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刈り上げの春
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3月の柔らかな日差しの下、私、雪絵は友人たちと渋谷で新学期前の最後の週末を楽しんでいた。
高校生活が始まる前のこの短い時間は、私にとって新しい服を試したり、最新のカフェで特別なスイーツを味わったりする貴重な瞬間だった。
友人の笑い声が、春の訪れを告げるように心地よく響いていた。
「高校生活、どんなことが待ってるかな?楽しみだね!」友人の一人がはしゃぎながら言った。
私もその期待に胸を膨らませながら、次の店へと足を運んだ。
その時、目を引くスタイリッシュな若い男性が私に声をかけてきた。
彼はカイトと名乗り、近くのトレンディな美容室で働く美容師だった。
彼は私の背中まである長い黒髪を見て、興味深そうに言った。
「その美しい髪で、私たちの新しいスタイルのカットモデルになりませんか?」
カイトの提案に、私は一瞬で心が揺れた。
長い髪は私にとって自分の大切な一部で、何年もかけて育ててきた宝物。
彼の言葉には魅力が詰まっている一方で、「本当に切ってしまっていいのかな?」という不安が頭をもたげた。
友人たちは一様に興奮して、「雪絵、これはやるべきだよ!新しいスタイルで高校生活をスタートさせるなんて最高じゃない?」と私を後押しした。
彼らの言葉を聞いているうちに、私の中で期待と不安が交錯した。
「うん、でも、本当に大丈夫かな?私の髪、すごく長い時間をかけて育てたんだ...」
私は自分の長い髪を撫でながら、躊躇いを隠せなかった。
カイトは優しく微笑みながら、私の心情を汲んで言った。
「心配なのは分かります。でも、これも新しい一歩ですよ。どんな変化も経験です。僕がきれいに仕上げますから、信じてみませんか?」
私は深呼吸をして、カイトの言葉に勇気をもらいながら、「分かった...やってみる!」と小さく頷いた。
新しいことへの期待感と、何か特別なことが起こりそうな予感に心が躍り始めた。
そして、私はカイトについて行くことを決め、彼が案内する美容室へと向かった。
カイトが連れて行ってくれた美容室は、渋谷の喧騒から少し離れた落ち着いた場所にあった。
店の外観はモダンでありながらどこか温かみのあるデザインで、ガラス越しに見える店内は洗練された雰囲気で満ちていた。
ドアを開けると、そこは静かで穏やかな音楽が流れる洗練された空間だった。
壁には様々なヘアスタイルの写真が飾られ、新しい何かが始まる予感に胸が高鳴った。
ドアを開けて私たちを迎えたカイトは、にっこりと微笑みながら言った。
「ここでは新しいあなたを発見するお手伝いをします。安心してくださいね。」
友人の一人が冗談まじりに言った。
「雪絵、まるで映画のワンシーンみたい!」
私は笑いながら応えた。
「本当にね、何だかドキドキするわ。」
この日、私はただの高校生から一足早く新しい自分へと変わる第一歩を踏み出していた。
それは私の青春の中で忘れられない一日となることを、その時の私はまだ知らなかった。
「雪絵さん、こちらでシャンプーをさせていただきますね。リラックスしてください。」
カイトが優しく声をかけてくれた。
彼は私をシャンプー台に案内し、快適な水温で心地よく頭を洗い始めた。
シャンプーの間、カイトは私の緊張をほぐすように会話を続けた。
「高校生活に期待してることはありますか?」
「うーん、新しい友達ができたらいいなと思ってます。でも、ちょっと不安も大きいですね。」
私は正直な気持ちを話した。
カイトは理解ある表情で頷きながら、「新しい出会いはいつもドキドキしますよね。でも、雪絵さんならきっと素敵な友達ができると思いますよ。今日の新しいヘアスタイルで、自信を持ってくださいね」と励ましてくれた。
「ありがとうございます。カイトさんがそう言ってくれると、何だかホッとします。」
私は微笑み返した。彼の言葉に安心感を覚え、少しずつリラックスしていけた。
カイトはさらに話を続ける。
「ここに来てくれたお客さんたちも、初めは緊張してるんですよ。でも、僕たちと少し話をすると、だんだんとリラックスして、新しいスタイルにワクワクしてもらえるんです。雪絵さんも、今日は新しい自分を見つける日です。楽しんでいきましょう!」
その言葉に背中を押され、私は確かな期待感を胸に秘めることができた。
カイトとの会話は心地よく、シャンプーが終わる頃には、今までの不安が嘘のように消えていた。
私は新しい高校生活、そしてこれから始まるカットへの期待でいっぱいだった。
シャンプーが終わると、カイトは私をスタイリングの椅子に案内した。
彼の表情には以前の優しさが影を潜め、何かを決意したかのような強い意志が感じられた。
彼は椅子に座る私を見下ろしながら、確かめるように言った。
「大丈夫?今から始めるよ。ちょっと大胆にいってみるから、覚悟してね。」
私はその言葉の真意を理解できていなかったが、シャンプーの時の優しい声色からの変化をしっかりとは感じ取れず、「よろしくお願いします」と頷いた。
緊張で心臓が早鐘を打っているのを感じながら、カイトが持つ鋏に目を奪われた。
「じゃあ、始めるよ」とカイトが軽く言い放つと同時に、鋏がサラサラとした私の髪に触れた。
最初の一切れが切られる瞬間、時間がゆっくりと流れるような錯覚に陥った。
シャキッ、シャキッという鋏の音が耳に響き、私は自分の髪が確実に短くなっていくのを恐怖とともに感じた。
「こんなに短くして、本当に大丈夫かな?」
雪絵が小さな声で尋ねると、カイトはただニヤリと笑い、「大丈夫、大丈夫。全然問題ないから。これが新しい君のスタートだよ」と言ってのけた。
ジョキッ、ジョキッと鋏はさらに力強く、どんどん髪を短くしていった。
カイトの手は非常に確かで、一切の迷いもなく私の髪を次々と切り落としていく。
床には私の黒い髪の束が積もっていき、それを見るたびに私の心はどんどん沈んでいった。
やがて、カイトは雪絵の髪を霧吹きで濡らした。
濡れた髪は重く、私の首筋に冷たく感じられた。
そして彼は耳の真ん中くらいで鋏を入れ、一気に切り落とした。
「ほら、もう顎のラインまで短くなっちゃったよ」とカイトは言い、私の驚きを楽しむように笑った。
カイトは残った後ろの長い髪を半分くらい持ち上げ、頭の上でブロッキングした。
そしてさらに、襟足に手をかけ、霧吹きで濡らした後、鋏を入れていった。
ジョギジョギッ、ジョギジョギッという音とともに、私の襟足はどんどん短くなっていった。
櫛を首筋につけてそれに沿って鋏が上にあがっていく。
その感触が首筋に伝わり、私は自分の髪が刈り上げられていることを実感した。
カイトは慣れた手つきで髪を切り、最後にはバリカンを取り出してきた。
「これで仕上げるからね」と言いながら、彼は私の襟足にバリカンをあてがい、ジョリジョリと襟足を整えていった。
バリカンの振動と音に私は身を固くし、その感触に戸惑いながらも、自分の髪がどれほど短くなったのかを想像した。
刈り上げられた雪絵の襟足は、耳の下から首の底まで、きれいに刈り上げされていた。
薄く、緻密に剃られたその部分は、肌に近い短さで、手触りはジョリジョリとしていた。
雪絵自身が後ろから鏡を見る限りでは、襟足の刈り上げは耳の下から始まり、首筋に沿って綺麗にアーチを描いていた。
美容師のカイトが使用したバリカンは、微細な調節が可能なもので、彼は非常に短い長さに設定していた。
その結果、雪絵の襟足はほぼ地肌が見えるほどに短く、刈り上げられていた。
襟足の形は自然なカーブを描き、首のラインを綺麗に見せていたが、それは雪絵にとっては全く予期せぬスタイルだった。
雪絵は鏡を見て、自分の大幅に変わった姿に目を丸くした。
「こんな...こんなに短くするって言ってない...」彼女の声は震えていた。
カイトは鏡越しに雪絵の顔を見て、威圧的に笑いながら言った。
「ほら、刈り上げるとこんなに可愛くなるんだ。これで君ももっと魅力的になったよ。僕の好みにピッタリさ。」
刈り上げの部分は、触ると手に感じる微細な刺激があり、ジョリジョリとした感触は、雪絵がこれまでに経験したことのない新しい感覚だった。
髪の毛一本一本が短く剃られ、地肌に近い部分まで露出しているため、風が吹くたびに、いつもとは異なる清涼感を襟足に感じていた。
カイトはバリカンを使い、襟足の刈り上げ部分をさらに細かく整えた。
「こんなにきれいになるんだよ。」と彼は自分の仕事に満足げに言った。
雪絵は新しい自分の髪型を指で触りながら、戸惑いと少しの恐怖を感じていた。
鏡の中の自分は見慣れない姿で、刈り上げた部分の冷たさが彼女を更に不安にさせた。
「見て、これが新しい君だよ。すっきりして、なかなか似合ってるじゃないか」とカイトは言いながら、私の手を取り襟足に導いた。
触れると、いつものサラサラとした長い髪の感触ではなく、ジョリジョリとした短い毛の感触が指先に伝わってきた。
初めての感覚に、私は思わず「あっ…そんな…」と声を漏らしてしまった。
「ほら、もう怖くないでしょ?新しいスタイルで新しいスタートだ。高校生活、これでバッチリだよ!」カイトは励ますように微笑んだが、私の心はまだその変化を受け入れきれずにいた。
頭の後ろは耳の真ん中くらいの位置まで刈り上げられていた後頭部は、どこを触ってもジョリジョリしていて、タワシのような感触だった。
私はずっとロングヘアだったので、これが初めての経験であり、戸惑いを隠せなかった。
カイトは再び鋏を手に取り、「ここからがクライマックスだよ!」と宣言し、ブロッキングしていた後ろの髪を下ろし、横と同じように耳の真ん中くらいのラインできれいに切り揃え始めた。
バサッと落ちる長い髪を見ながら、私は「いや!!もう切らないで!」と悲痛な声を上げたが、カイトは私の願いを無視し、精密に鋏を入れ続けた。
後ろを横のラインと揃えながら、カイトはわざと私の襟足をジョリっと触り、その度に私はビクッと反応してしまった。
彼はその反応を楽しんでいるようだった。
そしてついに、刈り上げを隠していた後ろの髪はすべてなくなり、襟足の青白い地肌が丸見えになってしまった。
さらに、カイトは私の目にかかっていた前髪を櫛でとかし、眉毛の位置で鋏を入れた。
バサバサとケープに髪が降り注ぐ中、私の視界は一気に明るくなった。
彼は念入りに前髪を真っ直ぐに切り揃え、最終的に鋏を置いた。
「よし!完璧なおかっぱだ!襟足もさっぱりと刈り上げ!やっぱり高校生になるなら髪型はこうでなきゃね!」と得意げに宣言した。
私は大きな手持ち鏡で自分の新しい姿を見た。
「あっ...そんな...これがわたし...?」鏡に映ったのは、耳の真ん中で真っ直ぐに切り揃えられたおかっぱの女の子。
前髪は短くなり、切った時には眉毛は隠れていたはずなのに、眉毛の上でまっすぐに揃っていた。
短くなったことでかなり幼い雰囲気になっていた。
横の髪はきっちりと切り揃えられて、後ろは地肌が見えるほどに刈り上げられていた。
先程までの背中まであったロングヘアは、見事な刈り上げのおかっぱに変わっていた。
変わり果てた自分の姿に、私は耐えられず涙をこぼした。
カイトがケープを外すと、床には大量の切られた黒髪が散乱していた。
「どうだい、すっきりして、可愛くなっただろう?」カイトは更に彼女を威圧するように言った。
雪絵は悲しげに頷いただけで、その新しい姿に心からの満足を感じることができないでいた。
自分の変わり果てた姿に、深いため息をついた。
カイトは満足そうに私をシャンプー台へと案内した。
彼の表情には達成感が溢れていて、私はその笑顔を見るだけで心が重たくなった。
台に座らせると、カイトは私の頭を優しく後ろに傾け、温かい水で髪を濡らし始めました。
「いままで髪洗うのたいへんだったでしょう?襟足は短く刈り上げておいたから体洗うついでに洗っちゃえばいいよ」とカイトが言いながら、彼の立てた指が私の刈り上げた襟足を撫でる。
その瞬間、今までに感じたことの無い感覚が私を襲った。
彼の指がジョリジョリと襟足を撫でるたびに、その感触は私の脊髄を直接くすぐるようで、私の体は反射的にビクンと反応してしまった。
「あっ…うっ…」私は自分でも驚くような声を上げてしまい、顔を真っ赤にした。
カイトは何も言わず、ただニヤリと笑ってその感触を楽しんでいるようだった。
彼はシャンプーの泡で私の頭を包み込むと、さらに丁寧に、しかし確実に襟足をマッサージするように洗い続けた。
泡立つシャンプーが襟足に溜まり、その泡を指で掻き分けるたびに、ジョリジョリとした音が小さく響いた。
洗い流すために再び温水が流れると、その水の流れが私の短くなった髪を通過する感触に、再び心がざわついた。
水と泡が消えると、ひんやりとする襟足の新しい感触がより明確になった。
カイトはドライヤーで髪を乾かした後、丁寧に櫛を取り出して髪を梳かし始めた。
彼の手際は良く、櫛が髪を滑る音が心地よいリズムを奏でていた。
しかし、彼はわざと、櫛を短く刈り上げられた部分にも通し始めた。
櫛の歯が地肌に触れる感触は、思わず体をビクッとさせるほどに新鮮で、少し刺激的だった。
「あんっ…!」雪絵は驚いて声を漏らし、その感触に体が自然と反応してしまった。
地肌に直接触れる櫛の冷たさが、刈り上げてしまった髪の存在をなおさら強く意識させる。
それは、これまでの長い髪がもうないという現実を、改めて突き付けられるようで、心の中に複雑な感情が渦巻いた。
カイトはその反応を見て、にっこりと微笑みながら言った。
「感じるでしょ?これが新しい君の感触だよ。少しクセになるかもしれないね。」
雪絵はその言葉にどう反応していいかわからず、ただ櫛が再び地肌を通るのを感じながら、目を閉じた。
カイトの手は確かで、櫛を短く刈り上げた部分に何度も何度も通すことで、雪絵は自分の変わった姿を少しずつ受け入れ始めていた。
その度に、ジョリジョリとした感触と地肌の新しい冷たさが、彼女の感覚を刺激した。
彼女の耳の横で切り揃えられた髪は、触るとほとんどないに等しく、櫛の感触は直接彼女の皮膚に伝わってきた。
「ほら、もっと感じてみて。これが今の君のスタイルだから。」
カイトはそう言うと、さらに慎重に櫛を通した。
雪絵は櫛の每一撃が地肌に触れる度に、心地よさとともに少しずつ自分の新しい姿に慣れていくのを感じた。
鏡に映る私は、お椀を被せたようなおかっぱ頭の少女だった。
前髪は眉毛の上で真っ直ぐに切り揃えられ、耳の真ん中で切り揃えられた横の髪と共に、私の新しい姿を形作っていた。
後ろすっきりとした襟足が見え、そして青白い地肌が露わになっている背後からは、新しい生活のスタートを告げるかのような冷たい空気が感じられた。
カイトは私の反応を確認すると、さらに得意げに「どうだい、思った以上に新鮮でいい感じだろう?高校生活、これでバッチリだ!」と明るく言った。
私はただ、呆然とその言葉を聞くしかなかった。
カイトの美容室を出るとき、「刈り上げはすぐに伸びちゃうから、定期的に来てね!」と彼は明るく言った。
その言葉を聞いて、私は表面上は微笑みを返したけれど、心の中では彼の言葉が少し重たく感じられた。
あの圧力を、どうしても感じてしまうのだった。
外に出た瞬間、新鮮な空気を深く吸い込んだ。自由に呼吸できることがこんなにも気持ちいいとは、少し驚くほどだ。
友人たちと合流すると、みんなは私の大胆な変身に目を丸くした。
「雪絵、すごい、バッサリ切ったね!」と驚く友人。その声に、私は少し安堵した。
でも、不意に友人の一人が私の襟足を触った時、私は思わず体を震わせた。
ジョリジョリとした感触が指先から伝わってきて、その感覚はまだ慣れない。
友人が「このジョリジョリ、面白いね!」と言った時、私はただ、はにかむことしかできなかった。
私たちはその後、近くのカフェに行った。
話は尽きることなく、新しい髪型についての話題で盛り上がった。
友人たちは私の刈り上げた部分を何度も触り、そのたびに私の体は小さく反応してしまった。
それが少し恥ずかしくもあり、不思議な感じがした。
「雪絵、これからどんなスタイル試すの?」と聞かれ、私は「うーん、まだ考えてないな」と答えた。
内心では、カイトの言葉が頭をよぎり、定期的にメンテナンスをしなければと思うと少し重たく感じた。
カフェでの時間が進むにつれ、友人たちの言葉から勇気をもらい、私は少しずつ新しい自分に慣れていった。
彼らの支持があることが、とても心強かった。「新しい髪型、意外といいかもしれない」と、心のどこかで思い始めていた。
最後にカフェを出る時、私はみんなに向かって「私...こんな髪型で高校に行かなきゃいけないの...?」と不安気に言葉を述べた。
友人たちは「いつもの雪絵らしいよ!」と言ってくれて、その言葉が私の心に深く沁み入った。
私が家に帰ると、母は台所で夕食の準備をしていた。玄関の扉が閉まる音に振り向き、その瞬間、彼女の手が止まった。
私の新しい髪型を見て、母は思わず声を上げた。
「雪絵、その髪型...!」彼女の声には驚きと少しの戸惑いが混ざっていた。
私はそんな母を見て、少し不安になったが、勇気を出して、自分から髪型を変えた理由を説明した。
「うん、ちょっと大胆に変えてみたの。新しい高校生活、新しい自分で挑戦したいなって。」
思いがけずこんな髪型になってしまったとは言い出せず、咄嗟に出た言い訳を言ってしまった。
そんな私の声を聞きながら、母はしばらく黙って私の髪をじっと見ていた。
しばらくして、母は深いため息をついた後、優しく微笑んだ。
「そう…。確かにこれはとても大胆ね。でも、雪絵が気に入っているなら、それでいいわ。すごく成長した感じがする。」
その夜の夕食時、母は何度も私の刈り上げ部分に目をやり、時々「本当に変わったわねぇ」とつぶやいた。
食事をしながら、私は母に友人たちの反応やカイトの美容室での経験について話した。
母は興味深そうに聞き、特にカイトが私の髪をどのように変えたのか、細かい部分まで質問してきた。
「ジョリジョリってどんな感じ?」母がそう尋ねると、私は少し照れながらも、髪の感触を説明した。
母は不思議そうに首を傾げながらも、私が新しいスタイルに満足していることに安心した様子だった。
食後、私たちはリビングで一緒にテレビを見ながら、更に色々と話をした。
母は「高校での新生活、いろいろと楽しんでね。新しい髪型で新しい友達もたくさんできるといいわね」と言って、私の肩を抱き寄せた。
母の温かい支持を感じながら、私は心からほっとした。家族の理解と支持があることの大切さを、改めて感じたのだった。
その夜、私は新しい自分とこれから始まる冒険に、少しだけ自信を持つことができた。
母の優しい言葉が、私の不安を勇気に変えてくれたから。
家に帰ってからの数日間、私は自分でも驚くほど刈り上げ部分に手が伸びることが多くなった。
トイレにいるとき、お風呂で髪を洗うとき、夜ベッドに入る前に自分の部屋で鏡を見るとき。
どうしてもそのジョリジョリとした感触を確かめたくなって、思わず触れてしまうのだった。
そのたびに、ビクンビクンと体が反応する感覚があり、その不思議な心地よさに少しずつ虜になっていった。
最初はただ新鮮だった感覚が、いつの間にか落ち着く瞬間を与えてくれるようになっていた。
ある晩、自分の部屋で日記を書いているときも、無意識のうちに手が襟足に伸びていた。
ペンを持つ手を止め、しばらくその感触に浸っていた。ジョリジョリとした毛の感触は、一種の安心感を私に与えてくれる。
それはまるで、小さな癖のようなものだった。
「なんでこんなに触ってしまうんだろう…」私は自問自答しながらも、また手を襟足に持っていく。
この新しい癖は、私にとって不安やストレスの解消法になりつつあったのかもしれない。
次の日の朝、母が私の変わった行動に気づいた。
「雪絵、どうしたの?いつも髪を触ってるけど」と心配そうに尋ねてきた。
私は少し恥ずかしさを感じながら、正直に答えた。
「なんか、この新しい髪の感触が気になって…すごく心地いいの。ビクンビクンする感じが、何だか落ち着くんだ。」
母はそれを聞いて、優しく笑った。
「そうなのね。人は新しい変化に触れると、それが心地いいものなら特にね。でも、それで雪絵が少しでも楽に感じるなら、それはそれでいいことよ。」
その夜、母と一緒にお風呂に入るときも、母はわざと私の襟足を洗ってくれた。
その時も、ジョリジョリとした感触に体が反応し、私は思わず笑ってしまった。
「ありがとう、お母さん。これ、ほんとに不思議な感じ…」
母の理解と優しさに支えられ、私は自分が抱える小さな変化と向き合っていく勇気を持つことができた。
毎日の小さな癖が、大きな自信へと繋がっていく。それは私にとって、新しい自分を受け入れる大切な一歩となった。
一週間が経ち、刈り上げた部分の髪は少しずつ伸びてきた。
初めのころのジョリジョリとした感触はだんだんと薄れ、2週間が経つころには、その独特の感触はほとんど感じられなくなっていた。
最初は新鮮だったその感覚がなくなると、私は不意に寂しさを感じ始めた。
その変化に気づいた私は、少し迷った末にカイトに連絡を取ることにした。
電話をかけると、カイトはすぐに出て、「雪絵ちゃん、どうしたの?」と明るく聞いてきた。
「えっと...その...刈り上げのメンテナンスをお願いしたくて…」私がそう切り出すと、カイトは優しい声で応えた。
「やっぱりクセになっているね。また気持ちいい刈り上げにしてあげるから、来週にでも店に来ない?」
彼の言い方には、どこか圧を感じたが、私はもうそれに従うしかないと感じていた。
「はい、わかりました。来週、伺います…」と私は答えた。
カイトの美容室に再び訪れた日、彼は私を温かく迎え入れてくれた。
店に入るとすぐに、私は椅子に案内され、カイトは前回と同じように丁寧に私の髪を扱い始めた。
カイトの店に再び足を踏み入れた時、私はすでにあの独特の感触を思い出していた。
「大丈夫、今回もすっきり綺麗にしてあげるからね」とカイトが言うと、私はただ頷くことしかできなかった。
バリカンが襟足に触れると、その瞬間、私は再びその独特のジョリジョリという感触と共に、バリカンの振動を全身で感じた。
「じゃあ、行くよ。」カイトの声は落ち着いていて、私にもその落ち着きが伝わってきた。
彼の手が動き始めると、バリカンは緻密に私の襟足を走り、毛を刈り上げていった。
その音は不思議と心地よく、私は思わず目を閉じてその感触を楽しんだ。
バリカンの振動が直接襟足に伝わるたびに、私の体はビクンビクンと小さく震えた。
それはもはや恐怖や不安の震えではなく、奇妙な安心感と快感に変わっていた。
カイトはそれを感じ取ったようで、さらに慎重に、そして愛情を込めてバリカンを動かしていった。
「こういうのも、結構いいものだろう?」カイトがそう言うと、私はただ頷くことしかできなかった。
彼の技術に完全に信頼を置いていたからだ。
バリカンが一度襟足を通過するごとに、私は新しい自分を受け入れていく気持ちが強くなっていった。
しばらくすると、カイトはバリカンを止め、鏡を持ってきて私に見せた。
「どうだい?きれいに仕上がったよ。」
鏡に映った私の襟足は非常に短く、整っていた。
見慣れない自分の姿に、初めは少し驚いたが、すぐにその清潔感のある見た目に心地よさを感じ始めた。
「本当に…きれいですね。ありがとう、カイトさん。」
私は心から感謝の言葉を述べた。
カイトはそれを聞いて嬉しそうに笑い、「いつでも気持ちいい刈り上げてあげるよ」と言って、私の肩を軽く叩いた。
メンテナンスを終えると、カイトは私の反応を見ながら、「どう?またこれで一週間は大丈夫だね」と言った。
私はその言葉に笑顔を返し、内心ではカイトの作るこの感触がなければ、日常が少し寂しく感じられることに気づいていた。
店を出る時、カイトは再び笑顔で「気持ちいい感触、忘れないでね。また来てください。」と言い、私は「はい、来週の夜、また来ます。」と答え、その場を後にした。
私は彼の言葉を胸に、新しい髪型を手入れすることが、もはや自分の中で特別な習慣になりつつあることを感じていた。
彼の指が襟足をなぞるたびに、ジョリジョリとした感触が直接私の神経に訴えかけ、ビクンビクンと体が反応してしまうのを抑えられませんでした。
その反応が、何だか恥ずかしいけれど、同時にどこか懐かしい感じもして、私は自然と声を漏らしてしまった。
「あっ…んっ…」
カイトはその声を聞いても動じることなく、ただ優しく
「感じちゃうんだよな。もう刈り上げの虜になってるからね。今度からは、月曜日の店が閉まってから来れば良いよ。お金はいらないから。」と言った。
彼の言葉に少し怯えながら、私は次第にこの感触に身を任せるようになった。
刈り上げを触られることが、自分でも驚くほど心地よく感じられるようになっていた。
それはもう、痛みや恐怖ではなく、純粋な快楽として私の中で認識していた。
ジョリジョリとした清潔感のある襟足と、その上で女性らしく柔らかく流れている髪。
このコントラストが、私に新しい自信をもたらしていた。
帰り道、私の指は何度も自動的に襟足へと移動した。
バリカンで新たに刈り上げられた部分は、ジョリジョリとした感触がより一層鮮明になっていた。
それはもう、私の新しい習慣、新しい安らぎであり、自分の指で触れることで、その不思議な感覚をもっと深く感じたいという欲求が強くなっていた。
襟足を触るたび、カイトの店でのことが思い出され、その記憶が私の中で新しい意味を持ち始めていた。
カイトの手が丁寧にバリカンを操作する様子、その手の温もりがバリカンを通じて私の皮膚に伝わってくる感覚、そして何よりも、彼が放った「もっと感じてみて」という言葉が、私の耳に甘く響いていた。
自宅に戻ってからの私は、自分でも信じられないほど頻繁に襟足に手を伸ばしていた。
バリカンで新たに刈り上げられた部分から感じるジョリジョリとした感触が、私には異常なほど心地よく感じられた。
部屋の中で一人、鏡を前に立つと、その感触をより深く、より直接的に感じたいという衝動に駆られた。
私は指の腹を使って、ゆっくりとその感触を堪能した。
襟足の刈り上げ部分を慎重に撫でることで、ふとした瞬間に体がピクッと反応する。
それはまるで小さな電流が走るような、奇妙で新しい種類の快感だった。
「あっ…んっ…」思わず漏れる吐息。
これが私一人の秘密の時間。
バリカンが通った後の微かな痺れと、ジョリジョリとした感触が、どこか安心感を与えてくれる。
私は目を閉じ、更にその感触に集中した。
私の手は自然とその部分を何度も何度も撫でた。
それは、忘れられない感触の記憶を何度でも味わいたいという欲求からだった。
カイトの手が作り出したこの感触は、私にとって新しい発見であり、新しい喜びだった。
ベッドに横になりながらも、私の手はふとした瞬間に襟足に伸びていた。
布団の中で、静かな夜の中で、ジョリジョリとした感触と小さな体の反応を感じながら、私は深い安堵感に包まれていた。
それはもはや、日常の一部となっていた。
夜中に目を覚ますと、無意識のうちにまた手が襟足に向かっていた。
寝ぼけ眼でその感触を確かめると、不思議と心が落ち着いて、再び眠りにつくことができた。
この新しい感覚は、私にとって夜の小さな儀式のようなものになっていた。
この繰り返される行動は、私がどれだけこの新しい感覚に魅了されているかを物語っていた。
カイトが次に私の襟足を刈り上げる日が来るまで、私はこのジョリジョリとした感覚と共に生きていくことに決めた。
その日が来るまで、私はこの新しい自分をもっと深く探究し、さらにこの快楽を楽しむのだ。
新しい自分としての一歩を踏み出したその日、私は何か大切なものを見つけたような気がしていた。
見つけたというよりも、カイトによって作られたものなのかもしれない。
それは自分自身の新しい一面かもしれないし、カイトとの特別な関係を築いていくのだと感じていた。
でも確かなことは、この新しい感触が私にとって大切なものになっていたということでした。
高校生活が始まる前のこの短い時間は、私にとって新しい服を試したり、最新のカフェで特別なスイーツを味わったりする貴重な瞬間だった。
友人の笑い声が、春の訪れを告げるように心地よく響いていた。
「高校生活、どんなことが待ってるかな?楽しみだね!」友人の一人がはしゃぎながら言った。
私もその期待に胸を膨らませながら、次の店へと足を運んだ。
その時、目を引くスタイリッシュな若い男性が私に声をかけてきた。
彼はカイトと名乗り、近くのトレンディな美容室で働く美容師だった。
彼は私の背中まである長い黒髪を見て、興味深そうに言った。
「その美しい髪で、私たちの新しいスタイルのカットモデルになりませんか?」
カイトの提案に、私は一瞬で心が揺れた。
長い髪は私にとって自分の大切な一部で、何年もかけて育ててきた宝物。
彼の言葉には魅力が詰まっている一方で、「本当に切ってしまっていいのかな?」という不安が頭をもたげた。
友人たちは一様に興奮して、「雪絵、これはやるべきだよ!新しいスタイルで高校生活をスタートさせるなんて最高じゃない?」と私を後押しした。
彼らの言葉を聞いているうちに、私の中で期待と不安が交錯した。
「うん、でも、本当に大丈夫かな?私の髪、すごく長い時間をかけて育てたんだ...」
私は自分の長い髪を撫でながら、躊躇いを隠せなかった。
カイトは優しく微笑みながら、私の心情を汲んで言った。
「心配なのは分かります。でも、これも新しい一歩ですよ。どんな変化も経験です。僕がきれいに仕上げますから、信じてみませんか?」
私は深呼吸をして、カイトの言葉に勇気をもらいながら、「分かった...やってみる!」と小さく頷いた。
新しいことへの期待感と、何か特別なことが起こりそうな予感に心が躍り始めた。
そして、私はカイトについて行くことを決め、彼が案内する美容室へと向かった。
カイトが連れて行ってくれた美容室は、渋谷の喧騒から少し離れた落ち着いた場所にあった。
店の外観はモダンでありながらどこか温かみのあるデザインで、ガラス越しに見える店内は洗練された雰囲気で満ちていた。
ドアを開けると、そこは静かで穏やかな音楽が流れる洗練された空間だった。
壁には様々なヘアスタイルの写真が飾られ、新しい何かが始まる予感に胸が高鳴った。
ドアを開けて私たちを迎えたカイトは、にっこりと微笑みながら言った。
「ここでは新しいあなたを発見するお手伝いをします。安心してくださいね。」
友人の一人が冗談まじりに言った。
「雪絵、まるで映画のワンシーンみたい!」
私は笑いながら応えた。
「本当にね、何だかドキドキするわ。」
この日、私はただの高校生から一足早く新しい自分へと変わる第一歩を踏み出していた。
それは私の青春の中で忘れられない一日となることを、その時の私はまだ知らなかった。
「雪絵さん、こちらでシャンプーをさせていただきますね。リラックスしてください。」
カイトが優しく声をかけてくれた。
彼は私をシャンプー台に案内し、快適な水温で心地よく頭を洗い始めた。
シャンプーの間、カイトは私の緊張をほぐすように会話を続けた。
「高校生活に期待してることはありますか?」
「うーん、新しい友達ができたらいいなと思ってます。でも、ちょっと不安も大きいですね。」
私は正直な気持ちを話した。
カイトは理解ある表情で頷きながら、「新しい出会いはいつもドキドキしますよね。でも、雪絵さんならきっと素敵な友達ができると思いますよ。今日の新しいヘアスタイルで、自信を持ってくださいね」と励ましてくれた。
「ありがとうございます。カイトさんがそう言ってくれると、何だかホッとします。」
私は微笑み返した。彼の言葉に安心感を覚え、少しずつリラックスしていけた。
カイトはさらに話を続ける。
「ここに来てくれたお客さんたちも、初めは緊張してるんですよ。でも、僕たちと少し話をすると、だんだんとリラックスして、新しいスタイルにワクワクしてもらえるんです。雪絵さんも、今日は新しい自分を見つける日です。楽しんでいきましょう!」
その言葉に背中を押され、私は確かな期待感を胸に秘めることができた。
カイトとの会話は心地よく、シャンプーが終わる頃には、今までの不安が嘘のように消えていた。
私は新しい高校生活、そしてこれから始まるカットへの期待でいっぱいだった。
シャンプーが終わると、カイトは私をスタイリングの椅子に案内した。
彼の表情には以前の優しさが影を潜め、何かを決意したかのような強い意志が感じられた。
彼は椅子に座る私を見下ろしながら、確かめるように言った。
「大丈夫?今から始めるよ。ちょっと大胆にいってみるから、覚悟してね。」
私はその言葉の真意を理解できていなかったが、シャンプーの時の優しい声色からの変化をしっかりとは感じ取れず、「よろしくお願いします」と頷いた。
緊張で心臓が早鐘を打っているのを感じながら、カイトが持つ鋏に目を奪われた。
「じゃあ、始めるよ」とカイトが軽く言い放つと同時に、鋏がサラサラとした私の髪に触れた。
最初の一切れが切られる瞬間、時間がゆっくりと流れるような錯覚に陥った。
シャキッ、シャキッという鋏の音が耳に響き、私は自分の髪が確実に短くなっていくのを恐怖とともに感じた。
「こんなに短くして、本当に大丈夫かな?」
雪絵が小さな声で尋ねると、カイトはただニヤリと笑い、「大丈夫、大丈夫。全然問題ないから。これが新しい君のスタートだよ」と言ってのけた。
ジョキッ、ジョキッと鋏はさらに力強く、どんどん髪を短くしていった。
カイトの手は非常に確かで、一切の迷いもなく私の髪を次々と切り落としていく。
床には私の黒い髪の束が積もっていき、それを見るたびに私の心はどんどん沈んでいった。
やがて、カイトは雪絵の髪を霧吹きで濡らした。
濡れた髪は重く、私の首筋に冷たく感じられた。
そして彼は耳の真ん中くらいで鋏を入れ、一気に切り落とした。
「ほら、もう顎のラインまで短くなっちゃったよ」とカイトは言い、私の驚きを楽しむように笑った。
カイトは残った後ろの長い髪を半分くらい持ち上げ、頭の上でブロッキングした。
そしてさらに、襟足に手をかけ、霧吹きで濡らした後、鋏を入れていった。
ジョギジョギッ、ジョギジョギッという音とともに、私の襟足はどんどん短くなっていった。
櫛を首筋につけてそれに沿って鋏が上にあがっていく。
その感触が首筋に伝わり、私は自分の髪が刈り上げられていることを実感した。
カイトは慣れた手つきで髪を切り、最後にはバリカンを取り出してきた。
「これで仕上げるからね」と言いながら、彼は私の襟足にバリカンをあてがい、ジョリジョリと襟足を整えていった。
バリカンの振動と音に私は身を固くし、その感触に戸惑いながらも、自分の髪がどれほど短くなったのかを想像した。
刈り上げられた雪絵の襟足は、耳の下から首の底まで、きれいに刈り上げされていた。
薄く、緻密に剃られたその部分は、肌に近い短さで、手触りはジョリジョリとしていた。
雪絵自身が後ろから鏡を見る限りでは、襟足の刈り上げは耳の下から始まり、首筋に沿って綺麗にアーチを描いていた。
美容師のカイトが使用したバリカンは、微細な調節が可能なもので、彼は非常に短い長さに設定していた。
その結果、雪絵の襟足はほぼ地肌が見えるほどに短く、刈り上げられていた。
襟足の形は自然なカーブを描き、首のラインを綺麗に見せていたが、それは雪絵にとっては全く予期せぬスタイルだった。
雪絵は鏡を見て、自分の大幅に変わった姿に目を丸くした。
「こんな...こんなに短くするって言ってない...」彼女の声は震えていた。
カイトは鏡越しに雪絵の顔を見て、威圧的に笑いながら言った。
「ほら、刈り上げるとこんなに可愛くなるんだ。これで君ももっと魅力的になったよ。僕の好みにピッタリさ。」
刈り上げの部分は、触ると手に感じる微細な刺激があり、ジョリジョリとした感触は、雪絵がこれまでに経験したことのない新しい感覚だった。
髪の毛一本一本が短く剃られ、地肌に近い部分まで露出しているため、風が吹くたびに、いつもとは異なる清涼感を襟足に感じていた。
カイトはバリカンを使い、襟足の刈り上げ部分をさらに細かく整えた。
「こんなにきれいになるんだよ。」と彼は自分の仕事に満足げに言った。
雪絵は新しい自分の髪型を指で触りながら、戸惑いと少しの恐怖を感じていた。
鏡の中の自分は見慣れない姿で、刈り上げた部分の冷たさが彼女を更に不安にさせた。
「見て、これが新しい君だよ。すっきりして、なかなか似合ってるじゃないか」とカイトは言いながら、私の手を取り襟足に導いた。
触れると、いつものサラサラとした長い髪の感触ではなく、ジョリジョリとした短い毛の感触が指先に伝わってきた。
初めての感覚に、私は思わず「あっ…そんな…」と声を漏らしてしまった。
「ほら、もう怖くないでしょ?新しいスタイルで新しいスタートだ。高校生活、これでバッチリだよ!」カイトは励ますように微笑んだが、私の心はまだその変化を受け入れきれずにいた。
頭の後ろは耳の真ん中くらいの位置まで刈り上げられていた後頭部は、どこを触ってもジョリジョリしていて、タワシのような感触だった。
私はずっとロングヘアだったので、これが初めての経験であり、戸惑いを隠せなかった。
カイトは再び鋏を手に取り、「ここからがクライマックスだよ!」と宣言し、ブロッキングしていた後ろの髪を下ろし、横と同じように耳の真ん中くらいのラインできれいに切り揃え始めた。
バサッと落ちる長い髪を見ながら、私は「いや!!もう切らないで!」と悲痛な声を上げたが、カイトは私の願いを無視し、精密に鋏を入れ続けた。
後ろを横のラインと揃えながら、カイトはわざと私の襟足をジョリっと触り、その度に私はビクッと反応してしまった。
彼はその反応を楽しんでいるようだった。
そしてついに、刈り上げを隠していた後ろの髪はすべてなくなり、襟足の青白い地肌が丸見えになってしまった。
さらに、カイトは私の目にかかっていた前髪を櫛でとかし、眉毛の位置で鋏を入れた。
バサバサとケープに髪が降り注ぐ中、私の視界は一気に明るくなった。
彼は念入りに前髪を真っ直ぐに切り揃え、最終的に鋏を置いた。
「よし!完璧なおかっぱだ!襟足もさっぱりと刈り上げ!やっぱり高校生になるなら髪型はこうでなきゃね!」と得意げに宣言した。
私は大きな手持ち鏡で自分の新しい姿を見た。
「あっ...そんな...これがわたし...?」鏡に映ったのは、耳の真ん中で真っ直ぐに切り揃えられたおかっぱの女の子。
前髪は短くなり、切った時には眉毛は隠れていたはずなのに、眉毛の上でまっすぐに揃っていた。
短くなったことでかなり幼い雰囲気になっていた。
横の髪はきっちりと切り揃えられて、後ろは地肌が見えるほどに刈り上げられていた。
先程までの背中まであったロングヘアは、見事な刈り上げのおかっぱに変わっていた。
変わり果てた自分の姿に、私は耐えられず涙をこぼした。
カイトがケープを外すと、床には大量の切られた黒髪が散乱していた。
「どうだい、すっきりして、可愛くなっただろう?」カイトは更に彼女を威圧するように言った。
雪絵は悲しげに頷いただけで、その新しい姿に心からの満足を感じることができないでいた。
自分の変わり果てた姿に、深いため息をついた。
カイトは満足そうに私をシャンプー台へと案内した。
彼の表情には達成感が溢れていて、私はその笑顔を見るだけで心が重たくなった。
台に座らせると、カイトは私の頭を優しく後ろに傾け、温かい水で髪を濡らし始めました。
「いままで髪洗うのたいへんだったでしょう?襟足は短く刈り上げておいたから体洗うついでに洗っちゃえばいいよ」とカイトが言いながら、彼の立てた指が私の刈り上げた襟足を撫でる。
その瞬間、今までに感じたことの無い感覚が私を襲った。
彼の指がジョリジョリと襟足を撫でるたびに、その感触は私の脊髄を直接くすぐるようで、私の体は反射的にビクンと反応してしまった。
「あっ…うっ…」私は自分でも驚くような声を上げてしまい、顔を真っ赤にした。
カイトは何も言わず、ただニヤリと笑ってその感触を楽しんでいるようだった。
彼はシャンプーの泡で私の頭を包み込むと、さらに丁寧に、しかし確実に襟足をマッサージするように洗い続けた。
泡立つシャンプーが襟足に溜まり、その泡を指で掻き分けるたびに、ジョリジョリとした音が小さく響いた。
洗い流すために再び温水が流れると、その水の流れが私の短くなった髪を通過する感触に、再び心がざわついた。
水と泡が消えると、ひんやりとする襟足の新しい感触がより明確になった。
カイトはドライヤーで髪を乾かした後、丁寧に櫛を取り出して髪を梳かし始めた。
彼の手際は良く、櫛が髪を滑る音が心地よいリズムを奏でていた。
しかし、彼はわざと、櫛を短く刈り上げられた部分にも通し始めた。
櫛の歯が地肌に触れる感触は、思わず体をビクッとさせるほどに新鮮で、少し刺激的だった。
「あんっ…!」雪絵は驚いて声を漏らし、その感触に体が自然と反応してしまった。
地肌に直接触れる櫛の冷たさが、刈り上げてしまった髪の存在をなおさら強く意識させる。
それは、これまでの長い髪がもうないという現実を、改めて突き付けられるようで、心の中に複雑な感情が渦巻いた。
カイトはその反応を見て、にっこりと微笑みながら言った。
「感じるでしょ?これが新しい君の感触だよ。少しクセになるかもしれないね。」
雪絵はその言葉にどう反応していいかわからず、ただ櫛が再び地肌を通るのを感じながら、目を閉じた。
カイトの手は確かで、櫛を短く刈り上げた部分に何度も何度も通すことで、雪絵は自分の変わった姿を少しずつ受け入れ始めていた。
その度に、ジョリジョリとした感触と地肌の新しい冷たさが、彼女の感覚を刺激した。
彼女の耳の横で切り揃えられた髪は、触るとほとんどないに等しく、櫛の感触は直接彼女の皮膚に伝わってきた。
「ほら、もっと感じてみて。これが今の君のスタイルだから。」
カイトはそう言うと、さらに慎重に櫛を通した。
雪絵は櫛の每一撃が地肌に触れる度に、心地よさとともに少しずつ自分の新しい姿に慣れていくのを感じた。
鏡に映る私は、お椀を被せたようなおかっぱ頭の少女だった。
前髪は眉毛の上で真っ直ぐに切り揃えられ、耳の真ん中で切り揃えられた横の髪と共に、私の新しい姿を形作っていた。
後ろすっきりとした襟足が見え、そして青白い地肌が露わになっている背後からは、新しい生活のスタートを告げるかのような冷たい空気が感じられた。
カイトは私の反応を確認すると、さらに得意げに「どうだい、思った以上に新鮮でいい感じだろう?高校生活、これでバッチリだ!」と明るく言った。
私はただ、呆然とその言葉を聞くしかなかった。
カイトの美容室を出るとき、「刈り上げはすぐに伸びちゃうから、定期的に来てね!」と彼は明るく言った。
その言葉を聞いて、私は表面上は微笑みを返したけれど、心の中では彼の言葉が少し重たく感じられた。
あの圧力を、どうしても感じてしまうのだった。
外に出た瞬間、新鮮な空気を深く吸い込んだ。自由に呼吸できることがこんなにも気持ちいいとは、少し驚くほどだ。
友人たちと合流すると、みんなは私の大胆な変身に目を丸くした。
「雪絵、すごい、バッサリ切ったね!」と驚く友人。その声に、私は少し安堵した。
でも、不意に友人の一人が私の襟足を触った時、私は思わず体を震わせた。
ジョリジョリとした感触が指先から伝わってきて、その感覚はまだ慣れない。
友人が「このジョリジョリ、面白いね!」と言った時、私はただ、はにかむことしかできなかった。
私たちはその後、近くのカフェに行った。
話は尽きることなく、新しい髪型についての話題で盛り上がった。
友人たちは私の刈り上げた部分を何度も触り、そのたびに私の体は小さく反応してしまった。
それが少し恥ずかしくもあり、不思議な感じがした。
「雪絵、これからどんなスタイル試すの?」と聞かれ、私は「うーん、まだ考えてないな」と答えた。
内心では、カイトの言葉が頭をよぎり、定期的にメンテナンスをしなければと思うと少し重たく感じた。
カフェでの時間が進むにつれ、友人たちの言葉から勇気をもらい、私は少しずつ新しい自分に慣れていった。
彼らの支持があることが、とても心強かった。「新しい髪型、意外といいかもしれない」と、心のどこかで思い始めていた。
最後にカフェを出る時、私はみんなに向かって「私...こんな髪型で高校に行かなきゃいけないの...?」と不安気に言葉を述べた。
友人たちは「いつもの雪絵らしいよ!」と言ってくれて、その言葉が私の心に深く沁み入った。
私が家に帰ると、母は台所で夕食の準備をしていた。玄関の扉が閉まる音に振り向き、その瞬間、彼女の手が止まった。
私の新しい髪型を見て、母は思わず声を上げた。
「雪絵、その髪型...!」彼女の声には驚きと少しの戸惑いが混ざっていた。
私はそんな母を見て、少し不安になったが、勇気を出して、自分から髪型を変えた理由を説明した。
「うん、ちょっと大胆に変えてみたの。新しい高校生活、新しい自分で挑戦したいなって。」
思いがけずこんな髪型になってしまったとは言い出せず、咄嗟に出た言い訳を言ってしまった。
そんな私の声を聞きながら、母はしばらく黙って私の髪をじっと見ていた。
しばらくして、母は深いため息をついた後、優しく微笑んだ。
「そう…。確かにこれはとても大胆ね。でも、雪絵が気に入っているなら、それでいいわ。すごく成長した感じがする。」
その夜の夕食時、母は何度も私の刈り上げ部分に目をやり、時々「本当に変わったわねぇ」とつぶやいた。
食事をしながら、私は母に友人たちの反応やカイトの美容室での経験について話した。
母は興味深そうに聞き、特にカイトが私の髪をどのように変えたのか、細かい部分まで質問してきた。
「ジョリジョリってどんな感じ?」母がそう尋ねると、私は少し照れながらも、髪の感触を説明した。
母は不思議そうに首を傾げながらも、私が新しいスタイルに満足していることに安心した様子だった。
食後、私たちはリビングで一緒にテレビを見ながら、更に色々と話をした。
母は「高校での新生活、いろいろと楽しんでね。新しい髪型で新しい友達もたくさんできるといいわね」と言って、私の肩を抱き寄せた。
母の温かい支持を感じながら、私は心からほっとした。家族の理解と支持があることの大切さを、改めて感じたのだった。
その夜、私は新しい自分とこれから始まる冒険に、少しだけ自信を持つことができた。
母の優しい言葉が、私の不安を勇気に変えてくれたから。
家に帰ってからの数日間、私は自分でも驚くほど刈り上げ部分に手が伸びることが多くなった。
トイレにいるとき、お風呂で髪を洗うとき、夜ベッドに入る前に自分の部屋で鏡を見るとき。
どうしてもそのジョリジョリとした感触を確かめたくなって、思わず触れてしまうのだった。
そのたびに、ビクンビクンと体が反応する感覚があり、その不思議な心地よさに少しずつ虜になっていった。
最初はただ新鮮だった感覚が、いつの間にか落ち着く瞬間を与えてくれるようになっていた。
ある晩、自分の部屋で日記を書いているときも、無意識のうちに手が襟足に伸びていた。
ペンを持つ手を止め、しばらくその感触に浸っていた。ジョリジョリとした毛の感触は、一種の安心感を私に与えてくれる。
それはまるで、小さな癖のようなものだった。
「なんでこんなに触ってしまうんだろう…」私は自問自答しながらも、また手を襟足に持っていく。
この新しい癖は、私にとって不安やストレスの解消法になりつつあったのかもしれない。
次の日の朝、母が私の変わった行動に気づいた。
「雪絵、どうしたの?いつも髪を触ってるけど」と心配そうに尋ねてきた。
私は少し恥ずかしさを感じながら、正直に答えた。
「なんか、この新しい髪の感触が気になって…すごく心地いいの。ビクンビクンする感じが、何だか落ち着くんだ。」
母はそれを聞いて、優しく笑った。
「そうなのね。人は新しい変化に触れると、それが心地いいものなら特にね。でも、それで雪絵が少しでも楽に感じるなら、それはそれでいいことよ。」
その夜、母と一緒にお風呂に入るときも、母はわざと私の襟足を洗ってくれた。
その時も、ジョリジョリとした感触に体が反応し、私は思わず笑ってしまった。
「ありがとう、お母さん。これ、ほんとに不思議な感じ…」
母の理解と優しさに支えられ、私は自分が抱える小さな変化と向き合っていく勇気を持つことができた。
毎日の小さな癖が、大きな自信へと繋がっていく。それは私にとって、新しい自分を受け入れる大切な一歩となった。
一週間が経ち、刈り上げた部分の髪は少しずつ伸びてきた。
初めのころのジョリジョリとした感触はだんだんと薄れ、2週間が経つころには、その独特の感触はほとんど感じられなくなっていた。
最初は新鮮だったその感覚がなくなると、私は不意に寂しさを感じ始めた。
その変化に気づいた私は、少し迷った末にカイトに連絡を取ることにした。
電話をかけると、カイトはすぐに出て、「雪絵ちゃん、どうしたの?」と明るく聞いてきた。
「えっと...その...刈り上げのメンテナンスをお願いしたくて…」私がそう切り出すと、カイトは優しい声で応えた。
「やっぱりクセになっているね。また気持ちいい刈り上げにしてあげるから、来週にでも店に来ない?」
彼の言い方には、どこか圧を感じたが、私はもうそれに従うしかないと感じていた。
「はい、わかりました。来週、伺います…」と私は答えた。
カイトの美容室に再び訪れた日、彼は私を温かく迎え入れてくれた。
店に入るとすぐに、私は椅子に案内され、カイトは前回と同じように丁寧に私の髪を扱い始めた。
カイトの店に再び足を踏み入れた時、私はすでにあの独特の感触を思い出していた。
「大丈夫、今回もすっきり綺麗にしてあげるからね」とカイトが言うと、私はただ頷くことしかできなかった。
バリカンが襟足に触れると、その瞬間、私は再びその独特のジョリジョリという感触と共に、バリカンの振動を全身で感じた。
「じゃあ、行くよ。」カイトの声は落ち着いていて、私にもその落ち着きが伝わってきた。
彼の手が動き始めると、バリカンは緻密に私の襟足を走り、毛を刈り上げていった。
その音は不思議と心地よく、私は思わず目を閉じてその感触を楽しんだ。
バリカンの振動が直接襟足に伝わるたびに、私の体はビクンビクンと小さく震えた。
それはもはや恐怖や不安の震えではなく、奇妙な安心感と快感に変わっていた。
カイトはそれを感じ取ったようで、さらに慎重に、そして愛情を込めてバリカンを動かしていった。
「こういうのも、結構いいものだろう?」カイトがそう言うと、私はただ頷くことしかできなかった。
彼の技術に完全に信頼を置いていたからだ。
バリカンが一度襟足を通過するごとに、私は新しい自分を受け入れていく気持ちが強くなっていった。
しばらくすると、カイトはバリカンを止め、鏡を持ってきて私に見せた。
「どうだい?きれいに仕上がったよ。」
鏡に映った私の襟足は非常に短く、整っていた。
見慣れない自分の姿に、初めは少し驚いたが、すぐにその清潔感のある見た目に心地よさを感じ始めた。
「本当に…きれいですね。ありがとう、カイトさん。」
私は心から感謝の言葉を述べた。
カイトはそれを聞いて嬉しそうに笑い、「いつでも気持ちいい刈り上げてあげるよ」と言って、私の肩を軽く叩いた。
メンテナンスを終えると、カイトは私の反応を見ながら、「どう?またこれで一週間は大丈夫だね」と言った。
私はその言葉に笑顔を返し、内心ではカイトの作るこの感触がなければ、日常が少し寂しく感じられることに気づいていた。
店を出る時、カイトは再び笑顔で「気持ちいい感触、忘れないでね。また来てください。」と言い、私は「はい、来週の夜、また来ます。」と答え、その場を後にした。
私は彼の言葉を胸に、新しい髪型を手入れすることが、もはや自分の中で特別な習慣になりつつあることを感じていた。
彼の指が襟足をなぞるたびに、ジョリジョリとした感触が直接私の神経に訴えかけ、ビクンビクンと体が反応してしまうのを抑えられませんでした。
その反応が、何だか恥ずかしいけれど、同時にどこか懐かしい感じもして、私は自然と声を漏らしてしまった。
「あっ…んっ…」
カイトはその声を聞いても動じることなく、ただ優しく
「感じちゃうんだよな。もう刈り上げの虜になってるからね。今度からは、月曜日の店が閉まってから来れば良いよ。お金はいらないから。」と言った。
彼の言葉に少し怯えながら、私は次第にこの感触に身を任せるようになった。
刈り上げを触られることが、自分でも驚くほど心地よく感じられるようになっていた。
それはもう、痛みや恐怖ではなく、純粋な快楽として私の中で認識していた。
ジョリジョリとした清潔感のある襟足と、その上で女性らしく柔らかく流れている髪。
このコントラストが、私に新しい自信をもたらしていた。
帰り道、私の指は何度も自動的に襟足へと移動した。
バリカンで新たに刈り上げられた部分は、ジョリジョリとした感触がより一層鮮明になっていた。
それはもう、私の新しい習慣、新しい安らぎであり、自分の指で触れることで、その不思議な感覚をもっと深く感じたいという欲求が強くなっていた。
襟足を触るたび、カイトの店でのことが思い出され、その記憶が私の中で新しい意味を持ち始めていた。
カイトの手が丁寧にバリカンを操作する様子、その手の温もりがバリカンを通じて私の皮膚に伝わってくる感覚、そして何よりも、彼が放った「もっと感じてみて」という言葉が、私の耳に甘く響いていた。
自宅に戻ってからの私は、自分でも信じられないほど頻繁に襟足に手を伸ばしていた。
バリカンで新たに刈り上げられた部分から感じるジョリジョリとした感触が、私には異常なほど心地よく感じられた。
部屋の中で一人、鏡を前に立つと、その感触をより深く、より直接的に感じたいという衝動に駆られた。
私は指の腹を使って、ゆっくりとその感触を堪能した。
襟足の刈り上げ部分を慎重に撫でることで、ふとした瞬間に体がピクッと反応する。
それはまるで小さな電流が走るような、奇妙で新しい種類の快感だった。
「あっ…んっ…」思わず漏れる吐息。
これが私一人の秘密の時間。
バリカンが通った後の微かな痺れと、ジョリジョリとした感触が、どこか安心感を与えてくれる。
私は目を閉じ、更にその感触に集中した。
私の手は自然とその部分を何度も何度も撫でた。
それは、忘れられない感触の記憶を何度でも味わいたいという欲求からだった。
カイトの手が作り出したこの感触は、私にとって新しい発見であり、新しい喜びだった。
ベッドに横になりながらも、私の手はふとした瞬間に襟足に伸びていた。
布団の中で、静かな夜の中で、ジョリジョリとした感触と小さな体の反応を感じながら、私は深い安堵感に包まれていた。
それはもはや、日常の一部となっていた。
夜中に目を覚ますと、無意識のうちにまた手が襟足に向かっていた。
寝ぼけ眼でその感触を確かめると、不思議と心が落ち着いて、再び眠りにつくことができた。
この新しい感覚は、私にとって夜の小さな儀式のようなものになっていた。
この繰り返される行動は、私がどれだけこの新しい感覚に魅了されているかを物語っていた。
カイトが次に私の襟足を刈り上げる日が来るまで、私はこのジョリジョリとした感覚と共に生きていくことに決めた。
その日が来るまで、私はこの新しい自分をもっと深く探究し、さらにこの快楽を楽しむのだ。
新しい自分としての一歩を踏み出したその日、私は何か大切なものを見つけたような気がしていた。
見つけたというよりも、カイトによって作られたものなのかもしれない。
それは自分自身の新しい一面かもしれないし、カイトとの特別な関係を築いていくのだと感じていた。
でも確かなことは、この新しい感触が私にとって大切なものになっていたということでした。
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