あなたのレベル買い取ります! 無能と罵られ最強ギルドを追放されたので、世界で唯一の店を出した ~俺だけの【レベル売買】スキルで稼ぎまくり~

桜井正宗

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【191】 エレメンタルリアクター

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 夜とはいえ、住人や冒険者がそこそこ歩いている。帝国の騎士であり、有名人であるソレイユを肩車していれば、高確率で振り向かれた。


 その度に「あれ、ソレイユ様……」「ソレイユ様を肩車…」「いいなぁ、俺もしたい」「相変わらず麗しゅうございますなぁ」などなど羨望を向けられた。


「お、思ったよりも目立つわね」
「そりゃな。ただでさえ美人のソレイユを肩車だぜ。そりゃ嫌でも目立つって」
「び、美人……ふぅん」


 嬉しかったのか、フトモモを寄せて来た。
 ヨシャ。


 ◆


 フレッサー商会の前。

「降ろすぞ」
「うん」

 降ろ寸前、ソレイユは背後から抱きついてきた。

「ここまでありがとね、カイト」
「お、おう」

 運賃代わりらしい。もう既に多額の運賃を俺は受け取っていたんだがな。まあいい、これも有難く受領しておこう。


 商会の扉をノックし、直ぐに「どうぞ」と反応があったので、中へお邪魔した。


「夜遅くに済まない、トニー」
「君だと思ったよ、カイト。おぉ、それとソレイユ様ではありませぬか! お会いできて光栄です。今日も燦々さんさん耀かがやいておりますなぁ」


 ソレイユの手のこうにキスしようとしたので、俺は阻止した。


「どうしたのです、カイト。これは騎士様への敬意を現すもので――」
「うそつけ。欲望がはみ出していたぞ」


 咳払いして、トニーは椅子に座った。
 分かりやすいやつめ。コイツが、ソレイユのファンだって事は知っていた。会う度に熱弁してきていたからな。


「それで、ご用件は?」

 誤魔化したな。まあいい。


「世界情勢について知りたい。情報通のお前なら、何か知っているだろ? なにか面白い・・・情報はないか」


 ふむっとあごをしゃくるトニーは、足を組みまぶたを閉じた。あれは、トニーのくせだった。どうやら重要な話があるらしい。


「共和国・ブルームーンと中立国・サテライトの同盟は御存知ごぞんじですかね」


「それは知っているよ。それからだ、それからどうなった。シャロウは、ブラック卿は、王子・アズールは、ベルガマスク・セルリアンはどうなった……俺はそれが知りたい」


「カイト、貴方あなたは商人だ。国を動かす立場にないし……知ってどうするのです」


「今日、エルドラードのエーデルが店に来たんだよ。俺を狙っていた。共和国・ブルームーンへ連れていくとか何とかおどされてね。猶予ゆうよは三日。俺は、三日後に連れ去られるかもしれない」


 真実を話すと、トニーは頭を抱えた。


「……エルドラード。それは厄介やっかいな問題に直面しましたな」
「なぜ厄介やっかいなの?」


 ソレイユがいた。


「僕が経営している情報屋によれば、ギルド『エルドラード』は、元からカイトを狙っていたのですよ。だが、彼等はその前に追放された。それは以前にも話しましたよね。
 計画失敗に終わった結果、最近のブラック卿とベルガマスク・セルリアンの事件です。それから――」


「それからは、私が話そう」


 ばんと扉が勢いよく開かれると、そこには懐かしい顔が。


「ワ、ワンダか。それとリーベ」


 驚いた。
 錬金術師アルケミストの衣装に身をまとうワンダと、弟子のリーベがこの店にやって来るなんてな。


「お久しぶりですね、カイトさん。わぁ、ソレイユ様もいらしたのですね! セイフの街以来ですねっ」

 リーベは、亜人で猫耳と尻尾を持つ少女。大変可愛い。


「ワ、ワンダ……!」


 驚くトニーは、一歩引いていた。
 まさか、ワンダが苦手なのか。


「トニー、悪いがその先の話は私がする。情報屋として働かせていた部下も返して貰うぞ。そろそろ本格的に動かねばならん」
「そ、そんなぁ……」


 がくっと項垂うなだれるトニー。そうか、トニーの言う情報屋とは、ワンダの事だったのか。いや、その部下か。


 ワンダはワンダで、何やっとるんだか。


「さあ、行こうか、酒場へ」
「げっ、ワンダ……お前、どこから見ていた」


「全部だ!!」
「全部かよ!!」


「当たり前だろう。この私は、ルナ様に使えるギルド『パナシーア』なのだからな。今や情報屋として裏からフォローしている存在。しかし、状況が変わった。今後は表から支えていくぞ」


 キリッとワンダは、凛々りりしく微笑んだ。
 頼もしいやらな。


「ねえ、カイト。ワンダも連れていくの?」
「あぁ……すまないな、ソレイユ。こうなってはな」
「仕方ないか。でも、人数が多い方が楽しいし」


 そういえば、そろそろ良い時間だ。


「ワンダ、詳しい事は道中で話すが、明日はソレイユの誕生日なんだ。盛大に祝いたい」
「ほう、それは悪いことを。では、私らは明日に改めようか」


 どうやら気を使ってくれているらしい。
 どこまで知っているんだか。


「じゃあ悪いけど、明日必ず頼む。イルミネイトでな」

「いいだろう。というか、今晩泊めてくれ。私等、寝る場所がなくて困っているんだ」

「分かったよ、ルナに頼めばこころよくオーケーしてくれるさ」


「恩に着る。では、いくぞリーベ」
「はい、マスター」


 ワンダとリーベは去った。


「相変わらず元気なヤツだなあ」
「そうね。でも、これで二人きりね」


「ぼ、僕は?」

「すまん、トニー。ここから先は俺の先約でね」

「そ、そんなぁ……」


 今度はひざをついて、ショックを受けるトニー。


「本当にすまないって。この埋め合わせは必ずする。だから元気だせよ」
「やっぱりカイトは、女性から説明を受けたいですものね。ええ、その気持ちはよ~く分かりますとも」


「いじけるなって。お前が優秀なのは知ってるよ」
「お世辞でもありがとう、友よ」


 別れ際、トニーはアイテムを俺に投げた。


「ん? なんだこの青いの」
「それは、パライバトルマリン製のエレメンタルリアクターです。どう使うかは貴方あなた次第ですよ」


 へぇ、どんな効果が楽しみだな。
 青い塊をふところに突っ込み、俺は礼を返した。


「ありがとな。また来るよ」
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