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【293】 ラテラルアーク教会にて
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暖かくも冷たい、なんとも言えない絶妙な空気が漂っていた。昨晩、俺はミーティアの部屋で寝ていたはず。
ルナとソレイユも招き、三人でベッドに横になって――そうだ。あれは天国だった。みんなに添い寝して貰って久しぶりに癒された。
みんな寝顔が可愛くて、ずっと飽きずに見ていられるほどだった。でも、疲労には敵わず睡魔に襲われ……そのまま眠ったはずだった。
身体がぶるぶると震えた。
……んぁ? さむ……でもあたたかい。
何かが俺の体にくっついている。
ボケボケした重い瞼を力技で開眼させ、状況把握に努める……すると。俺はとんでもない場所にいた。
「――って、なんだここおおおおお!!」
帝国・レッドムーンの『ラテラルアーク教会』の天辺にいた。街並みが軽く見渡せる高さにおり、しかも転落寸前の位置にした。
教会の屋根の上だと……?
どうして俺はこんな場所に……ああ。
俺の身体にぴったりくっつくミーティアの姿があった。つまり、こいつが寝惚けて『テレポート』したらしい。
なんちゅう寝相だよ。
「……えへへ、おにーちゃん」
これは寝言のようだ。ミーティアはまだ眠っており、起きそうになかった。やれやれと頭を痛めていると、地上から声がした。
「カイトさーん。私です」
「あっ、ティーガー辺境伯。おはようございます」
「ええ、おはようございます。どうか下りて貰えませんでしょうか。お話があるんです」
下りろって、結構な高さなんだがなー。ミーティアを起こすしかないな。
「分かった。少し待っていてくれ」
「了解です」
俺はミーティアの頬を優しく引っ張る。
「おい、ミーティア。起きろ」
「ひゃぁ~…やめふぇ~…おにーちゃぁぁん……」
ダークエルフ特有(?)のもちもちの肌が伸びる。普段、顔なんて触れないので、触り心地が良すぎてビックリする。
「もう朝だぞ」
「……ん~? あれぇ、おはよう、お兄ちゃん」
「おはようじゃないって。下ろしてくれよ」
「下ろすぅ? ……って、うわ! なにここ!」
「お前が寝惚けて飛ばしたらしい」
「あー…。たまにやっちゃうんだよね。ごめんね、おにーちゃん」
てへっと舌を出すお茶目なミーティア。こんな顔されては怒るに怒れないし、そんなつもりもないけれど。
ミーティアのテレポートで地上に戻った。一瞬だったな。それから俺は、待たせていた辺境伯に挨拶をした。
「改めてどうも、ティーガー辺境伯」
「どうもです、カイトさんにムンドゥス卿」
そう、ミーティアは『クラールハイト』の名を変え『ムンドゥス』にしていた。爵位でいえば『公爵』らしい。たまに家に戻っては『七つの貴族』としての責務を全うしているようだが。
「これは失礼しました。名前いいです、シベリアさん」
「そうですか、ではミーティアさんと」
――ああ、そうだ。ティーガー辺境伯は『シベリア』という名前だったな。以前、ルナが口にしていた。すっかり忘れていたな。
相変わらず中性的で男か女か分かり辛いが、立派な女性であり、男装しているようだな。
「じゃあ、俺も親しみを篭めてシベリアさんと呼ばせてもらおうかな」
「ええ、構いませんよ。アムールを助けて戴いた恩がありますからね」
シベリアの妹にしてノイヤール家の当主・アムールも『七つの貴族』のひとり。ソレイユのエクリプス家に現れたり、婚約破棄事件では協力してくれたっけな。
「そりゃ良かった。それで、シベリアさんは俺になんの用が?」
「ええ、そうでした。ヤークト公爵の件でカイトさんを探していたんですよ」
「ジェネラル氏は犯人ではなかったろ?」
「それについては謝罪します。その通り、昨晩の事件の報告をソレイユ様より受けました。ジェネラルさん達は“無実”だった。それよりも、ヤークト公爵です。彼こそが殺人を犯していたようなのです」
「殺人を?」
「まだ容疑ですが可能性は高いでしょう。その証拠を集める為にも私も強力したいのです」
帝国・レッドムーンをぶっ壊そうとしているんだから、ヤークト公爵が噂の殺人犯の可能性はあるだろうな。ただ、まだ確かな証拠はない。俺としても協力者が増えるのは助かるし、これは手を組んで損はないはず。
「分かったよ、シベリアさん。こちらこそよろしく」
「ありがとうございます。では、私は公爵家を引き続き調査します」
「それは助かる。俺の方は本人を探すよ。もしくは『ガラテイア』だな」
「ガラテイア?」
「ああ、ヤークト公爵の子供だ。性別は不明だけど、そいつはジェネラルさんの故郷を潰したヤツだ。なんとか止めないと帝国も危ういぞ」
「公爵に子供が……そうでしたか。その方についても調べてみますね。それでは」
シベリアは丁寧に頭を下げ、去って行く。調査は彼女に任せよう。俺たちはそろそろイルミネイトに戻るか。ルナとソレイユ、ジェネラルさん達が心配しているだろう。
ルナとソレイユも招き、三人でベッドに横になって――そうだ。あれは天国だった。みんなに添い寝して貰って久しぶりに癒された。
みんな寝顔が可愛くて、ずっと飽きずに見ていられるほどだった。でも、疲労には敵わず睡魔に襲われ……そのまま眠ったはずだった。
身体がぶるぶると震えた。
……んぁ? さむ……でもあたたかい。
何かが俺の体にくっついている。
ボケボケした重い瞼を力技で開眼させ、状況把握に努める……すると。俺はとんでもない場所にいた。
「――って、なんだここおおおおお!!」
帝国・レッドムーンの『ラテラルアーク教会』の天辺にいた。街並みが軽く見渡せる高さにおり、しかも転落寸前の位置にした。
教会の屋根の上だと……?
どうして俺はこんな場所に……ああ。
俺の身体にぴったりくっつくミーティアの姿があった。つまり、こいつが寝惚けて『テレポート』したらしい。
なんちゅう寝相だよ。
「……えへへ、おにーちゃん」
これは寝言のようだ。ミーティアはまだ眠っており、起きそうになかった。やれやれと頭を痛めていると、地上から声がした。
「カイトさーん。私です」
「あっ、ティーガー辺境伯。おはようございます」
「ええ、おはようございます。どうか下りて貰えませんでしょうか。お話があるんです」
下りろって、結構な高さなんだがなー。ミーティアを起こすしかないな。
「分かった。少し待っていてくれ」
「了解です」
俺はミーティアの頬を優しく引っ張る。
「おい、ミーティア。起きろ」
「ひゃぁ~…やめふぇ~…おにーちゃぁぁん……」
ダークエルフ特有(?)のもちもちの肌が伸びる。普段、顔なんて触れないので、触り心地が良すぎてビックリする。
「もう朝だぞ」
「……ん~? あれぇ、おはよう、お兄ちゃん」
「おはようじゃないって。下ろしてくれよ」
「下ろすぅ? ……って、うわ! なにここ!」
「お前が寝惚けて飛ばしたらしい」
「あー…。たまにやっちゃうんだよね。ごめんね、おにーちゃん」
てへっと舌を出すお茶目なミーティア。こんな顔されては怒るに怒れないし、そんなつもりもないけれど。
ミーティアのテレポートで地上に戻った。一瞬だったな。それから俺は、待たせていた辺境伯に挨拶をした。
「改めてどうも、ティーガー辺境伯」
「どうもです、カイトさんにムンドゥス卿」
そう、ミーティアは『クラールハイト』の名を変え『ムンドゥス』にしていた。爵位でいえば『公爵』らしい。たまに家に戻っては『七つの貴族』としての責務を全うしているようだが。
「これは失礼しました。名前いいです、シベリアさん」
「そうですか、ではミーティアさんと」
――ああ、そうだ。ティーガー辺境伯は『シベリア』という名前だったな。以前、ルナが口にしていた。すっかり忘れていたな。
相変わらず中性的で男か女か分かり辛いが、立派な女性であり、男装しているようだな。
「じゃあ、俺も親しみを篭めてシベリアさんと呼ばせてもらおうかな」
「ええ、構いませんよ。アムールを助けて戴いた恩がありますからね」
シベリアの妹にしてノイヤール家の当主・アムールも『七つの貴族』のひとり。ソレイユのエクリプス家に現れたり、婚約破棄事件では協力してくれたっけな。
「そりゃ良かった。それで、シベリアさんは俺になんの用が?」
「ええ、そうでした。ヤークト公爵の件でカイトさんを探していたんですよ」
「ジェネラル氏は犯人ではなかったろ?」
「それについては謝罪します。その通り、昨晩の事件の報告をソレイユ様より受けました。ジェネラルさん達は“無実”だった。それよりも、ヤークト公爵です。彼こそが殺人を犯していたようなのです」
「殺人を?」
「まだ容疑ですが可能性は高いでしょう。その証拠を集める為にも私も強力したいのです」
帝国・レッドムーンをぶっ壊そうとしているんだから、ヤークト公爵が噂の殺人犯の可能性はあるだろうな。ただ、まだ確かな証拠はない。俺としても協力者が増えるのは助かるし、これは手を組んで損はないはず。
「分かったよ、シベリアさん。こちらこそよろしく」
「ありがとうございます。では、私は公爵家を引き続き調査します」
「それは助かる。俺の方は本人を探すよ。もしくは『ガラテイア』だな」
「ガラテイア?」
「ああ、ヤークト公爵の子供だ。性別は不明だけど、そいつはジェネラルさんの故郷を潰したヤツだ。なんとか止めないと帝国も危ういぞ」
「公爵に子供が……そうでしたか。その方についても調べてみますね。それでは」
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