悪役令嬢の名誉を挽回いたします！

第２５話、テスト

　テストまでの時期が流れるように過ぎて、私は家庭教師としてのハンスさんとの個人授業のおかげで私の苦手分野も完全とはいえないけれど克服できて、授業もわかりやすく覚えやすくなったように感じになったのでテストに関しては自信がついたような気がする。
　そして、学校でのルイーゼとフレイヤとリラの人間関係もなんだか変わったような気がする。私は朝礼が始まる前にルイーゼたちの人間関係の変化を盗み見るようになったけどフレイヤは相変わらず、ペトロネラとビアンカと一緒に慈善活動に励むようになって段々とルイーゼと関わらなくなって、リラはヴェロニカのことでマルレーネという猫っぽい女の子に話しかけられるようになって、今はルイーゼと関わっているよりもヴェロニカとマルレーネとアーデルハイトと一緒に話す機会がどんどん多くなっている気がする。
　そんな私は、グリュックシュロス高等学園に入学した時と同じぐらいルイーゼから話しかけられて二人で話す機会が増えてきていた。ルイーゼのグループはもうすでに崩壊しているかのように見えたけれど、例えルイーゼのグループが崩壊していても未だにルイーゼが通りかかるときは空気が一気に変わって、ルイーゼを崇めるような生徒たちもいたんだけど、最近、フレイヤとリラが別々で関わっているヴェロニカのような貴族の女の子たちには段々そのカリスマ性が効かなくなっているように見えた。でも、お金持ちの平民の生徒たちにはまだまだルイーゼの学校での権力は保てていた。なぜ貴族の子たちにはルイーゼのカリスマ性がどんどん効かなくなっているのかは、私にはわからなかったしなんだかちょっと複雑な気持ちだったし、他の貴族の生徒たちは、ルイーゼがいない時に私に話しかける機会が多くなった。

　そんなこんなでテスト当日がやったきてテストはテストの日程がずれた分広範囲にわたったけれど、ハンスさんとの個人授業のおかげである一定の点数は、リヒテンベルク伯爵家には恥ずかしくない程度の成績は収められたと思う。ハンスさんのおかげで。
　そして数日かけてテストは行われて全教科のテストは終わり、お父様はハンスさんを家庭教師としてまた機会があれば雇うことにして、学校のテストから解放されてギルドの活動がまた、ジークフリートとハンスさんとフリーダの私でできるようになった。

　そして今は学校のお昼休みの時間になったので、私はお昼ご飯を食べに食堂へと向かおうとしたらジークフリートに会ったので私はジークフリートに声をかけてみた。
　「こんにちは、ジークフリート。やっとテストが終わったね」
　「そうだなっ！　リリアンナもハンスもやっとギルドにまた入れるなぁ！」と嬉しそうにジークフリートは返事をしたので、私はジークフリートに微笑むとジークフリートは少し頬を赤らめて視線を逸らして「なぁ、やっぱりお前、雰囲気かわったよな……」と照れくさそうにいっていた。
　そして、食堂の中に入っていて今日はジークフリートと二人きりで一緒にお昼ご飯を食べた。
　「ハンスさんは家庭教師として上手に教えてくれたよ。ところで私たちがギルドにいない間にフリーダはどうしていたの？」
「お前らがテスト勉強で忙しかった時は一時的にフリーダと一緒に一時的に違う人たちと一緒にギルドを組んで冒険しに行ってた」
「そうなんだ。その代わりに入っていたギルドのメンバーはどうしたの？」
「ハンスとリリアンナが戻ってきたから、また別のギルドに入ったよ」
　ジークフリートとはお昼休みの間、ハンスさんと私がテスト勉強中に何が起こったのかこと細く教えてくれたけれど、カイン様とヴァルデマールさんの話は出なかった。二人に会いに行かなかったのかな？と思いながらジークフリートの話を聞いていたら、お昼休みの終わりのチャイムが鳴ったので私たちは急いで自分たちの教室に入って、午後の授業をギリギリ間に合った。

　午後の授業も終わって終礼の時間になり、終礼ではテストの結果発表の日程のお知らせがあったぐらいで終礼は終わった。
　放課後になり私はさっそく自分の家に帰ったら玄関には、使用人のフリードリヒが「おかえりなさいませ、リリアンナ様」とお辞儀をして私に挨拶してくれたので、私はフリードリヒに「ただいま」といいながら急いで少しシャワーを浴びて、久しぶりにソフトピンク色のディアンドルに着替えて裏口から私は家に出た。

　集合場所はもちろんいつものハンスさんが勤めている教会に集まることになっていたので、その教会の前に行ったけれど相変わらず前世の知識でいうとオーストリアのウィーンにある聖シュテファン大聖堂みたいな迫力がある建物で少しだけ私は見惚れていた。
　教会の建物に見惚れていたら、ジークフリートとフリーダが現れた。久しぶりにフリーダを見たので私は嬉しくなって「フリーダ！　久しぶり！」と声をかけるとフリーダは少し口角を上げて「リリアンナ、久しぶり」と返事をしてくれた。そしたら教会の中からハンスさんが現れて、ハンスさんは笑顔で「お久しぶりです。ジークフリートさん、フリーダさん。お元気してましたか？」と聞いてきて、ジークフリートとフリーダは嬉しそうな表情をして、ジークフリートはハンスさんに「元気にしていたぜ」と返事した。そして、今日はどこに向かうか四人で相談していた。
　ジークフリートは「そういえば最近、エルフの聖域に行っていないな。久しぶりにあのエルフに会いに行くか」といったので、私は「じゃあ、カイン様には会いに行かないの？」と聞いたみるとハンスさんは「あの方に会いに行くのは、ちょっと……」とちょっと苦笑いをしたけれど、フリーダは「でも、あの人ってお菓子と紅茶をくれるいい人だよ」と一言ボソッといった。でも、ジークフリートとハンスさんはなんだかとても嫌そうな顔をしていた。
　フリーダはそんな彼らを無視をして絨毯を広げて「ハンスさんとリリアンナは久しぶりだよね」といって絨毯を広げ終えたので、私たちはその絨毯の上に乗って久しぶりに空の上を飛んだ。そして、久しぶりに私たちはエルフの聖域に行った。

　フリーダの魔法の絨毯のおかげでエルフの聖域に着くと、ヴァルデマールさんがいつものようにいて私に話しかけてきた。
　「リリアンナ、げっ。あの人間どももいるのか」と嫌そうな表情をしたけれど、ヴァルデマールさんは引き続き咳払いをしていつものしかめっ面をしていたけれど声色は嬉しそうに「久しぶりだな。リリアンナ。最近は来なかったがテストがあるといっていたな。その間、どうしていた？」と最近の状況を聞いてきたので、私は「えーと、テストが終わるまでハンスさんに家庭教師としてついてもらってテスト勉強をさせられていたんです」と答えると、ヴァルデマールさんは少しだけハンスさんに視線を向けてから私の方に戻した。そして、ヴァルデマールさんは「またいつものように弓矢の練習をしにきたのか？」と私に聞いてくると、ジークフリートが割って入ってきて「いや、今日は俺がリリアンナに剣術を教えるから、ヴァルデマールはハンスとフリーダと一緒に精霊の森へと来いよ」とヴァルデマールさんにそう伝えたら、ヴァルデマールさんは険悪な表情となり即答で「嫌だ。私はこの場から離れる気はないから、貴様がどうリリアンナが剣術を教えるか見守ってやる」とジークフリートを睨んでさらにヴァルデマールさんは顔を逸らして「最近のリリアンナは、その、あの変態魔族がいいそうなことを言いたくはないが、より女性として成長したから、あの人間の男と二人きりにさせるのは危険だと思ってな」と少し頬を赤くして耳の先も赤くなっていた。その言葉を聞いたジークフリートは「あーはいはい。気高きエルフ様は俺を疑っているってことですかね」と皮肉っぽくいった。
　ヴァルデマールさんとジークフリートの中々終わらないやりとりを見ていたハンスさんとフリーダは、二人だけでそそくさと精霊の森へと行った。

　その後もヴァルデマールさんとジークフリートの言い合いは続いたけれど、結局ヴァルデマールさんが根を上げてジークフリートがヴァルデマールさんの監視のもとで私に剣術を教えることとなった。
　ヴァルデマールさんは険悪な雰囲気を背後から出しながら私たちを見ていたけれど、ジークフリートはお構いなしに私の体を密着させながら剣の持ち方の基礎を教えてくれた。
　私はジークフリートの体の密着具合にドキドキしたけれど、いつものジークフリートと違って彼は気を使って「リリアンナ嬢、嫌だったら嫌だといえよ。それにあそこでエルフのこわーいお兄さんが見ているから」と質問してきたけど、私は「ううん。大丈夫だよ。続けて。私の身につかないから」と赤面しながらいったら、ヴァルデマールさんは余計にジークフリートを睨みつけていた。
　ジークフリートは腕を組んで睨みつけているヴァルデマールさんを横目に、私に一生懸命に剣の持ち方の基礎を教えてくれた。
　そんなこんなでヴァルデマールさんの監視の元でジークフリートの剣術を教わっていたら、精霊の森からハンスさんとフリーダが戻ってきてフリーダはヴァルデマールさんに嬉しそうに「今日は久しぶりの精霊たちに会いましたのと新しい精霊たちにも囲まれて嬉しかったです」と報告して、ヴァルデマールさんは少し口角を上げてフリーダに「そうか」と返事をした。
　そして、私たちは川のほとりまで行ってフリーダは魔法の絨毯を広げて、私たちはヴァルデマールさんに別れの挨拶をしてヴァルデマールさんは私たちが魔法の絨毯に乗って空中に浮かんで、ヴァルデマールさんの姿が見えなくなるまで私は手を振ってヴァルデマールさんは姿が見えなくなるまでその場に立ったままでいた。
　フリーダの魔法の絨毯で自宅まで送ってもらって、フリーダとジークフリートとハンスさんに「明日もまた会おうね」と微笑んでいうとジークフリートとハンスさんは、少し頬を赤らめたのちにジークフリートは平然を装って「あぁ、またなっ！　リリアンナ」と爽やかな笑顔で別れの挨拶をしてくれた。ハンスさんは「明日もまた会えるんですね」と嬉しそうに話していて、フリーダも口角を上げて私に手を振ってそのまま三人は魔法の絨毯に乗って帰って行った。

　家に着くと、使用人のヘレーネとフリードリヒがお辞儀をして「おかえりなさいませ、リリアンナ様」と挨拶をして、私は応接間へと向かった。
　応接間に着くとそこにはすでにお父様とお母様がいて、お父様とお母様は私のディアンドルを着ている格好を見てなんだかちょっと呆れていた。お父様は表情を変えないまま「また『ギルド』の活動に専念していたのか」と一言つぶやいた。お母様は「テストが終わったからって、いきなりですか。リリアンナ」と呆れていた。
　そして、フリードリヒが夕食を持ってきてくれて、私はお父様とお母様に最近のルイーゼの人間関係の話をしながら、夕食を食べた。お母様はハインリヒ王子とカイン様がいっていたことを思い出したのか、ルイーゼのことを警戒しながら話し合っていた。お父様はものすごく大人しくなって「ルイーゼ・ツー・ロザリント公爵令嬢には気をつけなければな。アルブレヒト公爵子息のこともあったからな」とか細い声で感想を述べていた。

　夕食を食べ終わった後は私は自室に戻ってディアンドルを脱ぎ捨てて、シャワーを浴びていつものように頭と髪と体を洗ってそして湯船に浸かって今日のジークフリートの剣術について考えていた。あと、自信があったのに何故か急にお父様に認められるぐらいのテストの点数を取れているか不安になった。そんな不安を抱きつつ私はお風呂から上がって歯を磨いて髪の毛を乾かしてパジャマを着て、ベッドの中に入って今日の出来事を思い出しながら目を閉じた。