クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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緊急脱出!! 目指すは長野

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 なんとか車庫までたどり着いた。
 移動中も銃撃を受け続けたが、こちらに人的被害はない。

 うまく車へ乗り込み、運転席には木下さん。
 助手席に俺と北上さん。
 後部座席には天音、リコ、千年世。
 トランクの中には……小柄な桃枝と艾。

 なんていうか、完全に缶詰である。

 無理やり乗車したところで、一番に俺がヤバい。北上さんと完全密着状態でどうかなりそうだ……!

「……? どうかしましたか、哲くん」
「どう見たって、どうかするだろっ」

「ああ、お気になさらず。あたしはどこを触られても怒りません。むしろ、腰を腕で固定してくださると助かりますが」


 どうやら、車の窓から身を乗り出して援護する気らしい。

 車庫のシャッターが開いた途端には銃撃戦だろうからなぁ。

 ええい、仕方ない。
 背後からの殺意の波動が凄いが――気にしてる場合ではない。
 ここを乗り切らねば、殺されてしまうのだから。


「行ってください、木下さん!」
「わかった! 急加速するから、しっかり掴まってくれ!」


 シャッターが開き、外の景色が見えてきた。
 敵が潜んでいるようで、弾が飛んでくる。……やっべ、殺意ありすぎだろッ。

 さすがに拳銃のようだが、危険に変わりはない。

 北上さんは反撃を繰り返し、スピードローダーで素早く弾を装填。まるでガンマンみたいな手さばきで素早く射撃。

 敵の肩に命中させていた。

 俺はそこで、倒れている人物がスーツ姿の男であることに気づいた。あれは櫛家なのか? それとも八咫烏のメンバーだろうか。


 だめだ、分からない――。


 ◆


 姶良市あらいしを脱出し、ひたすら先へ進む。
 だが、このまま八人乗りはキツすぎるし、警察のお世話になる可能性が高すぎる。――ので、山の方面へ向かい、空き地で止まってもらった。

 すぐに車から降り、トランクの中の二人も救出。


「ぷはぁ……死ぬかと思った」
「……汗かいた……」

「桃枝、艾。二人ともよく耐えた」

「さすがに二人は窮屈きゅうくつすぎだよぉ……」


 へとへとな桃枝は、その場にスライムみたいに崩れた。艾も同様だった。

 後部座席にいた天音たちも手足を解している。あれから一時間も経過したからなぁ……という俺も体の節々が痛い。


「撒けたって認識でいいか?」
「そうですね。今のところ追手の気配はありません」


 冷静沈着な北上さんは、そう判断を下した。

 というか、ほとんど倒していたしな。追ってこれない――が、正しいな。
 北上さんの弾の命中率は神掛かっているからなぁ……伝説の殺し屋に匹敵するかもな。

「さて、どうする?」


 俺に判断を委ねてくる木下さん。


「俺たちは長野へ行きます。木下さんは、家族の元へ帰ってあげてください」
「……最後まで付き合ってもいいが」

「危険ですよ。命を落とす可能性だってある」

「いや、大丈夫だ。日本の闇を暴くまでは付き合う。というか、気になって眠れないしな」


 いいのかなぁ……と、俺は北上さんに視線を送る。すると「いいのでは」とアッサリ。……いいのかよ。

 ならば、当面は木下さんも一緒だな。
 ……まあ、現役の刑事が味方にいれば、なにかと便利ではあるか。


「ねえ、早坂くん」
「どうした、天音」

「もうさすがに車には乗れないよね?」
「そうだな。これ以上はキツい。近くに駅があるし、電車移動だな」
「賛成。もう手足がしびれてキツイよ~…」


 みんな疲弊している。
 いったん、ホテルとかで休みたいところだな。

 金は死ぬほどあるし、まず資金には困らない。

 ルナヒカリ――おまけに雷とも合流したい気もする。が、これ以上、人数が増えるのもな。
 あの三人には、待機してもらっておくか。


「よし、みんな。十分休憩して、近くの駅へ向かう」


 全員、「お~…」と疲れと共に返事。やっぱり、ヘトヘトだな。

 どこかホテルを探すか。
 中古で買ったスマホを取り出し、俺はよさそうな場所をアプリで探していく。

 う~ん……うん、ここにするか。
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