最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ

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98 答え合わせ②

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※ プロローグを入れて、100話になりました!!
  これからも、お付き合いお願いします。

――― ――― ―――



「痛い、離してっ。私はお姉ちゃんなんかじゃないわっ」
「あら、まだそんなことを言っているの。じゃあ、私の髪と目の色は何かしら?」
「え?」
ティナは何を言われたのか一瞬戸惑う。
顔を近づけられているので、トリカの目の色は良く見える。

「髪も瞳も黒だわ……」
「そうでしょう。私もお姉ちゃんを最初に見た時は驚いたもの。でも何も思わないの? この国どころかこの大陸中、どこを探しても黒髪黒目なんていないのに」
トリカに指摘され、そのことをティナは初めて知った。
田舎から出てきたティナは、トリカの黒髪黒目を見て、珍しいとは思ったが、王都には色んな人がいるのだと感心しただけだった。
まさか黒髪黒目が存在しないなんて、知らなかったのだ。

トリカがティナを最初に見たのは、入学試験の第一次試験会場だった。
寮母をしているトリカは試験監督の人手が足りないということで、手伝いに呼ばれていた。
そこで受験生の中にいるティナを見つけた。

大勢の中にいたが、ひと目で分かった。
ティナは黒髪黒目だったからだ。あり得ない色味だった。この国どころか、この大陸のどこを探したっていないだろう。
それなのに、周りの者達は、そんなティナを見ても、なんとも思っていないのか、気に留める者などいなかった。

「あの子の髪の色、珍しくないか?」
「そうですか? 茶色の髪なんて、一番多い色味じゃないですかね」
同じく手伝いに駆り出されている職員に話しかけると、意外な返事が返ってきた。

茶色の髪……。
周りの反応から、職員以外にも、そう見えているのが分かった。誰一人珍しそうに見る者も、驚く者もいない。
自分だけ。自分だけが、黒髪に見えているのだ。
なぜだ? 考えて回答が思い浮かぶ。
ああそうだ、お姉ちゃんだ。
転生者同士のなんだ。

余りの嬉しさに小躍りしそうになった。
探しても探しても見つけることができなかったのに、今は目の前にいる。
学園の寮母になったのは、もしかしたらお姉ちゃんが学園に来るかもしれないという思いもあった。
半分こで苦渋を飲まされていた。やっと、やっと取り返すことができる。

「でも笑っちゃったわ。お姉ちゃんたら、髪はボサボサ、服はヨレヨレ、その上薄汚れているんだもの」
トリカは笑う。嬉しそうに。

何一つ持たずに転生したお姉ちゃんは、苦労したのだろう。
やせ細り、みすぼらしい。
天使からペットなんとかって天恵ギフトを貰っていたくせに、連れているのは雑魚スライム一匹だけ。
何の役にも立ちはしない。

私と無理やり半分こにしたくせに、宝の持ち腐れだわ。
取り返すことに、何のためらいもなくなった。さっさと死んでもらいましょう。
お姉ちゃんが死んで、半分この分が私のものになったら、役に立たないペットのギフトは、別の能力に変化するはずだ。どんな能力になるのか楽しみでしかたがない。

「すぐに準備にかかったわ。一次か二次で落ちていれば、隠れて始末できたのに、合格していくのだもの、手がかかって面倒だわ」
トリカは爪を噛む。

トリカは騎士団を辞めてしまった。
だけど、騎士団には戻ると決めている。それも下っ端ではなく、上位の騎士として。
だから下手なことはできない。
自分が手を下したことがバレれば、騎士団への復帰が不可能になる。
事故にしなければ。
そのために手駒を使う。

トリカは寮母になった時から生徒達に手を伸ばしていた。
この学園の生徒達は、将来有望でエリートコースを進んでいく子達だ。
王立ということもあり、卒業後はほとんどの生徒は王宮に出仕する。騎士団に入団する子も多い。
私が騎士団へ復帰するための足掛かりになってもらう。

役に立ちそうな子に『栄養ドリンク』を勧める。
寮母の言うことを、疑う者はいない。
すぐに自分の言うことを聞く『いい子』ができあがる。

それにガーナ薬は簡単に手に入る。
騎士団で警邏けいらをしていた時に、裏の者達とは顔見知りになった。
裏の仕事がしやすいように手を回してやる代りに、薬を受け取っていた。
今も色々と便宜をはかってやっているから、薬は手に入り続けている。

それをロイトに見られた。
ロイトは私の生家サーリャ男爵領と隣接するサース男爵領の息子だった。隣に住む幼馴染ともいえる相手だった。
騎士団に所属している時は、まだ男爵領実家に戻っていたから、その時に自領の外れでガーナ薬を受け取っている所を見られてしまった。
その場でガーナ薬を飲ませてやった。嫌がったけど無理矢理に。

ガーナ薬を飲んでいることがバレないように、手を出すのは寮生だけ。
でもロイトは入学前だったから、隠すのがなかなか大変だった。
気を使って面倒だったけど、入学試験に紛れ込ませて、事故を起こさせるのには役にたった。
ガーナ薬の服用期間が長かったから、もう使い物にはならなくなったけど、死んでしまったらしいから、丁度良かった。

「それなのに、なんなのよ! 途中から妖精を連れて来るなんて。周りからチヤホヤされだして、ムカつくんだけど」
トリカの声は大きくなる。腹が立ってしょうがないのだ。

ティナは次々と試験をクリアし、その途中で妖精をテイムしてきた。
学園始まって以来だと、関係者の間では大騒ぎになり、学園への入学が決まった。
それも特待生として。

周りがチヤホヤするのが、トリカには我慢できない。
だがティナはどう見ても無学の田舎者で、高度な学園の教育には付いて行けないだろうと高を括っていた。
案の定、勉強ははかどってはいないらしいから、退学にならなくても、すぐに泣いて自分から辞めてしまうだろうと思っていた。
それなのに……。

「いったいどういう手を使ったの? ハロルド様やニック様と親しく話をするようになって、それだけでも信じられないのに、クライブ様とお茶会をするなんて。それに寮に国王陛下が訪ねて来るなんて、ありえないわ。そして、そしてっ、クライブ様とデートですって、許せるもんですかっ!」
トリカは怒りが治まらないのか、腰に差していた剣に手をかける。
トリカは騎士ではない、寮母のはずなのに、なぜ帯剣しているのか。

「恨むなら、あの天使を恨めばいいわ」
剣を抜くと、そのままティナへと刃を向けるのだった。


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