最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ

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47 入学試験・最終試験②

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「スー、ちょうちょ、早くステージに来るがよい」
グリファスはやる気満々だ。
長い年月を生きて来て、これほど興味を引いた相手はいない。
自ら対戦したいと思ったのだ。
しかし……。

(馬っ鹿じゃねーの。俺がご主人様の前で、野蛮なことをするとでも思っているのか? 俺は可愛らしい愛玩ペットであって従魔じゃねぇんだよ)
ツーン。
スーはソッポを向く。

「スーはティナの前でだけは荒っぽいことはしないからな、無理だと思うぞ」
ちょうちょは苦笑いしている。

「こらーっ。放しやがれ。テメェが最初にられてぇのか!」
カーバンクルはクライブに抱っこさ捕まえられ暴れている。
クライブは神獣の守護があるためなのか、カーバンクルが腕の中で暴れても涼しい顔のままだ。

スーの前からティナを連れ出さないかぎり、スーは可愛い子ぶりっ子のままで、グリファスとの模擬戦に応えることはないだろう。
ただティナを連れて行こうとすると、スーは付いて行くだろう。

「さて、どうしたものか……。ティナをどこかに……、そうだな救護室に連れて行ってもらうか。あそこは魔獣の入室禁止だからな。ティナは腹をくだしたそうだから、それでいいだろう。誰かいないか……」
グリファスはステージから周りを見回す。

クライブにティナを連れて行くように頼もうかと思ったが、現在救護室にはカーバンクルが殺すと公言しているエリオットがいる。カーバンクルを連れているクライブは駄目だな。
それならば、ハロルドとニックはどうだ?
二人へと視線を向けたのだが『試験監督なので、この場を動くことはできません』と、グリファスが口を開くよりも先に、先手を打たれてしまった。二人共にスーの戦い方を絶対に見たいのだろう。
さてどうしたものか。

(おい)
グリファスは考え込んでいる。

(おいっ、おいっていってるだろうが、このジジイ!)
考え込んだままのグリファスへ、スーが怒鳴る。

「ん、どうしたんだ?」
(どうしたんだじゃねぇーよ。威圧を引っ込めろ。なんで威圧を出してんだよ。周りを見ろ!)
スーの指摘に周りを見てみると、グリファスの威圧が盛大に出ている。今回は従魔どころか人族達も具合が悪くなっている。

「おお、済まない。ついつい小童こわっぱ達と遊べると思うと楽しみでな」
模擬戦を楽しみにしすぎて、威圧を押さえるのを忘れていたらしい。

トムとランダーはその場にうずくまり動けなくなっている。カイとタイリーは自分の従魔を介抱しようとしているが、自分達も具合が悪そうだ。
ハロルドとニックは、顔色は悪いが何とか踏ん張っている。他に数人いる係員達は、座り込んでしまったり、片膝を着いて動けなくなっている。
スーとちょうちょは威圧に慣れたのか、胆力たんりょくなのか、平気そうにしている。神獣の加護を持つクライブとクライブに抱っこされているカーバンクルは何ともなさそうだ。

「え、皆どうしたんだ?」
カーバンクルが周りをキョロキョロと見回して不思議そうにしている。

今回の威圧は強い。魔獣は元より人族にも影響が出ている。
魔力が無いからと感じないわけではない。
ティナも被害を受けているはずだ。

スーは慌ててご主人様を仰ぎ見る。
もしご主人様の体調が悪くなっていたら、ジジイぶち殺す。

「まあ、スーさんどうしたの? 甘えんぼさんね」
ティナにまとわりつくスーを、ティナは笑いながら撫でてくれた。

「ティナは何ともないのか?」
慌てるスーの頭から振り落とされまいと、必死でしがみついていたちょうちょが、平気そうなティナを見て、不思議そうに呟く。

「これは興味深いな……」
(自分のやらかしを知らんふりするなっ)
ご主人様が無事でよかった。スーはホッとすると同時に、とぼけたことを言っているグリファスを怒鳴りつける。

「ティナ嬢、カイとタイリーが体調を崩しているようだ、済まないが控室に行くのに手を貸してくれないか」
クライブが頼む。
グリファスが頼んでもよかったのだが、今は獣の姿に戻っている。人族の言葉で話しかればティナが驚いてしまうだろう。

本当だったらカイとタイリーは救護室に行くべきだろうが、従魔のトムとランダーも体調が悪いため、従魔が入れない救護室は使えない。そのため、従魔が使える控室で休息を取ることになるのだ。

「分かりました」
ティナは頷くと、カイとタイリーの元へと向かう。

(俺も―。俺もご主人様と一緒にいくー)
「そちは具合が悪くはないだろうが」
(ちっ)
ティナに付いて行こうとするスーをグリファスが止める。

「さあ、ティナもいなくなったぞ」
Cブロックから出て行くティナを見送り、グリファスはしてやったりと楽しそうだ。

(しょーがねーなぁ。しつこいジジイに痛い目見せてやるか)
「そうだな。世代交代っつぅものを教えてやろうぜ」
スーとちょうちょは、覚悟を決めたのか、神獣の待つステージへと向かうのだった。





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