あなたのレベル買い取ります! 無能と罵られ最強ギルドを追放されたので、世界で唯一の店を出した ~俺だけの【レベル売買】スキルで稼ぎまくり~

桜井正宗

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【107】 錬金術師の少女(ルナ視点)

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 錬金術師アルケミストのワンダは、わたしの顔を見て顔色一つ変えなかった。どうやら、ここへ来ることは分かっていたようだな。

 ワンダ。彼女は、ワインレッド色の長い髪をツインテールにし、可愛いリボンで束ねていた。顔は小さく、やや吊り上がったまゆとそこにある黄色の瞳がどこか不満気に見えた。


「……これはこれは、我が偉大な父がデザインしたその特注の漆黒ドレス。それを着こなすは帝国の皇女様ではありませんか。ご機嫌麗しゅうございます。さて、わざわざご足労いただき大変恐縮ですが……この私も多忙な身でして」


 それは嘘だ。単にやる気がないだけ。

 この皇女であるわたしを前にその態度。なかなか出来るな、この女。……まあワンダの噂、数々の武勇伝は聞いていた。彼女は七つの貴族の内の『シュテルンビルト家』で、格式ある貴族だった。だが、帝国より『パナシーア』を無理やり押し付けられ――その末に性格がひねくれたという。それが今の彼女だった。


「時間は取らせぬ。お前に協力して欲しい」
「……協力ですって? 勘弁して下さいよ。いくら皇女様のご命令とはいえ、皇帝陛下に知られれば、私は明朝にでもギロチン台送り。……晒し首ですよ。そんなの御免被ります。どうかお引き取りを」

 相変わらずの態度でワンダは言う。

「わたしがさせぬ。絶対を約束しよう」

「……絶対。そんなの信用できるか。そもそも、私は帝国からこのギルドを押し付けられた。その結果が出せぬ日々。もともとシャロウと対抗する意味で作られたけど、そう簡単に世界最強に成れるはずがない。そして、税の無駄遣いと言われる始末だ。今やパナシーアごと追放しろなどという声も出ている。……捻くれもする」


「では、わたしに協力するがよい、ワンダ。貴女には自由・・を与えよう。我が騎士・ソレイユのように特権を付与し、行動の制限から解放されるのだ。我が直下に入れ。父は必ずや説得する」


「……なっ!? ウソ……そこまで」


 わたしの行動が意外すぎたのだろう、ワンダはついに顔色を変化させた。その瞳にはあせりがあり、手足も震えはじめていた。


「ウソではない。父は怒るだろうが、わたしは以前とは違う。それにわたしは娘だから、押し通せばなんとでもなる。いっそ、皇女を辞めるといえば父は嫌でも首を縦に振る」


 ポカンとするワンダ。
 やっと事の重大さに気づき、起き上がろうとした。しかし、足を投げ出していたことを忘れていたようで、そのまま腰を固い床に打ち付けた。


「……いたぁっ!!」


「大丈夫か」
「……だ、だいじょうぶ。……あ、あの、ルナ様」

 まるで子供の様に見上げるワンダ。
 もはや、あの無礼な態度はなかった。わたしは確信した。この少女は根は良い子なのだと。

「ほら、手を」
「ありがとうございます……」

 腰を落とすワンダを今度は起こし、立たせた。


「わたしの事は呼び捨てよい。これから協力関係――いや、なのだからな。是非ともよろしく頼むよ、ワンダ」


「こ、皇女様……! 数々のご無礼をお詫びしますっ……! ごめんなさい! 本当にごめんなさい! こんなバカみたいに捻くれてしまって大変申し訳ありませんでした」

 ブンブンと頭を上下に乱し、そのツインテールすら乱しながら謝罪をするワンダ。これほど乱舞して頭を下げられるとは――変わった謝罪の仕方だな。面白い、気に入った。


 というか、声がさっきと違うし……
 素の性格が出ているような。


「パナシーアは今後、わたしを補佐するように」
「はい! 私は、ルナに一生ついて行きます!」


 ガッチリと握手を交わし、ワンダは我が友となった。今日から『パナシーア』とは友好関係。これで少し彼の姿が見えてきたかな。
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