悪役令嬢の名誉を挽回いたします!

みすずメイリン

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第2話、主人公ルイーゼ(ルイーゼ視点)

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 私の名前は、次条 瑛璃珈じじょう えりかだったはずなんだけれども、今日も楽しく学校に行こうとしたらそのままバスに当たったかなんかして、気づいたら、いわゆる異世界転生をしていたみたい。
 しかも赤ちゃんから人生を再出発って感じで最悪。
 あーあ、現代日本で暮らしている方が人生イージーモードで、気に入らない人をストレス発散で陥れてもバレないし瑛璃珈として学校ではもてはやされていたし、望めばなんでも手に入って家もお金持ちだっていうのに、最悪。
 あーあ、私の死体は綺麗なままいてお葬式には色んな人に囲まれてそのまま見送らせていたらいいんだけど、私の死体とかグロいことになってないよね?
 あーあ、あのバスの事故さえなければなぁ。
 それにしても、これっていわゆる異世界転生ってやつぅ?

 こうして、赤ちゃんから人生を再出発することになったんだけれど、なんだか貧乏臭いしおまけになんか私の見た目って地味じゃない?
 さっき、自分の姿を鏡で確認をしたら、赤茶色の髪色のストレートロングでサファイアブルーの目の色をしていてアニメキャラみたいで可愛いとか2.5次元俳優っていう奴みたいじゃんって思ったんだけれど、これってキモいオタクじゃんっ! あのキモい腐女子? とか推し活とかやっていたキモいグループの奴らと同じじゃんっ! ストレス発散で利用していたか、無視していたグループと同じ奴らじゃん! って思った。
 私のこの世界での私の名前も、ルイーゼ・マイヤーって地味で本当に嫌だなぁと思った。
 世界観は、なんかよくある中世ヨーロッパのファンタジーって感じぃ。一応、魔法を使えるらしいけどあんな母親じゃ頼りにならないし、前世と同じように過ごそうかと思った。
 それにしても、なんか、どこかで聞いたことがある名前だし見たことがあるビジュアルだなーって鏡を見ながら思った。
 ん? あれ? これってこっそり隠れながらやっていたノーブル・プリンセス、略してノブプリという選択式ノベル女性向けスマホゲームの世界観じゃない?
 しかも、「ルイーゼ」という名前、もしかしてノブプリの主人公のデフォルトネームだったはず。
 ということは、単なる妾の子供だった私もいずれあの役立たずの母親が貴族として結婚して、貴族の仲間入りっていうことになるじゃんっ!
 これで社交界も社交界の人たちの噂話や弱みなどを握って、主人公としてこの私が君臨できるのね。
 そうと決まれば、まずはノブプリでの流行ファッションや貴族としての振る舞いや礼儀を、そのうち出会う貴族の人間を利用して媚を売って教えてもらおーっと。

 よちよち歩きをして幼少期を迎えたら、あっという間に小学生となり、あの母親曰く「貴族の子も通う学校だから、なるべく貴族の子と仲良くしなさいね」といわれなくてもわかっていることをいわれて少し腹が立ったけれど、あの母親からは絶対に教えてもらえないであろう貴族としての振る舞いと礼儀作法も教えてもらうことにした。
 けれども、それは失敗に終わりそうになった。
 貴族の子から、私は「妾の子」として認識されており、ちょっと差別をされたからムカついて、いつも通り、最初は権力がありそうな女の子の媚を売りパシリになって、そこから、クラスメイトの弱みやおねしょや皆んなの前でのお漏らしの話などを聞き出して、その噂話を私がいっていない体で流して貴族の子たちから弱みを握りつつ、交換条件として私と仲良くして、貴族の礼儀作法や振る舞いを教えてほしいと脅して、色んなことを教えてもらった。ラッキー。
 それにしても、悪役令嬢のリリアンナやお助けキャラのフレイヤとリラがまだ出てないなぁ。彼女達とは別の学校なのね。あーあ、はやく、リリアンナとフレイヤとリラが出てこないかなー?

 こうして私は中学生となったけれども、リリアンナとフレイヤとリラはまだ私の前に現れなかった。
 あれ? もしかしたら、この三人とは高校からしか出会わないのかと残念だなぁと思ったし、相変わらずの貧乏生活だった。
 もっと稼いでこいよ、あの母親って思うけれど仕方ない。だってゲーム上、あの母親が正妻となり私が養子として迎えられるのも高校生になる直前かなった直後だった気がするし。
 貧乏臭いのも耐えられなかったので、私は街へ出て中学生の年齢でもアルバイトができるかどうか探した。
 そして、なんとかそのアルバイト先も見つかり、なんとノブプリで出てきたアイテムショップのお店で働くことになった。
 けれども、今度は中学生では一番に権力を持っていた女の子のパシリとして媚を売って彼女が私に心を開くようになり、その権力を持っていた女の子の弱みを握り誰々がいっていたと嘘をついて私が噂話を流して、彼女を蹴落として、私はその中学校の女王の地位を獲得した。
 引き続き私は中学生で働きつつも、学園の女王として君臨し、貴族の子ですら私を崇めるようになり、何人か取り巻きもできて、学校内で勝手に私たちなりのルールを作ったり、みんな私たちを流行として追っていた。
 アイテムショップで働いていたんだけど、肝心の攻略対象であるエルフのヴァルデマール、魔族のカイン、勇者のジークフリート、ジークフリートのルートに行くと出てくる隠しキャラの僧侶のハンスは来なかった。騎士のレオンハルトも来なかった。
 えー、どういうことぉ?
 一人ぐらいは、面影のあるキャラクターが来ても良くない? と思いつつ待ちながらアイテムショップで働いていた。
 正直、中学生が貧乏で働いているっていうのは見栄えが悪かっただろうけれど、中学校にいるみんなは学園の女王が健気にアルバイトをしていると、先生と生徒たちにも評判がよくなって、先生によっては成績を上げてくれたりご飯やおやつを私だけ特別にまかなってくれた。
 そして、貴族の子達もこぞって私の学園内での地位を気にし出したのか、小学生の頃とは違う貴族の子達とも関わり合うようになり、貴族の子達の動きや礼儀や性格やコミュニケーション方法や空気の読み方を観察して、それをノートに書いたり真似してみたり、まるで自分がすでに貴族の一員となった気分になっていた。
 あ、ゲームのシステム上、私は貴族の仲間入りをすることになるんだけどね。だって私はルイーゼでもあり、瑛璃珈でもあるんだから。
 貴族の子たちと話していると、ノブプリの攻略対象であるメイン王子である、ハインリヒ王子とリリアンナの婚約者でもあるけど、攻略によってはリリアンナから奪い取れるアルブレヒト公爵子息の話題も出ていた。
 いずれ、ハインリヒ王子と婚約にまでできるようにならなきゃなぁと思った。

 そうこうしているうちに、あの母親から大事なお知らせが来た。それは、あの母親が貴族の正妻として結婚することになり、私が貴族の養子になることになった。
 通っている中学校はそのままだけど、高校から別の高校へ通うことになった。
 そして晴れて、私は「ルイーゼ・マイヤー」から「ルイーゼ・ツー・ロザリント」という名前に変わり、貴族での階級も公爵令嬢と成り上がった。
 それは、悪役令嬢のリリアンナ・フォン・リヒテンベルクの伯爵令嬢よりも位は高かった。やったー!
 理由はなんと、ロザリント家で強盗殺人が起こって本来の公爵令嬢や公爵子息、そして正妻だった公爵夫人も殺されたから、跡取りがいなくなり探偵や騎士達を使って、ロザリント家の血族がいないか探していたら見つかったという話だったみたい。ラッキー。踏み台になってくれてありがとう。

 そして、働いていたアイテムショップのお店もやめて、お家も引越しすることになり、豪華な一軒家で前世の瑛璃珈としての私と同じような環境に住むことになった。
 豪華な一軒家に住むことになったのは良いけれど、ロザリント公爵と使用人から直々にプリンセスレッスンを受けることになった。
 小学生の頃からもう貴族の子から直接教わっているから知っているのに受けさせられることになったけど、まぁ、こんなもん、復習していることと同じようだった。



 そして中学校を卒業して、グリュックシュロス高等学園に入学と同時に社交界に私、ルイーゼ・ツー・ロザリントとしてデビューすることになりましたとさ。
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