48 / 107
第五章 今川と織田
第四十四矢 草遊び
しおりを挟む
北条の勝利の一報は駿府館にも届いていた。
「うわー上杉さんたちには申し訳ないことをしちゃったわー」
俺が頭をかいて申し訳なさそうにしていると、岡部親綱が少し怒り口調で言う。
「殿のせいではありませぬ。あれだけの大軍でありながらも一つの城すら落とせぬ連合軍が間抜けなのだ…!」
同じく朝比奈泰能もうなずいた。
「親綱に同感ですな。はたして北条が上手だったのか、上杉が兵を統制しきれなかったのか…」
「ま、何にしても当面東側は大丈夫だとして問題は…」
「三河国、ですな。」
泰能は目をキラリと光らせて言った。
「うん、そうなんだよねー」
ここ数年、三河国の国主・松平広忠尾張国の織田信秀による侵攻に悩まされていた。
広忠はかつて家督争いの際に手助けをしてくれた今川と友好関係を築いていた。
しかし、それとは裏腹に徐々に三河国における織田の影響力が強くなっていっているのだ。
「せっかく松平さんと良好な関係築けて、三河に影響力を持ってるのに…とりあえずこっちも織田さんに負けないように影響力を高めないと。」
当然その状況は今川にとっても好ましくなく、今現在両者は織田に対抗するために考えをめぐらせていた。
その頃、庭園では崇孚と五郎、そして五郎と同い年くらいの少年二人が歩いていた。
「今日は何をするのですか?」
そう崇孚に聞く少年は朝比奈丹千代。泰能の息子であり、藤三郎といとこにあたる五郎の小姓である。
そして、丹千代の横を歩く寡黙で少し大人びた少年は庵原宇吉。崇孚と親戚関係にある同じく五郎の小姓である。
この二人は共に五郎の学友として崇孚の元で教わっていた。
丹千代の問いに崇孚は答える。
「勉学ばかりでは気が滅入るだろう。だから、今日は気晴らしにこの庭園で遊びをしよう。」
「遊び?蹴鞠をするのか?鞠はないようだけど…」
「それはお楽しみだ。」
崇孚は穏やかな笑みを浮かべていた。
崇孚らは池付近まで行くと、そこには少しばかり雑草が生えていた。
「あった、あった…」
崇孚はその雑草を幾ばくかブチッとちぎって、五郎たちに見せた。
「これは相撲草と言ってな、二つの茎を絡めて引っ張り合いをして先に切れてしまった方が負けとなる遊びがあるんだ。」
「へえ~」
「ほれ、やってみたらどうだ。」
崇孚は相撲草をそれぞれ三人に渡す。
(つまらなそうな遊びだな…)
三人はそんなことを思いながらも、とりあえずやってみた。
まず最初に対決するのは五郎と丹千代。
「容赦しませぬよ!」
「かかってくるがよい!」
勝負は勝負ということで互いにメラメラと燃えていた。
両者の草はなかなかに切れない互角の勝負をしていた。が、ついにプチッと切れた。
先に切れたのは丹千代の草であった。
「やった!」
「くそう…!」
五郎は勝利に喜び、丹千代は敗北に悔しがった。
次に対決したのは五郎と宇吉であった。
しかし、勝負は一瞬でついた。
切れたのは五郎の草であった。
「……勝った。」
小さな声で、かつ嬉しそうに宇吉は勝利を喜んでいた。
「くそ、もう一回!」
「わしも!」
三人は時間を忘れて、ワイワイと草遊びに熱中していた。
「うわー上杉さんたちには申し訳ないことをしちゃったわー」
俺が頭をかいて申し訳なさそうにしていると、岡部親綱が少し怒り口調で言う。
「殿のせいではありませぬ。あれだけの大軍でありながらも一つの城すら落とせぬ連合軍が間抜けなのだ…!」
同じく朝比奈泰能もうなずいた。
「親綱に同感ですな。はたして北条が上手だったのか、上杉が兵を統制しきれなかったのか…」
「ま、何にしても当面東側は大丈夫だとして問題は…」
「三河国、ですな。」
泰能は目をキラリと光らせて言った。
「うん、そうなんだよねー」
ここ数年、三河国の国主・松平広忠尾張国の織田信秀による侵攻に悩まされていた。
広忠はかつて家督争いの際に手助けをしてくれた今川と友好関係を築いていた。
しかし、それとは裏腹に徐々に三河国における織田の影響力が強くなっていっているのだ。
「せっかく松平さんと良好な関係築けて、三河に影響力を持ってるのに…とりあえずこっちも織田さんに負けないように影響力を高めないと。」
当然その状況は今川にとっても好ましくなく、今現在両者は織田に対抗するために考えをめぐらせていた。
その頃、庭園では崇孚と五郎、そして五郎と同い年くらいの少年二人が歩いていた。
「今日は何をするのですか?」
そう崇孚に聞く少年は朝比奈丹千代。泰能の息子であり、藤三郎といとこにあたる五郎の小姓である。
そして、丹千代の横を歩く寡黙で少し大人びた少年は庵原宇吉。崇孚と親戚関係にある同じく五郎の小姓である。
この二人は共に五郎の学友として崇孚の元で教わっていた。
丹千代の問いに崇孚は答える。
「勉学ばかりでは気が滅入るだろう。だから、今日は気晴らしにこの庭園で遊びをしよう。」
「遊び?蹴鞠をするのか?鞠はないようだけど…」
「それはお楽しみだ。」
崇孚は穏やかな笑みを浮かべていた。
崇孚らは池付近まで行くと、そこには少しばかり雑草が生えていた。
「あった、あった…」
崇孚はその雑草を幾ばくかブチッとちぎって、五郎たちに見せた。
「これは相撲草と言ってな、二つの茎を絡めて引っ張り合いをして先に切れてしまった方が負けとなる遊びがあるんだ。」
「へえ~」
「ほれ、やってみたらどうだ。」
崇孚は相撲草をそれぞれ三人に渡す。
(つまらなそうな遊びだな…)
三人はそんなことを思いながらも、とりあえずやってみた。
まず最初に対決するのは五郎と丹千代。
「容赦しませぬよ!」
「かかってくるがよい!」
勝負は勝負ということで互いにメラメラと燃えていた。
両者の草はなかなかに切れない互角の勝負をしていた。が、ついにプチッと切れた。
先に切れたのは丹千代の草であった。
「やった!」
「くそう…!」
五郎は勝利に喜び、丹千代は敗北に悔しがった。
次に対決したのは五郎と宇吉であった。
しかし、勝負は一瞬でついた。
切れたのは五郎の草であった。
「……勝った。」
小さな声で、かつ嬉しそうに宇吉は勝利を喜んでいた。
「くそ、もう一回!」
「わしも!」
三人は時間を忘れて、ワイワイと草遊びに熱中していた。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら
俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。
赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。
史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。
もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。
天竜川で逢いましょう 〜日本史教師が石田三成とか無理なので平和な世界を目指します〜
岩 大志
歴史・時代
ごくありふれた高校教師津久見裕太は、ひょんなことから頭を打ち、気を失う。
けたたましい轟音に気付き目を覚ますと多数の軍旗。
髭もじゃの男に「いよいよですな。」と、言われ混乱する津久見。
戦国時代の大きな分かれ道のド真ん中に転生した津久見はどうするのか!!???
そもそも現代人が生首とか無理なので、平和な世の中を目指そうと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる