スキル覚醒の覇王ー最弱から成り上がる異世界チート伝

あか

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第30話

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第30話 ルゼアの真実

 ――夜が明けた。

 ナーヴァの空には、静かな光が満ちていた。
 夢と現実が重なっていた街ヴェルダは、
 今では穏やかな風が吹き抜ける“眠れる都”となっている。

 エリスは瓦礫の上に立ち、朝陽を見つめていた。
 昨日までの異常な光景は嘘のよう。
 だが、胸の奥にはまだ、ルゼアの残した言葉が残響のように響いていた。

『恐怖こそ、創造の源。お前が恐れを受け入れた時、創造は完成する。』

 その言葉は、敗北の言葉ではなかった。
 むしろ――“何かを託すような声音”だった。

「……あなた、本当に消えたの?」
 エリスはつぶやき、空を見上げた。

 その瞬間、微かな光の粒が降りてくる。
 それは創造素に似ているが、どこか違う。
 色は淡い紫――“夢”の色。

 エリスが手を伸ばすと、光は静かに彼女の掌に溶けた。
 そして、声が響く。

――『……私を、“滅ぼした”つもりか?』

「……ルゼア!」

 振り向くと、彼の姿が薄靄の中に現れた。
 しかし、かつてのような冷たい表情はない。
 白衣は破れ、瞳の奥に“人間らしい揺らぎ”が見えた。

「どうして……あなたはまだ……?」

「私は“夢”。
 誰かが私を忘れない限り、完全には消えない。
 ……だが、もう戦う気はない」

 エリスは慎重に問いかける。
「あなたは何者なの? 本当は、どこから来たの?」

 ルゼアはしばらく沈黙し、
 やがて、微笑んだ。

「――私は、天城蓮の“記憶の欠片”だ。」

 その言葉に、エリスの心臓が強く跳ねた。

「蓮……の……?」

「正確には、“彼が恐れた未来”の断片。
 蓮が神々を倒した時、
 彼の中には“創造が暴走した世界”の記憶が刻まれた。
 それが彼の中で独立し、やがて“夢”として形を得た――
 それが私だ。」

 エリスは息を呑む。
「じゃあ……あなたは、蓮の“もう一つの可能性”……」

「そう。
 もし彼が希望ではなく“恐怖”を選んでいたら――
 私は“破壊の創造者”として世界を覆っていた。
 だが、彼はお前を信じた。
 だから、私は世界に居場所を失い……夢となった。」

 ルゼアは空を見上げた。
 光の粒が、風に溶けていく。

「お前が私を倒した時、
 私は確かに“理解した”。
 創造とは、恐怖と希望の両輪。
 片方を否定すれば、もう一方も崩れる。」

 エリスは静かに頷いた。
「……あなたが残るのは、悪いことじゃないわ。
 人の夢がある限り、あなたもまた“創造の一部”。
 なら、共に見届けましょう。
 この世界がどこへ行くのかを」

 ルゼアの瞳に、わずかな笑みが宿る。
「優しいな。……まるで、彼のようだ」

「蓮のように?」

「そう。
 だが、私は“恐怖”の側からお前を見ている。
 希望が進化すれば、必ず影が生まれる。
 それが“次の時代”の鍵となるだろう」

 彼の身体が、風に透けていく。
 紫の光が空へ昇り、薄れていった。

「ルゼア……」

 最後に、彼の声が風に残った。

――『創造は、終わりを恐れぬ者のものだ。
 お前なら……“想界”に届く。』



 その言葉と同時に、
 エリスの胸の紋章が金と紫に輝いた。
 光が広がり、周囲の空気が震える。

 リィナが駆け寄る。
「おいおい、また何か始まってんのか!?」

 ゼオルが杖を構える。
「……いや、これは“覚醒”だ。
 ルゼアの力が、エリスの中に共鳴している……!」

 光が爆発的に広がり、
 エリスの背中に新たな光輪が形成される。
 それは、これまでの“創造連環”を超えた形――
 人の想念が集合して生まれた“次元の層”。

「これが……“第四階層(フォース・コード)”……?」

 エリスの意識が、空を突き抜けるように拡張していく。
 そこは――“想界(イマジナリア)”。
 現実でも夢でもない、“意識そのものの領域”。

 そこには、蓮の声があった。

――『見つけたな、エリス。
 ここが俺たちの創造の最終点――“想界”だ。』

「……蓮!」

――『ルゼアは俺の影だ。
 だが、影を受け入れたお前なら、“創造の本質”を掴める。
 次に来るのは――“人類の想界化”。
 全ての存在が、現実と意識を行き来できる時代になる。』

「……それって、世界が“夢の形”になるってこと?」

――『そうだ。
 けど、その時また“選択”が必要になる。
 世界を繋ぐか、それとも分けるか。』

 声が静かに消える。

 エリスは目を開いた。
 周囲の光が収束し、空が晴れる。
 新しい朝が訪れていた。

「想界……人類が夢と現実を往き来する世界……」

 リィナが頭をかきながら苦笑した。
「また難しいこと考えてんな。
 でも、やるんだろ? あんたならさ」

 エリスは笑い、頷いた。
「ええ。
 “創造の進化”を止めるわけにはいかない。
 蓮も、ルゼアも――みんなが見守ってるから」

 太陽が昇る。
 その光の中で、エリスの背に淡い光輪が残った。

 それは、“想界時代”の到来を告げる、最初の輝きだった。
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