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番外編 〜 ノア3〜4歳 〜
番外編 〜 ノアの赤ちゃん返りリターン3 〜 ノア4歳 イザベル妊娠発覚直後
しおりを挟む「死神さんは、もうノアが追い払ってくれたでしょう?」
「またくりゅのよ!」
少し前に、お勉強が嫌だと言った時があったけれど、もしかしてこれも、あの時と同じ赤ちゃん返りなのかしら……?
「大丈夫ですわ。もう来ませんわよ」
「くりゅの! わたちのおかぁさま、さりゃっていくのよ!」
「まぁ、わたくしにはノアもテオ様も、ミランダやマディソンもいますのよ。皆が守ってくれますわ」
「わたち、まもりゅ! じゅーっと、しょば、いりゅの!」
あらあら、舌が回っていませんわね。可愛らしいわ。それに、守ってくれる気でいますのね。
「お勉強はどうしますの?」
「べんきょ、おかぁさまのおそばで、しゅるの」
「ノア、寝室に先生をお招きするのは、失礼ですわよ」
「わたち、おかぁさまのおそば、いるの!」
あらあら、これは……ノアは一度こうなると譲らないのよね。そんな所はテオ様にそっくりで可愛いのだけれど……どうしたら良いのかしら。
「奥様、でしたら私がこちらでノア様に授業をいたしましょう。先生方には、奥様の仰っていた、有給休暇というものを取っていただいたら良いかと存じます」
困っていれば、マディソンが素晴らしい提案してくれたのだ。
「マディソン、あなた忙しいでしょう? 大変なのではなくて?」
「私は今、奥様のお世話が主な仕事です。ノア様が奥様のおそばにいらっしゃるのであれば、特に問題はございません」
「ありがとうマディソン。ノアは、マディソンにお勉強を教わるという事で良いかしら?」
わたくしの横で話を聞いていたノアは、「はいっ」と片手を上げる。
「あら、ノア王子のご機嫌は直ったかしら」
「おーじ、ちがうのよ。わたち、きち!」
「フフッ、そうね。わたくしの騎士様は、ご機嫌麗しゅうございますか?」
「うりゅわ、しゅー、ごじゃいましゅ!」
まぁっ、可愛いわ!
そうして、甘えん坊モードのノアが、わたくしの寝室でお勉強するようになったのだけど……。
「死神がどうこう言い出したのは、この妖精のようだ」
『アオしんぱいした!! ベルしんぱい!! しにがみ、ベルのつくえのひきだし、あった!!』
テオ様に首根っこを掴まれ、足をバタバタさせながらやって来たアオにぎょっとする。
「死神などと、聞いた事がなかったので問い詰めたら、コレが白状した」
『しにがみ、おおきなかたな、ふりまわす!! かたな、へんけーしていく!! 』
「わけのわからん事を……」
『ベルの、つくえのなかある!!』
アオ、あなた……わたくしが今描いている途中の絵本を勝手に見ましたわね。
「おとぅさま! アオはなちて! おとぅさま、めっよ!」
「ノア、お前はなぜまた赤ん坊のような言葉遣いに戻っているんだ」
「もどってにゃいの!」
「戻っている」
「ちがうの! おとぅさまいじわりゅ! おかぁさま、おとぅさま、いじわりゅいうのよ!」
ノアがアオを助けようとして、テオ様に返り討ちにあい、わたくしに抱きついた。
「テオ様、わたくしがノアに心配をかけてしまったから、どうやらノアがまた、赤ちゃん返り? のようなものをしてしまっているようですの」
「赤ちゃん返り……構ってやらねば不安定になってしまうアレか」
「はい……」
テオ様は少し考え、そして……、
「ならば私もここで仕事をしよう。それならば私もノアを構ってやれるだろう」
「わたち、おとぅさま、かまってあげりゃれないの。おかぁさま、まもりゅので、いしょがちぃのよ」
お仕事は執務室でやれと言うノアに、わたくしもマディソンも吹き出してしまいましたわ。
「……ノア、私がお前を構ってやるのであって、お前が私を構うわけではな……、」
「坊っちゃま、ノア様の勝ちです。諦めてください」
マディソンが大人げない事を言おうとするテオ様の言葉をぶった斬る。
テオ様は、勝負をしているわけではない、と言っていたが、マディソンには思いっきりスルーされていた。
「おかぁさま、おとぅさま、しょーがないひとね」
「まぁっ、ノアったら、大人のような事を言って」
クスクス笑えば、にこぉっと可愛い笑顔を見せてくれたのだ。
もしかして、今回は赤ちゃん返りではなくって、ただの甘えたモードだったのかしら。
その一週間後、ピタリと悪阻が収まり、食事を摂れるようになった事で、やっとノアが納得してくれたのだけれど、もうちょっと甘えたモードのノアを堪能したかったという本音は、口に出せませんわよね。
『てんいしながらあるく、えほんのしにがみみたい!!』
アオ……、またテオ様に怒られますわよ。
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