268 / 287
武装する乙女たち
しおりを挟む
リビングに集まると、全員集合していた。
俺はさっそく桃枝から――ケムッキーさんから得た情報をみんなに共有した。
「……長野に!?」
一番に驚く艾は、顔を青くして震えているように見えた。
「どうした?」
「その……実家が長野だから……」
「マジか」
「うん。驚いたよ……」
そうだよな。もしかしたら長野が戦場になるかもしれないのだから……そう思うと、恐ろしい話である。
「艾ちゃん、大丈夫?」
天音が艾の様子を伺う。
今は任せて置き、俺は話を進める。
「北上さん、どう思う?」
「……あたしはずっと考えていました」
「なにを……?」
「今までのことです。だって、おかしいでしょう。船が沈んだり、飛行機が墜落したり……事件が起きすぎです」
確かに、偶然にしては出来すぎだ。誰かの“意図”を感じるよな。
神様? あるいは悪魔か?
――そんなワケがない。
そうだ。この一連の出来事には人間の意思が介在しているのだ。
「…………八咫烏」
ぽつっとつぶやくリコ。
誰しもが恐れるその単語に、桃枝がビクついていた。
「だよねえ、リコちゃんもそう思う?」
「うん、桃枝。だって、おかしすぎるよ……」
「このまま日本にいたら殺されちゃうよね。海外に逃げなきゃ!」
と、桃枝はもともとの計画を改めて提案する。
本来ならアメリカへ行く予定だったんだけど……風向きは変わってしまった。今は日本にいて、八咫烏を対決する方がいいかもしれない。
問題を解決してから海外へ移住する。
「あの、哲くん」
神妙な面持ちで俺に話しかけてくる千年世は、続けてこう言った。
「今、動けば八咫烏だけではなく、櫛家や警察などあらゆる組織が私たちを狙ってくるのですよね……?」
「そうだ」
「危険すぎるのでは!」
「そうかもしれないが、どうせ向こうからやってくるさ」
「…………むぅ」
それから何度も話し合ったが、多数決により――長野へ行くことにした。今までとは違い、船や飛行機は使わないから、移動に関しては大丈夫だろうという判断で。
それに、やっぱり八咫烏の正体を突き止めたい。
なぜ、そんなに俺たちにこだわるのか。
単に金だけの問題なのか。
明日には出発しようと決まったところで――『バリン!』と窓ガラスが割れて弾け飛んでいた。
「…………!!」
銃弾のようなものがガラスを破壊したんだ。
「早坂くん! 敵襲だ!!」
木下さんが声を張り上げる。
みんなはその場に伏せてやり過ごす。さすが訓練されているだけあり、対応が早い。
「……外に何名かいるようですね!」
腰からコルト・キングコブラを抜く北上さん。リボルバーはやっぱりカッコイイな! ――じゃなくて、反撃するのか!?
しゅたっと立ち上がり、銃を構える北上さんは発泡。
凄まじい音が部屋中に響き、鼓膜がどうかなりそうだ……!
『……!?』
外にいる敵もさすがに驚いて身を潜めたようだ。
「まずいぞ、絆。こんな場所で銃撃戦をしては、すぐに警察が来る!」
「木下刑事、車を出してください」
「無茶な! 八人も乗れるか!」
俺、天音、北上さん、千年世、リコ、桃枝、艾――そして、木下さんとと大所帯だからな。どう考えても四人乗りの車に乗るなんて無理だ。
「運転席に一名、助手席に二名、後部座席に三名、トランクに二名これで七名いけます!」
おいおい、本気で言っているのか!?
「北上さん、木下さんの言う通りだ。無茶だって」
「幸い、女性陣はほとんど小柄ですから、いけます……!」
そりゃ、桃枝と艾は体格も中学生並みだけどさ――って、目がマジだ!
桃枝と艾は「そんなの無理だよー!」と猛抗議していたが、外には複数の気配がある。さっさと逃げないと殺される。
「我慢してくれ、二人とも」
「な、なら……私はてっちゃんの膝の上でいい!!」
「あ、桃枝ちゃんズルい!」
桃枝も艾も俺の膝の上を巡って、言い争いを始めた。ちょ、そんな場合ではない!
外から発砲がはじまり、窓が完全に割れた。
この部屋にいるのも危険だ。
「とにかく脱出だ!!」
匍匐前進で部屋を出ていく。その間に、北上さんがリボルバーで援護。いつの間にか千年世もデザートイーグルで戦闘に加わっていた。
お前たち、いつの間に武装していたんだよ!
俺はさっそく桃枝から――ケムッキーさんから得た情報をみんなに共有した。
「……長野に!?」
一番に驚く艾は、顔を青くして震えているように見えた。
「どうした?」
「その……実家が長野だから……」
「マジか」
「うん。驚いたよ……」
そうだよな。もしかしたら長野が戦場になるかもしれないのだから……そう思うと、恐ろしい話である。
「艾ちゃん、大丈夫?」
天音が艾の様子を伺う。
今は任せて置き、俺は話を進める。
「北上さん、どう思う?」
「……あたしはずっと考えていました」
「なにを……?」
「今までのことです。だって、おかしいでしょう。船が沈んだり、飛行機が墜落したり……事件が起きすぎです」
確かに、偶然にしては出来すぎだ。誰かの“意図”を感じるよな。
神様? あるいは悪魔か?
――そんなワケがない。
そうだ。この一連の出来事には人間の意思が介在しているのだ。
「…………八咫烏」
ぽつっとつぶやくリコ。
誰しもが恐れるその単語に、桃枝がビクついていた。
「だよねえ、リコちゃんもそう思う?」
「うん、桃枝。だって、おかしすぎるよ……」
「このまま日本にいたら殺されちゃうよね。海外に逃げなきゃ!」
と、桃枝はもともとの計画を改めて提案する。
本来ならアメリカへ行く予定だったんだけど……風向きは変わってしまった。今は日本にいて、八咫烏を対決する方がいいかもしれない。
問題を解決してから海外へ移住する。
「あの、哲くん」
神妙な面持ちで俺に話しかけてくる千年世は、続けてこう言った。
「今、動けば八咫烏だけではなく、櫛家や警察などあらゆる組織が私たちを狙ってくるのですよね……?」
「そうだ」
「危険すぎるのでは!」
「そうかもしれないが、どうせ向こうからやってくるさ」
「…………むぅ」
それから何度も話し合ったが、多数決により――長野へ行くことにした。今までとは違い、船や飛行機は使わないから、移動に関しては大丈夫だろうという判断で。
それに、やっぱり八咫烏の正体を突き止めたい。
なぜ、そんなに俺たちにこだわるのか。
単に金だけの問題なのか。
明日には出発しようと決まったところで――『バリン!』と窓ガラスが割れて弾け飛んでいた。
「…………!!」
銃弾のようなものがガラスを破壊したんだ。
「早坂くん! 敵襲だ!!」
木下さんが声を張り上げる。
みんなはその場に伏せてやり過ごす。さすが訓練されているだけあり、対応が早い。
「……外に何名かいるようですね!」
腰からコルト・キングコブラを抜く北上さん。リボルバーはやっぱりカッコイイな! ――じゃなくて、反撃するのか!?
しゅたっと立ち上がり、銃を構える北上さんは発泡。
凄まじい音が部屋中に響き、鼓膜がどうかなりそうだ……!
『……!?』
外にいる敵もさすがに驚いて身を潜めたようだ。
「まずいぞ、絆。こんな場所で銃撃戦をしては、すぐに警察が来る!」
「木下刑事、車を出してください」
「無茶な! 八人も乗れるか!」
俺、天音、北上さん、千年世、リコ、桃枝、艾――そして、木下さんとと大所帯だからな。どう考えても四人乗りの車に乗るなんて無理だ。
「運転席に一名、助手席に二名、後部座席に三名、トランクに二名これで七名いけます!」
おいおい、本気で言っているのか!?
「北上さん、木下さんの言う通りだ。無茶だって」
「幸い、女性陣はほとんど小柄ですから、いけます……!」
そりゃ、桃枝と艾は体格も中学生並みだけどさ――って、目がマジだ!
桃枝と艾は「そんなの無理だよー!」と猛抗議していたが、外には複数の気配がある。さっさと逃げないと殺される。
「我慢してくれ、二人とも」
「な、なら……私はてっちゃんの膝の上でいい!!」
「あ、桃枝ちゃんズルい!」
桃枝も艾も俺の膝の上を巡って、言い争いを始めた。ちょ、そんな場合ではない!
外から発砲がはじまり、窓が完全に割れた。
この部屋にいるのも危険だ。
「とにかく脱出だ!!」
匍匐前進で部屋を出ていく。その間に、北上さんがリボルバーで援護。いつの間にか千年世もデザートイーグルで戦闘に加わっていた。
お前たち、いつの間に武装していたんだよ!
2
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
失恋中なのに隣の幼馴染が僕をかまってきてウザいんですけど?
さいとう みさき
青春
雄太(ゆうた)は勇気を振り絞ってその思いを彼女に告げる。
しかしあっさりと玉砕。
クールビューティーで知られる彼女は皆が憧れる存在だった。
しかしそんな雄太が落ち込んでいる所を、幼馴染たちが寄ってたかってからかってくる。
そんな幼馴染の三大女神と呼ばれる彼女たちに今日も翻弄される雄太だったのだが……
病み上がりなんで、こんなのです。
プロット無し、山なし、谷なし、落ちもなしです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる