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第22話 風紀委員長は恋をしている
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マンションを出て学校を目指す。
今日は雲一つない青い空。ちょっと汗を掻くような蒸し暑さを感じるけど、耐えられない程ではない。
雑談を交えて歩けば、早くも学校に辿り着く。今日は朝っぱらからトラブルがあったからな。もう勘弁してくれ。
祈りながら学校へ入っていく。
しかし、その祈りは一瞬で打ち砕かれた。
「おはようございます! 天満くん。それと小桜さん」
目の前にあのギャル風紀委員長の『椎名 葵』が現れ、俺たちの行く手を阻む。また、お前かっ。いったい、何の用があるんだかな。
「おはよう」
「おはようございます」
俺も遥も一緒になって挨拶を交わす。これでもういいだろうと、俺は先を急ぐのだが、椎名は通せんぼする。……おい。
「ダメです!」
「ダメって何がだよ。具体的に言ってくれ」
「はい。まずは、天満くんと小桜さんの距離が近すぎです! 三メートル以上離れて下さい」
「そんなに離れなきゃいけないのかよ。ていうか、今でもそこまで密着していないし」
「ダメなものはダメです。それに、小桜さんはスカート丈が短すぎですよ」
それは同感だ。遥は、結構大胆にフトモモを露出していた。他の男がジロジロ見ているから、俺も気になっていた。
「そ、そうかな」
「きちんと直してくださいね。それに、胸も不必要に大きすぎです! むぅ、なんでこんな巨乳なのっ」
そこは仕方ないだろうに。つーか、まじまじ見るなっ。遥が困惑しているし、俺の背後に隠れるし。
どうやら、遥はこの子が苦手らしいな。
「えっと、椎名さん。悪いけど、もう行くよ」
「あ、ちょっと!!」
結婚しちまうと、あんな美人ギャルもそれほど魅力に感じないものだな。今の俺は、遥が世界一。遥さえいればそれでいい。
椎名をスルーして教室へ向かう。
窓側の一番後ろの席へ。
席へ着こうとしたら、なぜか椎名が先回りしていて座っていた。って、なんかいるし!
「ちょ、ちょっと椎名さん。そこ、俺の席なんだが」
「そうですね。前の席が小桜さんかあ。同じクラスだったら良かったのに」
「そうだ、椎名さんは別のクラスだろ。帰れ帰れ」
「え~」
え~、じゃないっ!
早く帰ってくれないと、遥の機嫌がヤバイぞ。すでに死んだ目で俺を見ていた。……やっべ、そろそろカッターナイフを向けられてもおかしくない。
仕方ない、ここは強制連行だ。
俺は、椎名の腕を掴み廊下へ引っ張っていく。
「遥、すまない。椎名さんを退去させるから、怒らないでくれ」
「……」
怒りの眼差しを向ける遥さん。明らかに俺が椎名の腕を掴んでいるところを凝視しているな。他の女に触れるなんて言語道断、死刑よ! みたいな視線を向けられていた。……うわぁ、明らかに不吉なオーラを纏っていらっしゃる。
廊下に出て、俺は椎名さんを壁へ追い詰める。
「あの、これって『壁ドン』ってヤツですよね。天満くんって、こんなことする根性あったんですね。嬉しい」
「黙れ、風紀委員長。なぜそんな俺に構う。陰キャクソぼっちの俺と関わっても、なんのメリットもないぞ」
「そうでしょうか。では、小桜さんとは何であんなに仲が良いんですか?」
「……ううっ」
結婚しているから――なんて言えるはずもない。
「ということは、言えない関係なんですね。なら、風紀委員長として見過ごせません」
「恋愛は自由だろ。別に誰にも迷惑を掛けていない」
「へえ、小桜さんが好きなんですか?」
「……そ、そうだ。別にいいだろ。男が女の子を好きになるなんて、普通のことだ」
「はい、そうですね。でも、お二人は恋人同士って関係でもないでしょ?」
恋人どころか結婚しちゃってるけどっ! 口が裂けても言えないが。
「ま、まあ……幼馴染だし」
という誤魔化しの設定だけど。
「あたしの入る余地あるってことですもんね?」
なぜ確認してくる!
いやもうないよ。たぶん。
というか、椎名ってもしかして俺のことが? そんな、まさかな。けど、このしつこさ……ちょっと可能性がありそうだぞ。
だとすれば、こりゃ、もう正直に言うか。そうする方がこの風紀委員長にとってもいいはずだ。
傷つけなくて済む。
遥には申し訳ないけど、椎名を諦めさせる為だ。言おうとすると、背中がゾクゾクっとした。背後に遥の気配を感じるような、気がした。うん、結婚の事実を告げるのは止めよう。中止だ! 即時中止!
「さ、さあな。風紀委員長、俺は諦めてくれ」
「そう言われると余計に燃えますね。正直、あたしって天満くんが好きなんです」
「え!?」
あっさり告白してくるし。
何なんだこの子。
「その、隣の芝生は青く見えるっていうじゃないですか。だからなんで、あたしの隣が天満くんじゃないのかなぁって度々思ったんです。で、いつの間にか恋をしていました。毎日、キュンキュンしているんです」
と、俺の手を掴み、胸へ押し当てる椎名。
うわッ!!
ていうか、それが理由か。
いやだけど、驚きだなぁ……。
ギャルで風紀委員長の椎名が俺に惚れていたとは――そんなことあるんだ。
って、これでは余計に断り辛いじゃないか。
どうする、俺。
いっそ“ごめんなさい”をするべきか。
悩んでいると、こちらへ接近する気配があった。……あ! あの人は、まさか!
今日は雲一つない青い空。ちょっと汗を掻くような蒸し暑さを感じるけど、耐えられない程ではない。
雑談を交えて歩けば、早くも学校に辿り着く。今日は朝っぱらからトラブルがあったからな。もう勘弁してくれ。
祈りながら学校へ入っていく。
しかし、その祈りは一瞬で打ち砕かれた。
「おはようございます! 天満くん。それと小桜さん」
目の前にあのギャル風紀委員長の『椎名 葵』が現れ、俺たちの行く手を阻む。また、お前かっ。いったい、何の用があるんだかな。
「おはよう」
「おはようございます」
俺も遥も一緒になって挨拶を交わす。これでもういいだろうと、俺は先を急ぐのだが、椎名は通せんぼする。……おい。
「ダメです!」
「ダメって何がだよ。具体的に言ってくれ」
「はい。まずは、天満くんと小桜さんの距離が近すぎです! 三メートル以上離れて下さい」
「そんなに離れなきゃいけないのかよ。ていうか、今でもそこまで密着していないし」
「ダメなものはダメです。それに、小桜さんはスカート丈が短すぎですよ」
それは同感だ。遥は、結構大胆にフトモモを露出していた。他の男がジロジロ見ているから、俺も気になっていた。
「そ、そうかな」
「きちんと直してくださいね。それに、胸も不必要に大きすぎです! むぅ、なんでこんな巨乳なのっ」
そこは仕方ないだろうに。つーか、まじまじ見るなっ。遥が困惑しているし、俺の背後に隠れるし。
どうやら、遥はこの子が苦手らしいな。
「えっと、椎名さん。悪いけど、もう行くよ」
「あ、ちょっと!!」
結婚しちまうと、あんな美人ギャルもそれほど魅力に感じないものだな。今の俺は、遥が世界一。遥さえいればそれでいい。
椎名をスルーして教室へ向かう。
窓側の一番後ろの席へ。
席へ着こうとしたら、なぜか椎名が先回りしていて座っていた。って、なんかいるし!
「ちょ、ちょっと椎名さん。そこ、俺の席なんだが」
「そうですね。前の席が小桜さんかあ。同じクラスだったら良かったのに」
「そうだ、椎名さんは別のクラスだろ。帰れ帰れ」
「え~」
え~、じゃないっ!
早く帰ってくれないと、遥の機嫌がヤバイぞ。すでに死んだ目で俺を見ていた。……やっべ、そろそろカッターナイフを向けられてもおかしくない。
仕方ない、ここは強制連行だ。
俺は、椎名の腕を掴み廊下へ引っ張っていく。
「遥、すまない。椎名さんを退去させるから、怒らないでくれ」
「……」
怒りの眼差しを向ける遥さん。明らかに俺が椎名の腕を掴んでいるところを凝視しているな。他の女に触れるなんて言語道断、死刑よ! みたいな視線を向けられていた。……うわぁ、明らかに不吉なオーラを纏っていらっしゃる。
廊下に出て、俺は椎名さんを壁へ追い詰める。
「あの、これって『壁ドン』ってヤツですよね。天満くんって、こんなことする根性あったんですね。嬉しい」
「黙れ、風紀委員長。なぜそんな俺に構う。陰キャクソぼっちの俺と関わっても、なんのメリットもないぞ」
「そうでしょうか。では、小桜さんとは何であんなに仲が良いんですか?」
「……ううっ」
結婚しているから――なんて言えるはずもない。
「ということは、言えない関係なんですね。なら、風紀委員長として見過ごせません」
「恋愛は自由だろ。別に誰にも迷惑を掛けていない」
「へえ、小桜さんが好きなんですか?」
「……そ、そうだ。別にいいだろ。男が女の子を好きになるなんて、普通のことだ」
「はい、そうですね。でも、お二人は恋人同士って関係でもないでしょ?」
恋人どころか結婚しちゃってるけどっ! 口が裂けても言えないが。
「ま、まあ……幼馴染だし」
という誤魔化しの設定だけど。
「あたしの入る余地あるってことですもんね?」
なぜ確認してくる!
いやもうないよ。たぶん。
というか、椎名ってもしかして俺のことが? そんな、まさかな。けど、このしつこさ……ちょっと可能性がありそうだぞ。
だとすれば、こりゃ、もう正直に言うか。そうする方がこの風紀委員長にとってもいいはずだ。
傷つけなくて済む。
遥には申し訳ないけど、椎名を諦めさせる為だ。言おうとすると、背中がゾクゾクっとした。背後に遥の気配を感じるような、気がした。うん、結婚の事実を告げるのは止めよう。中止だ! 即時中止!
「さ、さあな。風紀委員長、俺は諦めてくれ」
「そう言われると余計に燃えますね。正直、あたしって天満くんが好きなんです」
「え!?」
あっさり告白してくるし。
何なんだこの子。
「その、隣の芝生は青く見えるっていうじゃないですか。だからなんで、あたしの隣が天満くんじゃないのかなぁって度々思ったんです。で、いつの間にか恋をしていました。毎日、キュンキュンしているんです」
と、俺の手を掴み、胸へ押し当てる椎名。
うわッ!!
ていうか、それが理由か。
いやだけど、驚きだなぁ……。
ギャルで風紀委員長の椎名が俺に惚れていたとは――そんなことあるんだ。
って、これでは余計に断り辛いじゃないか。
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