継母の心得

トール

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第二部 第2章

362.鍵の行方

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正妖精からの情報によると、教会の地下には坑道があり、皇城の地下迷宮と繋がっているらしい。枢機卿は地図を持っており、現在フロちゃんと謎の女性と共に珍獣の神殿への転移陣に向かって進んでいるのだとか。

「枢機卿の狙いは、珍獣のいる神殿なのでしょうか?」

テオ様と皇后様に視線を向けると、二人は神妙な顔をしていて、皇后様が「そもそも、なぜ枢機卿は地下迷宮の地図を持っているのよ」とぶつぶつ言っている。

「たまねぎの、しんでんだ!」
「たまねぎの、やね!」
「ちゃっみゃ、ぃ?」

わたくしの話に子供たちが「たまねぎ」だと騒ぎ出す。確か神殿の屋根がタージ・マハルのような形をしているのですわよね。

『クーポル!!』
「しょう。くーぽる!」
「うむ。クーポルなのだ」
「きゅぅ?」

アオは前も確かクーポルを強調していたけれど、クーポルに何かこだわりでもあるのかしら? 子供たちも、クーポルという言葉が好きなようですわ。ぺーちゃんだけは首を傾げておりますが。フフッ、可愛らしいわ。

「たまねぎの神殿、わたくしも見てみたいですわ」
「おかぁさま、ちんでん、みにいく?」

タージ・マハルも実物は見たことないですし、ちょっと興味がありますのよね。

「ノアと一緒に、神殿までピクニックに行きたいですわね」
「いく!」

目が輝き、嬉しそうに抱きついてきたノアに笑みが漏れた。

『せーよーせーから、またつーしん、はいった!』

突然アカが声を上げ、皆が振り向く。

『皆、枢機卿の目的は、どうやら神殿で間違いないよ! 神殿の宝物庫にある鍵がどうのこうのって言ってる!』

神殿の、宝物庫にある鍵? どこかで聞いた覚えが……

「ほうもつこの、かぎ……、アカがひろってきたものも、かぎだった」

イーニアス殿下の言葉に一斉にアカを見れば、アカはちょっと照れたようにもじもじして首を傾げ、目をパチパチさせたのだ。

「アカ、あのかぎは、どこにやったのだろうか?」
『アカ、アスのおもちゃばこに、ポイした!』

テヘッと笑うアカの後ろに、盛大に顔を引きつらせた皇后様が見える。

「……もし仮に、その鍵が枢機卿猊下の欲しているものだとしたら、鍵は何を開けるもので、中には何があるのでしょうか……?」
「あかいとりさん、ちらないって、いってたのよ」

わたくしの呟きを拾ったノアが、どこの鍵か誰も知らないのだと教えてくれる。

「そうですわね。確かに赤い鳥さんは、知らないようでしたわね」
「しょうよ。きっとね、あのかぎ、たからばこのかぎよ」

わたち、わかってるの、と自信満々に頷くノアが可愛すぎますわ。

「まぁ、ノアは宝箱の鍵だと考えていますのね」
「ではノア、すうききょうは、たからを、ねらっているのだろうか?」
「しょう! しゅっごいたからもの、あるの!」
「なんと! すごいたからが、あるのか」

ノアったら、イーニアス殿下に楽しそうにお話ししておりますわね。

「宝箱か部屋の扉の鍵かはわからないが、目的地は神殿だ。そして、鍵はこちらの手にある。慌てる事はないだろう」
「ですがテオ様、フロちゃんが心配です。それにドニーズさんも行方不明のままですわ……」

わたくしとしては、すぐにでもフロちゃんを助けに行きたいのだ。

「ベル、君は妊娠中だ。無理は禁物だと何度も言っているだろう」
「ですが……」
「それに、ドニーズならば妖精の卵が見つけた。オリヴァーもだ」

いつの間に!?

『テオ、よーせーつかい!』
『まおーこわい!! よーせー、みんないうこときく!!』
「キノコ共、余計な事を言っていないで、ドニーズの所へ案内しろ」
『テオ、こわい!』
『きゃーっ、まおーおこった!!』

アカ、アオ、巫山戯ていると、テオ様が本当に怒りますわよ。



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いつも【継母の心得】をお読みいただき、ありがとうございます。
皆様のお陰で、この物語を書き続ける事が出来ております。
楽しんでくださる皆様、応援してくださる皆様、本当にありがとうございます!

また、4/16(火)より、【継母の心得】のコミカライズの連載がスタートいたします。

作画: ほおのきソラ先生/構成: 藤丸豆ノ介先生に担当していただきました。
【継母の心得】の魅力を上げに、上げまくってくださり、かなり素敵な作品になっていますので、ご覧いただけますと幸いです。

イザベル様の美しさや、ノア君の天使な登場、冷たいテオ様にエンツォパパやフロちゃんまで、楽しんでいただけること請け合いです!

今後とも【継母の心得】をよろしくお願いいたします。

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