最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ

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95 事件の捜査

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「ロイトが亡くなりました」
「そうか……」
報告を受けたザイバガイト学園の学園長シュザッハ=トーテムは暗い気持ちになるのを押さえることができなかった。

入学試験の三次試験での最中、結界が壊れるという事件が発生した。
原因は二つ。
一つ目はサース男爵家のロイトが魔法暴走を起こし、結界へ魔法を放ったこと。
二つ目は結界を張るための魔石にが入っていたこと。

ロイトはガーナ薬中毒だったことが分かった。
強い幻覚症状に襲われたのか、錯乱して魔力枯渇になるまで魔法を使い、意識不明の重体だった。
聞き取りが出来る状態ではなかったため、ガーナ薬の入手経路を調べることは難しかった。ロイトは意識の戻らないままに亡くなってしまった。

魔石のひびの方は、人為的なものだと考えられたが目撃情報もなく、事件そのものが迷宮入りするかと思われていた。
だが、事件解明の陣頭指揮をとっていたアール教頭の執念ともいえる捜査で犯人に辿り着くことができた。
キャロナ=ササゲイという女子生徒だった。
生徒会役員の彼女は、入学試験の手伝いとして試験会場に来ていたのだ。
これで事件解決への進展があると思われた。すぐにキャロナを拘束しようと向かったのだが、すでに彼女はガーナ薬の中毒で亡くなってしまっていた。
結局、犯人を見つけることはできなかった。

そして、また事件が起こった。
入学式当日、照明器具が落下したのだ。
照明器具は何者かにより固定具が壊されていた。
目撃情報は無いと思われていたが、他の施設の修理に来ていた業者が偶然にも犯人を見ていた。
ダーン=ソイット。ソイット男爵家の嫡男で、部活動のために帰省することなく学園に残っていた男子生徒だった。

ダーンはすぐに拘束され、取り調べを受けることになった。
最初は大人しく取り調べを受けていたダーンだったが、徐々に態度がおかしくなっていった。
ガーナ薬の禁断症状が出たのだ。
ダーンもガーナ薬の中毒者だった。緊急で治療を受けたが症状は重い。

それでも何とか話を聞くことができた。
ダーンは自分がガーナ薬の中毒になっていることを知らなかった。
言葉巧みに飲まされた栄養ドリンクにガーナ薬が混入されていたと考えられる。なぜならダーンは栄養ドリンクを欲して、のた打ち回っているのだから。

ダーンは栄養ドリンク欲しさに、栄養ドリンクをくれた相手の言うことを何でも聞くようになっていき、照明器具の固定具に細工をするように指示され実行した。その頃には中毒症状が酷くなっていて、善悪の判断は付かなくなっていたようだ。

残念なことに、苦しむダーンからは、そこまでしか聞き取ることができなかった。
肝心な栄養ドリンクは誰から受け取っていたのかを知ることはできなかったし、入手することも無理だった。

シュザッハは頭を抱える。
犯人はティナを殺したいと考え、学生達を実行犯として使うためにガーナ薬を使ったのか、それともすでに学生には手を出していたのか。
発見されていないだけで、他の生徒達にも魔の手が伸びているかもしれない。

「一斉検査をする」
シュザッハは全生徒に対して、ガーナ薬の検査をすることにした。
莫大な費用がかかることになるが、生徒のことを思えば、金のことなど考えている場合ではない。
もし、ガーナ薬に関わっている生徒がいたら、早急に治療をしなければならない。そして、そこから犯人を追い詰める。
犯人を見つけ出し、必ず捕らえる。
未来ある学生の命を奪った罪は重い。

決意するシュザッハの元に、今度はクライブから連絡が来た。
一年生のカイを調べるようにと。
学園側は気づいていなかったのだが、ティナはまたも襲われていた。部屋に矢が撃ち込まれていたのだ。

なぜクライブがそのことを知っていたのか。
神獣が不穏な空気を感じたのだと、アバウトいいかげんな返答があった。
実際はティナのペット達からの依頼だったのだが、それは学園には伝えられなかったし、国王がティナに会いに行ったことも知らされていない。

矢が部屋に撃ち込まれた時、ペット達は思ったのだ、犯人は焦ったのだと。
今までは事故に見せかけていた犯人が、今度は直接手を出してきた。
国王自らの接触に、ティナが王宮に連れられて行ってしまうと思ったのだろう。そうなればティナを殺すことができなくなってしまう。

すぐにでもティナを殺そうと矢を準備したのだろうが、ティナの部屋から国王が出ていったかどうかが分からない。
もし国王が部屋にいて、矢が国王に当たれば大変なことになる。
今までは事故に見せかけてティナを殺そうとしていたぐらいに、犯人は捕まりたくないのだろう。
国王がすでに部屋からいなくなっているのかを確かめるためにカイを送り込んだ。

いきなりカイが部屋を訪ねて来たことをペット達はいぶかしんだ。
いくら同じクラスだとはいえ、寮の部屋を異性が訪ねることは禁じられている。学園の規則もそうだが、トリカから口酸っぱく言われている。それを破れば、最悪退学すらありえる。そんな危険を冒すほどティナとカイは親しい間柄とはいえない。
それに心配ならば、食事も済んだ午後の授業が始まりそうなギリギリの時間に来るだろうか?

連絡を受けたシュザッハは、すぐにカイを拘束するように手配した。
カイにガーナ薬の検査を受けさせ、もし中毒になっているのならば、早急に治療をする必要がある。そして取り調べをする。
カイから犯人に繋がる情報を聞き出し、犯人を捕まえる。

そう思ったのだが……。
カイはいなくなっていた。
どこに行ってしまったのか、下男が買い出しに使っている荷馬車と共に、行方が分からなくなってしまっていたのだ。

「無事であればいいのだが……」
もしかしたらカイは犯罪に手を染めているのかもしれない。
それでもシュザッハは、生徒の無事を願わずにはいられないのだった。

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