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第一章
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気恥ずかしいのか一人距離を置いたままのウルを先頭に、アルバートのゾディアカルト王国ツアーは続いた。
騎士団しか名物が無いと言っていたが、確かにこれといった突飛な物はない代わりに全てが平均的に優れていると感じる街並みが、俺には価値ある物だと感じた。
街並み……建築技術はギャラクシア聖王国よりも少し近代的で、四角い豆腐ハウスが多い聖王国と比べてテラスや屋上、吹き抜けに屋根裏など、外見からでもお洒落なことが窺える造りの建物に、他国の文化を取り入れているレストランや洋服屋もチラホラ見受けられた。
街を行き交う人々もエルフやドワーフ、獣人などの亜人種も多く、ほぼ人間種──居ても王城に仕える魔法教師としてのエルフくらいしか確認できなかった聖王国とはえらい違いだ。
「それで、この通りをずっと行ったところにはなんと! 歓楽街があるんだよ! 素晴らしいよね!」
(「歓楽街……」)
つまりはホテル街か。
俺だって前世は健全な男子高校生だったわけで、そういうことも何度か経験はあったけど、今は転生して仔馬になった影響なのか性欲というものが感じられない。
元々淡白な方ではあったけど、きちんと自慰行為はしてたしグラビアや好きな女子についての話も辰巳や他の友人ともしてた。
まあ、最悪の事態にならずに済んで良かったと、淡白で良かったと思ってたからそこは良いけどな。
「キリオス殿はアルバート殿と違って純粋ですから、そういう発言は控えた方が良いと思いますぞ」
「僕も純粋だよ。綺麗な女の子好きなだけ。というかペガサスの繁殖ってどうなってるんだろう? 絶対数が少ないってことは寿命が長く、子孫を作ることに積極的では無いことから個体差はあってもやはり外敵は少ないんだろうね。どう? 繁殖とか興味ない?」
……真昼間の往来でする話じゃないと思うが?
というかアルバート。お前、女好きだったのか。
「アルバートさん、ペガサス汚さないで」
「二人の言う通り。ペガサスはアンタと違うんだから、ねえ?」
そう言うメイシェルの雰囲気が妖艶になっているのはなんでだ。
これは……揶揄われてるのか?
フェミニストを自称してるが、前世からどうも年上の女性……というか、グイグイくるタイプは少し苦手だ。断りきれない雰囲気を出すのが巧くて、あれよあれよという間に……ん゛ん゛。
この話はやめておこう。色々と闇が深すぎるからな。
変な空気が流れそうなのを常識人ガスパルが「やれやれ」と押し留め、アルバートはふふっと笑って真面目な観光案内に戻った。
「他の種族にも住みやすいギャラクシア王国は、だからこそ色んな業種もあって面白いよ。ドワーフの鍛冶屋もエルフの薬屋も、演劇や歌劇なんかの劇場や旅一座がよく使う大きい広場とか娯楽だっていっぱいあるし、それこそ飲食店も多いから食に飽きることは無いよ」
本当に現代でいうところの都会みたいな場所なんだな。
夜のネオンはないだろうけど、美味そうな匂いがそこかしこから漂ってくる気がする。
「ペガサスってば尻尾揺れてるよ。どうする? 昼食には早いけど何か食べてく?」
(「賛成。さっきの毒蜘蛛が呼び水になって腹減ってきた」)
「あー、じゃあ最後にこれだけ! ギャラクシア王国は聖王国で禁止されてる奴隷制度が続いてるから、娼館には色々な嬢が居るんだ。つまり、他種族が多い王国は発展も凄いけどそれと同じくらい闇も深いんだよ」
(「へぇ……」)
「反応薄っ! ペガサスくん、もうちょっとこういう話に乗って欲しいんだけど?」
「奴隷制度は消滅するべき」
「はいはい。そのての話はもうやめて昼飯食べに行くわよー」
「最近は干し肉が多かったですから、久しぶりに魚が良いですかな?」
(「賛成」)
「総合組合の隣で良いよね? ほら、さっさと行くよー」
ウルたちがアルバートの提案を受けたあと、そこからは少しペースを上げて観光案内もそこそこにギャラクシア王国の総合組合本部へと向かい、程なくして目的の場所についた。
T字路の突き当たり、黒と銀のシンプルだが大きく立派な門が全てを受け入れるように解放されていて、思わず見上げるように顔を上げて立ち止まってしまう。
門の奥には小さい噴水とベンチ。中庭だろうか?
そこから左右に道が伸びていて、俺たちの最初の目的地は左にあるらしくウルが立ち止まって「こっち」と手招きしていた。
「凄いよね。本部だけあってここが一番立派なんだよ」
アルバートの説明に周囲の景観をまじまじと見ながら頷いた。
ゾディアカルト以外のギルドなんてのは知らないが、明らかなに立派の度合いが桁違いだったために、きっとそうなんだろうという同意を込めてのことだった。
「素直だねぇ。大人びた人間に見えることもあるけれど、やっぱ純粋な子供って感じで僕は安心したよ」
「ペガサス、まだまだ子供」
(「ウルだって子供だろうが」)
「もう立派なレディ」
(「自分で言ってる時点でお察しだろ」)
「そういう言い争いをしてる二人は、まだまだ子供よ」
「「…………」」
メイシェルに図星を突かれた俺たちは黙るしかなかった。
冒険者塔と業務塔という二つの塔に分かれた建物に分かれているギャラクシア王国の総合組合で、俺たちが今向かっているのは冒険者塔という、宿屋、食堂、武器屋、道具屋などが併設されている場所だ。
ちなみに業務塔は、冒険者登録や依頼の受領、魔物から取れた品物の解体から売買、そして職員の寮が入っている。
そして歩くこと数分、そこそこの大きさの食堂にたどり着いた。
(「……入り口でかいな」)
「人間だけじゃなく、いろんな種族がいるギャラクシア王国だからね。ペガサスくんも余裕で通れるでしょ」
(「俺も入って良い時点で凄いけどな」)
基本、人間や小型の従魔以外は店の中に入れてはくれない。
普通に場所を取るうえに、衛生上も良くないと馬小屋や馬車スペースに追いやられたこと追いやられたこと……。
実際大部分は馬だからそうなんだが、待たされる場所によっては視線が刺さりまくる。普通の馬からもめちゃくちゃ見られたし、なんなら年上の牝馬にナンパされたこともある。
(なんか他の動物は何言ってるかわからないが、馬だけは種族的に似てるからなのか言いたいことがなんとなく理解できるんだよな)
アルバートに促されて両開きの扉を余裕でくぐると、広いホールにこれまた広い間隔で4人席のテーブルが10席と、その奥にカウンター席が8席あった。
(中も相当広いんだな……。閑散としてるけど)
俺が店の広さに感心していると、それぞれ決まった席があるのか、全員が迷うことなく席に座った。
店の真ん中にウルとメイシェル。ガスパルはもう少し奥に入った場所のカウンター。アルバートは最奥の、いわゆる上座に陣取った。
さて俺はどうしようかと考えていると、カウンターの奥の調理場から筋骨隆々の大男が「いらっしゃい」と言いながらやって来た。
カウストさんと同じような強者のオーラを放ち、飯屋の店主と言うよりは歴戦の猛者といった感じだった。
「……お前らか」
「マスター、とりあえずおまかせで適当に出して」
「他の客が来たら大人しくしろよ」
「分かってるって」
二人はとても気心の知れた仲のようで、今のやり取りを見ても俺と辰巳のような良い友人関係なんだということが理解できた。
「ペガサス、あの人支部長。で、ギルマス」
(「は?」)
「アルバートの気さくさが異常なのよ」
「イクス殿は世界屈指の強さを誇るお方ですぞ」
(「えっと……?」)
俺の想像以上に大物らしい店主が人数分の水を配りつつ挨拶してきた。
「総合組合のギャラクシア王国支部の支部長兼、魔物討伐専門ギルド"ギガインパクト"のマスターをしている、イクス・プラウドだ」
(うわー……。凄い人物が意外な店で働いてるラノベあるあるだー。というか、ギルドマスターで支部長って凄い肩書きだよな。……ん? 支部長?)
イクスの自己紹介を聞いて俺は引っ掛かりを覚え、レミーさんの自己紹介を必死に思い出してみた。
あの時レミーさんはなんて言っていただろうか?
(そう、確か……組合長って言っていたはずだ)
支部長と組合長。どちらが偉いかなんて決まってる。
俺が一人、レミーさんの正体について勘違いをしていたことに項垂れていると、アルバートが急に笑い始めた。
「ぷっ……あははははは!」
(「なんだ?」)
「くくくく……ふふっ……!」
「アルバートさんが壊れた」
「だって、あのイクスを目の前にしてっ……全然別のこと考えてるとかっ……あははっ! 魔物だったら普通、怯えるとかなんか、あるでしょっ……ふはは」
アルバートは笑っているが、自己紹介してくれた相手を差し置いて考え事に没頭してしまった自分を恥じた。
俺は改めてイクスに向き直り、丁寧に頭を下げた。
(「悪かった。俺は幻獣種のペガサスで、名前はキリオスだ」)
「ん。レミー婆さんから聞いていた通りの魔物だな」
イクスはきちんと俺の謝罪を受け取ってくれた。その余裕ある大人な対応に、俺はヒーローを目の前にしたときのような憧憬の気持ちを抱いた。
「どうやらキリオス殿もイクス殿のファンになったようですぞ?」
「む、そうか?」
「罪づくりな男だね、イクスさんも」
「みんな、大好き」
強くて人気があって、まさにヒーローみたいな人だな。
「あなたー? お客様なのー?」
厨房の奥からふんわりとした女性の声が聞こえてきた。
イクスは短く「ああ」と答えて、それだけで女性は誰が来たのか理解したのだろう。にっこり笑顔で「アルくんたちいらっしゃい」と言いながら登場した。
女性は声で想像した通りの、ふんわりした雰囲気を纏っていた。優しくて甘い匂いがしそうな、そんな女性だ。
「あらあらー。新顔さんねー」
「妻だ」
「はーい。妻のファスティア・プラウドでーす」
ファスティアは小さく手を振ったあと、目をキラキラさせながら俺の方にゆっくり近付いて目線を合わせた。
「あらあら、もしかしなくてもあなたペガサスよねー? 初めて見たわー。アルくんたちお手柄よー」
「ファスティアさんにも会わせたくて連れてきましたから」
「いい子いい子ー」
アルバートの頭をよしよしと撫でるファスティアは、まるで保育園の先生に見えた。
それで良いのかアルバート。
そんなことを思ってたら、ガスパルがファスティアは『知識の明星』の前ギルドマスターだったということを教えてくれた。アルバートは彼女からギルドを引き継いだのだという。
なるほどな。師弟関係なのならファスティアのアルバートに対する子供扱いも、アルバートの受け身の姿勢も納得がいく。
「裏情報として、イクスさんの猛アタックでファスティアさんを落としたのよ」
「ファスティア殿は当時、むさ苦しい総合組合という職業でのマドンナでしたからな」
「ガスくん。当時って? 私は今でも現役のつもりよー?」
「これは大変失礼いたしましたぞ」
ほうほう。惚れた弱みというやつで尻に敷かれてるのか。
俺のニヤニヤとした雰囲気を感じ取ったのか、アルバートといつまでもイチャイチャしている奥さんを引き戻そうと思ったのか、イクスがわざとらしく咳き込んで注意を向けさせた。
「ん゛ん゛……。それよりアースは?」
「きっと自室で読書でもしてるんじゃないかしら?」
「呼んでくる」
「はーい。お願いねー」
「アル、大人しくしておけよ」
「分かってるよ」
アルバートを牽制する姿は最強と謳われるに相応しいオーラを放っていたが、どうやら奥さんにはめっぽう弱いらしい。まあ、父さんも夫婦円満の秘訣は尻に敷かれることだって言ってたしな。
「さてー、あの人が息子を呼んでくる間、ご飯を作りながらあなたたちのお話を聞かせてくれるかしら? 主にペガサスのことについてねー」
✳︎ ✳︎ ✳︎
イクスが息子を連れてくるまで、俺は自分の出自について話し、アルバートが【鑑定】で見た俺のステータスをファスティアに話した。もちろん俺の了承を取ってからだが、ファスティアも【鑑定】をかけたいと言ってきたのは却下させてもらった。
なぜなら彼女の【鑑定】のレベルが7もあるからだ。
【鑑定】のLv.7は相手の使えるスキルがランダムで3つ~5つ分かってしまうというものだ。博打なスキルで当たりを引かれたら最後だが、それよりも問題なのはLv.6で相手の持つ称号が分かってしまうことだ。
『転生者』という称号は何となくあまり人に知られない方が良い気がする。
レミーさんは転生者は確かに存在するって言っていたが、この世に輪廻転生の思想があったとしても称号として発現するということは特別な何かを持っているということになるだろう。じゃなければ、この世界は『転生者』まみれになってしまう。
ただでさえ幻獣種という幻の存在になっている今、これ以上特別感のある存在にはなりたくない。
「どうしてもだめなのー?」
(「ダメ……」)
笑顔の圧が凄い。思わず頷いてしまいそうな圧が……。
しかし、ここで頷くわけにはいかない。
頭をブルブルと振って、同意しないことを明確にしてみせた。
「んー。ならー、情報開示してくれる?」
「はい?」
「ブラフを混ぜても良いわよー? あなたの情報をあなたの口から聞かせてくれる?」
この人の意図が分からない。俺が全て嘘で塗り固めたステータスを話したらどうするんだ?
「警戒してるわねー。お馬鹿さんじゃないみたい。疑い、怯え、困惑」
(「なんなんだ、あんた」)
「さらに質問していいかしら? あなた、ご両親は? お父さんは生きてる? お母さんは?」
(「……両方とも、元気だと思うけど」)
「へぇ。お父さんとは上手くいってないのかしら? 尊敬はしてるみたいねー。でも、お母さんの存在が大きのねー」
(本当に、なんなんたこの人……)
相手の質問に真っ当に答えてるわけじゃないのに、自分の情報が抜かれていくこの感じ。得体の知れない何かを目の前にしているかのような不気味で気色悪い感覚。
「更に警戒度が上がったわねー。人に言えない秘密を持ってるのかしらー?」
言い当てられるあまりの恐怖に無意識で足が下がってしまい、コツンと蹄が鳴った。
「ファスティアさん、それ以上ペガサスをいじめるのダメ」
「えー? もっと情報引き出してもらおうよ。ペガサスって秘密主義だし、知りたいこといっぱいあるんだけど」
「アルバートさん」
「ファスティアさん、ペガサスの性格とかもう少しだけ引き出して──」
「ダメ」
何もできずに立ち尽くすしかなかった俺を、ウルが庇ってくれた。
アルバートやメイシェルの追撃をキッパリと突っぱね、ファスティアをジト目で見つめるウルの逞しいことこの上ない。
しかし、情けないな俺は。
(「ファスティア、あんた一体何者だ?」)
「ふふっ。私はだたの知りたがりよ」
「知りたがりが講じたのか、読心術が使えるのですぞ」
(「やっぱ読心術か」)
ファスティアは俺の一挙一足、声色の微妙な変化、視線の動きなんかを見て情報を引き出してたってわけだ。
徐々に腹が立ってきた俺は、相手が女であることを一応は考慮して、威嚇のために蹄を床に打ちつけた。
フェミニストを自称する俺でもNOとははっきり言える人間である。今は馬だけど……。
(「勝手に俺を知ろうとするな。これ以上やったらこの店潰すぞ?」)
「それは困るわねー。分かったわ。もう少しあなたのこと知りたかったけど、ウルちゃんにも怒られちゃったし、これ以上はやらないわ。ごめんなさいね」
すんなりと身を引いたファスティアに、俺も怒りを収めて脅すようなことをしてしまって申し訳ないと謝罪した。
「良いのよー。元はと言えば私があなたの許可も取らずに内面を暴いたんだから、怒られても仕方ないものー」
「キリオス殿。ファスティア殿の読心術は初対面だからこそ引き出せる情報が多いのです。なので、あまり気になされない方がいいですぞ」
「むしろもっと怒っていい」
どうやらウルも読心術の被害者の一人らしい。彼女へ向けるウルの視線と言葉はどこかトゲトゲしかった。
(初対面でアレやられたら、流石に警戒するし印象は悪いよな)
ファスティアの人となりについて考えているうちにイクスが息子を連れて戻ってきた。
(この子供、恐らく……いや、十中八九店長だな)
見た目は5歳くらいだが纏う雰囲気が全くもって子供らしくない。壮年よりも落ち着いた、初老と言っても差し障りないほど落ち着き払っていた。
胸の前に分厚い本を抱え、イクスの横をマイペースに歩いている。歩幅の違いで置いていかれそうなものだが、どうやらイクスの方が彼に合わせてゆっくりと歩いていた。
「息子だ」
「アース、ご挨拶しましょうねー」
「アース・プラウドです」
落ち着き払った雰囲気とは裏腹に、少し舌足らずな話し方の笑ってしまった。
騎士団しか名物が無いと言っていたが、確かにこれといった突飛な物はない代わりに全てが平均的に優れていると感じる街並みが、俺には価値ある物だと感じた。
街並み……建築技術はギャラクシア聖王国よりも少し近代的で、四角い豆腐ハウスが多い聖王国と比べてテラスや屋上、吹き抜けに屋根裏など、外見からでもお洒落なことが窺える造りの建物に、他国の文化を取り入れているレストランや洋服屋もチラホラ見受けられた。
街を行き交う人々もエルフやドワーフ、獣人などの亜人種も多く、ほぼ人間種──居ても王城に仕える魔法教師としてのエルフくらいしか確認できなかった聖王国とはえらい違いだ。
「それで、この通りをずっと行ったところにはなんと! 歓楽街があるんだよ! 素晴らしいよね!」
(「歓楽街……」)
つまりはホテル街か。
俺だって前世は健全な男子高校生だったわけで、そういうことも何度か経験はあったけど、今は転生して仔馬になった影響なのか性欲というものが感じられない。
元々淡白な方ではあったけど、きちんと自慰行為はしてたしグラビアや好きな女子についての話も辰巳や他の友人ともしてた。
まあ、最悪の事態にならずに済んで良かったと、淡白で良かったと思ってたからそこは良いけどな。
「キリオス殿はアルバート殿と違って純粋ですから、そういう発言は控えた方が良いと思いますぞ」
「僕も純粋だよ。綺麗な女の子好きなだけ。というかペガサスの繁殖ってどうなってるんだろう? 絶対数が少ないってことは寿命が長く、子孫を作ることに積極的では無いことから個体差はあってもやはり外敵は少ないんだろうね。どう? 繁殖とか興味ない?」
……真昼間の往来でする話じゃないと思うが?
というかアルバート。お前、女好きだったのか。
「アルバートさん、ペガサス汚さないで」
「二人の言う通り。ペガサスはアンタと違うんだから、ねえ?」
そう言うメイシェルの雰囲気が妖艶になっているのはなんでだ。
これは……揶揄われてるのか?
フェミニストを自称してるが、前世からどうも年上の女性……というか、グイグイくるタイプは少し苦手だ。断りきれない雰囲気を出すのが巧くて、あれよあれよという間に……ん゛ん゛。
この話はやめておこう。色々と闇が深すぎるからな。
変な空気が流れそうなのを常識人ガスパルが「やれやれ」と押し留め、アルバートはふふっと笑って真面目な観光案内に戻った。
「他の種族にも住みやすいギャラクシア王国は、だからこそ色んな業種もあって面白いよ。ドワーフの鍛冶屋もエルフの薬屋も、演劇や歌劇なんかの劇場や旅一座がよく使う大きい広場とか娯楽だっていっぱいあるし、それこそ飲食店も多いから食に飽きることは無いよ」
本当に現代でいうところの都会みたいな場所なんだな。
夜のネオンはないだろうけど、美味そうな匂いがそこかしこから漂ってくる気がする。
「ペガサスってば尻尾揺れてるよ。どうする? 昼食には早いけど何か食べてく?」
(「賛成。さっきの毒蜘蛛が呼び水になって腹減ってきた」)
「あー、じゃあ最後にこれだけ! ギャラクシア王国は聖王国で禁止されてる奴隷制度が続いてるから、娼館には色々な嬢が居るんだ。つまり、他種族が多い王国は発展も凄いけどそれと同じくらい闇も深いんだよ」
(「へぇ……」)
「反応薄っ! ペガサスくん、もうちょっとこういう話に乗って欲しいんだけど?」
「奴隷制度は消滅するべき」
「はいはい。そのての話はもうやめて昼飯食べに行くわよー」
「最近は干し肉が多かったですから、久しぶりに魚が良いですかな?」
(「賛成」)
「総合組合の隣で良いよね? ほら、さっさと行くよー」
ウルたちがアルバートの提案を受けたあと、そこからは少しペースを上げて観光案内もそこそこにギャラクシア王国の総合組合本部へと向かい、程なくして目的の場所についた。
T字路の突き当たり、黒と銀のシンプルだが大きく立派な門が全てを受け入れるように解放されていて、思わず見上げるように顔を上げて立ち止まってしまう。
門の奥には小さい噴水とベンチ。中庭だろうか?
そこから左右に道が伸びていて、俺たちの最初の目的地は左にあるらしくウルが立ち止まって「こっち」と手招きしていた。
「凄いよね。本部だけあってここが一番立派なんだよ」
アルバートの説明に周囲の景観をまじまじと見ながら頷いた。
ゾディアカルト以外のギルドなんてのは知らないが、明らかなに立派の度合いが桁違いだったために、きっとそうなんだろうという同意を込めてのことだった。
「素直だねぇ。大人びた人間に見えることもあるけれど、やっぱ純粋な子供って感じで僕は安心したよ」
「ペガサス、まだまだ子供」
(「ウルだって子供だろうが」)
「もう立派なレディ」
(「自分で言ってる時点でお察しだろ」)
「そういう言い争いをしてる二人は、まだまだ子供よ」
「「…………」」
メイシェルに図星を突かれた俺たちは黙るしかなかった。
冒険者塔と業務塔という二つの塔に分かれた建物に分かれているギャラクシア王国の総合組合で、俺たちが今向かっているのは冒険者塔という、宿屋、食堂、武器屋、道具屋などが併設されている場所だ。
ちなみに業務塔は、冒険者登録や依頼の受領、魔物から取れた品物の解体から売買、そして職員の寮が入っている。
そして歩くこと数分、そこそこの大きさの食堂にたどり着いた。
(「……入り口でかいな」)
「人間だけじゃなく、いろんな種族がいるギャラクシア王国だからね。ペガサスくんも余裕で通れるでしょ」
(「俺も入って良い時点で凄いけどな」)
基本、人間や小型の従魔以外は店の中に入れてはくれない。
普通に場所を取るうえに、衛生上も良くないと馬小屋や馬車スペースに追いやられたこと追いやられたこと……。
実際大部分は馬だからそうなんだが、待たされる場所によっては視線が刺さりまくる。普通の馬からもめちゃくちゃ見られたし、なんなら年上の牝馬にナンパされたこともある。
(なんか他の動物は何言ってるかわからないが、馬だけは種族的に似てるからなのか言いたいことがなんとなく理解できるんだよな)
アルバートに促されて両開きの扉を余裕でくぐると、広いホールにこれまた広い間隔で4人席のテーブルが10席と、その奥にカウンター席が8席あった。
(中も相当広いんだな……。閑散としてるけど)
俺が店の広さに感心していると、それぞれ決まった席があるのか、全員が迷うことなく席に座った。
店の真ん中にウルとメイシェル。ガスパルはもう少し奥に入った場所のカウンター。アルバートは最奥の、いわゆる上座に陣取った。
さて俺はどうしようかと考えていると、カウンターの奥の調理場から筋骨隆々の大男が「いらっしゃい」と言いながらやって来た。
カウストさんと同じような強者のオーラを放ち、飯屋の店主と言うよりは歴戦の猛者といった感じだった。
「……お前らか」
「マスター、とりあえずおまかせで適当に出して」
「他の客が来たら大人しくしろよ」
「分かってるって」
二人はとても気心の知れた仲のようで、今のやり取りを見ても俺と辰巳のような良い友人関係なんだということが理解できた。
「ペガサス、あの人支部長。で、ギルマス」
(「は?」)
「アルバートの気さくさが異常なのよ」
「イクス殿は世界屈指の強さを誇るお方ですぞ」
(「えっと……?」)
俺の想像以上に大物らしい店主が人数分の水を配りつつ挨拶してきた。
「総合組合のギャラクシア王国支部の支部長兼、魔物討伐専門ギルド"ギガインパクト"のマスターをしている、イクス・プラウドだ」
(うわー……。凄い人物が意外な店で働いてるラノベあるあるだー。というか、ギルドマスターで支部長って凄い肩書きだよな。……ん? 支部長?)
イクスの自己紹介を聞いて俺は引っ掛かりを覚え、レミーさんの自己紹介を必死に思い出してみた。
あの時レミーさんはなんて言っていただろうか?
(そう、確か……組合長って言っていたはずだ)
支部長と組合長。どちらが偉いかなんて決まってる。
俺が一人、レミーさんの正体について勘違いをしていたことに項垂れていると、アルバートが急に笑い始めた。
「ぷっ……あははははは!」
(「なんだ?」)
「くくくく……ふふっ……!」
「アルバートさんが壊れた」
「だって、あのイクスを目の前にしてっ……全然別のこと考えてるとかっ……あははっ! 魔物だったら普通、怯えるとかなんか、あるでしょっ……ふはは」
アルバートは笑っているが、自己紹介してくれた相手を差し置いて考え事に没頭してしまった自分を恥じた。
俺は改めてイクスに向き直り、丁寧に頭を下げた。
(「悪かった。俺は幻獣種のペガサスで、名前はキリオスだ」)
「ん。レミー婆さんから聞いていた通りの魔物だな」
イクスはきちんと俺の謝罪を受け取ってくれた。その余裕ある大人な対応に、俺はヒーローを目の前にしたときのような憧憬の気持ちを抱いた。
「どうやらキリオス殿もイクス殿のファンになったようですぞ?」
「む、そうか?」
「罪づくりな男だね、イクスさんも」
「みんな、大好き」
強くて人気があって、まさにヒーローみたいな人だな。
「あなたー? お客様なのー?」
厨房の奥からふんわりとした女性の声が聞こえてきた。
イクスは短く「ああ」と答えて、それだけで女性は誰が来たのか理解したのだろう。にっこり笑顔で「アルくんたちいらっしゃい」と言いながら登場した。
女性は声で想像した通りの、ふんわりした雰囲気を纏っていた。優しくて甘い匂いがしそうな、そんな女性だ。
「あらあらー。新顔さんねー」
「妻だ」
「はーい。妻のファスティア・プラウドでーす」
ファスティアは小さく手を振ったあと、目をキラキラさせながら俺の方にゆっくり近付いて目線を合わせた。
「あらあら、もしかしなくてもあなたペガサスよねー? 初めて見たわー。アルくんたちお手柄よー」
「ファスティアさんにも会わせたくて連れてきましたから」
「いい子いい子ー」
アルバートの頭をよしよしと撫でるファスティアは、まるで保育園の先生に見えた。
それで良いのかアルバート。
そんなことを思ってたら、ガスパルがファスティアは『知識の明星』の前ギルドマスターだったということを教えてくれた。アルバートは彼女からギルドを引き継いだのだという。
なるほどな。師弟関係なのならファスティアのアルバートに対する子供扱いも、アルバートの受け身の姿勢も納得がいく。
「裏情報として、イクスさんの猛アタックでファスティアさんを落としたのよ」
「ファスティア殿は当時、むさ苦しい総合組合という職業でのマドンナでしたからな」
「ガスくん。当時って? 私は今でも現役のつもりよー?」
「これは大変失礼いたしましたぞ」
ほうほう。惚れた弱みというやつで尻に敷かれてるのか。
俺のニヤニヤとした雰囲気を感じ取ったのか、アルバートといつまでもイチャイチャしている奥さんを引き戻そうと思ったのか、イクスがわざとらしく咳き込んで注意を向けさせた。
「ん゛ん゛……。それよりアースは?」
「きっと自室で読書でもしてるんじゃないかしら?」
「呼んでくる」
「はーい。お願いねー」
「アル、大人しくしておけよ」
「分かってるよ」
アルバートを牽制する姿は最強と謳われるに相応しいオーラを放っていたが、どうやら奥さんにはめっぽう弱いらしい。まあ、父さんも夫婦円満の秘訣は尻に敷かれることだって言ってたしな。
「さてー、あの人が息子を呼んでくる間、ご飯を作りながらあなたたちのお話を聞かせてくれるかしら? 主にペガサスのことについてねー」
✳︎ ✳︎ ✳︎
イクスが息子を連れてくるまで、俺は自分の出自について話し、アルバートが【鑑定】で見た俺のステータスをファスティアに話した。もちろん俺の了承を取ってからだが、ファスティアも【鑑定】をかけたいと言ってきたのは却下させてもらった。
なぜなら彼女の【鑑定】のレベルが7もあるからだ。
【鑑定】のLv.7は相手の使えるスキルがランダムで3つ~5つ分かってしまうというものだ。博打なスキルで当たりを引かれたら最後だが、それよりも問題なのはLv.6で相手の持つ称号が分かってしまうことだ。
『転生者』という称号は何となくあまり人に知られない方が良い気がする。
レミーさんは転生者は確かに存在するって言っていたが、この世に輪廻転生の思想があったとしても称号として発現するということは特別な何かを持っているということになるだろう。じゃなければ、この世界は『転生者』まみれになってしまう。
ただでさえ幻獣種という幻の存在になっている今、これ以上特別感のある存在にはなりたくない。
「どうしてもだめなのー?」
(「ダメ……」)
笑顔の圧が凄い。思わず頷いてしまいそうな圧が……。
しかし、ここで頷くわけにはいかない。
頭をブルブルと振って、同意しないことを明確にしてみせた。
「んー。ならー、情報開示してくれる?」
「はい?」
「ブラフを混ぜても良いわよー? あなたの情報をあなたの口から聞かせてくれる?」
この人の意図が分からない。俺が全て嘘で塗り固めたステータスを話したらどうするんだ?
「警戒してるわねー。お馬鹿さんじゃないみたい。疑い、怯え、困惑」
(「なんなんだ、あんた」)
「さらに質問していいかしら? あなた、ご両親は? お父さんは生きてる? お母さんは?」
(「……両方とも、元気だと思うけど」)
「へぇ。お父さんとは上手くいってないのかしら? 尊敬はしてるみたいねー。でも、お母さんの存在が大きのねー」
(本当に、なんなんたこの人……)
相手の質問に真っ当に答えてるわけじゃないのに、自分の情報が抜かれていくこの感じ。得体の知れない何かを目の前にしているかのような不気味で気色悪い感覚。
「更に警戒度が上がったわねー。人に言えない秘密を持ってるのかしらー?」
言い当てられるあまりの恐怖に無意識で足が下がってしまい、コツンと蹄が鳴った。
「ファスティアさん、それ以上ペガサスをいじめるのダメ」
「えー? もっと情報引き出してもらおうよ。ペガサスって秘密主義だし、知りたいこといっぱいあるんだけど」
「アルバートさん」
「ファスティアさん、ペガサスの性格とかもう少しだけ引き出して──」
「ダメ」
何もできずに立ち尽くすしかなかった俺を、ウルが庇ってくれた。
アルバートやメイシェルの追撃をキッパリと突っぱね、ファスティアをジト目で見つめるウルの逞しいことこの上ない。
しかし、情けないな俺は。
(「ファスティア、あんた一体何者だ?」)
「ふふっ。私はだたの知りたがりよ」
「知りたがりが講じたのか、読心術が使えるのですぞ」
(「やっぱ読心術か」)
ファスティアは俺の一挙一足、声色の微妙な変化、視線の動きなんかを見て情報を引き出してたってわけだ。
徐々に腹が立ってきた俺は、相手が女であることを一応は考慮して、威嚇のために蹄を床に打ちつけた。
フェミニストを自称する俺でもNOとははっきり言える人間である。今は馬だけど……。
(「勝手に俺を知ろうとするな。これ以上やったらこの店潰すぞ?」)
「それは困るわねー。分かったわ。もう少しあなたのこと知りたかったけど、ウルちゃんにも怒られちゃったし、これ以上はやらないわ。ごめんなさいね」
すんなりと身を引いたファスティアに、俺も怒りを収めて脅すようなことをしてしまって申し訳ないと謝罪した。
「良いのよー。元はと言えば私があなたの許可も取らずに内面を暴いたんだから、怒られても仕方ないものー」
「キリオス殿。ファスティア殿の読心術は初対面だからこそ引き出せる情報が多いのです。なので、あまり気になされない方がいいですぞ」
「むしろもっと怒っていい」
どうやらウルも読心術の被害者の一人らしい。彼女へ向けるウルの視線と言葉はどこかトゲトゲしかった。
(初対面でアレやられたら、流石に警戒するし印象は悪いよな)
ファスティアの人となりについて考えているうちにイクスが息子を連れて戻ってきた。
(この子供、恐らく……いや、十中八九店長だな)
見た目は5歳くらいだが纏う雰囲気が全くもって子供らしくない。壮年よりも落ち着いた、初老と言っても差し障りないほど落ち着き払っていた。
胸の前に分厚い本を抱え、イクスの横をマイペースに歩いている。歩幅の違いで置いていかれそうなものだが、どうやらイクスの方が彼に合わせてゆっくりと歩いていた。
「息子だ」
「アース、ご挨拶しましょうねー」
「アース・プラウドです」
落ち着き払った雰囲気とは裏腹に、少し舌足らずな話し方の笑ってしまった。
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