうそろそろいいですよ。よかったら隣に」
「そ、そうだな」


 よく見たら鍋が完成していた。
 千年世の隣に座ると、正面の天音が凍りのような瞳を俺に向けていた。……えぇ。
 なんでそんな目で俺を見るのー!?

 左隣には北上さんが座った。


 そうして、生還記念の鍋パーティが始まったのである――。


 ◆


「――ふぅ、食った食った」


 死ぬほど食った。
 みんなお腹いっぱいで、満足そうだ。という俺も久しぶりに美味い飯にありつけて大満足だ。
 やはり、みんな囲って食う飯は最高だな……!

 冷たいお茶を啜っていると、北上さんが俺を呼んだ。


「ところで哲くん」
「なんだい?」

「さきほど聞いていたかもしれませんが、早期に織田家へ向かうべきかと」

「その件か。ということは渡米は諦めるんだな?」

「……そうですね。我々はどうも船運に恵まれていないようですし、飛行機も落ちたことがあります。乗り物を利用するのはリスクが高すぎですから」


 ――その通りだ。何度も事故に遭い、その度に面倒なことが起きている。

 なら、もう少しだけ国内で身をひそめる方がいいだろう。

 プラン変更だ。


「むぅ~…」


 ……天音の視線がずっと俺に向いていた。

 あんまり話せていないし、もしや不満がたまっているのかもしれない。


「ど、どうした天音」
「ちょっと早坂くん……」

「そ……そのぉ」

「え?」


 なんか天音のヤツ、顔が赤くなっているような。てか、怒っているかと思ったが……そうでもなかったようだ。これは、どちらかといえば……構って欲しいような雰囲気のような。まさかな。


「早坂くん、絆や千年世さんとは私が話しておく」
「木下さん……」

「しばらく天音さんの相手をしてあげるんだ」
「は、はい……」


 なぜか木下さんに促され、俺は天音と共に別室へ。


 ・
 ・
 ・


「――ナイス、木下さんっ!」

 ぼそっと天音が独り言をつぶやき、ガッツポーズしていたように見えた。


「どうした?」
「ううん、なんでもない!」


 誰も使っていなさそうな和室で天音と二人きりとなった。
 しかしこうして一緒に過ごせるのは悪くない。俺は天音の全てが好きだから。見ていても飽きないし、話もしていて心地よい。


「天音はどうしたい?」
「……早坂くんと一緒ならどこでも行くよ」
「嬉しいよ。ずっと前の俺は孤独でウルトラコミュ障の……陰キャぼっちだったからな」
「それは言い過ぎだよ~。早坂くん、すっごく頼りになるし」
「そうかな」
「そうだよ。だからね、その……」


 天音は俺の手を握り、見つめてくる。
 こんな雰囲気になると、キスをしたくなる。

 いや、今しかない。

 このチャンスを逃すとしばらくタイミングはないだろう。だから。


「天音……」
「うん、いいよ」


 小さな体をそっと抱き寄せ、俺は天音の桜色の唇に重ね合わ――。



「ちょおおおぉぉぉっと、まったあああああああ!」


「「いいッ!?」」



 扉が開くと、そこには桃枝の姿があった。いつの間に!
 てか、妙に酔っていないか?
 まさか飲んだのか……!?


「てっちゃんと愛ちゃん、ずるいよぉ……! 私も混ぜて! ヘンタイプレイを要求しまあああす!」


 絶対酔ってるだろ!!
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